女帝シリーズ   作: 01leader

2 / 4
女帝シリーズに出てくるエアグルーヴとトレーナーは基本的に全て世界線がバラバラです。
さて今日見ていただく女帝様は何やら様子がおかしい・・・。
そして,いくら愛バが重馬場になっても,対応次第で回避はできるというそんなお話です。



第2話 重馬場な女帝と○○なトレーナー

最近,あいつに言い寄るウマ娘が増えてきた。最初こそトリプルティアラのトレーナーだからと,とても誇らしかった。しかし日が経つにつれ,だんだん私の中にどす黒い感情が生まれてきていた。

 

そこにいる男は女帝である私の杖,私だけの杖だ

 

これではいけない。生徒会副会長にあるまじき考えだと抑え込んでいたが,どんどん欲望は溢れ出てくる。

私はトレーナーの自宅に行く回数が増えた。最初は掃除だけだった。しかし,どんどん色んな家事をこなすようになり,他のウマ娘どもが寄り付けないようマーキングまでするようになった。

そして,ある時,自室に帰った私はファインモーションに声を掛けられた

 

「エアグルーヴ。どうしたの,そのシャツ?」

 

私は無意識にトレーナーの脱いだシャツを持ち帰っていたのだ。その場は誤魔化したが,その時から私はトレーナーの匂いに敏感になった。

 

ああ,この匂いを独り占めしたい。

他のウマ娘どもに触れさせたくない。

しかし事件は起こった。

ある日,トレーナー室に行ったところ

 

T「聞いてくれエアグルーヴ。チームを結成してはどうかって話が来た。君のトリプルティアラ達成を受けての事だ。次代のトリプルティアラを育成してほしいと理事長に言われた。俺,頑張るよ。『全てのウマ娘が幸せになれる世界』になっていくよう,一人でも笑顔のウマ娘が増えるよう指導していくよ!」

 

ヤツは喜んでいた。

しかし私は絶望した。

私に構う時間が減る。

私以外の女と絡む時間が増える。

私だけの,女帝である私だけのトレーナーを奪おうとする奴らがよってくる。

 

私だけの,私だけの,私だけの,ワタシダケノトレーナーナノニ!

ホカノオンナドモニワタサナイ!

 

その時,私の中で何かが壊れた。

 

「断れ」ハイライトオフ

T「え?どういう事」

「断れと言ってるんだ!貴様は誰のトレーナーだ!女帝である私だけの杖だ!貴様は私だけを見ていればいいんだ!」

T「おい。エアグルーヴ,落ち着けって」

「うるさい!貴様は私が見飽きたのか?それとも鬱陶しくなったのか?だから他の女どもを指導する事が嬉しいのか!」

T「そんな事は言ってない」

「黙れ!黙れ!黙れ!もうほかの女どもの指導もするな!口も聞くな!私だけを見ていろ!」

T「無茶を言うなよ~」

「ハハッ・・・・・そうか貴様には,まだまだ指導が必要だな」

T「おい,やめろ!」ドサッ

「どうだ!女帝に押し倒された気持ちは?こんな美人に押し倒されて最高だろ?さあ体にしっかりたたきこんでやる!貴様は誰の為に働いて,生きていくべきなのか。私が怖いか?怖がる必要なんてない。私は貴様を愛してしまった。もう,どうしようもできないぐらいな。だから貴様を誰にも渡さない。さあ,たっぷり愛してやる。貴様はワタシダケノモノダ」

 

T「ちょっと待った!」

「何だ。何か言いたい事があるのか?私は慈悲深いウマ娘だ。聞くだけきいてやろう」

T「なあ?エアグルーヴ。さっき,俺を愛しているって言ってたけど本当か?」

「ああ,そうだ。貴様の事が頭から離れなくて,離れなくて,部屋の掃除と言っては貴様の脱いだ服や私物を盗むぐらいな」

T「そうなんだ・・・」

「怖いのか?トレーナー,私が怖いのか」ガブッ

T「痛っ!エアグルーヴ,何・・・するんだ」

「しるしだよ。私だけの物だという証明だ。首元につければ隠す事も出来まい」

T「改めて聞くけど,エアグルーヴは俺の事を愛してるって事なんだな?間違いないんだな」

「たわけ!何度聞くつもりだ!そうだ愛している!貴様の部屋に盗聴器も監視カメラもしかけた。貴様の全ては私だけのものだ」

T「俺,エアグルーヴに愛されてるんだ・・・」

「そうだ。だから他のメス共に目を向けるな。私の体で全て満足させてやる」

 

トレーナーは黙ってしまった。

諦めたのだろう。

サア,ワタシノスベテヲキサマニキザンデヤル!

 

「・・・・・やったーーーーーーー!マジで!エアグルーヴ,俺の事,愛してくれてるの?まじ嬉しい!もう,この際だから言わせてもらうけど,俺は君の走りと顔に一目惚れしてたんだ。でも指導者と教え子だろ~。俺が君に手を出したら警察に捕まっちゃうわけよ~。それに俺が告白なんてしたら『貴様,私をそんな目で見ていたのか。契約解除だ』って言われるかと思って出来なかったし,かといって君が卒業する時に言ったら言ったで『ずっと私をそういう目で見ていたのか・・・消えろ』とか言われると思って,ずっと言えなかったんだよ。でもエアグルーヴから告白してくれたって事は,俺たち両思いじゃん!ああ,マジ嬉しい!」

 

何を言っているんだ,この男は?両思い?

 

T「エアグルーヴ,俺も君の事を愛している。正直,結婚してほしいぐらいだ。だけど今はレースで走る君を見ていたい。君がレースを引退するその日まで見届けたい。君が高等部を卒業したら結婚を前提に付き合ってほしい!ただ,それまではもう少し我慢してくれ!」

 

え・・・私とトレーナーは両思い・・・。

 

バタン

 

T「お,おい!エアグルーヴ!」

 

頭の整理が追いつかなかった私は倒れた。

ただ起きた後にトレーナーから色々と話を聞かされた。

トレセン学園に入るまでは,かなり陽キャなナンパ人間だったが就職を機に,そのキャラを封印していた。だけど私と出会ってから,ちょこちょこ,そういう一面が出てしまっていたとの事。

一方。私はトレーナーへの思いに悩み,嫉妬に狂い,自分の後輩達をゴミ扱いし,トレーナーの部屋から物を盗み,盗聴・盗撮という犯罪行為にまで手を染めるぐらい自分を見失っていた。さらに・・・

 

T「エアグルーヴ。ポケットから変な薬が見えてるぞ。それ媚薬?それとも睡眠薬?しかしかかってしまったウマ娘って本当に手段を選ばないんだな。でも大丈夫だ。そうなってしまうぐらい追い詰められていたんだろ?でも安心しろ。今日で,それも終わりだ」

 

そう,私は媚薬を盛って,無理やりトレーナーと体の関係を持とうとしていた。でも,この男は,こんな暴挙に及ぼうとした私を許すというのだ・・・。

ああ,もう・・・まあ好きになってしまうではないか・・・。

 

T「ところでエアグルーヴ。『わたしのもの』って言っていたけど,俺は人だよ。これからは『私の大切な人』って言ってくれないか?あと仕事柄,他の女性と話さないっていうのは無理。そこで提案なんだが他のウマ娘や女性と話した後,エアグルーヴを『俺の嫁』って紹介しても良いか?君が女帝として,副会長として,何より女性として,いかに素晴らしいか説明すれば,そんな男に他の女は寄ってこない」

「た・・・・・・たわけ!そんなの恥ずかしすぎる!そんな事はしなくて良い!普通に会話してくれ!」

T「嫉妬しない?」

「嫉妬・・・・・する」

T「じゃあ,やっぱり」

「それは止めてくれ,本当に」

T「学園公認カップルになれると思ってたのに」

「貴様!今はトレーナーとして全力を尽くせ!ああ!もう,そこに座れ!お説教だ!」

T「いいよ。今は君の態度や言葉,何もかもが嬉しいんだ。今からするお説教も要約すれば『I love you』って事なんだろ?」

「あ・・・・あ・・・・貴様ーーーーーーー!」

 

その後,私はどれだけ悩んだか,何もかも洗いざらい話した。

トレーナーは嫌な顔をせず,ずっと聞いていた。だが・・・

「俺,そんなに愛されてたんだ。ごめんよ。もっと早く,その愛に応えるべきだった」

など歯の浮く相槌を連発。すっかり毒気を抜かれてしまった。

挙句の果てに「なあ婚約指輪,いつ買いに行く?」と言い出した時には,もう私は放心状態だった。

今までの時間・・・・・いったい何だったのだろうか・・・。

 

その後,トレーナーに送られ,寮に戻った。

同室のファインモーションから「悩み解決したんだね?ニヤけてるぞ~」と言われた。

どうやら,ここに来て,ようやく私はトレーナーと両思いになれた喜びがやってきたようだ。

ただ次の日,トレーナー室で「エアグルーヴ。昨日のプロポーズは,やはりちょっと違うと思うんだ。改めてもう一回プロポーズをしても良いか」と言い出したのには開いた口が塞がらなかった。

 

そして,それ以降,トレーナーは私に対して歯の浮くようなセリフを連発するようになった。恥ずかしいので止めて欲しい旨を伝えたが,

「俺のせいで君を不安にさせた。だから,これからはハッキリと思いを伝えていく。俺は,もともとそういうキャラ。もう自分を偽らない」キリッ

と正面切って言われてしまい,二の句が継げなくなった。

ただ一つ言えるのはレースの成績は良くなった。

そして今や私たちは「硬派な女帝に軟派なトレーナー」「バカップル」「夫婦漫才」「トレセン学園の風物詩」と呼ばれてしまっている。

まあ,今の私は,とても幸せだ。

覚悟していろ,トレーナー。

卒業したら今度は私がたっぷり愛してやる。

 

 

 

終わり

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。