もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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真実と本心

一定の距離を保ちどちらも動かない二人。その静かな空間を割くかのように大きな扉が開く。

そこに現れたのは剣心たち一行だった。

 

「あ、緋村さん」

「宗次郎…御主無茶は禁物でござるよ」

「分かってますよ。でもこの戦いは僕がこの手で終わらせたいんです」

 

いつになく真剣な眼差しを向ける宗次郎。そして明らかに今までとは違う剣気の大きさ。何があったのかは分からないがとりあえず宗次郎は今までとは何かが変わっているのが感じ取れた。

そこに歩み寄ろうとする人物がいた。勿論、狂三だ。しかし、宗次郎の近くに来ようとする狂三に対して宗次郎は止まれと素振りをする。

 

「今回は悪いけど僕一人で戦わせてくれないかな」

「しかし傷は完全に癒えていませんわ。それに傷口が開いているではありませんの」

「大丈夫だよ。絶対勝つからさ」

「しかし…」

 

戸惑う狂三の元に来た宗次郎は狂三の頭をポンポンと叩くと狂三に背を向けて悠仁の方を見る。

 

「ごめんね時間を取らせて」

「いえ大丈夫ですよ。最後の団欒は終わりましたか?」

「最後じゃないけどもういいよ…再開しようか」

 

又しても静かに時間が流れていく。しかし今回は悠仁が先に飛び出した。宗次郎に飛び掛かってくる悠仁。

 

「【半月】!」

 

悠仁の刀が先程とは違い半円の形をした刀に変形すると宗次郎の胸元に襲いかかってきた。

 

「…!?」

 

宗次郎は寸での所で避けるといきなり笑い出した。

 

「何が可笑しいのです?」

 

少し不機嫌そうに話す悠仁に対して宗次郎は変わらずの笑顔で答える。

 

「いや~…何もないよ?」

 

宗次郎は2回その場で跳ぶと重心を低く下げて悠仁に向かって走った。宗次郎の剣が先程の悠仁の攻撃同様に胸元に飛び掛かってくる。悠仁も難なく避けると壁を足で思いきり蹴り先程よりも更に早く宗次郎目掛けて飛んでくる。

 

「これで終わりです!【破戒月】」

 

しかし、宗次郎は少し頬を緩ませると目を閉じ構えた。

 

そこからは一瞬の出来事だった…

悠仁の剣を糸一本程の差で避けるとそのまま悠仁の胸を下から上に大きく斬りつけた。

 

「がっ!?」

宙に舞って落ちていく悠仁に対して宗次郎は静かに呟いた。

 

「チェックメイトだよ……」

 

~~~………

 

「何故分かったんです?」

大の字になって倒れている悠仁が宗次郎に聞いた。

「これだよ」

そう言って宗次郎は天井を指差した。そこには大きな月の形をした物があった。

「君が飛び掛かって来たときに見えたんだ。あの月の光の色が変わるのを…恐らく君のその剣はあの月の光を見た者に幻覚を見せる力。そう考えた僕は目を瞑りそして案の定僕の考えは正解していた…ってことさ」

血の点いた剣を振って血を落とすと鞘に納めた。

「見事ですね…やはり貴方は強かったようです。貴方の勝ちですので次の扉を開けましょう…」

悠仁が指を鳴らすと奥の扉が開いた。

 

「さて、行くわよ」

琴里が一歩前に出ると悠仁があることを告げた。

「この先は緋村剣心。貴方だけが進んでください…他の方々は右に曲がりまっすぐ進んでください。そこに鳶一折紙がおりますので…」

 

~~~………

 

その後、剣心以外の皆は折紙の元へと向かった。そして今、剣心と悠仁だけが部屋に残っていた。

 

「ふふ…まさか最後まで進まれるとは思いもよりませんでした。やはりお強いですね…緋村剣心、相楽左之介、瀬田宗次郎。しかし、次はそう簡単にはいきませんよ?」

「やはり最後は御主達の大将か?」

「えぇ…アデプタスNo.1だったエレンの後継者です」

「エレンの…でござるか…」

「エレンよりも遥かに強いです…更にアデプタスNo.1は一人じゃありません。二人でアデプタスNo.1なのです」

「何?」

「話が過ぎましたね…ここから先は貴方の目で確認してください。そして、グリエルの真実を知ってください。」

 

剣心は悠仁の最後の忠告を聞くと大きな扉を潜り進んでいった…

 

 

~~~………

 

(グリエルの真実…か)

 

真っ直ぐに続いてる道を剣心は考え事をしながら進んでいた。考えているのは千琥の事。そして自分の胸にある変な感情。

千琥の事は正直に言って好きだ。恐らく彼女に惹かれているだろう。そして彼女も自分の事を好きでいてくれている。しかし、何かがこの好きを否定しようとしている。精霊を好きになることを駄目だとはこれっぽっちも思っていない。恐らく先が怖いのだ。助けることが出来たその先が…

明治の時、人を殺し続けた。日本の世を変えるためだけに愛のない結婚だってした。挙げ句の果てにはその婚約者を殺した。だからこそ怖いのだ。

昔、人を殺し婚約者を殺した自分が今この違う世界で誰かを愛して良いものなのか…と。

今思うと、千琥の言っている事は無茶苦茶だった。いきなり剣心のお嫁さんだと言い出すのだから。でも、短い間だったが思ったのだ。

千琥といれば楽しいだろうなと…

 

 

「答えはまだ決まってない…とりあえず戦いに集中せねば…ここまで頑張ってくれた皆のためにも…自分の答えを見つけるためにも…」

 

そして剣心はまだまだ続く通路を進んでいった。

 

 

~~~………

 

意識が戻ってくる。

千琥が目を開けるとそこには一人の男が立っていた。

「やぁ…お目覚めかい?グリエル」

「………誰?」

その男は長身の顔の整った為か若く見えるがその風格は若者のモノではなかった。

「ははは…忘れたのかい?グリエル。僕はアイザック・ウェストコットだよ」

千琥は自分が壁に磔にされているのに気がついた。

するとウェストコットは千琥の元へと近寄ってくる。

「これは何?私は剣心の元に帰らないと…」

「剣心…緋村剣心の事だね?」

「そうよ…」

「じゃあ、君は緋村剣心の何なんだい?」

ウェストコットが不気味に笑う。

「私は剣心のお嫁さん…つまり妻よ」

「そうか…やはり、覚えていないか…」

「………何をよ?」

 

千琥の質問を聞くと更に大きく不気味に笑うウェストコットは千琥を憐れむような目で答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は…僕らDEMが作り上げた精霊さ。君の体も声も脳も筋肉も…そして、記憶も…」

 

 

 

「え………………?」

驚きはなかった…と言うわけではないが驚きよりも先に悲しみと怒りが走りたった。

「どう…ゆうこ…とよ…………」

 

「簡単なことさ…君は輝ヶ谷千琥と言う名前を僕につけられた。そして君に偽りの記憶を埋め込んだ。それが君のさっき口にした事さ…お嫁さんだよ。

元々、君が作られた理由は人工精霊としてDEMの武器にになるかどうか…

そして、もう一つの理由があった。それは緋村剣心のデータの採取だよ。彼のような超人はいないからね…彼のデータを手に入れ更なる強い魔術師を作ろうと考えたのさ。

しかし、彼のデータを取るには彼を捕縛せねばならなかった。武力行使では勝てないかもしれなかったのでね…このDEMに何かしらの方法で誘い込みそして捕縛する事にした」

「ま…まさ…か………」

千琥の顔色が段々と青ざめていた。

「そうだ…君の考えている通りだよ。君を作り偽りの記憶を埋め込み緋村剣心に近づかせ距離を縮めたところで此方に引き戻す。すると彼は私情かそれとも精霊だからなのか必ず君を助けに来る。鳶一折紙は五河士道も捕獲したかったから誘拐したが緋村剣心が来たんだ…また今度で良いよ」

「そ、そんな………嘘よ…」

「嘘じゃないよ…君は緋村剣心の事を愛していた…しかし、今彼に迷惑を掛けて更に彼はこの場で君のせいで命を落とすんだ…」

「ぃゃ………ゃ…めて…」

「全て偽物だったんだよ…!君が彼と過ごした短い日々も君の抱いている感情も!君が彼に貰ったネックレスも!そして輝ヶ谷千琥…君自身もね!」

ウェストコットがまるで洗脳するかのように絶えずに話し続ける。

「これを見るんだ………」

そう言って千琥に見せたのは剣心が千琥にプレゼントしたネックレスだった。そしてウェストコットの横にはハンマーの様な物があった。

「何をする気……ねぇ………?」

千琥も何をされるのか分かっているのか声は震え目も大きく開いていた。

「君もわかっているだろう?壊すんだよ…君が完全に緋村剣心を忘れられるようにね…良いじゃないか君から霊結晶を取り出した後は解放してあげるよ。新しい場所で新しい人と新しい想い出を作ればいい。緋村剣心ともう一度出会えばいいさ…まぁ、不可能に近いけどね。君が精霊じゃなければ彼は相手もしてくれないだろうからね!」

ウェストコットがハンマーの様な物を持ち高く持ち上げる。

「いや…!やめて!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

ウェストコットがハンマーを振り下ろそうとした瞬間扉が壊れる音が大きくすると持っていたハンマーが手首から飛んでいき更には置いていたネックレスも一瞬で消えた。そして磔にされていた千琥がいなくなり見渡すと後ろにいた。

 

 

「か………す…な」

後ろを振り向くことができなかった。

「ばか………に………な」

それは恐らく一瞬の出来事だったからではなく。純粋に恐怖からだった。後ろに存在する近くにいけば行くほど気が狂いそうになる気。

ウェストコットは後ろを振り向かずに口を開く。

「何を言っているんだね緋村剣心?」

 

 

静かな時間が流れる…聞こえるのは千琥の涙声だけだった。

剣心は時間を少し置くと珍しく大きな声を張り上げてウェストコットを睨み付けた

 

 

「千琥の存在を!記憶を!俺との思いの品を!馬鹿にするな!!!」

「剣心……」

 

千琥が涙声で剣心の名前を呼ぶと剣心は一瞬笑ったかのように見え、そして話を続けた。

その言葉は千琥にとって何よりも嬉しい言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「輝ヶ谷千琥は……俺の……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妻であり家族だ!!!」




最後のシーンこれがやりたいがために千琥編を書いてきました。いやー、よかったよかった。後は、3、4話で千琥編は終了です。


次は凛祢編か或守編のどちらかもするのでアンケートお願いいたします………
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