書き溜めはまだありまぁす!!
音合わせの一曲目を終えて、観客席に宣戦布告をする。
天辺を取るというのは冗談でも何でも無い。ひとり・・・・・・・・・ギターヒーローとなら本気で天辺を取れると思っている。だから、俺にギターヒーローに相応しいヒーローでなきゃいけない。初ライブのMCで初手宣戦布告をしたのも、その決意と覚悟の意思表示だ。
俺が知っている中で、この世で最も美しくて可愛らしくて、強くてカッコイイ、そんなヒーローが相棒として隣に居るのだ。天辺ぐらい取れて当然!!
やりたいこともやり終えた後は、六苦ヒーローのライブ本番がいよいよ始まる。
音合わせの次の二曲目は有名な邦ロックのカバー、叫び叩きつけるようなアップテンポで激しいリズムを捉えてベースで支え、ギターが曲の中に渦巻く激情を演出し、その2つを材料に歌で曲の世界を形成する。歌を歌っている間、ベースを演奏している間、ギターヒーローのギターを受け取っている間、俺は「京極響兵」ではなく「ベースヒーロー」となって曲の世界の支配者になる。
それは堪らなく誇らしくて、楽しくて、憧れでいられる時間だ。
二曲目が終ると、観客の期待は確信に変わって、狭い中学校の体育館全体が歓声に揺れた。
それを聞くと、最初は不安気だったギターヒーローも心底楽しそうに口角を歪めて見せた。そんな可愛すぎる姿に萌え死にそうになる自分を寸でのところで抑えつけ、畳みかけるように休み無く三曲目へ、三曲目も邦ロックでギターヒーローが俺をイメージして選曲してくれた一曲だ。青春がNGワードなギターヒーローにしては珍しくストレートに夢に向かっていく曲で、現実に打ちのめされて競っていたライバルもいなくなって、それでも夢を諦めきれずに走り続ける様を歌った一曲。
本家と同じように、力強く「まだだ」と叫ぶように歌い、その叫びに勝るとも劣らない迫力ある演奏をもって、2人のヒーローの「ふっかつのじゅもん」へと消化してみせる。そうすることで、ただ本家の曲をなぞっていくだけの曲ではなく、六苦ヒーローの物語として演奏することが出来た。
三曲目が終った瞬間、大きな歓声と黄色い声援が地震の如く鳴り響き、パチパチという拍手喝采にギターヒーローが分かりやすいぐらい調子に乗った笑顔を浮かべ始めた。調子に乗った顔も愛らしいので、きっと大勢ファンがつくだろう。もしかすると、本気で恋をするような人も現れるかも知れない。そう思うと、何だか無性にイライラしてきた。この鬱憤は最後の曲で晴らすとしよう。
「時間も無いので、次が最後の曲になります。最後は俺たち六苦ヒーローのオリジナル曲です。聞いて下さい、「海底の
「【海の底がボクらの
どうしようもない不満と怒りを抱えて生きる歌をジリジリと追い詰められて焦るように、焦がれるように歌い上げていく。
「【名前も知らない魚たちがボクらの仲間さ 何処の誰かも知らないけど】」
優しく、それでいて力強く、全てを爆発させるのはサビの時までお預けだ、グツグツと煮えたぎる激情を必死に抑え込みながら、その時に備えて感情を高めていく。俺史上最大級の感情の爆発にギターヒーローの演奏も少しづつ激しさを増していくのを感じた。
「【眩しすぎた彼等の
「【光が照らした理想たちがボクらを焦がした 星の光が鱗を焼く】」
これからだ・・・・・・・・・これから、これから、あらゆる激情を爆発させるっ!!
「【吐き出せ 叩きつけろ これが最低な 海底の歌】」
「【つらぬけ 知ったことか これが最高な 海の鼓動のリズム】」
全てを激情のままにぶちまけるよう叩きつけて、優しく励ますように歌詞へ思いを馳せる。
どうだ!どうだ!これが俺とひとりの・・・・・・・・・ベースヒーローとギターヒーローの世界!!
「【海の上へボクらの
「【イデアが示した言葉たちがボクらを抉った 星の重さに潰れちまう】」
誰にも笑わせない、誰も傷つけさせない、痛みに苦しめさせない、みんな纏めて物語の世界に連れて行ってやる。俺たちを魂に刻みつけてやる!
「【歌えよ 教えてやれ これが最悪な アベンジソング】」
「【見てみろ 聞いてみろ これが最高な
世界から弾き出されているかのような疎外感、それでも自分の居場所が欲しいという慟哭、今の自分のままでも強くなれる筈だという激励を込めて歌い上げる。
「【君は 俯いてばかりだ】」
「【それでいい 猫背のまま 歌え
俺の
「【吐き出せ 叩きつけろ これが最低な 俺たちの歌】」
「【つらぬけ 知ったことか これが最高な 君が鳴らす鼓動】」
ここだ、ここからが「海底の
勿論、ただ単に叫ぶだけでは陽キャのイベントと何ら変わり無い。大切なのは、その絶叫に技術と激情を載せること。そうすれば赤の他人が相手でも、日本語が分からない海外育ちでも、きっと「海底の
「【大暴走激情 聞かせてやる この声が 枯れるまでぇぇぇぇーーーー!!】」
そうあれかしと願いを込めて、俺は最後にして最大の絶唱を会場中に轟かせた。
最初はひとりの願いを叶えるためだけに始めたバンド活動だったけど、こうして歌って演奏して、ギターヒーローになったひとりと音を重ねるにつれて、ひとりの夢は俺の夢へと変わっていった。ひとりの言うチヤホヤされたいというのとは少し違うが、俺もギターヒーローと一緒に何処までも登っていきたい。この、実力主義の音楽の世界に六苦ヒーローのロックを叩きつけて、魅せつけてやりたい。
ギターヒーロー・・・・・・・・・ひとりに俺だけの隣に居て欲しいという独占欲は変わらないけど、それと同時にみんなに認めさせてやりたい。後藤ひとりは・・・・・・・・・ギターヒーローは最強にかっこよくて最高に可愛いのだと分からせてやりたい。
初ライブで多くの観客と同じ時間を共有してから、その思いは俺1人では無くて、ここに居る全員で共有しているように思えた。この不思議な一体感はどんな現場でも得られなかったものだ。
この感動にすら似た感情を一体何と形容するべきだろうか?その答えは未だ分らない。
だけど胸が一杯になるほどの感情を得られたのは、芝居とひとりとの時間以外では初めてだ。
ギターヒーローとひとりは同一人物だからライブもひとりとの時間には変わりないのだが、ひとりとの時間は俺とひとり2人だけの時間だった。でも、このライブで感じる思いは全員で一緒に覚えているものだ。
自分でも分からないぐらい奥深くか湧き上がってくる歓喜と熱狂、叫びたくなるほどの興奮、俺1人では作り出せない世界だからこそ味わえる不思議な高揚感。自分が自分でないみたいだ。
振り返ると、ギターヒーローは信じられないような呆けた顔で観客席を眺めていた。
「ギターヒーロー」
声をかけると、ギターヒーローはハッと我に返ったように俺の方を見た。
そして両の手で口元を抑えつけると・・・・・・・・・真っ青になって胃の中身を真下へぶちまけた。
緊張の糸が切れてしまったらしい、会場の一体感が霧散するのを感じながら、俺はギターヒーローという鎧が壊れかかった相棒に駆け寄って、ゆっくりと背中を摩る。至福の時間だ。
「慣れない舞台でギターヒーローが限界を迎えたところで、六苦ヒーローデビューライブin文化祭を終えたいと思います。今日は聴いてくれてありがとうございました。」
ギターヒーローに背中を貸しながら、愛する女性の間近に居られる至福を堪能しつつ、舞台上からゆっくりとはけていった。
やっぱり、ひとりの隣が一番似合うのは俺だな。
六苦ヒーローは結束バンドではないので、原作の曲は歌いません。
なので作詞しました、完全オリジナル楽曲です。
推しの子要素どの位欲しい?
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仄めかす程度
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偶にゲストとしてキャラが出るくらい
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1人くらいはレギュラーに欲しい
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1回共演させるぐらいはしろ
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ガッツリ作品に組み込め