もし緋村剣心がデートアライブの世界に行ったら   作:こうけー

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久しぶりの投稿です


弥生編(弥生スケアー)
緋村弥生


拝啓,ラタトスクの皆へ

 

今、この手紙を読んでいるということは拙者はもう皆の元には居ないという事だと思う。

いきなりの事で本当に申し訳が無い。

 

単刀直入に言うと、拙者はDEM社に行くことにした。

敵である方へと行く意味が皆には解せないと思うがどうか許してほしい。

それ以上に皆には拙者がラタトスクを裏切るために向かったのでは無い事だけは理解して欲しい。

士道殿に琴里殿に助けて貰った命。

十香殿に四糸乃、狂三殿に八舞姉妹。

宗次郎に左之助、奏に穣之助。

そして千琥。

皆とのかけがえのない時間は拙者の大切な時間…

 

だからこそかけがえのない存在である皆の為に拙者は皆に刃を向ける。

 

精霊が助かるには滅ばなくてはいけない。

皆が不幸にならないためには誰かが不幸にならなくてはいけない。

拙者は皆を救うために、精霊を救うために…精霊を滅ぼす。

皆の為に善にも悪にもなろう…

 

再び会うことは分かっているので多くはここには書かない。

しかし、次に会う時は敵。嫌でも戦うことになる…

手加減は無用。殺す気で行く。

 

その証拠がこの文と思って貰って良い。

 

ここまでは皆で読んでほしい…

 

ここからは---

 

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-

 

「……」

椅子に凭れ掛かる一人の女。

その横に立つ一人の男。

時刻は17:30。夕刻である。

「いよいよね…」

「あぁ…」

剣心が居なくなって1年、つい先日の円卓会議で緋村剣心が最重要警戒になった。

今まで皆の中で剣心は味方。裏切ったとはいえどもまだ僅かながらも味方であると思える事を許されていた。

しかし、最重要警戒となってしまった今、ラタトスクは完全に敵として剣心の前に立たなくてはいけなくなったのだったーー

 

ーーー

ーー

 

「こらぁぁぁぁぁ弥生ぃぃぃ!!」

部屋の中に甲高い声が響き渡る。

「ごめんってば…ミルルン!」

アデプタスNo.を持つ者が集まる部屋でNo.2のミルーシャと、緋村弥生が動き回っていた。

「二人とも静かにしなさい」

執行部長のエレン・M・メイザースの一声で2人の動きはピタっと止まる。

別に彼女が恐ろしいからでは無い。今の言葉は社長であるアイザック・ウェストコットが姿を現した合図だからだった。

「今日も1日お疲れだったね皆。具合はどうだい剣心?」

ウェストコットが見る方には目を瞑り杖を持つ剣心の姿があった。

「あぁ…特に異常はない」

「なら良かった。どうだい?このあとご飯でもーー」

「残念だが今日は昔からの先客が居てな…」

「おやおや…フラれてしまったよ…」

肩を竦め、苦笑するウェストコット。剣心はゆっくり立ち上がると弥生を手招きで呼ぶと静かに部屋を後にした。

「剣心と弥生は何か用事でもあるのか?」

No.9岩丈岱の言葉に反応したのはトップに君臨するNo.1アダム・ユリカエル、イヴ・ユリカエルだった。

「ラタトスクに会うらしい…最後の思い出にでもするんだろう…」

「おいおい…いくら剣心とは言えども今は昔のようには動けねぇんだぜ?精霊引っ張って来たらあぶねぇじゃねぇか」

「そのための弥生なんやろ?脳筋バカはこれだから……」

ミルーシャの業とらしい溜息に怒る岱。しかし、ミルーシャは聞く素振りさえ見せない。

「でも彼女が居るなら精霊が幾ら来ても問題ないでしょ」

No.3アルテミシア・ベル・アシュクロフトが先程から黙り込んでいるエレンに向けて話す。それにエレンはーー

「えぇ…問題ないでしょう。何せ彼女はーー」

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「ねぇお父さん?」

「…どうした?」

「今からどこ行くの?」

DEM社の通路をゆっくりと剣心の歩幅に合わせて歩く弥生がふとそんな疑問を剣心に問いかける。

「昔の仲間に会うだけだよ」

「それって……ラタトスク?」

無言の頷きに弥生は何かを汲み取り、剣心の手を取り繋ぐと自分のペースに合わさせた。

「おいおい…いきなりどうした弥生?」

「…早く会いに行って帰ろ?『精霊と戦う羽目になったらどうするんだ剣心。今のお前は万全じゃないんだ…自覚を持て』ってアダムンに言われるよ?」

「…はは…それもそうだな」

剣心の微笑に弥生も笑う。

「………私が守るけど」

しばらくお互い無言のままでいると弥生は静かに剣心に聞こえない大きさで囁いた。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

時刻は18:00。

天宮市にある展望台には今、人は居らず。

士道と琴里だけになっていた。

二人の心境は複雑なもので会える喜び、敵と会う事への緊張、そして焦り。

「…もしよ………もし剣心が今から剣を私たちに向けたときはーー」

琴里が小さな声で呟くと士道は琴里に言わさないように咄嗟に口を開いた。

「こっちも剣を構える…だろ?」

「………えぇ…そうならない事を願うけどね」

展望台から見える天宮市を眺めていると横から足音が聞こえてきた士道と琴里はそっちの方に振り向く。

そこにはやはりーー

 

「久しぶりでござるな士道殿、琴里殿」

 

「剣心さん…」

「剣心…」

二人は剣心を見ると在ることに複数気づいた。

眼を瞑り杖でまるで盲目のように歩くこと。

十字傷だけでなく目にもう1つ傷が増えていること。

そして横に女の子がいること。

「剣心さん…その女の子は?」

士道の疑問に答えたのは剣心ではなく弥生だった。

「何を騙すことがあろう…拙者は緋村弥生でござる!!」

カッコ良く決めポーズを取るも剣心に軽く頭を小突かれると「あたっ」と声を漏らして痛がる素振りを見せた。

「真似をしなくて良い」

頬を膨らませてリスの様な顔を作るとそのまま拗ねてしまった弥生を無視して剣心は二人と話を始めた。

「この娘は拙者の義娘でござる。DEM社に来た際に拙者が育てることにした」

「…そう。その事には別に驚かないわ…それよりもその姿は?」

琴里の質問に一拍置いてから剣心は口を開いた。

「簡単に言えば失明した…でも完全には失明してないと言った方が正解かな」

「え…なんで………?」

士道の驚きに剣心はニコりと笑うと指を自分の目に当てた。

「この傷…これが理由でござるよ」

「斬られた時に網膜をーー?」

剣心が頷くと士道と琴里は少しの驚きを隠せないまま次へと話を進めた。

「じ、じゃあ本題に入りましょ……と、その前に貴方に会わせたい人が居るんだけど…」

「…別に構わないが」

琴里は剣心がそう言うと小さく手を上げた。恐らくラタトスクへの合図だろうーー

すると士道と琴里の横に馴染みの在る転送装置の予兆が見えた。剣心は少しの警戒を持ちながら現れるのを待った。

もしかしたら敵かもしれない。そう考えると体制を整えておくのは損ではないーー

しかし、その考えは全く擦ることのない結果だった。

 

「ーー千琥…何故……」

 

そこに現れたのは1年間ずっと忘れようとしていた輝ヶ谷千琥だった。

敵となるに連れて忘れなくてはいけない他のラタトスクメンバーとは違う関係の千琥。

だからこそ接触したくなかったのだ。だからこそ1年前の文でここから先は琴里と士道だけと制限をした。

「……剣心」

見る限りでも千琥に勢いはない。掛ける言葉も無いのだろう。だからこそ今ここでより深い確執を生むべきだと剣心は考えた。それは自分をより嫌いになる行動だ…それでもやらなくてはいけないのだ。

 

DEM社である限り

ラタトスクを守る限りはーー

 

「……随分と痩せたんじゃないか?」

「…そう…かもね……」

 

見て分かる。原因は自分だと……

軽く心臓を握られてるような気分だ。今すぐ自分の首を切り落としたくなるくらい自分が憎い。

「…ねぇ剣心……本当に…本当にDEMの味方なの?」

「…あぁ…そうだ。拙者は…いやーー」

 

「俺はお前らの敵だ」

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「でもちょっとマズないか…?いくら何でも弥生一人で精霊10体も相手は出来へんやろ」

ミルーシャの意見に悠仁も首を縦に動かし同意する。

「確かに…いくら【霊華】(れいか)を使いこなすとは言えど10体は手こずるでしょうね」

「なら影から見守ってあげましょうよ」

アルテミシアの意見に皆頷く。

ここに居る者全員が弥生を大切に思ってるいるのだ。

剣心の養子なら自分達の子でもあると…そう考えているのだ。

「しかしあくまでも剣心の用事だ。精霊達からの攻撃が無い限りは表に出ないでおこう」

アダムがモニターに映っている千琥を見ながらそう言うと当の現場に動きあった。

 

ーーー

ーー

 

「そう…なら仕方ないわ。私も火種はある程度消しておきたいの…!」

突如、千琥が【白雷戦姫】(ボルプリウァー)を顕現させる。それと同じ様に琴里も【灼爛殲鬼】(カマエル)を発動させると辺りの温度が急激に上がった。

「ごめんなさい剣心…でもこれが私達の答えよ!!」

千琥の2つの小さな槍から生まれる雷。

琴里の鎌がキャノンの様な形に変化するとそこから生まれる炎。

次第に大きくなる2つを前に剣心は剣を握る事もなくそこに立ち続けていた。横にいる弥生もまた剣に手を当てるものの静かにしている。

琴里と千琥はそれに不気味さを感じつつも溜めた霊力を一気に解放したーー

【砲】(メギド)!!」

【雷冥】(サーデス)!!」

勢いのある巨大な炎と轟く雷。しかし剣心に向かって飛んだそれは彼を前に音もなく消え去ったーー

「「!?」」

剣心の前に立つのは先程から横にいた弥生。

しかし剣は抜いておらずただ此方を見つめているだけ。

「…ふぅん。こんなものなんだ【精霊】(害虫)ってーー」

 

そして、彼女は目で捉えることの出来ないスピードで抜刀すると、先程琴里が出した【砲】を繰り出した。

「ーーっ!?」

琴里と千琥は寸での所で避けるが琴里の後ろには既に弥生が回り込んでおり剣を振りかざしてくる。鎌でそれを受け止めると次は千琥の繰り出した【雷冥】を刀から放出し綺麗に琴里の天使を破壊した。

「な、何なのあの娘……」

千琥の震える声に答えるかのように弥生は答えた。

 

「言ったでしょ私は緋村弥生。緋村剣心の義娘であり、飛天御剣流継承者であり、霊刀【霊華】の所有者ーーーそしてアデプタスNo.0」

 

「ゼ……0?」

弥生の言葉に琴里も千琥も驚きを隠せなかった。

No.1としてアダム・イヴが居るのは知っていたが0なんて聞いたことも無い。1より強いのか、それとも他の理由からなのかは分からない。しかし、それでも二人はそれが自分達にとって嫌な意味を示してるのは間違いなかった。

「教えてあげる…アデプタスNo.を持つ者が使うリンク魔法。脳に負担を掛けずに顕現装置、随意領域を使う力。飛天御剣流に更に対精霊用として造り上げた霊刀【霊華】。全てにおいてアデプタスNo.の誰も越えられない…未来永劫誰も越えられないーーそれを意味するアデプタスNo.0の力を!!」

 

弥生の薄紫の髪色が完全な紫に変わると彼女の体の周りには影が、彼女の後ろには悪魔としか言えないような物が纏われており、先程までの雰囲気とは全く違う事に二人は絶対的な恐怖を感じていた。

 

それはまるで1年前…一瞬だけ現れ、それ以降姿を見せない誅邪(ちゅうや)の様なオーラを醸し出していた。

 

唾を呑む二人に弥生はーーー

 

「心配しなくて良いよ…すぐ終わるから……

 

 

リンク魔法【死神の裁き】(デス・ジャッジ)

 

 

 




皆さんどうもこうけーです。
相変わらずの亀更新で申し訳無いです…受験早く終わらしたいものです……
さて、今回は弥生の力の3~4割を見せたわけですがまだ序章ですよ。【死神の裁き】が強すぎワロタなので笑笑
とりあえずは更新出来ましたが次も不定期なのでよろしくお願いいたします。
感想待ってます。では!
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