01
“大災害”から一夜明け、ノウアスフィアの開墾の導入日から二日目の朝を迎えた《アキバ》の街。この街の顔と呼ぶべき施設《アキバギルド会館》の一室に、一人のエルフの女性が居る。
「ああ、今後どないしょう……シロ坊とは直接会えたからええけど、他の子ぉらがほんま心配やわ……」
その女性は浮き足だった様子で部屋を歩き回り、自身の知人たちの安否が分からないことへの不安を
彼女の名は【マリエール】。アキバを拠点とする小規模ギルド《三日月同盟》のギルドマスターであり、今回の大災害に巻き込まれたプレイヤーの一人。
そして部屋のソファには同じく大災害に巻き込まれ不安に
「なあ、【ヘンリエッタ】。夕べからあんまちゃんが全然念話に出てくれへんのやけど……」
おろおろと目に見えて焦りが見える様子でソファに座るヘンリエッタに話しかければ、振り返る彼女もまた物憂げな表情で答えた。
「大丈夫だとは思います。……が……
同時に溜め息を一つ。この世界に閉じ込められてからまだ一日目。否、既に一日が経過した今、行く先見えぬ状況に不安は募るばかり。しかし街には何時敵になるか分からない同じくこの世界に捕らわれたプレイヤー、更に街の外には人を見境なく襲うモンスターという二重の障壁が待ち受けている。
下手な紛争地域よりも遥かに危険な人口密集地と化したこの《アキバ》にあっては、如何に90レベルというベテランであってもとても行動を起こす勇気などない。
「…………ほんまに、こがな時どうすればええんやろな……」
マリエールがヘンリエッタの向かいに座り、再び溜め息を吐いた時、独特な音楽とともに小さな画面が現れた。
画面に表示されていたのは、昨日一度だけマリエールと連絡を取ったあんまろんの名であった。
02
「集まったな?出港前に航路の説明をしておく」
時間は
「詳細は追って説明するが、まずこの航路は昨夜の星
その線は《ナゼの港》から延び、東から西へ弧の字を描いて《雨林島ウーベルフェルセン》*1で一度止まり、丸印で囲み「一日停泊」と書かれた。そして《森林島イヤク》を無視して南を進み、《神代島ジャクセア》*2の南端にさらに丸印。
そしてジャクセアを縦断した上で北端から再度出発し、最後に《火山島カラスス》の西へ進み《イスルガルフ公爵領サツマ》*3の入り口である《フォウンスポート》*4へと入る流れとなっている。
「航路の説明は以上だ。ここまでで何か質問あるか?」
一度線を引き終えて振り返り、一同に声をかける。
「最短中継点地点になるイヤクをわざわざ迂回する理由を教えてくれ」
すかさず一人目が問いかけて来たのを確かめると、
「本当ならイヤクの前に《瘴気島シアーフィ》*5で休憩を挟んで九日と半日程度で《カラスス》に向かう予定だったんだが、
「所要期間十二日の長旅になるけど、不要な戦闘を最低限に
二人は一度部屋の方へと視線を戻し、全員が話を聞いていることを確認するともう一度地図に視線を移す。この時航路を示す線の両端、つまり《ナゼの港》と《フォウンスポート》の部分に大きく点を記して強調する。
「もちろん吉方位が安全とは言わない。特にこの辺りはな」
筆を持ち変えて《ジャクセア》の中央部分にバツ印を書き込み、「要注意地帯」と書き加える。
「拡張パック導入前に告知されてた新しいレイドモンスターの出現ゾーンに選ばれてるから、運が悪ければそいつに襲われる可能性がある」
と、
「何度も言うけど、装備とアイテムはしっかり用意しておくように。他に質問は?」
か・みが再び問い質す。本土を目指す船の出港準備が