魔法少女ほむら☆マギカ TS憑依転生人間性ガン無視ルート 作:伊勢村誠三
「はっ!」
夜でも宇宙でもない、インクを塗ったくったような気色の悪い暗黒を白い学生制服のような恰好の少女が駆ける。
不規則に置かれた彫刻の様な物を足場に飛び回り、時折飛んでくるデザインナイフのような投擲物を躱し、避けて、時に左手の盾で受ける。
「1、2、3。1、2、3……そこ!」
再び飛来するデザインナイフ。
少女は足場にしていた石像から飛び出し、飛来するほぼ槍の様なサイズのデザインナイフに飛び移り、そこから更に跳躍。
右手に持ったコンバットマグナムを凱旋門のような形をした者、この不気味な退廃的芸術の異空間の起点たる怪物に向けた。
そして引き金を引く。
凄まじい衝撃と爆音が響き渡り、門の真ん中に命中する。
しかし大口径リボルバーと言えど、サイズ的に豆鉄砲。
善初当たったとしても倒せるものではない。
「バイバイ」
しかし次の瞬間、少女の姿は凱旋門の前から消えていた。
そして次いで凱旋門を盾真っ二つにするように爆炎と、世界の色とは別の黒い煙があがる。
「これが魔女の卵?」
少女は左手で凱旋門の怪物から放物線を描いて飛んできた黒い針で刺しぬかれたレリーフ付きの球の様な物を拾い上げ、右手の甲に着いた菱形の宝石に話しかけた。
(はい!すごいです…こんなに早く戦えるようになるなんて!
もしかしてアナタなら……)
(はっ!何を言ってるのよ?
あんなものに誰が何人束になろうと勝てる訳が……)
「いや、戦わないけど?」
((え?))
「なんでそんな災害みたいなのを態々相手にしなきゃならないのよ?」
一見少女が一人でつぶやき続けているように聞こえるが、彼女は宝石越しに間違いなく別人と話していた。
「世界も恩人も私には全部知らない人なんだけど?
そもそも今の私、厳密には見滝原中学校に在籍すらしてないし」
そう言って少女はコンバットマグナムをクルクルと手の中でもてあそび盾の内側に収納する。
偉業とは言え、個の存在に完全にトドメを刺した後にしては、少女は酷く落ち着いていた。
✿✿✿✿✿✿
「それじゃあ入ってきてください」
担任、より正確に言えば本日より俺の担任になる女性の声に
(ううっ……やっぱり何度目でも緊張します!)
(皆物好きよね。転校生って言ってもただの人よ?)
左右の頭の片隅のうるさいのは無視してオレは教室に入った。
「
✿✿✿✿✿✿
人よりちょいと視力が低い事と、艶やかな長い黒髪が特徴のどこにでもいる14歳。
もちろん義務教育期間中の中学二年生。
身長はもう少しで四捨五入160cm。
自分で言うのもなんだが、顔は良い方だと思う。
けどそれだけだ。
中学生でも親元を離れて一人暮らしてる奴はいなくはないだろうし、何か特技がある訳でもない。
「暁美さん、自己紹介それだけですか?」
「え?」
他に何か付け足すとすれば、そうだな……。
好きな食べ物は林檎。
嫌いな食べ物は特にない、と思ってたけどこの前バラエティ番組で見たあんかけチャーハンだけは無理だと思った。
身体が受け付けない食べ物はラム肉(主に匂い)。
けど嫌いではないんだ。
鶏肉や豚肉と同じぐらいには食べる。
なんで臭いが駄目なのに食べるのかって聞かれたら、習慣だからとしか言いようがない。
林檎が好きなのもそういう理由なんだよね。
ラムを美味しく食べれる良い林檎ソースを自分で模索している内に好きになったんだよね。
俺個人だけのことに関して喋れることはこんなところかな?
「それじゃあ席は、中沢君のとなりで」
「よろしく」
「よ、よろしく」
俺は席について早速教科書を取り出し、一時間目の準備を、、はじめたいんだがそこは転校生への質問タイムが始まってしまう。
いや、俺は別に話すことなんてないんだが……。
なんて思っていると、視界の端に桜色のツインテールの少女が映った。
(
(……っ!)
またしても左右の片隅が喧しくなる。本当に勘弁してほしい。
知ったこっちゃないんだよ。
前世とか時間軸とか、魔法少女とか。
✿✿✿✿✿✿
「いやー、すごかったねあの転校生」
放課後。某ファーストフード店にて。
話題はもっぱら、本日転校してきた暁美ほむらについてだ。
勉強に関しては授業中終始大人しくしていたので分からないが、運動面に関しては破格の一言。
走らせれば現役の運動部員をごぼう抜きにし、それでもなお速さ有り余って壁に激突する。
バスケットボールをやらせれば、ゴールの真下から反対のゴールまでの超遠距離シュートを決める。
正に超人。
何故かそう言ったスーパープレーを見せる度に、本人が一番驚いているかのような顔をしていたのは謎だが、一番謎なのは存在そのものだろう。
「ええ。ですが私としては彼女の性格の方が気になりましたね」
「そんなに変な奴かな?普通に話してたと思うけど」
「少しお話をさせていただきましたが、まるで大人の人と話しているような感覚がしたのです」
仁美の家は所謂良家で、それなりに大人と接する機会も多いからか、ほむらの話方や仕草からそういった物を感じたようだ。
「へー、スーパーマンみたいな身体能力に大人びた仕草と性格か。
なんか漫画のキャラクターみたいな属性の盛り方だね」
「属性って……」
なんて話していると、仁美は腕時計を見ながら立ち上がった。
「あら、もうこんな時間。ごめんなさい。お先に失礼しますわ」
「また今日も習い事?」
「ええ、今日はお茶のお稽古です」
そろそろ高校受験に向けてのアレコレも始まる次期。
お茶以外にもピアノに日本舞踊にと、そろそろ掛け持ちするのがきつくなってきたと感じ始める仁美であった。
「うへぇ。あたしたち、小市民でよかったぁ」
「それではまた明日、学校で」
仁美を見送ったまどかとさやかはしばらくは喋っていたが、やがて日が傾きだすかと言う頃になって、店を後にした。
向かたのはCDショップ。
どちらかが音楽にハマっているという訳ではない。
さやかは元々音楽好きだが、彼女がCDを買いたがるのは、入院している幼馴染への見舞いの品だ。
(助けて……)
「ん?」
さやかがCDを選んでいる間、まどかは適当に新曲の試聴でもしていようかと思っていたのだが、不意に声がした。
幼い少年の様にも少女のようにも聞こえる不思議な声だ。
(台詞じゃない?)
試しにヘッドフォンを外してみても、一度目と変わらぬ大きさで聞こえた。
(助けて!まどか!)
しかも声は切実、というか、危機感を持った物になって行く。
「ごめんさやかちゃん!私ちょっと行ってくる!」
「ま、まどか!?言ってくるって何処に!?」
飛び出したまどかは声の聞こえるままに走り出した。
・現在公開可能な情報
名前:暁美ほむら(?)
身長:四捨五入で160cm(自己申告)
所属:見滝原中学校二年早乙女クラス
好物:林檎
嫌物:あんかけ全般
苦手:ラム肉の臭い
得意:なし
備考:多重人格?
料理スキルは本家より高そう
Bパートはもうしばらくお待ちください。