01
南アジアはインドサーバー、《三角半島
【か・み】はそのパハート・カ・ペア北端にして最高の標高に位置する町、《ヒマ・シャーシャ》*4と《閉ざされた女神山》を隔てる門の、その入り口に立っている。
「ふぅ~……」
将助は手を組んで肘を伸ばしながら大きく息を吐き、画面の雪景色の中に一人立つアバターを見遣る。か・みのアバターはメイン職業を
「さあて……」
またアバターの造形と同じく、
そして今回の遠征の目的は、
「一年ぶりの
心は燃えていた。昨年のインド遠征の際は、最難関級クエスト〈シヴァとガネーシャの舞踊宴〉の攻略報酬である神牛【
「そろそろ行きますか……女神サマ」
意気揚々とカーソルを動かし、アバターの移動地点を定めてクリックした。
02
さすが世界最高峰の山をモチーフとしているだけあり、その進路は複雑怪奇な地形を成し、また
パーティを組んでのダンジョン攻略ですら如何に雑魚モンスターとの会敵を避け、かつアイテムの消費、装備やパラメータの損耗を
それゆえレイドパーティを組んでの攻略が前提となるこのダンジョンで、単独で、それもゲームオーバーせずに踏破を目指そうとすること自体が無謀なのだ。
「お!【
ただでさえ無謀な挑戦を更に無謀たらしめているのは、か・みもとい
「目に着いた気になるものは必ず知るべし」を信条とする彼にとって、一度「気になる」と思った物事は未知であっても既知であっても関係ない。
その信条への盲目ぶりたるや、無邪気にして知識欲旺盛な好奇心の化身と言って差し支えない。
「レベル68で毒耐性個体。肩慣らしにはちょうどいいや」
どういう風の吹き回しか、洗礼をするかの如く出現したモンスターは特殊な個体。
一方のハラクパイエティも両手を掲げるように威嚇姿勢をとるが、アイコンから見て既に戦闘態勢に入ったようだ。
「いいね。去年の秋が懐かしいよ」
エンターキーの音を合図に、戦いの火蓋が切られた。