《ナゼ》から出港し《ナカス》を目指す航海が始まって早くも3日が経過したが、今日到着予定の目的地である《雨林島ウーベルフェルセン》は未だに島の影だけが遠くにぽつりと見えるだけ。
順風満帆とは言い
…………のだが、
「…………つまんね」
画一的なゲームシステムの弊害は、なんとこのような単純な娯楽にまで及んでいることを思い知るはめになったのである。如何にも不良然とした態度のドワーフの少年、【
甲板に置かれたいくつかの
《漁師》のサブ職業を持つ
「つまんねっつーか正直、ゲームシステムの強制力舐めてたわ」
事の発端はあんまろんが、「メニューを通じたコマンド操作なしで技を使えるのなら、必要なスキルさえ習得していれば現実世界で日常的にしている事の大部分が普通にできるはず」という持論を展開し、実際に自身のサブ職業である料理人(の上位職種、料理師Lv.87)のスキルと今は亡き父直伝の調理技術を駆使した和食膳を作って見せた事にある。
この場にいるプレイヤーたちは大災害直後、木亭宿の食堂や屋台で食事を摂ったのだが、この時に食べた料理がことごとく微妙で、とても美味しいとは言えない味だったために、フレーバーテキストの内容は決して嘘ではないと思い知らされたのだ。
このような一件もあり、「人間が自分の手で作る事」の重要性に早く気付く事が出来、
ここまでは良かったのだが……
「なんか……バカにされてる気がする……」
大災害から十日足らずで新事実に到達できたのは喜ばしいが、帰還のために必要な情報とは到底関係あるようには思えず、やっと掴んだヒントは儚くもゲームシステムによって阻まれるという不幸。
こうして退屈に流されている間にも、船は《ウーベルフェルセン》へと近づいていた。