完全にキレた
「ごめんね。今さらで何様だけど、ぼくすっごく頭来てるから」
リーチの長い薙刀や槍は、刃が摩耗しやすい斬撃系の技よりも動きが比較的単純な突き技と殴打技に攻撃力が多く振られている。
三間半槍のようなしなりがなくとも、あるいは竹槍のように扱い
距離の優位による一方的な攻撃を可能とするのが槍という武器だ。
「手心込めて戦うなんて思わないでね?」
動きを止めたか・みに対し、アバターに向かって走り続けるイエティ。両者の距離が縮まり始めると同時に、装備メニューを閉じて素早く戦闘メニューを開き二つの技を選択した。
まず一つ目の技は、最初の武装変更時に既に選択していたもの。大音量とともに広範囲の敵を威嚇して防御力を下げ、自分を含めた味方を鼓舞して攻撃力を上昇させる特技で、その名前を 〔
二つ目は効果範囲内の指定位置に瞬間移動する移動系の特技、〔飛び梅の術〕。
そして三つ目は決して短くないキャストタイムを要する代わりに、MPを使い果たすまで延々と、そして容赦のない無慈悲な刺突攻撃を繰り返す攻撃系特技、〔
技の組み合わせを見れば、誰の頭にも「殺しに来ている」ことが容易に思い浮かぶ。キャストタイムのカウントダウンが始まり、
「そして君は、今から鬼じゃなくて
そしてまず、〔
あくまでも目的は攻略、目的地から離れては意味がない。この間の〔
「これで楽しい鬼ごっこは終わり。お疲れ様、ハラクパイエティ」
呟くと同時に、か・みによる攻撃が始まった。容赦も遠慮も慈悲もない、ただただ耳をつんざくような獣の叫び声がスピーカーを通じて部屋に、家屋に、そして
「へえ……ラッキー」
至近距離で
「この連続攻撃に耐えてみなよ。ほら、ほら!」
軽く吐き出された言葉とともに、猛攻が始まった。突く、刺す、打つ、殴る、斬る、槍が持つ特性全てを全てを込めた通常攻撃のオンパレードがイエティを襲う。
通常攻撃にはほんの二、三秒程度のタイムラグしか存在せず、キャストタイムもリキャストタイムも存在しない。
攻撃力の高い相手から受ける連続の通常攻撃は、防御力の低いプレイヤー・モンスターにとっては文字通りの悪夢であり、一度でも食らえば逃れることは難しい。
イエティのHPはみるみるうちに減っていき、ついに二割を切った。
〔
「ありゃ、特技は〔
予想外の結果に
「でも命拾いにはならなかったね。それじゃ……」
最後は一撃で
────ばいばーい────
オリジナル特技
猟狼の咆哮(カイ・ウォセカムイ)
日本サーバーの2013年5月10日~17日に実施された限定クエスト、〈エッゾ帝国革命〉のクリア報酬の一つ。
職業が“神祇官”、“守護戦士”、“吟遊詩人”、“召喚術師”のいずれかであり、レベル45以上のプレイヤーが取得できる支援特技で、その効果は「1分間敵への威嚇によって防御力を20%低下させ、1.5%の確率で怯ませる」「1分間自分自身と味方への鼓舞によって攻撃力を10%上昇させ、1.1%の確率で次の攻撃にクリティカル効果を発生させる」という強力なもの。
消費MPは2500、キャストタイム、リキャストタイムともに2分10秒と低コストかつ待機時間が比較的短いこともあり、現在でも多くのプレイヤーが愛用している。