ひーろー・ざ・ろっく   作:星宮 星雅

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 もう、みんな気がついていると思いますがキョーくんはけっこうヤバイやつです。

 そして、推しの子はとても面白い作品です。


ひーろー・ざ・ろっく 路上ライブ準備編

 聖十郎が柊家に絶縁状を叩きつけてから数日、仕方が無いのでドラムは俺のなけなしの貯金を貸して買ってやった。仮面騎兵シリーズは拘束時間の割にギャラは余りいい仕事では無いのだが、それでもエキストラ代(500円)よりは大分マシなので何とかなった。

 聖十郎にはひとりと同じくSTARRYでバイトをして、稼いだバイト代で少しずつドラム代を返済すると約束させた。利息分追加の代金を要求しない代わりに、ひとりに変な虫がつかないか監視して俺に報告するという契約だ。勿論、借金自体も山田や廣井のように踏み倒させせはしない。1から10までキッチリ取り立てるつもりだ。

 

 六苦ヒーローとしてはそれぞれ練習を重ねながら、都合を合わせて音を合せる練習をする毎日。俺とひとりの2人ほどではないが聖十郎のドラムも少しずつ息が合い始め、ゆっくりではあるが順調な毎日を送っている一方、俺個人としては遂に仮面騎兵ヴォイス役で次回主人公の1話だけの先行ゲスト出演という形になるがテレビ初出演を果たした。

 業界や特撮ファンの間で少し名前が売れたお陰か、仮面騎兵ヴォイス役としてバラエティーやCMの仕事を貰えるようになったが、『仮面騎兵ヴォイス』で役者・京極響兵という看板を作れなければアッという間に忘れ去られるだろう。役者にバンドに大忙し、大変だが充実した毎日を送っている。

 

 調子に乗る。というとアレだが、この勢いに乗じて次のライブも成功させたい。

 

 「という訳で、次のライブの日程とセトリ決めたいのだが・・・・・・・・・」

 

 「あ、私は結束バンドの活動日とバイト以外暇なので何時でも・・・・・・・・・」

 

 「拙者はバイトしか無いのでもっと暇ですな。いや、その分、1日でも早くお2人に追いつけるようにドラムを練習せねばならないのですが」

 

 「なら日程は俺が決めるが、新曲について1つ相談があってな。柊家に叩きつける為に聖十郎に歌わせようと用意した歌詞があるのだが・・・・・・・・・・歌うか?」

 

 「いえ、止めておきましょう。京極氏の歌が無いのはバンド全体の損失ですぞ」

 

 「そうか・・・・・・・・・この歌詞は聖十郎の方が似合うと思ったのだがな」

 

 「あ、あの、その、結束バンドの方でよりバンドらしくするには如何すれば良いか?って話し合ってて、それで、六苦ヒーローももっとバンドらしくした方がいいのかなって・・・・・・・・・・・調子に乗ってすいません」

 

 STARRYの楽屋で机を囲みながらミーティングをしていると、ひとりが妙な提案をしてきた。どうやら、結束バンドの方はまた変な迷走をしだしたらしい。俺としてはひとりが本当に望むなら路線変更ぐらい別に良いが、恐らくひとりが考えいるような路線に舵を切ったら1番苦しむのはひとりだろう。それに、バンドらしさに固執するなら六苦ヒーローである意味が無い。ので、本音としては反対だ。さて、どういう言い方ならばひとりを傷つけずに済むだろうか?

 

 「逆に聞くが、ひとりはロックって何だと思う?」

 

 「え?えっと、音楽ジャンルのこと・・・・・・・・・っていう意味じゃ無いんだよね?」

 

 「そうだな、それもある。けど、俺は【自分を貫くこと】がロックだと思う」

 

 「猫背の人魚姫でいい、幽霊の騎士でいい、不思議に抗うアリスでいい」

 

 「何もかもが違う3人が集まって六苦ヒーローのロックを作ってる。それは奇跡的なことで、決して当たり前じゃない、俺たち3人にしか貫けないロックだ。ひとりはそれじゃあ不満か?」

 

 「・・・・・・・・・ううん、私もそういうロックがやりたい」

 

 「なら決まりですな!拙者たちは拙者たちのロックを貫けばいいということで!」

 

 傷ついて溶けたりすることなく、ひとりの悩みを解決できたようで良かった。良かったけど、六苦ヒーローのミーティング中に結束バンドのこと考えてるのはどういうこと?もしかして、俺はもうお払い箱?六苦ヒーローはキープのバンドなのか?い、いや、ひとりに限ってそんなことは考えて居ない筈、きっとどちらの活動も必死なだけだよな。うん、そうに決まってる。

 

 ・・・・・・・・・盗聴、いや、ダメだ!悪に染まるな俺っ!ひとりを信じるんだ!!

 

 

 

 そしてライブの日程が決まったので、練習は勿論だが、チケットノルマをクリアするべく売り込みを駆けなければならなくなった。ライブハウスでのバンド活動はチケットノルマがクリア出来なければ不足分は赤字になる。駆け出しバンドにとっては死活問題、六苦ヒーローも例外では無い。

 

 俺は役者の仕事絡みで知り合いがそれなりに居るが、問題は自己主張が苦手なひとりと地元から飛び出したばかりな聖十郎の分のノルマだ。六苦ヒーロー全体の問題なので、ノルマ分のチケットは売って貰わないと困るのだが、今の2人にそれを求めるのは余りに酷だ。

 

 「なので、バンドの先輩として何か良いアイディアはありませんか?」

 

 俺はチケットノルマ問題を解決するべく、普段は酒クズだが一応は人気のあるバンドのリーダー兼ベースボーカルである廣井に電話で相談していた。何時も酒瓶抱いて地ベタに転がってるようなダメ人間だが、バンド活動に関しては格上の先達である。チケット問題に関しても何かいい知恵があるかも知れない。

 

 『うぅ、大変なんだねぇ。分るよぉ、私も駆け出しの頃はチケットノルマ大変だったから』

 

 「何処の世界も売れるまで大変なのは変わらないと実感したところだ」

 

 役者活動も保護者の爺さんが理解を示して多めに生活費を振り込んでくれなかたったらどうなっていたことか、エキストラ代500円では交通賃にもならないことも少なくなかったからな。1つの道を貫き通すというのは金がかかるものなのだろう。世知辛い。

 

 『よぉし!可愛い後輩たちの為にお姉さんが一肌脱いであげよう!路上ライブだ!』

 

 「では、予定を詰めるとしよう。何時、何処でやる?」

 

 『今からに決まってるじゃ~ん!思い立ったが吉日だよ!』

 

 「今はSTARRYに全員集まっているが、そんな急に許可証とれるのか?」

 

 『えぇ?許可なんて要らないじゃん!無許可でやってこそロック!」

 

 「ダメに決まってるだろう。ロックを違法行為の免罪符にするな」

 

 その後も廣井が「えぇ~?」とぶつくさ文句を言うのを封殺し、SICKHACKと六苦ヒーローの合同路上ライブの約束を取り付けた。何でも近くに夏祭りの予定がある場所があるという話なので、祭りに集まる人たちをターゲットに路上ライブを行い、ライブの宣伝をするという訳だ。祭りがあるので人は集まると思うが、一応知人にも声をかけておこう。TVスタッフやエキストラ仲間を除くと・・・・・・・・・星野兄妹に有馬さんぐらいか?監督や先輩方は映画の撮影も抱えていて忙しいらしいからな。

 

 「じゃあ、そういう訳で路上ライブの許可は俺が取っておく。廣井は・・・・・・・・・当日まで酒で死なないでいてくれればそれでいい。多くは望まん。」

 

 『あははは・・・・・・・・・頑張りまぁす!』

 

 「頑張ってくれ。ああ、それともう一つ、仮面騎兵シリーズの次回作で主役やるから良かったら見てくれ。気に入ってくれたら、来年夏には劇場版のチケット確保するから」

 

 『えっ、京極くんバンドマンじゃないのぉ!?役者さんだったの!?』

 

 「ああ、話してなかったか?俺は音楽歴より役者歴の方がずっと長いぞ」

 

 チケットノルマの相談が思ったより上手くいったので、ついでに役者として出演作の宣伝もすることにした。今はセルフプロデュースの時代、こういう地道な草の根活動も馬鹿に出来ない。どうせ殆どの人は芝居や音楽の善し悪しなんて分らないのだ、人気役者や人気バンドとしての看板が出来上がれば仕事にも客にも困らなくなる。

 

 仕事を貰うだけなら流れに乗れば誰でも出来る。でも、実力とプロデュース能力で使える看板を作れなかったら花火みたいにパッと咲いてパッと消えてお終いだ。インディーズバンドとはいえ、使える看板を作って長く活動出来ているSICKHACKは十把一絡げのプロには出来ない仕事をしているといっていい。俺はSICKHACKを格上の存在だと認めている。だが・・・・・・・・・

 

 「役者でもバンドでも手を抜く気は毛頭ない。その内、SICKHACKも超えるつもりだ」

 

 『へぇ~?ライブ、今から楽しみになってきたな』

 

 これは本気の宣戦布告だ、俺とひとり、それと聖十郎の3人で天辺を取る。

 

 あの日、あの時、中学の文化祭でした宣言は今も俺の中で炎を灯していた。

 




 とうとう、推しの子側のキャラクターの名前が出てきました。

 ここから、彼等彼女等がどんな風に物語に絡んでくるかは未来の私次第です。(書き溜め無し)
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