もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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さぁ千琥編ラストです!


愛してる

「はぁ……!はぁ……!」

志々雄から千琥の危篤を聞いた剣心はあの後、フラクシナスに戻り千琥のいる部屋を探し回っていた。しかし、部屋は数知れずあり、道も多々あるので探すのは困難だった。

その間にも剣心は何故皆は自分に千琥の危篤を言ってくれなかったのかと考えていた。

自分が記憶を失った振りをしていたときに言わなかったのは分かるが記憶を戻し少し休んでいた間に士道達は見舞いに来てくれたその時に少なからず言えた筈。

「だがそんな事は後回しだ…!今は…!」

 

~琴里・千琥side~

「えっ…?今なんて…」

琴里は千琥の言葉に驚き言う言葉を失っていた。

「だから…死んだときは剣心から私の記憶を消して…」

そう言って笑いながら琴里の方を見る。その顔が喜びの笑顔ではないことなんて誰にでも分かる。

「何で…そんなことしたら剣心は…!」

琴里は少し憤怒を交えた声で千琥を見る。

そんなことしたら剣心は何の為に戦ったのか分からなくなる

そう言いたかったのだ…しかし最後まで言うことは出来なかった。それは千琥が首を横に振って「誤解だ」と言葉を覆い被せてきたからだった。

「…じゃあ何が目的なのよ…」

「…剣心は…私が死んだら悲しむわ…守れなかったと後悔しちゃうに決まってる…なら私という存在を剣心から消してくれれば剣心が傷付くは無くなる…そしたら私も安心して………………死ねる」

「…………!死ぬなんて簡単にいうんじゃないわよ! 」

「…琴里ちゃん…でも…」

琴里はそこで一度唇を噛み、流れていた涙を拭いてーー

「でももクソも無いわよ!絶対に死なせない!死なせてたまるもんですか!絶対に助かって士道や左之助、宗次郎に十香、四糸乃に狂三に耶倶矢、夕弦に奏や穣之介!皆と一緒にこれから生きてもらうんだから!それで…………剣心を支えてもらうんだから…!」

しかし、言っている最中に琴里の涙は限界が来て涙がまた流れ出していた。

「…私は…DEMによって作られて剣心や貴方達を騙そうとしていたのよ?それが私の本意じゃなくてもしてしまったことに変わりはないわ…」

「…そんなもん関係無いわよ…貴方は輝ヶ谷千琥で精霊。そうでしょ?」

その言葉を聞くと千琥の目からは涙が流れていた。

「…ふふ。私は幸福者ね…」

琴里は泣きながらもくすっと笑うと

「これからもっと幸せになってもらうわよ」

とそう言った。

 

~???side~

「…………此処で間違いないな…」

男はそう言いある家の前まで来てDEMの保管室から持ち出したあるものを取り出すとその家のインターホンを押した。

『はーい…ってお前は!?』

インターホンから聞こえる声が急に険しくなる。

「とりあえず出てこい。渡すものがある」

そう言う男の言葉を聞いたインターホンの声の主は暫くしてその男の前に現れた。

「………アダム…」

「…………あぁ…初めましてだな五河士道」

そう、男の正体はアダム・ユリカエル。DEM社のアデプタスNo.1の片割れである。

「何しに来た…!」

アダムを警戒し反射的に塵殺公【サンダルフォン】を顕現する士道。それを見て少し驚いた顔をするアダム。

「本当に精霊の力を使えるんだね…驚いたよ。でも、今日は争いに来た訳じゃないんだ」

そう言うアダムだが士道は塵殺公を持って警戒を解かない。アダムはやれやれと少し溜め息を吐き片手に持っていた黄色の物はを士道に見せる。

「…これは?」

質問する士道ーー

「これは輝ヶ谷千琥の霊結晶だ…この前の戦いで奪っていたが返しに来た」

「……!何でだよ!?それはDEMにとって…!」

アダムの意図がわからない士道にアダムはーー

「…これを緋村剣心に渡して緋村剣心が輝ヶ谷千琥の胸にそれを入れてやれ…そして伝えろ「これで借りは返した。次戦うときは必ず倒す」とな」

と言ってその場から立ち去った。一瞬の出来事で整理の追い付かない士道だがそれでもやるべき事は整理がつかない中でもしっかりと理解していた。

「…剣心さんに届けなきゃ!」

そして士道は令音に連絡を取りフラクシナスへと向かった。

ーーー………

~琴里・千琥side~

あれから暫くして千琥は眠りについた。それでも琴里はその場を離れずにずっと側に居続けている。するとーー

「千琥!!」

琴里の後ろの扉から聞き覚えのある声が急に聞こえた。後ろを振り向くとそこには予想通りに剣心が居た。

「…剣心…何で此処に…」

剣心は琴里に気付くと琴里の元に近付き肩を掴み大きく揺さぶる。

「…どうして早く言ってくれなかった!どうして…!!」

剣心の顔は少なからず怒りの顔では無く、泣きそうな顔をしていた。

「………っ…それはーー」

その瞬間だった…

 

ピピッ…ピピッ…ピーピーピー!

 

千琥の心電図が突如として緑から赤へと変わった。

「……千琥!千琥の容態が急変したわ!直ぐに来て!」

琴里は近くの電話機を使い恐らく医療班に連絡したのだろう。

「……千琥!どうした!?」

剣心も千琥に近付き話し掛ける。しかし、千琥には届いているのかも知れないが千琥は苦しそうな顔をしてどうみても返事を出来るような感じではなかった。

それから直ぐにラタトスクの医療班が来た。色々な手を使っているが千琥の顔色や容態は愚か心電図も赤のままであり、数値は徐々に減っていく一方だった。

「……クソ!拙者が…あの時に気を失わなければ…!」

剣心が自分の太股を自分で殴り付ける。それを見た琴里は思い出していた。

 

『…剣心は…私が死んだら悲しむわ…守れなかったと後悔しちゃうに決まってる…』

 

この時点でここまで来ているのであるその時が来てしまったら……と琴里は考えてしまう。それに琴里はこのフラクシナスの事は全て理解している。この医療班の事もだ。先程からフラクシナスにある医療機などを使用しているが状態は一向に良くならない。先日は突如として霊力が平均値まで回復したから延命出来たものの二回もあるなんて思っていない。つまりこのままではーー

「……死なせなんてしないわよ千琥…」

それでも琴里の目は諦めてなかった。もしかしたら何か方法があるかもしれない…そう思い必死に別の方法を探し出す琴里。剣心もひたすら千琥に声をかけている。剣心は今ほど無力な自分を悔いてる時はないだろう…

「司令!このままでは…!」

一人の医療員が琴里に報告する。「分かっているわよそんな事!」と琴里も焦りからだろう声が荒い。その場にいる琴里・剣心・医療班の者達は万事休すと悔しくも確信してしまっていた。

その時だった……

 

「まだです……!剣心さん!」

 

士道が扉を開けて入ってくるとそう言った。そして士道は剣心の元まで寄ると剣心の手に自分が今まで持っていたアダムから返された黄色の霊結晶を手渡す。

「……士道!それは!」

それを見て琴里は驚く。当然の事でもあった。DEMに奪われた千琥の霊結晶を士道が持っているのは有り得ないことだったからだ。

「アダムから渡されたんです。そしてこう言ってました…剣心さんが千琥の胸に入れてやれ…そして借りは返したって…」

「アダムが……」

士道の話を聞いた剣心は霊結晶を少しの間見つめると心の中でアダムに感謝すると千琥の方を向き霊結晶を千琥の胸に当てた。すると、霊結晶は千琥の胸の中に溶けていくかの様に入っていった。

「……千琥。元気になったらまずは一緒にあの宝石店に行こう。それであの家に一緒に帰ろう…また千琥のご飯を食べたいでござるよ…裸のエプロンは要らないがそれでもエプロンを着けて料理してる千琥の姿をもう一度……見たいで…ござる」

話している途中で剣心は涙を溢していた。その涙は千琥の頬に落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだね……もう一度…一緒に行こ…料理だって料理してる私の姿だってこれからはずっと見れるよ…だから…泣かないで?」

千琥の手が剣心の頬に触れる。その手は弱々しく震えていたがそれでも温かみがあった。そしてその手が剣心の頬に触れた時に驚きはなかった…

「……そうでござるな…」

剣心が触れている千琥の手を優しく支える。すると千琥は嬉しそうに笑いそして目を閉じた。

「……千琥ちゃん霊力値が完全に安定しました…」

琴里がその報告を聞いて千琥の元に近寄ろうとしたがそれを士道は止めて首を振った。琴里にもその意味が分かったのだろう二人は一緒にその場を静かに去った。

ーーー

ーー

千琥の容態が完全に安定してから一夜が明けて士道達は千琥の元へと見舞いに行った。そして千琥が居ると言われた部屋の前まで来ると左之助があることを口にした。

「そういや剣心は何処に行ったんだ?朝から見てねぇんだけどよ…」

「……はぁ…そんなの千琥に付きっきりだったに決まってるでしょ…部屋にいるわよきっと」

呆れながら琴里が左之助に言うと左之助が頭を掻きながら誤魔化すように笑う。そんな雰囲気が千琥が元気になった事で表れるようになったのだ。

「さて、行くわよ。さ、士道」

「…おう。そうだな」

士道が扉の持ち手を掴む。その光景は一度前にあった…剣心の見舞いに行ったときだ。あの時はあまり良くない見舞いだったが今回は違う。琴里以外の者はまだ千琥と話した事がない緊張がないと言えば嘘になるがそれでもこの扉は曾ての扉とは違いとても軽く心を弾ませるものがあった。

「見舞いに来たわよ千琥!」

琴里が真っ先に部屋に入り千琥の顔を見る。すると千琥はしーっと指を口の前に出して静かにと会釈した。何故かと思う皆は千琥の膝元に目がいった。そこには千琥の膝元に頭を置いて心地好く眠っている剣心の姿があった。

「…ケンシンが寝ているぞ士道?」

「あぁ…そうだな十香。また出直す事にしようか」

琴里以外のメンバーは剣心を起こさないように静かに部屋を後にした。琴里だけが少しそこに残っていた。

「…とりあえず良かったわ無事でね…」

「まぁ……無事では無かったけどね」

そう言って二人はお互いの顔を見てクスクスと笑う。こんな風に千琥と笑える日が本当に来るとは昨日まではあまり信じていなかったが今ここで確かに千琥は居る。今はそれだけで十分だった。

ーー

ーーー

「……ん…ぁ…」

目が覚めた時に目に入る光が少し眩しく目を細める。そして何か温かみを感じる。

「ぁ……起きた剣心?」

聞き覚えのある声が耳に入る。その声は自分にとってとても大事なかけがえのない声。

もう二度と聞くことが出来なかったかもしれない声。

「……なぁ…千琥?」

「ん?何?」

剣心は千琥の膝元から体を離して千琥の顔を見てーー

 

「少し外に出ないか?」

 

ーーー………

 

「ねぇ…本当に良かったの?勝手に抜け出してきちゃって…」

千琥を外に誘った後千琥はきっと許可を出してくれないと思い外出を渋っていたが剣心が無理矢理令音にお願いをして今に至っている。

「令音殿に許可を得ているから安心でござるよ」

「でも琴里ちゃんが…」

「…?琴里殿と仲良くなったのでござるか?」

「…え?あ、うん。昨日ちょっと話したし今日も話したよ。剣心が寝てる間にね」

今、剣心と千琥はまた高台に来ていた。千琥とは2回目である。前はDEMに連れ去られて落ち着いて話が出来なかったが今回はゆっくりと話せそうだと剣心は思っていた。

「…拙者の事は?アダムに倒されてからどうなったのか…聞いたのか?」

少し暗い顔をして剣心が千琥に問う。

「…うん。今朝、琴里ちゃんに聞いたよ…大変だったんだね…」

「…違う」

「え?」

「本当は記憶を無くしてなんていなかった…ただ現実逃避をするかのようにわざと記憶を無くした振りをして皆から離れようとした…いや、今のは言い訳だな…」

千琥のいる方と反対を見る。そこには高台から見える景色があった。

「…それを皆には言ったの?」

「いや…まだでござる。落ち着いたら謝ろうと考えているでござるよ」

剣心は景色を見たまま返事を返す。

「…そう。それで良いと思うよ」

「…あぁ、ありがとう」

少しの間、静かな時が流れる。聞こえるのは周りの木々の揺れる音くらいだ。そんな中、千琥はゆっくりと剣心の横までくる。

「…でも琴里ちゃんと左之助さんと宗次郎くんを助けたんでしょ?」

「それは……確かにそうだが」

「私はね…臆病でも誰かを守ることや守る勇気を持ってる人は格好いいと思ってる。でも意地っ張りや自己保身ばかりで人の事を考えられない人は嫌い」

「……確かに誰かを守る勇気を持ってる者は格好いいでござるな」

「そう…でもね剣心?剣心だって皆の事を騙して皆を巻き込んでしまったけど結局貴方は皆を守る勇気は持ってたってことでしょ?」

「それは…そうだが。巻き込む原因を作ったのはーー」

それを遮り千琥が喋る。

「私は原因よりも結果の方が大事だと思うよ」

そう言い笑顔を見せる千琥の笑顔はとても眩しく愛しいものがあった。

「なんて……格好つけちゃったけど…とりあえず皆に謝ろっか!」

そう言って千琥がフラクシナスに戻ろうと先に歩き始める。しかし剣心はその場に立ち尽くし千琥の名前呼んだ。

千琥が剣心の方を振り向き「何?」と聞いてくる。

剣心には言いたい言葉があった。千琥が起きてから今まで言いそびれていた言葉。そしてもう一つ、確かめておきたいことがあった。

 

「千琥…お主の気持ち聞かせてくれるか?」

「…?なにそれ?」

千琥が首を傾げている。恐らく記憶の片隅にあるのだろう。

「言ったでござろう?」

 

『この戦いが終わったら私の気持ちちゃんと伝えるね』

 

そう…アダムとイヴとの戦いの最中で千琥が剣心に言った言葉である。

「あ、あれは!その……!」

千琥の顔が段々と真っ赤になっていく。剣心はそれを見て笑っている。そしてーー

 

「拙者は好きでござるよ千琥の事を!」

周りには誰も居ないが誰かに聞かれているかもしれない程の大声で剣心は叫んだ。

「ちょっ!?止めてよそんな大声で!」

千琥の顔がさらに真っ赤になる。剣心はそれを見て更にからかいたくなりーー

「千琥はどうでござるか~!?」

とまたしても大声で叫んだ。それは千琥も大声で叫べという意味だろうと千琥も理解した。そして覚悟を決めてこれ以上赤くなるのかというほど顔を更に真っ赤にし千琥も叫んだ。

 

「私も剣心の事が大好きです!!!世界で一番…いや!宇宙で一番大・大・大・大好きです!!!!!」

 

……静かな時間がまた流れる。それでもこの時間は二人にとってはとても幸せなもので満たされた時間になっていた。

 

ーーー

初めて会った時はいきなり抱き付かれてお嫁さんとか言われて、家に帰ると裸エプロンで料理をしていて…でもその料理が凄く美味しくて、次の日には初デートをしてちょっと高いネックレスをプレゼントしあの時はとても喜んでくれて名前にもT・Kと彫った。そしてデートの終盤でDEMに拐われて助けに行った。そこで千琥の正体を知ったけど憎悪や嫌悪と言ったものは一切無くて更に守りたいと思った。結局、助けることは出来てもアダム・イヴに負けて自分は馬鹿みたいな事をして千琥も霊結晶を奪われて昨日まで辛い目に遭っていた。

 

たったの数日間だったが色んな事が起きて楽しいことや嬉しいこと、悲しいことや痛いことなど色んな事を知った。そして人を愛したいと心の底から思わせてくれた数日間でもあった。

これからも千琥と一緒に居たら色んな事があるだろう。楽しいこと嬉しいこと…辛いことや悲しいこと。時には喧嘩をするかもしれない…それでも一緒にいたいと今は強く思う。

ーーー

 

大声で告白してくれた千琥は更に足のペースが早くなっている。それなのに剣心はまた千琥の名前を呼び彼女の足を止める。

「今度は何!?」

もうやめてよ!と言わんばかりの顔である。そんな顔も今は可愛く見える。

剣心は今回は悪戯な笑顔を見せず優しい笑顔を作って言った。言いそびれていた言葉をーー

 

 

「お帰り…千琥」

 

千琥が少し目を開いている。恐らくまた何かしら恥ずかしいことをされたり言わせられたりすると思っていたのだろう。それでも千琥は一拍置いて剣心と同じように優しい笑顔を作りーー

 

 

 

 

「うん…ただいま」

 

 

 

と優しい声で返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

大声であんなことを言ったくせにこれが気恥ずかしくて言えないなんて可笑しな話だけど許して欲しいでござる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから宜しく…千琥。

末永く…幸せになるでござるよ…二人で…

ーー

 

 




皆様どうもこうけーです。
千琥編これにて終了です。いやー、書いてて楽しかったです。本当に…
最初は悲しい結末にしようと思ってましたがこれはこれでありですね!
本当に千琥編書けて幸せでした!千琥編を楽しく読んでくださった方がおられるなら更に幸せです!

さて、次からは凛祢編なのですが…これまた厄介でして…どうやって剣心達を凛祢の物語に入れ込むか…ですよ。或守編なら電脳世界なので僕の好きなシチュエーションを書けるので良いですけど凶禍楽園【エデン】はリセットなので書きづらいんですよね…何かアドバイスや提案があったらご協力お願いします…

さて活動報告にこれからの主な内容構成を書かせてもらいますので是非御覧になって下さい。

では!千琥編これにて終わりです!ありがとうございました!
そして引き続き宜しくお願いします!
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