「あはハ!ベルセルクと殺るのは初めてだから興奮するわネ!」
ベイリーがワイヤリングスーツを装着する。そのワイヤリングスーツは紫色で気味の悪い色だった。
「ふん…我等と戦えること光栄に思うことだな!」
「えぇ…光栄だワ。遭遇する確率が極端に低いベルセルクを殺れるなんてネ!」
「否定。殺られるつもりはありません」
ベイリーがレイザーブレードを持ち顕現装置を利用し尋常じゃないスピードで耶倶矢と夕弦に向かって跳んできた。
「ははァ!気を抜いてたら終わるわヨ!アデプタス3の顕現装置の使い方を舐めないことネ!」
ベイリーが耶倶矢目掛けて剣を向けて飛んで来る。しかし、風の精霊である八舞耶倶矢はそれを難なく交わして回し蹴りを食らわせた。ベイリーは耶倶矢の回し蹴りが当たる場所に小さく随意領域を作り攻撃を防いだ。
「ほほぅ?中々やるではないかお主」
「貴方こそこれを避けるのは大した者だワ。大抵の精霊は受け止めるか食らうかのどちらだかラ」
~剣心side~
「まさか…あんな顕現装置と随意領域の使い方を使うなんて…」
「えぇ…確かにアデプタス3なだけはありますわね」
琴里と狂三が先程のベイリーの戦法を見て驚愕していた。ASTの天才と言われる鳶一折紙でさえあんな顕現装置の使い方はしないのだ。やはりDEM。腕の経つ者のレベルが高い。
「どうだ?耶倶矢と夕弦は勝てるか?」
「分からないわ…でも、耶倶矢と夕弦が落ち着いて戦えばまだ何とか成るかも知れないわね…」
士道の質問に琴里はそう答えるしかなかった。勝てるかどうかは分からないのが勝負だ。しかし耶倶矢と夕弦のいつもの自信が裏目に出る可能性は今の一瞬で明らかに分かった。何故なら、
ベイリーはまだ本気を出していない。
今のは顕現装置だけであってエレンの様な随意領域での攻撃はしてきていない。今のであれだけの強さなら随意領域はそれを遥かに超える強さだろう。それを八舞姉妹が理解しているのならまだ勝てる可能性は残っている。だから、そう答えるしかなかった。
「頼むわよ…耶倶矢、夕弦…!」
~耶倶矢・夕弦side~
「あはハ!避けてばかりじゃ勝てる物も勝てなくなるわヨ!」
「くっ…!うっとおしい奴め!」
「同意。確かにあのスピードは厄介です」
あれからもベイリーは同じ戦法を使い攻撃をしてきていた。しかし、八舞姉妹はそれに中々順応出来ずに避けることしたか出来ていなかった。
「そろそろ当たりなさイ!」
ベイリーが更にスピードを上げて二人に突撃してくる。
「夕弦!動きを止めるわよ!」
「賛成。分かりました」
二人は突撃してくるベイリーに暴風を放った。確かにベイリーのスピードは落ちていたそれでも地道に近づいてきていた。八舞姉妹は負けじと更なる強い風を放つがそれでもベイリーは近づいてきていた。
「夕弦!少し一人で耐えてよ!」
「疑問。何を!?」
耶倶矢は風を放つのを止めて動きが遅くなっているベイリーに近づいていった。
「颶風騎士【ラファエル】。穿つ者【エル・レエム】!」
耶倶矢が槍の様な天使を顕現させベイリーに突撃した。
「はぁぁぁぁぁ!」
「…………ふふっ…」
耶倶矢の颶風騎士がベイリーに当たる瞬間……
ブシュッ……!
「ぇ………」
「驚愕!耶倶矢!」
「あはハ!そっちから飛んで来てくれるなんてね!」
呆気にとられる耶倶矢。
驚き耶倶矢の名を叫ぶ夕弦。
高笑いするベイリー。
それは、
耶倶矢の腕が千切れたからだった。
「………ぅそ…?」
「確認…大丈夫ですか…耶倶矢!」
夕弦はその場に崩れ落ちていく耶倶矢を支えた。傷口を見ると完全に腕を切っていた。切れた腕はすぐそこに落ちており見るに耐えない状態だった。
段々と耶倶矢の顔が青ざめていく。
「ごめん……夕弦。少し休…ませ…て…」
そう言いきると耶倶矢は目を閉じ夕弦の体に完全に体重を乗せきった。
「ふふッ♪まずは一体終わ
りヨ」
ベイリーは耶倶矢の方を見ながら指で首を切る真似をした。
「疑問。……それは…何ですか?」
「エ?何ってベルセルクの内の一体を殺したって意味ヨ」
「……ふざけるな…!」
夕弦の怒りが籠った怒声が当たりに風を起こした。その風は尋常じゃない風力。先程の耶倶矢と合わせた風力を遥かに超えていた。
「否定!
耶倶矢は死んでなんていません!
耶倶矢は一体じゃありません!一人です!
そして…耶倶矢を侮辱するな………!!」
夕弦の起こした暴風はベイリーに向かって四方八方から近づいていく。ベイリーは顕現装置で自分の周りにATフィールドを発動させる。しかし、それは難なく暴風によって破壊された。
「ぐ…!なッ………!?」
「激怒。夕弦は貴方を許しません」
「あはハ…良いワ!もっと大きな力をワタシにぶつけてちょうだイ!」
ベイリーが又してもレイザーブレードで突撃してくる。夕弦はそれを片手で受けとめそのまま自身事、暴風の中に囲んだ。
「………このッ!」
「確信。貴方はここから逃げることは出来ません。例え、この腕が千切れようとも足を切られようとも…ここで貴方を倒すことが夕弦と耶倶矢の役目です!」
~剣心side~
「くそ!耶倶矢目を覚ませ!」
士道は阻まれているガラスを叩き必死に耶倶矢の名前を叫んでいた。しかし、耶倶矢は動かない。生きているのか死んでいるのかさえ分からない。
「おい!夕弦!」
左之介もまた暴風の中にベイリーと共に入った夕弦の名を叫んでいた。こっちも暴風の中は何が起きているのか分からなかった。
~耶倶矢side~
………ぐ………ゃん
誰?何処からか声が聞こえる…
か………ぐ…ゃん
誰…?私の名前を呼んでいるのは?
かぐやちゃん!
「ッ………!? 」
耶倶矢が目覚めるとそこは光で囲まれた場所だった。
「どこ…ここ?」
辺りを見渡しても何処に何かがある訳じゃなかった。そんな時に、目の前に突如として女の子が現れた。
「耶倶矢ちゃん…」
「…え。誰?」
その女の子は見た目は15歳前後だろうか身長は高いが少し幼く見えた。その女の子は耶倶矢の名前を呼ぶが耶倶矢は誰か分からなかった。
「そりゃあわかる訳ないよね…」
「分かんないのに何で私の名前を知ってんの?」
「それはね………貴方達に愛された人間だから!」
「え…?私達?」
「そう…耶倶矢ちゃんに夕弦ちゃん。剣心や左之介、士道や琴里。十香ちゃんや四糸乃!後、ママとパパ!」
女の子は満面の笑みでみんなの名前を出した。
「私達じゃない………って、ママとパパ…?
あんたまさか!」
「ふふっ…お喋りが過ぎたね。ここら辺でさよならにしておくね…」
そう言うと女の子は光となって消えていくそのなかで最後に女の子は耶倶矢に言った。
「ちゃんと勝ってね!」
ーーー………
目を開ける。
そこには大きな暴風だけがあった。
「…夕弦?」
~夕弦・ベイリーside~
「このッ!」
ベイリーは掴まれているレイザーブレードを必死に夕弦から離そうとするしかし夕弦は手からどれだけ血が出ようと離さなかった。
「なんなノ………なんなのよあんたハ!」
「説明。精霊です」
暴風は段々とベイリーと夕弦の元へと近づいていたが遂に当たる直前まで来ていた。しかし、そこでその風を切る風が吹いてきた。その風をベイリーを直撃し吹き飛ばした。
「驚愕。何が…………!?」
夕弦が風が飛んで来る方を見ると…
「夕弦!大丈夫!?手が血だらけじゃない!」
近寄ってくる耶倶矢の姿があった。
「耶倶矢何故…腕がありますよ?」
「え…?あぁ、これね。何か生えてたっていうのかな?起きたら戻ってたのよ」
「安堵。良かったです…耶倶矢」
夕弦は溜めていた思いを爆発させ大いに泣いた。しかし、耶倶矢は夕弦に泣くなと首を振るとベイリーを指差した。
「泣く前にやることあるじゃん!」
「…!肯定。そうですね」
二人は立ち上がり飛んでいったベイリーを見つめた。
「ねぇ…夕弦。やっちゃう?」
「同調。やっちゃいます」
二人は手を繋ぎベイリーに向けて開いた手を伸ばすと力強く握った。
「「絶風壁【フールオル】!」」
ベイリーの周りに先程より二人の更なる暴風がベイリーを囲みベイリーを宙に浮かせた。
「…!こんなもの!」
ベイリーは随意領域でその風を切ろうとするが切ることは出来なかった。
「なんでヨ!このッ!このッ!」
ベイリーは諦めずに何度も断ち切ろうとするが風の結界はびくともしなかった。そして、風は完全にベイリーの動きをふうじた。手も足も遂には首まで動かなくなっていった。
「このッ!クソが放セ!」
耶倶矢の穿つ者【エル・レエム】
夕弦の縛める者【エル・ナハシュ】
二つがその間にも混じりあっていく。
「私はアデプタス3なのヨ!こんな筈じ「最初に言っただろう?」…!」
「アデプタス3など我等颶風の御子の敵ではないと…」
「復唱。アデプタス3だかなんだか知りませんが身内をヤられた分の仕返しはすると」
「だからその分の仕返しは………」
「今させてもらうぞ!」
「今させてもらいます!」
「「颶風騎士【ラファエル】 天を駆ける者【エル・カナフ】!!!!」」
ーーー………………
「さて…次の扉が開くようになってるわね…」
琴里達は戦いが終わるとガラスが開き耶倶矢と夕弦の元へと向かった。すると、奥の大きな扉の鍵が砕かれ進めるようになっていた。
「じゃあ、行くわよ………!」
ーーー………
10階 2フロア目
次も5階登ると二つ目の大きな扉が有った。
「これで二つ目ね……行くわよ」
「待ってくれ…!」
「何士道?」
扉を開けようとすると士道がその琴里の手を止めた。
「少し………待ってくれ…」
「何で?」
「良く良く考えると俺達は7人だ。5回戦うのにさっきので二人戦えなくなった…つまり後は一人でDEMと戦う奴が3人も出るってことだよな?」
「えぇ…でも、それは仕方の無いことよ。宗次郎がいない今はこれが私達の限界…」
「くそ…宗次郎さえ居れば………」
士道は軽く舌打ちすると掴んでいた琴里の手を離した。
「無理なことを言わないで行くわよ!」
「あぁ………悪い…」
大きな扉を開けるとそこには二人目の刺客が待っていた。
~宗次郎side~
「………ん…?」
目を覚ますと宗次郎は近代的な部屋にいた。
「あぁ、そうか僕は斬られたんだった…ここは?」
「ラタトスクの医療室さ…」
宗次郎が天井を眺め呟くといつから横にいたのか令音の姿があった。
「令音さん………狂三は?」
「彼女や剣心達ならDEM社に向かったよ」
「DEMに…?何で……?」
「君をこんなにした城宮悠仁への敵討ちさ…」
「そうですか………」
宗次郎はベッドから降りると近くに有った愛刀を手に取りそして部谷を出ようとした。
「どこに行くんだい?」
「皆がそんな事をしているなら僕も行かないと…城宮悠仁は僕が倒さないと…」
「君は重症だ…それに完治もしていない。今戦っても勝てる見込みは無いと思うが…?」
令音が宗次郎を説得しようとするが宗次郎は軽く睨み付けると令音は一つ溜め息をついた。
「無理だと思ったら直ぐに逃げる事を約束出来るなら行きたまえ…」
「………!ありがとうございます」
宗次郎は令音に軽く一礼すると部屋を後にした。
「…ふぅ。宗次郎が行く前に終われば良いが…」
~剣心side~
士道・剣心は驚きを隠すことが出来なかった。
「ぅそ………だろ?」
「何故、お主が…?」
しかし、琴里は落ち着いた声で言った。
「………やっぱり次は貴方だったのね」
「久しぶりでいやがりますね兄様…琴里さん…」