もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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5000字と読みにくいですがご了承下さい。


天宮祭へ

「………ぇ…」

誘宵美九の言葉に士道を含むその場にいるメンバー全員が息を詰まらせた。それも、その筈。まだ何もしていないにも関わらずいきなりの罵倒。逆に、ここで冷静に言葉を返せる人が居るならば教えてほしいものである。

「い、いやその…それは…」

士道が詰まりながらも何とか声だけは発する。しかし、言葉は出てこない。それに対して誘宵美九はーー

「何を勝手に発言してるんですかぁ?止めてくださいよぉ…貴方の言葉が私の耳に入ってくるなんて耳を削ぎ落とした方がましですぅ」

「………」

 

ある意味、話にならない。十香の様に全てを敵と思っていた者、四糸乃の様に全てに臆していた者、狂三の様に1つ違う価値観を持っていた者、八舞姉妹の様に己のために動いていた者。精霊とはそういう少しズレた所があるのは士道、それ以外の者も十二分に分かっていた。しかし、誘宵美九はそれをーー

 

「それに、何時までそこにいるんですかぁ?本当に私の視界から消えてくださいよぉ…それに、貴方達のような醜い人達に2回も言わせるような手間をかかせないでくださいぃ」

 

ーー遥かに凌駕していた。

 

「お、おいてめぇ!さっきから何をそんな偉そうに言ってやがんだ!」

流石に堪忍袋の緒が切れた左之助が声を荒げる。しかし、誘宵美九はそんな左之助を見ることさえせずに空を見上げ始めた。

 

「ーー!あれはぁ!?」

途端に誘宵美九の顔が輝く。連られて士道達も空を見上げるとそこにはASTの姿が見えた。数えなくても2、30は居るだろう魔術師達が一斉に誘宵美九【ディーヴァ】に対して銃口を向ける。

 

「射撃ーー始め!」

 

AST隊長の日下部燎子が手を振りおろし発射許可を示すと、銃を持つ魔術師達は一斉に銃を発射する。しかし、その中に当然の如く鳶一折紙の姿があるが彼女はディーヴァの後ろに居る士道が目に入った。

 

「…っ!士道!?」

 

口と同時に体も動いた。CRユニットから吹き出る勢いで一気に士道の元まで近づく、すると誘宵美九はそこに立ちはだかりーー

 

「いやぁん…可愛らしい女の子ですぅ!私と一緒に遊びましょぉ!!」

「…邪魔!」

折紙と誘宵美九がぶつかり合う。折紙が一旦、上空まで下がると誘宵美九は士道達を忘れたかのように折紙を追いかけて、又しても折紙のレイザーブレイドと美九の霊力がぶつかり合っている。

と、同時にーー

 

『士道、聞こえる?今回は一旦、引きなさい』

「え…あ、あぁ…分かった」

 

何時もなら目の前にいる精霊を何もせずに退くなど士道はしたくないが今回はさすがの士道も理解しているので、琴里の言葉を素直に受け入れた。

そして、士道達を何時もの浮遊感が襲ったーー

 

ーーー

ーー

 

「まったく何なんだよあいつは!」

フラクシナスに戻って直ぐに左之助が愚痴を漏らす、あの場で左之助もよくあそこで止めることが出来た。左之助にしては上出来な方だろう。

「でも、あれは流石に俺も参ったよ…」

「そうね。確かにあった瞬間にあそこまで嫌悪を示されちゃ士道じゃなくても参るわよ」

その場が静かになる。

「ーーそう言えば緋村さんと千琥ちゃんは?」

宗次郎がこの場に居ない剣心と千琥の名前を出す。それに連なって他の面々も「確かに」と口を揃えて言い始める。琴里がそれに対してーー

「剣心と千琥には別の仕事をしてもらってるわ」

「そう…それならいいんだけど」

ーー

その後、先程の誘宵美九に対してこれからどう接近していくのかを考えるも良い案は中々出ず、明日も普通に学校なり何なりが有るためキリの良いところで今夜は打ち切られた。

 

「あれで良かったのかね?」

令音が皆が去った後の会議室で令音と二人だけになった琴里に問いかける。琴里は質問の意図が分からないのか首を少し傾けて、目を開ける。

「剣心と千琥の事さ。あれでは皆が気になるのではないかい?」

「あぁ…そういうことね。でも、本当の事なんだから仕方ないじゃない。それに、もしあの場で上手く誤魔化していても何時かは気にし始めるわよ」

 

ーーー

ーー

 

~琴里と剣心の会話まで遡る~

 

剣心が会議室を後にする前ーー

「分かった…なら今回のその仕事、千琥もこっちに入れて貰っても良いでござるか?」

「…どうして?」

「一人だと少し荷が重い。千琥なら動揺もせずに力になってくれる筈でござる」

確かに、剣心一人に今回のこの出来事を抱え込んでもらうのは流石にやり過ぎかもしれない。そう思った琴里は剣心のその願いを許可したのだった。

 

ーー

ーーー

 

「確かに剣心にあれを一人で抱え込ませるのは些か愚かだったわ。千琥なら士道達に漏らすことも無いでしょうから大丈夫よ」

「そうだといいがね…」

 

ーーー

ーー

 

~剣心・千琥side~

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?琴里ちゃんが居なくなっちゃうのぉぉぉ!!?」

「い、いや…落ち着いてくれ千琥。まだ、時間あるからその間に拙者と二人で……」

「そ、そんな~…私そんなの堪えられないよ…。琴里ちゃんが居なくなっちゃうかも知れないのにそれを知らない士道君達も可哀想だし、それでも尚黙ってなくちゃいけない立場なんて私には無理!絶対に無理だよ!!」

家に帰り、千琥に今回の琴里の件について話したが、思っていたこととは真逆だったのだ。流石の剣心もこれには驚きである。

(これは……失敗したなぁ…)

心の中ではそう思いつつも「大丈夫」と必死で千琥を激励する。すると、段々と千琥も大人しくなっていきやっと今回の事の手伝いをしてくれることを了承してくれた。

「でも、どうやって皆にバレないようにして【ディーヴァ】の封印を急ぐの?」

千琥からの単純な質問。しかし、本題は確かにそれだ。如何に、士道達にバレずに【ディーヴァ】の封印を急ぎ、琴里の霊力再封印をするか。ましてや、一番の問題は【ディーヴァ】である。モニターで見ていた様子じゃ120%で男嫌いの女好きだ。となると、今回剣心の出番は極めて少なくなり逆に、千琥の活躍に期待するしかないのだ。

「弱ったなぁ……」

剣心は自分の頭を掻いて情けない声音で呟いた。

 

ーーー

ーー

 

~DEM社~

 

「失礼します」

イギリスにあるDEM本社。その中でも最上層の部屋であるこの『社長室』に一人の女性が入ってきた。

「おやおや、どうしたんだいエレン?」

「いえ、二つ報告がありまして…アイクに伝えようかと」

エレン・M・メイザースは社長室の奥にあるブロンドガラスの前に立っている男。アイザック・ウェストコットにそう告げた。

「二つの…報告かい?」

「えぇ…まずは【ディーヴァ】の霊力反応を捉らえました」

すると、エレンは直ぐ側にある大画面のスクリーンに【ディーヴァ】の顔や詳細を映し出してウェストコットに見せた。ウェストコットもそれを見て不気味に笑うとーー

「いいね。今回も霊結晶を奪うのと緋村剣心や五河士道達

をここへ招いてあげよう…万全の状態でね」

「はい……」

エレンが自分の胸元を見る。そこには大きく斜めに斬り付けられた痕が残っていた。エレンの顔が段々と歪み出す。

「エレン、今回は運良く我々DEMの顕現装置の能力効果が良かったから君は一命をとりとめたが次無茶をしたらどうなっても知らないよ?」

そう。エレンは2年ほど前、或美島で瀬田宗次郎と時崎狂三に敗北しその間に宗次郎に体を大きく斬られ死亡した

ーー筈だった。

 

しかし、エレンは直ぐ様にDEMの新型顕現装置による治療によりつい先日目を覚ましたのだ。本当なら天宮市でのミルーシャやアダム、アルテミシア等と一緒にラタトスクメンバーを根絶やしにしたかったが何せ2年寝たきりだった為に体は上手く動かなく、断念した。

 

「今回は大丈夫ですアイク。必ずや根絶やしにしてみせますこの手で……」

「…あぁ、楽しみにしてるよ。所で、もう1つの報告はなんだい?」

「イヴ・ユリカエルが先程目を覚ましました。身心共に大丈夫の様です」

 

イヴ・ユリカエル。こちらも先日の緋村剣心、輝ヶ谷千琥戦で負傷した、アダム・ユリカエルの妹であり、一般の魔術師とは違い、特別な能力を有した『特別魔術師』である。この特別魔術師はその強力な能力の代わりに顕現装置、随意領域を使えないという欠点があった。それを克服し従来よりも素晴らしい顕現装置、随意領域を使いこなせる最強の特別魔術師なのだ。

 

「…!それは吉報だね。これで完全にこちらの準備は万端だ…ふふ、次会うときが楽しみだよ緋村剣心」

 

アイザック・ウェストコットの不気味な笑みがブロンドガラスの反射で映されていた

 

ーーー

ーー

 

~次の日、ラタトスクにて~

 

「考えついたわ【ディーヴァ】。誘宵美九への接近方法をね」

琴里が全員を召集し、開口一番の台詞だった。皆、昨夜必死に考えて思い浮かばなかった作戦が、決まったのだ。皆『おぉ』と声を上げる。

「それでどんな作戦なのだ琴里?」

十香が聞きたくて仕方がない子供の様にはしゃいでいる。

「これを見てちょうだい」

琴里はポケットから1つのポスターを手に出した。そこにはーー

 

『誘宵美九、天宮祭に見参!!!

一緒に歌って、踊って、楽しもう!!』

 

と書かれた物だった。天宮祭は確かに毎年やっている結構大きな祭りだ。誘宵美九が来ても可笑しくはない。

「それでこれがどうしたんだ?」

「この時、私達は彼女に接近するわ。今回、周りには一般客が大勢いる。昨日みたいな霊力は愚か、あんな罵倒なんて不可能よ…誘宵美九の問題に関わるからね」

「確かに…そうなると彼女も大人しくしてくれるから僕達の話を聞いてくれるだろうね」

琴里の考えに宗次郎が賛成し皆も、良案だと賛成した。一人を除いてはーー

「おぉ…祭りか!楽しみだな千琥!!」

十香である。祭りと聞いた彼女は食べ物が頭で一杯なのだろう。相変わらずである。

「え…えぇ…そうね。楽しみね…」

ぼおっとしていた千琥に十香は違和感を感じた。それは皆も同じでその場でその理由を知ってるのは琴里と剣心と令音だけであった。

「どうかしたのか千琥?元気がないが……」

「え?そ、そんな事ないわ考え事してただけよ!楽しみね十香」

「む、むぅ…そうか?なら良いのだが」

(……千琥…)

剣心は昨夜、千琥に話すべきでは無かったと心の中で思い始めていた。しかし、もう遅い。こうなった以上は千琥にも働いて貰わなくてはならない。

 

「天宮祭は今日の夜!各自、準備をしておくこと!じゃあ解散」

琴里のその言葉で皆が散っていく。その場に残ったのは琴里、剣心、千琥、令音の四人。つまりーー

 

「いい剣心、千琥?今日が勝負よ…呉々も冷静に落ち着いてね。期待してるわ」

「あぁ…任せるでござる」

「えぇ…」

 

ーーー

ーー

 

~DEMside~

 

「準備はいいですか?皆さん?」

「あぁ…問題ない」

「…私も」

「クソ、緋村剣心!絶対にボコボコにしてやる!」

「やめなさいミルーシャ。女の子が言う言葉じゃないわよ」

「…」

「ミルーシャお前もか!俺も相楽左之助には今度は負けねぇぞ!!」

「ちっ…あんた等と一緒に居るのは嫌だけどウェストコット様の命令なら仕方ないワ。私も八舞姉妹は必ず殺ス。マナもネ」

 

順にエレン・M・メイザース。アダム、イヴ・ユリカエル。ミルーシャ・ダラビィ。アルテミシア・ベル・アシュクロフト。城宮悠仁。岩丈岱。ジェシカ・ベイリー。

更に、下級魔術師やバンダースナッチを含めた凡そ1000の軍勢がDEM社の前に集まっていた。

 

「素晴らしい眺めだね君達」

 

彼彼女らの後ろから聞こえてくる声の主はアイザック・ウェストコット。8人の有力魔術師達の先頭に立ち、眼下に広がる1000の兵達を見据えーー

 

「我々DEMとラタトスクの総力戦だ。さぁーー行こうか皆」

 

 

ーーー

ーー

 

風が吹く。暑いこの季節に冷たい風がーー

 

ここから先の未来は誰にも分からない。

緋村剣心、相楽左之助、瀬田宗次郎。そして、志々雄真実。

彼等は有るべき未来を大きく変えた。だから、これから先の未来を知っていた我が主でさえ分からなくなってしまった。

(まったく…あの方は何を考えておられる)

 

我が主は女。我が主に仕えるのは我だけ。なのに、あの方の正体や目的は我でさえ分からぬ。

只、今回あの方に与えられた命はこれだけーー

 

『ラタトスクとDEMの戦争を止める』

 

何を言ってるのか分からないがどうやら今夜起こるらしい。だから、今ここに居るーー

 

我は一人で国を救うことも滅ぼすことも出来る力を持つ者なり

 

1つの戦争を止めることなど朝飯前だ。必ずや、あの方に【成功】の二文字をーー

 

 

 

 

 

 

 

「我が主は【天宮神・奏】。そして我が名は誅邪なり」

 

 




どうも、こうけーです。
さぁ、かなり動かしました。ラタトスク、DEMに続いて新たな勢力が!!
まぁ、でもこの新たな勢力はそんなややこしいヤツじゃないんで大丈夫ですよ。それに【天宮神・奏←】なんて物語中に何回か出てきてますからね?笑笑
とりあえず、次も頑張ります。
感想待ってます。では
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