「…何だその姿は?」
剣心と千琥の前に男の子か女の子も分からないような子供が立っている。
だが、その姿はどうみても先程まで戦っていたアダム・イヴ二人を組み合わせたものだった。
「…これはリンク魔法【絶対支配(アセルト・センソ)】。DEMのアデプタスNo.を持つ者なら全員が使える者だ」
「リンク魔法?」
「あぁ…多少ハンデがあるが、発動者の特殊能力を数段階引き上げる技だ。体を武器にするもの、身体能力を上げるもの、永続的に魔法を使えるようにするもの…能力は各々だ」
「…ならお主達のはーー」
「二人の技を一つにするということだ…俺が相手の脳に入り込むと共同体であるイヴがその神経を麻痺させる。その手間を1人で行えるわけだ」
「それなら二人の時とあまり変わらないだろう…何か他にあるんじゃないのか?」
「流石だな緋村剣心。周りを見てみろ」
剣心は言われる通りに自分の周りを見渡す。すると、自分達のいる場所付近が少し色づいていた。
「…これは?」
「これが俺達のリンク特殊魔法だ。この領域に居る対象の相手は俺達の思いのままになる…例えばーー」
途端、剣心と千琥がそれぞれ持っていた武器を地面に落としてしまった。この感覚は剣心には覚えがある。
初めてアダム・イヴに会ったときに食らった感覚麻痺だ。しかし、おかしかった。対象は1人だけだった筈…それが今千琥も同時に武器を落とした。
「…まさかーー」
「あぁ…そのまさかさ。対象は無限だ。更に自分達の神経、細胞、筋肉全てを超活性化させることだって出来る。つまり見方の能力も上げ、且つ敵を弱体化させる事の出来る。最強の矛と盾と言うわけだ」
「そ、そんな…無茶苦茶な」
千琥の顔が歪んでいく。確かにこれは中々の無茶苦茶な能力だった。
「でも…デメリットもある。それはこのリンク魔法は全員が5分しか使えないと言うことーー」
その言葉が剣心達の唯一のリンク魔法に対する手段だった。
「なら、5分間堪えるまでだ…」
剣心がそう言うとアダムはまるで弱者を見下ろすかの様な笑みで剣心を見た。そしてーー
「ーーと言いたいところだが生憎そんなハンデはとっくに克服しているんでな俺達は」
耳を疑いたくなるような言葉だった。そして、この時剣心と千琥の唯一の対抗手段が無くなった。
「な…んだと?」
「…俺達が何故エレンの後釜でアデプタスNo.1の称号を持っていたのか…おかしいと思っただろう?あのアデプタスNo.1が緋村剣心と戦わずして降参した…初めて戦ったときはイヴが直ぐにやられた…アイツ等がアデプタスNo.1ならそれに勝った緋村剣心と同じくらい強い相楽左之助、瀬田宗次郎ならアイツ等より弱いアデプタスNo.2以下なんて目じゃ無いとーー」
ゆっくりとアダムが剣心に近づき始める。
「この前、俺が戦わなかったのはイヴが居なかったから…ただそれだけだ」
「…じゃあ初めて戦ったときに何でこの魔法を使わなかったのよ?」
絶対的な敗北が振り掛かる千琥のその質問。
「始めから自分の全てをさらけ出すバカが何処にいる…俺とイブがアデプタスNo.1の理由は他の奴等には制限のあるリンク魔法を俺達は無制限にした…それが理由だ」
遂に剣心と千琥の前まで歩んだアダム。すると、彼は千琥の耳に手を当てーー
「…あれ?」
千琥が目を見開き自分の手を耳に何度も触れさせてまるで耳があるのかを確認する様な仕草をした。そしてーー
「耳が聞こえない…」
「…!アダム貴様!!」
剣心が怒りを露にする。しかしここでアダムは驚きの言葉を告げたーー
「少しの間だけ聴覚を奪っただけだ終わったら治してやる。そしてお前に今から俺とイブの過去を話そう…そしてDEMの真の目的も話してやる。自信を持って言ってやる…それを聞いたらお前はDEMに来る」
「なに?」
ーーー
ーー
ー
「あらあら…そんなものですの天下のアデプタスNo.3ともあろうお方が?」
「また……出てきたのね…ふふ、偉そうに言ってくれるじゃない」
「だってーー」
狂三とアルテミシアの周りには壊れたバンダースナッチや気を失った魔術師達、アルテミシアの軍団に居た者達が全員倒れていた。そして、アルテミシアもまた傷を負い、誰がどうみても狂三の優勢としか思えない絵面だった。
「確かに流石は最重要警戒の【ナイトメア】だわ。でもね?私だってただヤられる程弱くないのよ?」
すると、狂三の周りをアルテミシアの随意領域が包み込む。その領域内の狂三はまるで宇宙空間に投げられた様に無重力になり注へ浮かぶ。
「それで影に潜り込むことは出来ないわよ…?」
「本当ですわ…これはふふ…大変…大変」
馬鹿にする様に狂三が笑う。ピンチに追い込まれてるのにずいぶんな余裕である。アルテミシアの苛立ちは更に積もっていった。
「そう言うところも流石はナイトメアね…人間じゃない貴方は自分の今の立場を分かってないのかしら?」
「いいえ?私は十分に今の状況を分かっていますわよ?
私に貴方の兵は一瞬で崩されて、貴方自信も私にボロボロにされ、今は私を無抵抗にさせて優越に浸ってるけども実はワザと食らっているのに気づいてない愚か者だと…ね」
「……っな!?この…くそやろうがぁぁぁぁぁ!」
「あらあら…女の子がそんな汚い言葉を発するものではありませんわよ!」
アルテミシアの堪忍袋は遂に切れ、激昂し狂三に近づいてくる。狂三も短銃と歩兵銃をアルテミシアに向けて何発か発砲する。当然その程度の攻撃ではアルテミシアは軽々しくレイザーブレードで弾を弾く。そして、アルテミシアのレイザーブレードが狂三へ振り下ろされるが狂三はそれを避けずに受け止めた。当然のごとく避けなかった狂三からは切られた胸部から血が流れ出したーー
「何だ…只の見栄だったんじゃない…格好悪いわね」
「…ぁ……」
崩れる狂三の首元にレイザーブレードの剣先を触れさせる。アルテミシアはやってやったと言わんばかりの満面の笑みを浮かべ、対の狂三は苦悶に満ちた表情をしていた。
「これで…チェックメイトよ…ばいばーいナイトメア?」
勢い良く、レイザーブレードを狂三の喉に射し込む。
すると、狂三の目が完全に死人の目と化しアルテミシアは絶対的な勝利を感じた。
「ふふ、やっぱり精霊に負ける器じゃないのよ私は……ふふ…ふふふふふ…あははは!」
最重要警戒の【ナイトメア】を倒したのだ。これはウェストコットに誉めて貰えるに違いない。そして、翌々はNo.2も有り得るかも……流石にアダム・イヴを抜かそうと思うとアイツ等の化け物染みた能力を越える力を得なければならない。それは流石にキツい。とりあえずは今回の戦いでミルーシャが下手を外せば自分はNo.2だ。
そう考えた途端、自分がNo.2になった姿が頭に浮かぶ。
「あぁ…悪くないわね」
その頭の中の自分の姿に見とれてしまう。そこにーー
「あらあら…そんなだらしない顔をなさってどうしたんです?」
「…?!」
すると地面の影から先程殺した狂三が再び現れた。
「…どういうことさっきのは本体の筈でしょ」
先程、アルテミシアが戦っていたのは2番目の狂三だった。まだ魔術師達が壊滅する前に一度心臓を貫き殺した筈が実は分身だったーー。それは予想の範囲内だった。そしてさっきまで戦っていた狂三こそが自分の最初に戦った時崎狂三=ナイトメアの本体だと思っていた。
しかし、今こうして第3の狂三が現れた。狂三はキヒヒとアルテミシアを哀れむように馬鹿にするように笑みを溢す。
「…なんなのよ…一体あんたは…何が本当なのよ!」
「お教えしましょうか?知らぬ方が良いと思いますけど…」
「なによ…言ってみなさいよ」
狂三は軽く折角の思いやりを無下にされた事からの溜め息を吐くとーー
「貴方、既に私の【
「…何よそれ」
「貴方が先程こちらに向かってくるときに弾いた銃弾が原因ですの。この技は私が貴方に勝った時、もしくは貴方が敗けを認めた時に解除してあげますわ。確かに貴方が戦ってる私は本体…でも貴方が私を殺した瞬間にこの世界はリセットされる」
「…そ、そんなのじゃあいくら私が殺したって…」
「えぇ…世界は貴方がこの技を食らった瞬間から再び始まるだけですわよ」
アルテミシアが腰を抜かしたかの様にその場にへたり込む。そんなアルテミシアに追い討ちをかけるかの様に狂三はーー
「もうかれこれ10回くらいこの場面を繰り返してますわね…貴方は2体目であり本体である私を殺したつもりでしょうけど実際は10体目の本体の私を殺して今から11体目の私を殺そうとしてるところですわね…あら?でも実際は殺される前に戻ってるから2体目の私を殺すところで回ってるのかしら?あらあら…私までややこしくなってきましたわ」
「…もうなんなのよ…一体。あんたは一体何者なの…よ」
完全に戦う気を失ってしまったアルテミシアに近づく狂三。まさか技の種明かしをしただけでこんなことになるなんてーー思ってたよりもアデプタスNo.3は弱かったようだ。
そう思いながら、狂三はアルテミシアの前まで来ると銃口を彼女の額に当てる。先程のアルテミシアが狂三に剣先を喉元に当てていたときとほぼ同じシーンだった。
「私が何者かって…貴方もよく知ってるでしょう?私は只の最重要警戒の精霊【ナイトメア】なだけですわよ?」
そして狂三は銃の引き金を引いたーー
「さようなら」
夜の戦艦アルバテルに銃声が響き渡ったーー
ー
ーー
ーーー
「ぁ……ぁぁぁ……」
完全に気を失っているアルテミシアを確認し狂三は全滅したアルテミシアの軍団を見渡すと少し満足げにその場を去ったーー
ーーー
ーー
ー
「こんのやらぁ!!」
「ふんがぁ!!」
1つの戦艦の上ではお互い上半身裸で筋肉を鼓舞してるかのような二人が拳と拳で戦っていた。
「おらよぉ!」
「ふぇあ!!!」
周りに居る魔術師誰1人として彼らの戦いに割り込もうとする者は居ないほど彼等の戦いはむさ苦しかった。
聞こえてくるのは短い「おら」「ふん」「おっ」などの言葉だけ、行われるのはお互い殴りあってその時に自分の体の筋肉で受け止める。何のスリルも無い、子供の喧嘩にしか見えなかった。
しかし、事態は突如として急変したーー
「おらよ!」
「……がぁ!?」
左之助の拳が岱の腹を殴ると遂に先に岱が声が漏らした。
「へへ…今回も俺の勝ちが見えてきたな」
「…まだまだこれからだぜ勝負は!いくぜリンク魔法【
すると、岱の血管が破裂しそうな程膨れ上がり、同時に彼の筋肉も膨れ上がりだした。そして、膨張が終わったときの彼の大きさはふた回り程大きなものとなっていた。
「な、なんじゃこりゃあ!?」
「はっはっはっ!驚いたか相楽左之助!!これが俺の筋肉だ!!!」
岱がその大きな体でマッスルポーズを取る。正直言って誰もその姿に惹かれるものはその場に居なかった。
「デカくなってくれたんならありがてぇ…俺の二重の極みの能力が光るぜ!」
左之助は己の拳を握り直すと岱の腹部を勢い良く殴り、そこから二重の極みの本領である防御0からの打撃を食らわせる。だが、怯むことは愚か呻き声一つさえ溢さなかった
「な、なに!?」
「ふん…ぬるいなぁ!!」
左之助は顔面を殴られ後ろへ吹き飛んだ。
「…なんで…効かねぇん…だ?」
「俺の筋肉を其処らの筋肉と同じにするなよ?俺のは筋肉を越えた筋肉!其処らの筋肉よりも固くそして強い!!」
((いやそれ結局一緒だろ))
岱が謎のポーズを決めて、周りの戦意を無くした魔術師達が心のなかでツッコミを入れる。
「さぁ…相楽左之助。お前に俺の筋肉は倒せねぇぜ!?」
「…ふんーー俺は其処らの筋肉馬鹿とは違うぜ?何処が筋肉じゃないかをよく知ってる…いくぜ!!」
「来い!!」
左之助は岱に真正面から突っ込んでいく。そして二重の極みを再度放つが当然岱に吹き飛ばされる。しかし、左之助は何度も同じことを繰り返した。殴っては殴られ殴っては殴られ…何度経ったか分からなくなった頃に事態は一気に終わりを迎えたーー
「うぉ…ぉぉぉぉぉ!」
「もう横綱相撲を取るのも飽きたわ!!死ね相楽左之助ぇぇぇぇ!」
岱が左之助が殴る前に痺れを切らし、襲い掛かる。それを左之助は待っていたかのように寸の所で避わし岱の背後に回り込む。そして彼が完全に体重を前に掛けた状態の今、自分の両手の人差し指と中指をくっ付けしゃがみ込みある岱の一点に狙いを定めるーー
「…お前まさか…!?」
「これで終わりだぜ岱!!【二重の浣腸】!!」
勢い良く左之助指が彼の肛門へとインされる…更に完全に入った状態から更に押し込んでいき指だけで彼を大地から隔離したーー
「の…ぉぉぉぉぉぁぁぁぇぇぇぇぇぅぅぅぅぅ!?」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
岱の顔が一気に青ざめていく…そして遂に彼はその場に膝を突き手で尻を抑えて倒れ込む。
「ががぁぁぁぁ…こ、この、やろぁぁぁ…!」
「へへわりぃな岱…これがお前の弱点だ」
((いや皆弱点だよ))
崩れ込む岱、誇らしげな左之助、それを冷たい目で見る周りの魔術師達ーー
「く…おれの…負けだぜ…まさか俺の筋肉にそんな弱点があるな…んて…な」
そして岱は意識を失った…
「よし…大将がこうなったんだ他に俺とやりてぇやつはいるか?」
勿論、その問いに答えるものは居なかった
恐らく、ここが最も平和な戦いになっただろう
ーーー
ーー
ー
「ーーと言うわけだ。どうだ気は変わったか?」
「……本当にそうなのか?」
「あぁ…これが俺達の全てだ」
(何?何を話してるの?どうして剣心黙り混んでるのよ?)
聴覚を奪われた千琥はアダムと剣心の会話をただ見つめることしかできなかった。しかし、剣心が話の途中から何やら黙り込み、何かと葛藤しているように見える。
「…それが理由で御主達は精霊と戦っているのか?」
「あぁ…そうだ」
少しの間、剣心は何も言わず只黙り込み、其処らから聞こえる爆発音に耳を傾ける。
(…もしDEMの目的が本当なら拙者はーーDEMの味方にならなくてはいけない…しかし、拙者は士道殿を琴里殿を裏切って良いのか?どんな理由であろうとも今の拙者があるのは彼等のお陰だ。拙者は彼等を裏切ってはいけない…)
あらゆる物が入り交じる。横に居る千琥も心配そうに自分の顔を見つめている。
「……時間をくれぬか?」
「…良いだろう。しかし長くは待てんぞ?この戦いの終わりまでには決めてもらう…いいな?」
「…あぁ」
そう言うと、アダムは再び千琥の耳に手を触れさせる。
「…ぁ…聞こえる…って剣心どうしたのその汗!?」
「…ぇ?あぁ…問題ないさ。うん。問題ない」
「ーー?そうなら良いけど…」
そこで千琥のインカムに連絡が入る。
『もしもし聞こえる千琥?』
その声の主は勿論琴里だった。
「うん聞こえるよ」
『…落ち着いて聞いてちょうだい?』
「えぇ…なに?」
『ディーヴァがピンチなの…場所は貴方が一番近いわ狂三も応援に行かせてあるから向かってちょうだい』
「え?でも剣心がーー『絶対に剣心は近づかせないで!!』ーー!?わ、分かったわ…!」
急に琴里が声を荒げるので驚いた千琥だがOKを出してしまった以上はディーヴァの救援に行かなくてはならない。
「ごめん剣心。ディーヴァがピンチらしいから助けに行ってくるね…」
「あぁ分かった…気を付けろよ」
千琥が艦から去っていくーー
「良かったなお前の考えを鈍らせる奴が消えて」
「…確かにな。しかし、お前達本当にそれがすべて事実なら俺はお前らを決して許さないぞ?」
剣心が今までにないほどに強く睨み付ける。だがアダムは何も怯むことなくーー
「それは構わん…実際に俺は元々それに反対派だった。だがエレンが強くその計画を推してな…」
「エレンが…確かにアイツなら推すだろうな」
すると剣心のインカムにも連絡が入る。
「…どうしたでござるか?」
『あ、剣心大丈夫?千琥をその場から離しちゃったけど…』
「あぁ…問題無いでござるよ」
『呉々も無茶は駄目よ?貴方は士道と同じですぐに無茶するから…私は心配よ』
「はは…大丈夫でござるよ」
『どうしたの剣心?何か元気無いわよ?』
「……戦いの最中だから切るでござるよ…失礼」
『あ、ちょ!けんーー』
剣心はそこで無理やりインカムとの通信を遮断する。琴里達に今の自分を見せるわけにはいかない。
それに気付いてしまった…琴里の優しさに…そして再認識した士道達の優しさに存在の大きさに…だからこそ、剣心の気持ちはある方へと固まっていくーー
「…アダム」
「何だ?」
「その話…乗らせてもらおう」
あくまでも自分はこの世界では異物…
あくまでも自分はこの世界に存在しない者
あくまでも自分はラタトスク…精霊を救う人間でなくてはならない。
だからこそ自分は自分のやり方で彼女達を救おう…例え士道を精霊達を敵に回しても、嫌われても、それでも自分1人が敵に回るだけで彼女達が真の平和を手に入れられるならーー
自分は敵にだって、悪魔にだってなってやろう。
それがこの世界での緋村剣心だ
ーーー
ーー
ー
【聞こえる誅邪?】
「どうした奏?」
誅邪はボロボロの姿の美九を片手に返事をする。
【…どうやら任務失敗ね】
「もう寝返ったか…早かったな」
【えぇ…でも殺せば済む話よ。出来ればラタトスクのままにしておきたかったけどーー】
「そうだな…アイツが裏切らなければお前は精霊にーー」
【その言葉はもう口にしない約束でしょ?】
「そうだったな…すまない。だが必ずや緋村剣心は我が殺すーーとりあえず先に貴様だディーヴァ」
必死に足掻く美九、しかし口を押さえられ何もすることが出来ない。ここで死ぬのかと、そう思い決心し目を瞑るーー
「させないわよ!!」
そこで誅邪に雷が降り注いだーー
その寸前に防御に入るために誅邪は美九を投げ捨てていた。
「大丈夫ですの美九さん?」
「へ?貴方は?」
突如横の影から出てきた女に美九は驚いた。しかし、助けてくれたことは確かだろう。そう思うと次第にその女にも向こうで誅邪と対峙している白色の髪の女にも警戒を解いてしまったーー
「とりあえず貴方はここに居てくださいまし…私と千琥さんで何とかしますんで」
「え、あ、はい。わかりましたぁ…」
ーーー
ーー
ー
「…輝ヶ谷千琥」
「何で私の名前を知ってるの?」
「…済まないな」
「え?」
途端に男は千琥に頭を下げた。どういう意味か全く分からない千琥ーー
「な、なんなのよいきなり?」
「…いや、何でもない。だが、お前も我を倒しに来たんだろう?」
「まぁ、そこのディーヴァを傷つけるなら倒さなくちゃいけないしね」
「…なら仕方がない。我に歯向かうものは神だろうと人だろうと殺すーー例え、精霊であってもな」
誅邪が先程の雷で焦げたマントを外して攻撃の体制に入る。
見ると腕に恐らく胴体にも恐ろしいほどの傷跡があるのが見受けられた。
「来ますわよ千琥さん。何やら気持ち悪い霊力ですわ…気を付けて下さいまし」
「えぇ…分かったわ」
「行くぞ…!」
【グリエル】と【ナイトメア】。最重要警戒レベルのナイトメアとそれを遥かに凌駕する力を持つグリエル。
それに対するは残虐なる男ーー誅邪。
強大な力同士がぶつかり合うーー
汚い描写が含まれています。申し訳ありません。
どうもこうけーです。
さて、悠仁、岱、アルテミシア、ベイリーが負けました。残り半分ですね。
しかし、狂三の能力も中々ですね。書いてて自分もこんがらがりました…
アダムの力もチート化しすぎた…
さて、物語はかなりここでまた動きました。ここからどうなっていくかは次回で!
ではまた!