もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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崩れていく者と失っていく者

剣心と千琥が横に並んでいるのと同じようにアダムとイヴも横に並んでいる。

「君達はもしかして」「恋人なの?」

剣心達を見た二人は聞いてくる。少し戸惑いながらも剣心が縦に首を振ると千琥が思い切り頭を叩いてきた。

「お、おろ?なぜ叩いたのでござる!?」

「何で認めるのよ!恥ずかしいじゃないバカ!」

「そ、そんな事言われても…」

目の前で夫婦漫才でもしてる二人を見るアダムとイヴは表情を一つも変えずに只見つめていた。剣心もそんな相手を見て我に帰り咳払いをし、真顔に戻る。

「恥ずかしいところを見せたな…忘れてくれ」

「えぇ……」「何も見なかったことにするよ」

そして、静かな時が流れる。その時、剣心のインカムに通信が入ってきた。

『聞こえる剣心?』

琴里からだった。剣心は小声で聞こえていると返事すると吉報が待っていた。

『鳶一折紙は無事に連れ戻せたわ。後は貴方と千琥だけよ…』

「そうでござるか…良かった」

『えぇ…このまま誰も欠けずに終わらせましょ』

「そうでござるな…では、待っていて欲しいでござる。必ず戻るから」

『分かったわ……頑張ってね剣心』

「あぁ…」

琴里からの通信も終わりアダムとイヴを見ると二人とも短刀を持っていた。剣心と千琥はそれを見るとお互い顔を見合わせ頷く。

「まだ一度も共闘していないがいけるか?」

「何とかなるわよそんなの!」

 

千琥が小さな槍を相手に向けるとそこから電磁砲が飛び出し二人を目掛けて飛んでいった。イブが随意領域を張り出して防ぐと続いてアダムが千琥目掛けて走ってくる。その途中で剣心が立ちはだかり逆刃刀と短刀をぶつけ合う。千琥は槍を地面に突き刺す、すると次はアダムの足元から雷が飛び出してきた。何とかギリギリで避けるがその雷は途中で屈折しアダムに飛んでくる。アダムは随意領域を広げたが完全に張り切る事が出来ず、破られ喰らってしまった。

「…くっ………!」

見るとアダムの手が少し痙攣を起こしているのが分かった。電撃で麻痺したのだろう。

「やはり短刀と随意領域だけでは」「勝てないようね…」

二人は短刀を納めると千琥に狙いを絞り特殊能力を発動させた。

「………ぁっ!」

すると持っていた槍を落としてしまった。つまり、先程の剣心同様に腕の神経を麻痺させたのだ。槍を使い電撃を発動させている千琥にとって槍を持てないのは攻撃が出来ないと言うことだ。

しかし、剣心は思った。特別魔術師は特殊能力を使うときにそれ以外の事が出来なかった筈だ…と、或美島で戦ったハーメルンは笛で相手を操作できたがその代わりに笛を吹き続けなければならなかった。ならば、此方も千琥の神経を麻痺させている間は動くことは出来ない。

剣心が神経を麻痺させる能力を持つイヴに向かって突撃し剣を降り下ろそうとするとアダムが目の前に現れ短刀で再びぶつけ合う。

「なっ!?どうして動けるんだ…!」

「僕は相手に乗り移る能力だ…麻痺させる能力じゃない。最初に麻痺させる時だけ僕は対象に乗り移りそこでイヴが麻痺させる…その後は僕の能力なしでも出来るんだよ…僕らが二人なのは片方を護衛するためだ」

「だが、御主が拙者の飛天御剣流に敵うのか?」

「それは、分からないけど剣術には少しぐらい自信はあるよ?何せ、緋村剣心。貴方の為だけに強くなったのだから」

そう言い終わると剣心とアダムの剣が光速でぶつかり合う。どれだけ経ってもお互い掠り傷さえ付けられないでいた。

「…厄介でござるな」

剣心はイブの横に戻ったアダムを見て呟いた。一瞬の間に幾つものパターンを考え付くがどれもこれも最終的に剣で終わらせなければならない。だが、アダムが動けて更に剣術にも長けていてはすんなりとはいかない。

「なら、使うしかないか…」

まだこちらの世界に来てから一度も使っていない飛天御剣流の大技の一つ。

 

九頭龍閃

 

これを使い当てることが出来たならば真剣ならば神経を斬ることが出来るが逆刃刀なので相手の神経を物理的に麻痺させる事が出来る。それだけでも十分だった。

(チャンスは一度きり…失敗は許されない…!)

剣心は逆刃刀を前で構えてその状態で走り出した。アダムもイヴの目の前に立ち剣心に立ちはだかる。それでも剣心はスピードを落とさずに突撃していった。アダムはその場で構えていたが剣心が九頭龍閃を繰り出すと同時に突きを繰り出した。

「…っ!?」

剣心の技が当たるとアダムの体の至るところが赤くなり痺れ出してきていた。やがて短刀を落としてその場に崩れ落ちると剣心は見向きもせずに只目を瞑り、能力を発動し続けているイヴに襲いかかった。すると、後ろにいたアダムが大声を張り上げて止めろ!と叫んだ。しかし、剣心は止まらずにイヴの首筋を逆刃刀で斬った。

 

すると、イヴがそのまま呻き声を一つも上げずに倒れた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

アダムが倒れたイヴに走って向かう。アダムがイヴの名前を何度も呼ぶが返事は愚か目も開けなかった。

有り得なかった。いくら逆刃刀で首筋を斬ったとは言え逆刃刀ならば斬撃ではなく打撃だ。気絶は有るだろうが死に至るような事は有り得る筈がなかった。

「どうゆう事でござる…」

剣心がアダムとイヴを見ながら呟くと横に千琥が現れた。先程の攻撃で能力が解けたのだ。そんな千琥と剣心にアダムは顔を見ずに語りだした。

「イヴの能力のデメリットは一人しか麻痺させる事が出来ないのと麻痺させる事が出来る神経が一つだけなのともう一つ有る。それは能力発動中に自ら能力を解除せずに他者からの攻撃を受けたときはその何倍も大きいダメージを脳に食らうんだ。つまり、今の貴方の一撃が僕らが食らえばかなり痛いで済むものがイヴにとっては死に至る可能性が大いに有り得る一撃になるんだ」

話を聞いた途端に剣心の中で何かが壊れた気がした。不殺の誓いを立てて生きてきたこの数年だったが、遂に終わりを迎えたのだ。

「剣心…大丈夫!?」

いつの間にかその場に蹲ってしまっていた。それを見た千琥が心配してくるがそんな事など耳に入ってきたなかった。

 

ーーー………

 

殺してしまった…ずっと守っていくつもりだった誓いを破ってしまった。

 

これではまた人殺ししかしてこなかったあの頃…人斬り抜刀斎に逆戻りだ。

 

これじゃ、もう誰も必要としてくれない…あの頃と同じでまた寂しい時間を過ごしてしまう。もう無理だ…明治では薫殿や、左之助、弥彦達に助けられた。此方の世界でも士道殿や琴里殿、十香殿に四糸乃、狂三殿に耶倶矢殿や夕弦殿、宗次郎、奏、穣之助に必要とされてきた…不殺の誓いを守ってきた自分だからこそ有った繋がりだったのだ。それも切れてしまう。

 

千琥はどうなる…?好きだと言ったのに…このままでは前と同じだ。これじゃ千琥を愛してはいけない…

 

 

なら、自分は何なんだ?

 

人斬り抜刀斎にも戻れず、今までの緋村剣心でも居られず、千琥を愛する事さえも出来なくなった自分は…何なんだ?

 

分からない…何も…わか…ら…ない…

 

ーーー………

 

剣心はそのまま意識を失った………

 

 

「剣心!剣心!?」

千琥が倒れてその起きなくなった剣心を抱き込み呼び掛ける。しかし、イヴ同様に目覚めることはなかった。

「そんな…」

ショックを受ける千琥に対してアダムは近づき告げる。

「緋村剣心は気を失っているだけだ…死んではいない。此方も同じでイヴは今回は運良く死んではいない。とりあえず、戦いは終わりだ。最後に絶対にこれだけはしてこいと言われていた事だけしよう」

そう言うと、アダムは手を千琥の胸に伸ばして握った。すると千琥が苦しみだしそのまま手を引くと千琥が更に苦しんだ。その間にも千琥の胸から黄色の霊結晶が抜かれる。そのまま千琥も前に倒れ込むと意識を失った。

 

『回収して!!!』

 

千琥が完全に意識を失う直前聞こえたのは剣心のインカムからほんの少し漏れて聞こえた琴里の悲鳴にも近い叫びだった。

それと同時に剣心と千琥はアダムと倒れているイヴの前から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この剣心に起こった悲劇と千琥の霊結晶の奪取が最悪な未来の始まりとなる。




これで千琥編(千琥トゥルーラブ)は終了です。
次からは剣心・千琥編(剣心ビリーブメント)で投稿していきます。
詳しくは活動報告の方をご覧下さい。
後は、忘れられているとは思いますがアンケートも宜しくお願いします…
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