もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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良いサブタイトルが思いつかない…


消失

 

その戦いに近くに居た魔術師達は息を飲むことしか出来なかった。

先程から目に見えない早さで動き、秒で何回ぶつかり合っているか分からない剣と剣の音。自分達が手の出せるレベルの戦いではない事はその場に居るもの全員が理解していた。

「ありゃ…中々、思い通りにはやられてくれないね…」

「当たり前です。前の借りはちゃんと返させて頂きますよ」

宗次郎とエレン。お互い、特殊な能力を併せ持たないが十分化け物染みた力を持つもの同士ーー

宗次郎の強さにも心底肝を冷やすが、それよりもエレンの方が明らかに化け物染みていた。

約2年、眠り続けていたにも関わらず随意領域(テリトリー)を完璧に駆使し、動かしていなかった体で宗次郎の縮地の速さに付いていっている。更には一見互角に見える今の戦いだが少しだがエレンが圧している様に見える。この2年間鍛えてきた自分達がここ最近で目を覚まし、ブランクを抱える筈のエレンより劣っていること、そして改めてエレン・M・メイザースの強さを思い知らされた魔術師達。

「瀬田宗次郎…少し弱くなりましたか?」

「え…本当に?自分では少しは成長したつもりなんだけどな…」

「いえいえ、もしかしたら私が貴方よりも上に立っているだけかもしれませんよ?」

「ははは…確かにそれなら納得だね」

そんな会話をしている間も二人の攻撃は止まらない。エレンが随意領域(テリトリー)を広げて宗次郎に何倍もの重力を掛けるが宗次郎は気にも留めず動き回る。また、宗次郎の剣撃がエレンに襲い掛かる時にはエレンの秀でた剣術がそれを受け流す。一般の魔術師達には到底出来ない戦いをかれこれ数十分はしているだろう。

「でも、僕も別に君と長く戦いたい訳じゃないからね…そろそろ、御開きにしない?」

「別に構いませんよ?勝つのは私ですから…!」

 

すると、一気にエレンは随意領域(テリトリー)の範囲を広げて更に何倍、何十倍もの重力を宗次郎に掛ける。

「…っ!」

流石の宗次郎もそれには耐えきれない様子で地面に足がめり込んでいる。エレンはその重力を切らさずに宗次郎の首目掛けてレイザーブレードを振り下ろす。

(終わりだ!)

エレンは勝利を確信していた。この何倍にも強く凝縮した随意領域(テリトリー)には幾ら瀬田宗次郎であろうと簡単には抜け出せないと…。だが万が一の可能性も有るから素早く的確に瀬田宗次郎の命を摘み取る行動に移した。

もう宗次郎の首の寸での所までレイザーブレードが来ている。胸の高鳴りが大きくなっていく…この2年間何も出来ずにただ眠り続けていた弱い自分との決別への欲、宗次郎への溜まりに溜まった復讐心からの解放。

(遂にこれで私が再びこの世界での最強だ!)

 

そして、レイザーブレードが宗次郎の首を斬ったーー

 

ーーー

ーー

 

 

「ふふ…ふははは!」

達成感からの笑いが込み上げてくる。別にアデプタスNo.1ならアダム・イヴにくれてやる。自分は再び最強である証が手に入ったのだから…。

「さて、私の相手は終わりました。進軍を再開しますよ」

「「「はっ!」」」

アイクも別に必要の無い魔術師を自分にまで付けた事には今も少し不服をもっている。

幾ら、自分が病み上がりとは言えどもそこまで柔な人間ではない。それはアイクが一番良く理解してくれてると思っていたのだが…まだまだアイクの信用が足りないようである。これは、今回の戦いで精霊達、全ての霊結晶(セフィラ)を手にすればアイクも認めてくれるだろう。

「まずは一番厄介なナイトメアから行きますか…」

彼女もまた私が敗北したと言って良い相手だ。2年前、彼女の能力がなければ瀬田宗次郎には勝っていたのだから。

「まぁ、瀬田宗次郎程苦戦する相手ではないですからね…少し気が楽になりますね」

そう言い、先程首を切り落とした宗次郎の遺体を見るとーー

 

「……ない?」

 

無かったのだ先程までそこに置いておいた筈の宗次郎の遺体が。

そこにーー

 

「いや~危なかったよ。これがなかったら死んでたね」

 

そう言い、宗次郎が再び現れたのはーー

 

 

影の中からだった。

 

「…!?どういうことです?それはナイトメアの力では…」

「そうだよ。これは狂三の力さ」

平然と影の中から現れた宗次郎の首元には当然先程の傷は無かった。

「なんで貴方がナイトメアの力を?」

「簡単な話だよ。ちょっと狂三の霊力を貰っただけさ」

「そ、そんな事が出来るわけないでしょう!」

「いや、恐らく皆出来るよ?人間と精霊との間に本当の繋がりが有ったら…ね?」

エレンは別に何も変わっていない筈の宗次郎に妙な恐怖を覚える。ナイトメアの霊力を手にしただけだが宗次郎が持つとなると何が起こるか分からない。変な汗が出てきて、心臓の動きが早くなる。次第には喉が潤いを無くし始めて、宗次郎の後ろにあの大きな時計盤が見える。それが幻覚なのか本物なのかはエレンには分からない。

しかし、宗次郎にはあれ(時計盤)を使う短銃と歩兵銃が無い。結局は普段と変わらない筈ーー

「ま、まぁ…もう一度切り落とせば済む話です!!」

再び、随意領域(テリトリー)を展開、何十倍もの重力を発生させる。そうすると、宗次郎の足が再び地面にめり込んでいく。

さっきと同じ展開にエレンはナイトメアの能力は見せかけだと確信した。

「次こそ!!」

レイザーブレードを再び振り下ろすと今回は宗次郎も多少の抵抗のつもりで【菊一文字】をエレンに振るうが、それはいとも簡単にレイザーブレードで弾かれる。

「ふふ、これでおわーー」

エレンの言葉はそこで打ち切られた。周りの魔術師から見るとエレンだけがその場で時間が止まった様に動かない。それは狂三のⅦの弾(ザイン)の能力に他なら無かった。

「凄いでしょ?精霊の力って…確かにこんな力が手に入ったら誰もが欲するに決まってる…だから僕は正しい使い方でこの力を使う様に心掛けてるんだ」

止まっているエレンにゆっくりと近づく宗次郎。

「君達はきっとこの力を悪い様に使う為に僕達に対抗して得ようとしてるんでしょ?それなら僕は断固として君達にこの力を渡さない。別に、狂三の為とかそんなんじゃなくてラタトスクの一員として、僕は彼女達を守るよ」

エレンの目の前まで来ると宗次郎は放出していた霊力を消し、只の剣へと戻った宗次郎の【菊一文字】の剣先をエレンの胸元に当てる。

「君は僕を殺そうとしたけど僕は君を殺さない。だって僕はもう君を一度殺してるんだから…だから、今度は生き長らえたその命を大切にして欲しいんだ。一度死んで何も出来なかった自分を知ってるからこそ…でも、君に僕の声は届かない。だから、君の武器を壊させて貰うよーー起きた時には君は只の人間さ」

 

そう言い、宗次郎はエレンのCRーユニット【ペンドラゴン】の核となっている部分に亀裂入れた。

 

ーーー

ーー

 

『く…あいつやっぱり無茶苦茶な能力だよ四糸乃』

「う…うん……でも、戦わなくちゃ…」

ずっと逃げ回り続けている四糸乃と【氷結傀儡】(ザドキエル)と化したよしのん。それに対して、無暗やたらに爆発球と消失球を投げ飛ばすミルーシャ。

「ほら、どないしてん!さっきみたいに凍らしてみいや!」

手を止めないミルーシャ。フラクシナスを出る前に剣心から聞いた話だと爆発球と消失球の生成時間には少しのズレがあるらしかった。しかし、今のミルーシャはどう見ても前の戦いよりも2つの球の生成時間に差を生じていなかった。

『あんなにポンポン出されてちゃ近づけやしない…』

「待ちぃや。まだ私は本気なんて出してへんで?」

「……ぇ…?」

すると、ミルーシャは球を生成させていた手を止め、首にかけていた紫色の水晶が付いた首輪を手で握りーー

 

「リンク魔法【豪と静の間者】(アジェート・ゼクレンテ)

 

ーー瞬間、ミルーシャの周辺に彼女が飛ばしていた球により散乱していたアルバテルの残骸が音もなく消え去った。

「…ぇ…何……今の?」

四糸乃は目の前で起こったことに軽い動揺を感じ、目を見開く。今のは消失球の能力だが彼女は1つも生成することなく、且つ彼女の周辺とは言えども消失球では消すことの出来る範囲を優に越えていた。

『ちょ……何なのさ今の…。何が起きたの?』

「わ、分からないよ……」

ただ、呆然とすることしか出来ない四糸乃達にミルーシャはーー

「ええやろこの能力?私の十八番や…爆発球()消失球()の狭間にある完全な【無】の状態を作り上げる…それが私のリンク魔法【豪と静の間者】(アジェート・ゼクレンテ)や」

その説明に四糸乃は唾を飲むだけだった。

「でも、本来はこの魔法は制限時間五分ていうデメリットがあるだけやねんけど、私のだけはちょっと違うねん」

するとーー

(あ、あれーー?)

四糸乃は頭の中から何かが抜けていく様な気がした。

(あれ、私って誰と戦わなくちゃいけないんだっけ…?それに私とあんまり歳も変わらなさそうな女の子が前にいる…こんなところにいたら危ないや…避難させてあげなきゃ)

そう思った四糸乃はミルーシャへとゆっくり歩みだす。

「そうや…私の能力は記憶も無くなるんや。【豪】と【静】の狭間に立つ私自身も【無】…つまり存在が一時的に消える。解除した時に敵だけ記憶が消えるんやったら良えけど生憎味方の記憶からも消えてまうんやな…これが」

ミルーシャはそれを面白い様子で話す。

「まぁ、お陰で向こうからしたら名前も知らん奴になるから簡単に消せんねんけどな…この力でアダム・イヴを消したろうと思うたけど何でか分からんけどアイツ等だけ記憶が残っとんねん…どうせあの能力で脳に何か仕組んでるんやろな。腹立つわ…あんなん誰も勝てへんやんけ」

四糸乃達に愚痴を吐いた所で何かが変わるわけではないが日頃から溜まってる苛立ちをつい口にしてしまった。

だが、四糸乃は見知らぬ只の少女が独り言を呟いてるようにしか見えていないのだろう。

「ま、ええわ。何となくスカッとしたしお礼に何の苦しみもなくこの世から消し去ったるわ」

「…え?ど、どうしたん、ですか?」

四糸乃は直ぐ側まで近づいて漸く今までの言葉が自分に発せられていたものだと知った。それでも四糸乃に既知のミルーシャの存在は無い。

「さいなら」

ミルーシャの手がそっと四糸乃の体に触れる刹那ーー

 

『させないよ!!』

「…!?」

 

四糸乃の乗っていた兎と言えば少し語弊のある可愛さの無い兎が冷気をミルーシャに吹き掛ける。ミルーシャも気を抜いていた為、完全に避けきる事は出来ず、彼女の左半身を凍結させた。

「っ…何でや?」

ギッと自分に攻撃を当てたその兎を睨み付ける。

『ふふん…よしのんは人形だからね!残念ながら記憶なんてものはないんだよ』

「そんなアホな…じゃあ人形が何でそんな自由に動けんねん」

『よしのんと四糸乃は1つだからさ…よしのんの命は四糸乃の命。よしのんの感覚は四糸乃の感覚。喜びも悲しみも怒りも…ね』

静かに、しかしあらゆる物が込められた言葉がミルーシャに突き刺さる。

「…そ、ならよしのんとやらに言うといたるわーー」

ミルーシャは左半身を凍結させる氷を瞬時に消し、よしのんの視界から音も無く姿を消し去った。

『…!』

気配も何も感じない。もしや逃げたのかーーと思ったその瞬間、再び音もなく次はよしのんの目の前に現れーー

 

「チェックメイトや」

 

よしのんに手を触れた。

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「…そんなものか汝らの力は?」

辺りはどこも原型を留めていない建物の残骸が散らばりまるで焼け野原の様に化していた。

そこに傷ひとつ付けることなく悠々と立つーー誅邪。

それに対して、霊装のあらゆる所をボロボロにし膝をつく千琥と狂三。

「…はぁはぁ」

「…こ、これは化け物としか言いようがありませんわね」

自分よりも明らかに攻撃的な天使を持つ二人でさえ誅邪に傷ひとつ付けることさえ出来ないのだから自分には何も出来ない…ただ彼女達が殺られて次は自分も殺されるんだとしか考えられない美九。

「…グリエル、ナイトメア。今ここで大人しく立ち去るならこれ以上は我は汝らに何もせぬ。これが最後の忠告だ…」

誅邪の提案に千琥と狂三は目を合わせると当然のごとくーー

「断るわ」「お断りですわ」

きっぱりとその提案を断った。すると誅邪は一瞬悲しそうな目をし、軽い溜息を吐いた。

「そうか…ならこれで終わりだ」

誅邪は体を宙に浮かせると掌を上に向けると中指だけを曲げーー

 

【大地讃唱】(カンゾネ・ディ・テラ)

 

すると、瓦礫の地面から大きな木が生えて二人に絡み付き、まるで磔にされたかの様に身動きを封じ込めた。

 

【新生劣壊】(ディストリジオネ)

 

そこに更に二人を縛り付ける大木よりも一回り大きい大木を発生させ、その木が二人を外から蓋をするように封じ込める。

そして、その木の隙間から僅かな光が漏れてるのが見えるとその光はだんだんと強く太く輝き、そしてーー

 

「去らば」

 

町の一角を包み込む大爆発が二人を、そして近くに居た美九を襲ったーー

 

ーーー

ーー

 

~ラタトスクside~

 

「ほ、報告します…」

「なに悪い知らせ?」

先程から、悠仁、ベイリー、アルテミシア、岱、そしてボス級のエレン。これ等を倒した事が魔力反応から分かり、出だしから今まで誅邪の登場以外は上々だった。

そんな中で川越が言うのを躊躇う様な口振りで司令である琴里に1つの報告をした。

 

「四糸乃、千琥、狂三の霊力反応が完全に消失(ロスト)しました」

 

「……ぇ…?」

 

 




どうも、こうけーです。

さて、今回はエレンにミルーシャでしたがまぁ宗次郎はメインキャラなのでチート化するのは僕の中で当たり前だったので…
さて、皆さんは「え?ミルーシャだけ精霊に勝っちゃうの!?」と思ったでしょう。流れ的にDEM全滅と思いますもんね…でも、ミルーシャは一応アデプタスNo.2ですよ?やる時はやるんです!

誅邪はまぁ今作品で最もぶっ壊れキャラにしておりますので皆さんの想像より上の力かも知れませんがご了承下さい

では、また次回で!
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