もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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生存報告


遂に知る真実

 

~ラタトスク~

「さっきのインカムで言った通りよ。識別名は【ディーヴァ】」

琴里からのインカムでの召集が掛かると間もなくして皆が何時もの司令室へと集まった。

「【ディーヴァ】ってのは初めて聞く名前だな」

と左之助。

「まぁね。分かってるのは識別名だけ…顔も能力も全て不明よ。だからこそ、今回も今まで以上に警戒して接触しないとね」

琴里が何時も座っている椅子から降り立つと皆の目の前まで来て、舐め終わって棒だけと化したチュッパチャプスで指す。

「場所は天宮アリーナよ。士道、左之助、宗次郎。3人で行ってきてちょうだい」

「む?拙者は?」

唯一名前を呼ばれなかった剣心が自分に指を指して琴里に問う。

「貴方には別の話があるから来てちょうだい…じゃあ、3人は転送するわよ!」

そして、士道、左之助、宗次郎の3人は転送装置で瞬時にしてその姿を司令室から消した。

ーーー

ーー

「それで、話とは?」

剣心はその後琴里に一人呼び出され、今は会議室に居る。他の精霊達は司令室のモニターから士道達の動きを眺めているなかでその会議室には琴里を除いて解析官の村雨令音だけがその場に居合わせていた。

「君も…皆も共通して認識していることだが…」

令音がその口を開き、話始める。

「琴里が精霊であることについてだ」

「…」

令音の言葉に琴里は黙って俯きチュッパチャプスを舐めているだけ。

「確かにその事は皆が知っているが…何故、拙者だけ?」

「それは私が言うわ…」

琴里が飴を噛み砕き、黙っていた口を開き始めた。

 

「簡単な話よ。早く、私の霊力を封印しないと

 

 

私が私じゃ無くなるってことよ」

 

「…なに?」

剣心の眉がピクリと動き、少し強張った顔面になる。それでも、琴里は剣心の顔など見ずに話を続けた。

「私が精霊になったのはおよそ7年前…剣心。貴方は知らないでしょうけども、7年前にここ天宮市は大火災に見回れた…」

剣心はその言葉に返事はせず、まだ続くであろう琴里の話に耳を傾けていた。

「その大火災は只の家からの火事で広がる範囲の火災じゃなかった…その火事は瞬時にしてかなりの広範囲の家を…いえ、町を火で覆ったわ。それは従来、人間ができる範囲の放火ではない…その火事の犯人は「精霊、でござるか…」そうよ」

「そして、その精霊が…琴里殿」

「えぇ…識別名は【イフリート】」

いつになく、真剣な眼差しの琴里。令音も何時もよりも少し寂しげな感じの目をしていた。

「だが、それが今回のその琴里殿が琴里殿で無くなるとどういう関係が?」

「…この前のDEM社の彼、彼女ら四人の前で精霊化して出たのは、7年ぶり。つまり、その火災の日から今日までずっと士道の体に私の霊力が混ざっていたのよ」

「ということは…士道殿は7年前から霊力の封印を…?」

「確かにその通り…士道はその日から霊力封印が可能と知ったわ。でも、その封印方法を最初に知ってたのは私達でも士道でも無くて、私を精霊にした【ファントム】よ」

「ファントム?何でござるそれは?初めて聞く名でござるな」

「簡単に言うと、見えるのに見えない。触れるのに触れない。聞こえてるのに聞こえない…そんな感じよ。全てが幻影見たいな感じ…」

「そんな奴がこの世界に…」

剣心が少し強く自分の手を握りしめる。琴里が精霊化した理由は分かる。霊結晶〈セフィラ〉に違いない。だが、それを何処で手にしたのかは誰も知らないところであった。

「話を戻すわよ。唯一ファントムだけが士道の封印方法を知っていた…そして、一瞬暴走していた私の攻撃を受けて気絶していた士道にキスをして封印された。そして、その日から士道は私の能力である自然治癒を手に入れた…この前の塵殺公〈サンダルフォン〉みたいにね。だから、士道は2年前まで自分にそんな力があるとは知らずに生きてきたわけよ」

これで漸く、2年前の始めの疑問に納得ができた。何故、士道に精霊封印の力があるのを琴里は知っていたのか…そして、十香との最初のデートで心臓を貫かれながらも生きていたのかということも。

「そして、最後に私が私じゃ無くなるって話だけども…」

「そうだ…それが一番の本題でござるよ」

琴里は新しいチュッパチャプスを口に含んでから話始めた。

「7年間も霊力を士道に預け続けて、この前いきなり体に無理矢理取り込んだからね。時々、精神が不安定になるのよ…何かに乗っ取られた感覚よ。破壊衝動に駆られて自分を見失ってしまう」

「…そんなことが…」

そして、ここで漸く、今まで口を開かずに黙々とその場に佇んでいた令音が口を開き話始める。

「そして、我々が琴里の体を精密に検査したところ、あと最低で1~2週間。長くて1ヶ月前後で完全に琴里は破壊衝動に駆られてしまった琴里へと変わると言うところだろう」

「短くて1~2週間だと?そんなの余りにも急すぎる!ましてや、つい先ほど新しい精霊が出てきたところなのに!それに、拙者達はまだ琴里殿のその破壊衝動を見ていない!」

「見ていないじゃなくて私が見せてこなかったのよここ最近ね…」

琴里が又してもチュッパチャプスを八つ当たりするかの様に噛み砕く。その音が静かな会議室に響き渡る。

剣心は1つ、深呼吸をすると琴里の目を見た。

「拙者は何をすれば?」

琴里もゆっくりと剣心の目と自分の目を合わせる。そしてーー

 

「簡単な話よ。ディーヴァを出来るだけ早く封印しなさい。皆に今回の事を話さずに貴方一人だけでも良いから迅速に士道に封印させなさい。そして、残りの時間で士道に再度、封印してもらうわ」

「それで、上手くいくのでござるか?」

「分からないわ…もしディーヴァが面倒なら私への時間はその分短くなるけども、全員にこの事を話したら必ず、焦りが生まれて余計な時間をロスしてしまう。だからこそ、今回貴方だけに話した。申し訳ないけど協力してちょうだい…。ここ最近、体調も優れてはいないけども自分なりに努力はしてみるわ」

 

その少し弱々しい琴里の手を剣心は優しく握ると大きく首を縦に振り、会議室を後にした。

 

ーーー

ーー

~士道・左之助・宗次郎side~

 

薄暗い天宮アリーナの中に転送された3人はとりあえず当たりを見渡す。

すると、少し距離をおいたところに小さな光で照らされた場所が1つ、小さな人影が1つ、そして綺麗な歌声が1つあった。

「どうやらあそこらしいな」

「そうですね…行きましょう。左之助さん、宗次郎」

3人はゆっくりと警戒しつつディーヴァへと近づいていった。

ーー

「ーー。」

自分の好きな曲を歌い終えた誘宵美九は誰もいない観客席に向けて手を振った。しかし、何時も誰もいない筈の観客席に人影が3つ見えた。

「……?」

その影達は何も言わず只こちらに向かって近づいてくるのみ。そして、真っ暗で顔すら見えなかった場所からライトに少し照らされた場所へと入り込んでくるとその顔も段々と露になる。

「あれぇ~?今日はお客さんがいたんですかぁ~…」

誘宵美九はその3人の顔がはっきりと分かるか否かの所でそう言った。するとーー

「や、やぁ…とても綺麗な歌声だから思わず聞き入ってしまったよ」

「え…」

 

ーーー

ーー

~ラタトスクside~

「士道君、左之助、宗次郎。共にディーヴァへの接触に成功しました!」

ラタトスクメンバーの椎名が先程、会議室から戻ってきた琴里にそう報告した。

「えぇ…その様ね。とりあえずは相手の機嫌を損ねな………え??」

 

琴里の言葉が途中で途切れる。理由は簡単、目の前にある機嫌値を計測していたモニターがいきなり急下落したのだ。

今まで、精霊達と遭遇し機嫌を損ねさせてしまった理由は士道の言動から始まったことでこんな風に出会った瞬間に下がるなんて初めてだった。さらに、ここまで機嫌値が下がることさえ初めてだった。

「ど、どうなってるのよ……」

ーーー

ーー

~士道・左之助・宗次郎・美九side~

「………お、男…」

急に美九の声が掠れ初め、体を少し震えさしていた。

「あ、あの……」

士道がその美九の言動に心配するかの様に手を差し伸べようとした瞬間ーー

 

【アッ!!】

 

美九がその場には何もないのに丸でマイクからでた様な大きな響く音が聞こえると同時に士道は元居た場所から後ろへと吹き飛ばされる。まるで衝撃波の様なものによってーー

「おわっ!?」

しかし、危機一髪の所で宗次郎が士道の後ろへ回り込み、士道の体を支えてその勢いを止めた。

「へぇ…幾ら、殆ど力を入れていないにしても私のガブリエルの攻撃を止めたのは貴方が初めてですぅ」

美九が人差し指を唇に当ててそのまま宗次郎を見て、そう言った。宗次郎も士道の背中から手を離すと一歩前に出て美九と相対する。

「そうなんだ。ごめんね?でも、僕たちはーー」

 

【君を襲いに来たんじゃないんだ】。そう言おうとする前に美九に言葉を遮られる。そして、その美九の口から出た言葉は今までの精霊の中でも極めて、異色なものだった。

 

「それにしてもぉ…なんでまだ私の前にいるんですかぁ?早く消えてくださいよぉ。1分1秒でも早くこの世から消えて私と同じ空気を吸うのを止めてください。ていうか、まずは男として存在しないでくださいよぉ…」

 

その言葉にその場にいる3人、ラタトスクから見続ける他のメンバー誰一人として瞬時に対処することが出来なかった。

 

 




次も頑張ります。
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