ケダモノたちの悪夢   作:蛇寮出身

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頭空っぽにして読んでください。絶対にだ。





1話

 

 

 

 

 

 

 

_______クリスマス。

それは、イエス・キリストの降誕祭である。新約聖書では、キリストの生まれた日は特定されていない。なのでクリスマスとは「キリストが生まれてきたこと自体を祝う日」なのだ。

ちなみにクリスマスの表記は「Christmas」または「Xmas」、Christがキリスト、masはミサ(礼拝)という意味になる。

つまり、クリスマスとは「キリストのミサ」という意味であり、世界のキリスト教国では揃ってキリストの降誕を祝っている重要な日だ。

 

 

 

 

 

 

そして今日はそのクリスマス。

シスターの視線の先には熱いベーゼを交わす男女(カス)が居た。

 

 

 

________今宵、悪魔が誕生する。

 

 

 

 

シスターは激怒した。必ず、かの寡廉鮮恥なカス共を除かねばならぬと決意した。シスターには恋愛がわからぬ。シスターは、キリスト教徒である。聖典を読み、祈りを捧げ暮らしてきた。けれども馬鹿ップルに関しては人一倍に敏感であった。

 

 

 

シスターは懐から棒切れを取り出した。否、ただの棒切れではなくそれは魔法使いの杖である。

シスターは魔女であった。しかし信教の自由があるからして、人一倍信心深かった。激情のままその杖先を向ける。サーチアンドデストロイ、協会の教えを実行する時が来た。

 

 

まずシスターの脳裏に浮かんだのはアバダケタブラであった。

アラム語にて「我話すなり、よって破壊するなり」といった意味を持つこれは、死の呪文として有名であった。死とは慈悲である。悪とは義を持たぬものであり、正しく義を持つことによって「正義」となるとシスターは考えていた。よってこれ以上悪を重ね魂を穢してしまう前に、我らが父の御国へと送り出してやろうと考えたのだ。

 

 

しかしこの義に待った!と声がかかった。

 

シスターが訝しげに振り向くと、そこには1匹の気高き猫様がいた。

「うっ、美しい……」思わず見惚れてしまったが、今は美しいお猫様に構っている暇はない。奴らが移動する前に、己は使命を果たさねばならぬのだ。

 

 

____気を取り直して杖を構え直す。

 

 

アバダケタ___「ニャォ」

 

ア、アバダ……「ナ〜ォ」

 

ア、アバ……「ニャアン?」……くっ!

 

 

足元にスリスリと体を擦り付けこちらを見上げる黄金の猫の瞳には、たしかな意志を感じさせる。美しいだけではなく賢いだなんて、きっと神の使いなのだ。そうに違いない。シスターはそう思い、何か訴えたげなお猫様の意を汲み取ろうと、ジッと瞳を見つめた。

 

 

「ニャオン」

 

「ふむふむ……」

 

「ナ''ァ''〜ゴ」

 

「確かに……アバダはやり過ぎかもですが……」

 

「ンナァ〜」

 

「ええ、ええ……分かりました……」

 

 

シスターと猫はお互いフィーリングで意思疎通した。

確かにいくら聖なる夜にべ、ベーゼを交わしたとしてもアバダはやりすぎたったかもしれない。慈悲深い神の信徒として、私自身も慈愛の精神を心掛けるべきだろう。猫ちゃんもこういってる事だし。

 

 

 

シスターは杖をしまい、代わりに懐からあるものを取りだした。

____何の変哲もないライターである。

 

「私のお友達から聞いた事があります。お友達の住む国ではムカチャッカ・ファイアーなる清めの儀式があると」

 

意味はよく分からないが、多分お焚き上げのようなものだろう。

 

そう考察しながらスタスタと前進し、目標とすれ違いざまにシュボッと慣れた手つきで服の端に着火した。マグル流インセンディオだなと、慌てる男女を見ながらシスターはニッコリ笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後、シスターは猫と共にホグズミードの裏路地に居た。

眼前には小汚ねぇオッサンがヒィと怯えており、シスターの杖先はしっかりとオッサンへと向けられている。

 

 

実はあの後、シスターは猫に邪悪なネズミを狩る事を協力して欲しいと頼まれた。シスターは猫に恩義があるため、すぐさま頷いた。居場所は把握してるらしく、案内された先には飼い主らしき赤毛の子供とキーキー煩いネズミがおり、幸いにも周囲に誰もいなかった。なので子供は後ろからそっと近づき頸動脈を絞めて気絶させ、人目につかない場所に寝かせてきた。そしていざ捕まえたネズミをカッと大きな口で猫が噛み付こうとした瞬間にネズミがオッサンへと変身したのだ。

 

 

 

この時、シスターは全てを理解した。なぜお猫様がこのオッサンを邪悪なネズミと呼んでいたのか。なぜ動物もどきであろう魔法使いのオッサンがなぜ赤毛の少年に飼われていたのか________?

 

 

答えはそう、つまりこいつは小児性愛者…ペドフィリアなのだと!わざわざ動物もどきになってまで幼子に近付き、あまつさえひとつ屋根の下で寝食を共にして無自覚ながらも子供を『飼い主』に仕立て上げ、自分は『ペット』になりたいだなんて……とんだドブネズミも居たものである。

 

 

「おぞましい……こんなドブ野郎の魔の手が及ぶ前…かは分かりませんが、とにかくいたいけな少年になんて事を…」

 

「ま、待ってくれ!何か勘違いしてないか!?」

 

「犯罪者は皆そう言います!その穢れた口を閉じなさいこの性犯罪者!」

 

「違う!俺は性犯罪者なんかじゃない!」

 

「ええい、まだ己の罪を認めませんか……己の罪と向き合えぬ者に主の慈悲は与えられません!!」

 

なんと罪深い___罪を犯したならばそれ認め、悔いるべきである。

さすれば主の赦しが与えられるだろうに、認めさえしないなんて。

現行犯のくせに何て図々しいのかしら、とシスターは男のあんまりな態度に憤りを感じていた。私が、私がこの男に己が罪を認めさせてやらねばならない。そんな使命感すらムクムク湧いてくる。

 

 

「貴方が認めないならば私が認めさせましょう!誰も裁かないならば私が裁きましょう!!

 

 

 

________神に代わってお仕置です!!!!」

 

 

 

 

翌朝、指名手配犯ピーター・ぺティグリューがホグズミード村で気絶していたところを発見された。魔法省はすぐに取り調べを行おうとしたが、数日経っても目を覚まさないので現在は聖マンゴにて入院中である。不思議な事に、多少の擦り傷はあれど目立った外傷はないにも関わらず目を覚まさない彼に、聖マンゴの癒手達は頭を悩ませていた。

 

 

当の本人は「お赦し下さい……神よ……シテ……ユルシテ....」と魘されながら今日も目を覚まさなかったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






密告猫「ニャーオ、ニャゴニャゴ」
シスター「エッ!?子供達の学び舎に愛されボディのワンコに化けたオッサンがいるですって!?」


次回!黒犬死す!デュエルスタンバイッ!


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