もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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実は生存してました


美九編 (美九リリィ&美九トゥルース)
誘宵美九


 

ないーー

 

私にはもう何もないーー

 

すべてに裏切られた。すべてを失った。すべてを殺したくなるほど嫌いになったーー

 

この絶望と憎しみを私は忘れない。これからは私がこの世のすべて。すべてを管理しすべてを扱い。すべてを私のものにする。

 

女は人形。男は奴隷。

 

そう。この力を持てば…すべてを手にいれる事が出来る…

 

私こそが世界。私こそが秩序。

 

そう、この【私】こそーーーーー

 

 

ーーー

 

夏。

 

千琥の一件から少しばかりの時間が経ち、平穏な日々を今は過ごしている。

 

「暑い…」

 

この季節になるといくら覚悟を決めていたとしても声に思わず出してしまうのがこの夏の因果である。

今、士道はスーパーで今日の夕飯の食材を買い終え帰路についてるところ。回りに人は少なく車の通りも少ないのにも関わらず暑いのは変わらず、士道の体力も気力も吸っていく。

「あぁ…暑い…とりあえず暑すぎるぜ…」

暑い暑いと言っていては更に暑くなるだけだがそれでも士道の口からは暑いという言葉が吐かれる。

 

 

家に到着して、食材を冷蔵庫に入れて自分の顔も一緒に数秒間入れると気休め程度に気持ちは楽になった。

そして、休憩がてらにテレビをつけて何か良いのがないか適当にチャンネルを変えていく。

しかし、昼間は堅苦しいものしかやっておらず結局はテレビを消して横になるが暑くて眠れるきなんて全くしない。結局、起き上がり適当に外に出て店のクーラーでも浴びようともう一度灼熱地獄世界に足を踏み出す。当然のごとく、ムシムシとした暑さやジメジメした暑さが折角外に出る決意をした士道の心を鈍らせる。だから、夏は嫌いなのだ。

 

ーーー

 

暑い中を耐え抜き本屋に辿り着くととりあえず所謂男子高校生向けの雑誌を手に取りパラパラと目を通していく。

すると、

【誘宵美九。二週連続シングル一位!!】

というタイトルが大々的に書かれていた。

「誘宵美九ねぇ…」

この前、殿町と話したときにポロっと聞いたりテレビや雑誌。時には店の音楽としても流れてるのを聞くくらい有名なアイドル歌手。それが誘宵美九だ。

 

いくら、士道がアイドル等に興味があまり無いとは言えども誘宵美九ともなると士道だって多少は知っていた。

「同い年くらいなのにこんなにも凄いステージに立つ奴もいるんだな…」

と誰にも聞こえない大きさで呟くと本を閉じて元有った場所に戻して本屋を後にする。

そういえば、誘宵美九の様に人気があって凄いステージに立つ人とは違うが同年代に瀬田宗次郎が居たことを忘れていた士道は少し、宗次郎の凄さを改めなおして次いでに同い年としての意見が聞きたくなりそのまま宗次郎の家へと向かった。

 

ーーー

 

宗次郎の家の前まで着くと、何やらガヤガヤした音が聞こえてきていた。普段、静かだからこそ余計に理由がわからない。

(客でも来てるのか?)

そう思った士道はまた後日、宗次郎に会う事にしてその場を去り結局、本を立ち読みしに行くだけと日となってしまった。

 

ーーー

 

夜。

何時は五河家の夕飯には十香、四糸乃に琴里の四人で食べるのが日常だが今日は珍しいわけでもないが八舞姉妹の二人が来ていた。

「そういえば、夕弦は何で左之介と穣之介と食べないの?」

と琴里が普段相楽家の台所に立つ夕弦に問うとーー

「応答。今日は珍しく夜間まで仕事があるというので「夕飯はいらない」と連絡がありこんな風に久し振りに士道の夕飯を食べに来たと言うわけです」

「へぇ…左之介も仕事ちゃんと頑張ってるみたいね」

琴里の少し驚いた感じの表情を見た士道は心の中で『左之介さんの事をどう思ってるんだよ』と突っ込んだが口にはしない。何故ならどうせ『脳筋馬鹿』とでも答えるに違いないからだ。

「あ、そういえば…」

士道は直後にふと今昼の宗次郎の家の騒がしさを思い出した。

「今日の昼、宗次郎の家に寄ったら少し騒がしかったから誰か来てたのか?」

「さぁね。宗次郎の事だからセキュリティ不足で泥棒にでも入られたんじゃない?」

琴里が冗談口調でそんなことを言う。確かに宗次郎のあの優柔不断さは中々のモノである。泥棒が入ってもおかしくないし実際に宗次郎の家は大きくて少しお金を持ってる家の雰囲気を醸し出してる。宗次郎は『入られても盗られて困るものなんて通帳くらいだよ』と言っていたが本当にそう思ってるなら末期である。早急に改善しなくてはーー。

 

「剣心も剣心で忙しいから皆、大変ね」

琴里がそう言うと皆がうんうんと頷き、士道自信もその事には同意見だった。

実際、左之介は仕事が忙しいし、宗次郎も何時もふと消えてはふと帰ってくるがラタトスクの監視カメラで確認すると児童養護施設に行き、子供達に色々なことを教えていた。宗次郎自信も過去が過去だからこそ良い行動だろうし誰もそれを止める人なんて居ない。

剣心は一番大変で千琥の件での記憶喪失の偽りなどで精密的に脳を検査されて最近でやっと全ての疑いが晴れたが次は千琥との生活に奮闘してるらしい。

 

剣心も大変だなぁと士道も、そして他の者も思ってるのがここ最近である。

 

ーーー

 

「千琥!お風呂は別々で入ると何度言えば分かるんだ!」

夜のマンションの浴室内に剣心の声が響く。

「だって二人で入ったら時間短縮だし楽しいしWINWINじゃんか」

と千琥も負けじと反論してくる。

「しかし二人だと狭いんだからお風呂は別々で入りゆっくりと浸かるべきだと思うが?」

「狭い方が体の密着は広くなるよ?」

「そんなの求めてない!!」

 

こんな下りは日常茶飯事になっていた。別に千琥が非常識だとかそんなことでは無いがビビってしまうくらいぶっ飛んだ事をしでかすことがある。

別に嫌なわけでは無いが急なものだから色々とビックリするのだ。

 

「ねぇねぇ?」

と千琥が風呂を上がりテレビを見ながら聞いてくる。

「何だ?」

「この誘宵美九って凄いよね。一日で一回も目に入れない日がないくらい見てるよ」

実際に今も音楽番組で歌が紹介されている。確かに顔良し、スタイル良し、歌の上手さも良し。とアイドルとしては文句のつけようもないものであるが、アイドルなのにライブは女子限定のライブばかりで男は顔を拝めることさえも叶わないと言うのが謎であった。しかし、だからと言って別に調べようとかそんな事は思わないが…

「確かにそうだな…流石、トップアイドルと言うところだな」

 

その時だった。

『聞こえる剣心?』

インカムから琴里の声が聞こえてきた。これも千琥の一件以来だから久しぶりである。

「どうしたでござるか?」

用件としては今までの前例だと、精霊の出現。それ以外でのいきなりの連絡は今まで無かった。

そして、今回もやはりーー

 

『精霊よ。識別名は【ディーヴァ】』

 

 

ーーー

 

 

風はない。

 

あるのは点いていない照明と誰もいないステージだけ。

 

ここからの景色は昔から好きだ。そして嫌いだ。

 

好きだからこそ嫌いなのだ。歌っている自分は好きでも歌っている時に向けられる目は嫌いだ。

 

声援なんて反吐が出る。孤独は素晴らしい。自分こそが全てであり、それ以外のものは自分のモノとして扱う。

これほど素晴らしいものはない。この力こそーー否、この力を持つ私こそが神であり世界であり、秩序。

 

だからこそ私は詠う。歌うのではない。詠むのだ。この世界の理をーー

 

 

この私【誘宵美九】の理をーーー

 

 

 




皆さん。久し振りです。こうけーです。

とりあえず久し振りですね。約4ヶ月振りの更新。

何となく気分が良かったので更新しましたが次の更新は何時になるでしょうかね?
剣心の活躍はあるんでしょうかね?
まぁ、1週間前後で更新したいと思います。では!
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