もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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肩を並べて

「どうしたんだい緋村剣心?そんなに怒って」

ウェストコットが剣心の方を漸く振り向くとわざとらしく笑顔を作る。

「お前の様な奴が俺が怒っている理由を知らないわけがないだろう?」

さっきと同じように睨み付けウェストコットを見る剣心。

「ふふそうだね緋村剣心。グリエルを侮辱したのは確かに君にとって怒る理由に充分成り得る…けどその理由も偽物なんだよ?」

「お前の御託を聞くつもりはない。早く最後の魔術師を出せ。出さないならお前を殺すぞ…まぁ、その魔術師を出そうが貴様も一緒に殺すがな 」

 

千琥は剣心の腕の中で先程からの剣心の口調や雰囲気に違和感を感じていた。

 

ーー違う。剣心はこんなのじゃない………

 

『買うなら良いものを買うべきでござるよ…その代わり、大切にしてほしいでござる』

 

私の知ってる剣心はもっと優しくて、温かくて、明るい人だもん…

 

『お前の御託を聞くつもりはない。早く最後の魔術師を出せ。出さないならお前を殺すぞ…まぁ、その魔術師を出そうが貴様も一緒に殺すがな』

 

嫌だ…こんな剣心…剣心じゃないーー

 

「剣心…」

千琥が剣心の頬を触れようとする…触れた瞬間剣心がこっちを見ていないのに睨み付けているような気がした。

「少しここで待っていてくれ…すぐに終わらせる」

剣心は千琥を壁の端に運びこみウェストコットから奪ったネックレスを千琥の手の中に包んだ。

 

「それで魔術師を出さないならもう殺すぞ…」

剣心が逆刃刀を抜こうとした瞬間。ウェストコットがニヤついた。

「そんな無防備で良いのかい緋村剣心?」

「何を…っ!?」

喋りだした途端に脳に謎の衝撃が走った。よく分からない衝撃。痛くはないが無性に頭が気持ち悪かった。

前を見ると先程まで居なかったのに今ウェストコットの前には二人の少年少女が立っていた。

 

「お前らか…今のは」

「そうだよ僕らが」「やったのよ」

少年少女が表情一つ変えることなく答えた。

「この二人は僕の特別魔術師の中で過去最高傑作の二人さ。男の子がアダム。女の子がイヴだ」

「アダムとイヴ…だと」

「あぁ、君に衝撃を与えたのは彼等だよ」

「何をした…?」

そう言って剣心は立ち上がった。しかし、

「…?」

(体が段々と傾いていく…何だこれは?)

剣心はその場にバランスを崩して倒れてしまった。

「何をしたんだ?」

剣心は倒れながらアダムとイヴを見た。答えたのはウェストコットだった。

「ふふこの二人の能力は【感覚操作】だよ。相手の感覚を麻痺させる事が出来る。アダムが相手の脳に入り込むと共同体であるイヴがその神経を麻痺させるんだ。つまり脳を通常に動かなくさせる能力さ」

「なら今のは…」

「そうさ平衡感覚を狂わせた。今の君の脳は通常通りに働かずに活動しているんだ」

「随分と強い能力だな。流石、アデプタスNo.1だな」

「でもハーメルンのようにリスクもある。それは1度に麻痺させる事が出来るのは一つの神経だけだ。つまり今君は平衡感覚を失っているが視神経を麻痺させる事は出来ないんだよ。麻痺させるには今麻痺させているものを通常に戻さなくてはいけない。そして対象は一人だけだ。まぁ、それでも充分強いんだけどね」

剣心はウェストコットが話している間にも立つことは出来るが歩くことが出来なかった。平衡感覚を狂わされているためまともに歩けなかった。

「さて、先程は威勢よく殺すなどと口にしていたがこの子達の前には手も足もでなかった様だね。さて、お話も終わりだ。アダム、イヴ彼をこっちに連れてくるんだ」

「はい」「お父様」

そう言うと二人は又しても倒れてしまった剣心に近づいてくる。剣心は逆刃刀を抜いて彼等を威嚇したが次の瞬間又しても変な衝撃が走った。すると、持っていた逆刃刀が手の中から落ちていった。

「次は何だ…」

落とした逆刃刀を持とうとするも持つことが出来ない剣心にゆっくりと歩きながら近づく二人が説明した。

「今君の右腕神経を」「麻痺させたのよ」

「何?」

「だから君は今代わりに」「歩けるようになっているわ」

言われた剣心は立ち上ると難なく歩く事が出来た。

「さぁ」「こっちにおいで」

アダムとイヴがゆっくり近づいていたがやがて直ぐ側まで来る。何もできずにただ下がることしか出来ない剣心の前に人影が現れた。

「剣心は渡さないわよ!」

 

千琥だった。

手を大きく開けて通さないと言う素振りをしていた。

「千琥…」

「大丈夫剣心?」

「あぁ…落ち着いた。済まないでござる…」

(良かった…元の剣心に戻ったのね。)

(危なかった…またしても人斬りの時に戻ってしまった…焦りと千琥が急に飛び出してきたことで何とか還ってこれた…)

 

「千琥…手を貸してくれないか?」

「当たり前じゃない。助けてくれたんだから今度は私が剣心を助けなきゃ」

 

剣心はだらりとぶら下がっている右腕を千琥の肩に回して剣を左手で持ち杖のようにした。

 

「ふふ、まだ始まったばかりなのに随分と息が切れているんじゃないか緋村剣心?」

ウェストコットが笑い押さえきれずに漏れだしたような顔で剣心を見る。剣心も言われて気づいたが確かに息は切れて汗も凄かった。

(神経が一つ麻痺しただけでこんなにも不味いことになるのか…)

「本当は生きたまま捕縛したかったが死んでもいても構わないからね。殺ってしまっていいよ二人とも」

二人はウェストコットからの命令を聞くと腰に当てていた短刀を抜いて襲いかかってきた。

 

「神威霊装・千番【ミル・スウェート】」

しかし、その3メートル手前で電撃が二人を襲いその場に崩れ少しの間体が痙攣していた。

今のは誰がみても分かった。千琥の仕業だった。

見ると千琥の姿が変わっており先程までの可愛い私服では無くなり白と黄緑の線が入ったドレスのような物を纏っていた。

 

「【白雷姫戦】〈ボルプリウァー〉!」

 

更に小さな槍が千琥の両手に納まると千琥はその二つの槍を上に突き出して擦り合わせると一気に下に下ろした。

すると少ししてからその場に大きな目も開けられない程の白い光が光ると次の瞬間大きな音がした。

 

千琥が自分の霊力で作った壁の中に剣心は入っており目を開けると先程まで居たビルは完全に崩れ落ちており辺りを見渡しても焼け野原でしかなかった。ウェストコットやアダム、イヴが当然こんな大技にいきなりで対処できているはずがないと思っていた剣心だったがその考えは甘く数メートル先の瓦礫の山からウェストコットを守りながら随意領域を張っていたアダムとイヴが現れた。

 

「特殊能力だけでなく、随意領域まで難なくこなすのか…」

剣心は軽く舌打ちをすると立ち上がった。すると先程とは違い腕に違和感はなく逆刃刀を右腕で難なく持つことが出来た。

 

「剣心大丈夫?」

「あぁ、次からは気をつけるでござるよ」

「それにしてもあの攻撃で無傷なのは少しビックリね…」

 

千琥は剣心の回りに張っていた霊力の壁を消すとウェストコット達を見つめていた。3人はやがて瓦礫の山から降りてきて剣心と千琥の前で止まった。

 

「グリエル…やはり強いね。さて、これで2対2だ。この戦いの側に居ては巻き添えを食いそうだからね。僕は先にイギリスに戻るから緋村剣心を連れて帰ってきてね」

「分かった」「お父様」

 

するとウェストコットは瓦礫の山を上っていき姿が見えなくなってしまった。今はウェストコットを追うよりも目の前の敵を優先しなくてはいけないことを千琥も分かっていた。

 

「なるべく早く終わらせてウェストコットを追いたいでござる…」

「えぇ…5分で終わらせましょ」

「お父様の命令だからね」「緋村剣心。貴方を連れていくわ」

 

剣心と千琥、アダムとイヴが向き合う。

 

 

「千琥…」

「何?」

千琥が剣心の方を見ると剣心は千琥の顔を一瞬だけ見ると目線を戻して話した。

 

「やっと拙者は千琥に対しての気持ちに気づいた。だから伝えるでござるよ…」

 

剣心は一瞬だけ目を瞑るとそのまま話を続けた。

 

「拙者…緋村剣心は輝ヶ谷千琥を慕っている…だからこの戦いが終わったら…手を取り合って生きていこう」

 

千琥は一瞬驚いた顔をしたが直ぐに優しい笑顔を見せた。

 

「今まで剣心が一人で頑張ってきたことは人工的な記憶だけど知ってるよ。だけど、これからは私があなたの横に裁って貴方を助けるからね…そして、この戦いが終わったら私の気持ちちゃんと伝えるね。それであの時のブランドのお店行こうね!」

 

「それは…もう答えを言ってるのと同じでござるよ?」

「あ、そうだね…アハハ」

 

笑い合って見つめ合っている二人だった。

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

今の千琥となら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今の剣心となら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんでも出来る気がする……………!

 

ーーー

 

 

 

 

緋村剣心・輝ヶ谷千琥VSアダム・イヴ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この戦いがこの先の最悪な未来の元凶なることをこの時はまだ誰も知る予知もない。




最後に書いた通り千琥編のラストは変な終わりかたですが衝撃的なラストです
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