原神世界に転生したから推しと仲良くなりたい……あれ?なんかいろいろ違くない? 作:妄想アイス
いや随分かかったな!!
この数ヵ月、チマチマチマチマと試行錯誤しながらどうにか作成しました第九話。
私がサボっていたわけではありません!決してそんなことはないんです!
え?途中別の話を投稿してたじゃないかって???
……本当にすいませんでした!!ちょっとサボってました!!(土下座)
でもきちんとこれからも投稿していく予定です!長いことかかるけど!
今回ちょっと始まりが別サイドです。今後もこのような形になるかもしれません!
それではどうぞ!
第九話 氷の令嬢へと挨拶する
【親友サイド:時間軸・旅人がモンドへと向かう砂浜でのプロローグ時点】
「……ふぅ~、結構歩いたな~。オイラの勘が正しければ、そろそろモンドが見えてくるはずだぞ」
『モンド……たしか風の国、だっけ?』
「そうだぞ。でもその前に七天神像があるはずだから、まずはそこを目指そうぜ」
『わかった、ありがとうパイモン』
「へへっ!気にすんなよ。オイラはお前の冒険ガイドなんだからな!」
『でもそろそろ一度休憩を挟みたいな。休める場所を探そうか』
「おう、分かったぜ!」
モンドに程近い海辺で、2人分の話し声が聞こえてくる。
言わずもがな、みんな大好き旅人蛍と自称テイワットガイドのパイモンの声だ。
どうやら、時系列としては原神のオープニングが始まる直前に思われる。
二人は、焚き火を起こし、旅人の過去に興味を持ったパイモンが旅人からの話に耳を傾けている、
未知の神との遭遇、兄妹の別れ、そして目覚め。
ひとしきり話し終えたのだろう二人は焚き火を消し、またモンドに向かい始めた……のだが……。
「……わぁ……ぁぁぁあ……ぁぁああ!!!!何て!!こと!!!してくれるんだ!!あのクソ元素生物ーーー!!!」
『へ?』
「うわぁ!?なんだ!?」
とつぜんあたりに響き渡る悲鳴。それは崖の上から聞こえてきた。
最初は聞こえづらかった悲鳴もだんだん鮮明に聞こえるようになり、ついには……
「ああああぁぁぁぁぁあぁぁあああ!!!!」
ドボォン…………。
『あ…………落ちた?』
「みたいだな………。なぁ、行ってみないか?オイラ、ちょっと興味が出てきたぞ!」
『行ってみよう』
二人が、声の主の方向に向かっていると、ザパァと盛大な音を立てて、その人物が海から上がってきた。
そうして二人の視界に映ったのは、一人の女の子だった。
「あぁぁぁぁぁもぉぉぉぉおおお!うえぇ、海水が口に入っちゃった。しょっぱくて気持ち悪いぃぃ。服も濡れたし、最悪!私、ちょっと偵察に行っただけなのに、なんでわざわざあっちから近づいてくるんだよぉ」
空を飛んできた少女は、悪態をついていた。おそらくどこかから吹っ飛ばされて海に落ちたという奇怪なこの状況に対してであろう。ずぶ濡れの服の端をつかんで絞ったり、口に入った海水を吐き出したりと、少し忙しない。
「そもそもこれ下手したら死んでたじゃないか!うぅぅ、もう二度と何の警戒もなく、無相の風に近づくなんて真似はやらない!いちいちそんな目に合ってたら、命がいくつあったって足りないや」
『……こんにちは』
「ん?…………えっ」
話しかけてようやく旅人とパイモンに気づいた様子の少女。
灰色の髪に青色の瞳。身につける服は蘇芳色を基調としている。
彼女は二人に気づくと、その表情を驚きに変えた。
(どうしたのかな?)
(さぁ?オイラも分かんないぞ)
なぜ驚かれたのか分からない二人は、目の前の人物に少し警戒度を上げた、のだが……。
そんな二人の心証とは裏腹に、彼女は、おそるおそる、といった様相で二人に話しかけてきた。
まるで知りたくない事実を確かめるかのように。
「あ、あの~、お二人さん、お一人さんとペット一匹か?いやいやそうじゃなくて、いつからそこに……?」
「ん?さっきからずっといたぞ、あとオイラはペットじゃないぞ」
「……たはは~、な、ならさっきの私の悪態も……?」
『うん。ばっちり聞こえたし、見てたよ?』
その答えを聞くと彼女は天を仰ぎ見て、すうっと息を吸い込み……、
「あ、あっはははは、は、ははは、恥ずかしい~~~~~!!!!/////」
『「えぇ………??」』
その顔を真っ赤にしながら、叫び、逃げるように縮こまった。
どうやらさきほど驚いていたのは、自分以外に人がいたと思っておらず、自分の無様な様子を見られたのが咄嗟に理解できなかったからのようだ。
そして、恥ずかしさが頂点に達し、こうして縮こまっていると……。
しばらくして……、
「あはははは~、お見苦しいところをお見せしました。え~っと、いちおう初対面なわけだし自己紹介でもしとこうか」
『そうだね。じゃぁ私たちから、私は蛍。で、こっちの非常食はパイモンだよ』
「あはは~、非常食ね~。……え?非常食?」
「そうだぞ!オイラは非常食の、って違~う!!!オイラは!蛍の冒険ガイドのパイモンだ!」
「あっははははっ、面白い人たちだね!あぁ、次は私だね。私はロ……じゃなくて、エレッキオルだよ!冒険者にしては見覚えないし、モンドに向かってる途中の旅人か何かかな」
「そうだぞ!」
『うん、まあそうだね』
「なら一緒に行こう。途中で騎士団と会ったときに顔見知りがいるとスムーズだろうし!」
『分かった、お願い』
自己紹介を終えた彼らは、モンドへと向かう。
ベリアルの生まれた地であり、旅人が初めて訪れる国へと……。
ここから先は、本来の物語とそう変わらない。
ウェンティとトワリンを見つけ、アンバーに引き留められ、トワリンを撃退し、ガイアに詰め寄られ、リサとジンに出会い、秘境を巡り、モンドの危機を解決、旅を続けていく。
しかし、知っての通りエレッキオルの存在に加えて登場人物に一人一人に大きな違いがある、という点を除けば、となるが。
――――――――――――――――――――
時間軸は戻り、ベリアルサイド。
「うぅぅ、冷えてきたな~。さぶさぶ」
グンヒルド家を出て、しばらく経った。
既に冬が来たモンドには雪が降ることが増え、道や屋根のところどころに雪が溶けずに積もっている。もうそろそろ本格的な冬が来そうだな。
家を出てからの俺は、冒険者登録したはいいものの、剣は家から持ってきた訓練用のやつだから、刃はつぶされてるし、神の目の扱いも慣れない。これじゃ冒険者として生計を立てるには未熟だということで、キャサリンさんには城内で済む軽い依頼をもらった。冬に近づいているのもあり、少なくともまともな剣を買うまでは、それで過ごしてくれと言われてしまった。
「まあそれも冒険の一つか」と思って、一日四つほどこなしてあとは自由時間ということにしてるけど、前にも言った通りテイワットにはまー娯楽が少ない。それに俺にとって楽しく運動ができる風の翼は、突発的に家を出たため倉庫に合ったのもあり、家に置いてこざるを得なかった。
『七聖召喚』も、まだこの時代は普及してないようだし。まさかあまり面白いと思ってなかった『七聖召喚』を恋しいと思う日が来るとは思ってなかった。
仕方ねえから図書館で歴史書や魔物書だとかを読んで暇をつぶしてたけど、そんな代わり映えのない生活が続いていた。まあそれはギリギリ良いんだが……はっきり言うと、別件で気が休まらん……。
正直できるだけ早くモンド城の外に出られるようになりたい。
別件が何かって?そりゃ、母さんが俺を探してることに決まってるだろ。
家出した後、どういう結果になったかは知らないが、ジンはきちんとしてるから、ちゃんと説明したはず。
いや、ジンはなかなか甘いとこがあるから、母さんが俺を探しに行くのは止められないか。
あと、父さんはどうしたんだ……?できればモンドを出る前には一度話をしたいが……。
でも父さんと会うとなると、母さんも一緒にいる可能性もあるんだよなぁ……。
……正直今は顔を合わせたくない。いくら母さんが弱っていたとはいえ、俺のレールを勝手に引こうとしたのは違いないんだからな。別に会いたくないわけじゃない。じゃないんだが……分かるだろ?気まずいんだよ。
できれば、本格的な冬になる前には、モンド城を出て、清泉町に行っておきたい。
で、結局のところどうしようかなと思案していたら……、
「あら、ベリアルお兄さんじゃない?何を難しい顔をしてるのかしら?」
「ああ……なんだ、リサか。びっくりした」
図書館でリサと遭遇した。本を抱えていて、どうやら勉強していたようだ
あ、そろそろ教令院に行く年か。最初に会った時よりもずいぶん成長したもんだ。
そうだな、リサならすぐに解決策を出してくれそうだし、相談してみるか。
「ああ、実はな……」
説明が終わり、少し考えたリサから飛んできたのはこんな言葉だった。
「偵察騎士のおじいさんに頼んだら?」
「……そうか、その手があったか……」
騎士団ということで無意識に避けてたのかもしれない。すっかり忘れてた。
しかしながら、あの爺さんは結構お人好しだし、暇なときに遊びに行ってたから助けてくれるかもしれない。
逆になんで思いつかなかったんだ俺は……?
「リサ、ありがとう!」
「どういたしまして。お礼は今度なにかジュースを奢ってくれたら嬉しいわ♪」
「お安い御用!あ、でもそんな高いのは勘弁……」
リサに今度必ずお礼をすることを約束し、善は急げと、俺は偵察騎士の爺さん。もう皆わかってると思うが、アンバーの爺さんのところに走って向かうのだった。
――――――――――――――――――――
【次の日】
空は快晴、風は穏やか、俺の心はハリケーン。
場所は、モンド城の道の一角。
「~~♪」
「…………」
前世で一時期はまったTCGアニメのOP曲を歌いながら、モンドの街を散歩している俺、ベリアル。
……と、なぜかその少し斜め後ろで、不機嫌な顔をしながら歩いている水色の髪の少女。
……どう見てもエウルアじゃないか。どういう状況だよ、おい。
いやいやいやいやいや!!
なーんで俺とエウルアが一緒にいる!!?
え!?
あ、よく考えたら、俺死んで転生してるじゃん!
はははっ、『原神』の世界にいるから
まあ、現実逃避は置いといて……。
生エウルアの可愛さに頭がやられて、茫然としてたら、話を切り出す機会を失ってしまったから、こんな少年アニメのOPを鼻唄で歌ってるけどさぁ。
どうしよっかなぁ、これ?
何が起こったかって言うと……リサと別れた後、俺は直でアンバーの爺さんのとこに行ったんだ。風の翼はともかくとして短剣でもいいからなにか武器が欲しかった。
いつも通り騎士団の訓練場にいたから訓練が終わるのを待った後、用事を伝えたら、武器は貸してくれた上に、元素力の使い方を見てやると言われた。
思ったよりもずっと至れり尽くせりで呆然としたよ……。
まあその代わりにいろいろ買い物をして来い、と言われたけど、それくらいは対価としては軽すぎるくらいだったから、もちろんのこと二つ返事で了承したんだが……。
その買い物は弟子を一人ついていかせるからその子とやってほしいということだった。
『弟子?』とは思ったけど、まあ買い物がしやすくなるだろうとその時の俺は解釈して、そこまではよかった。
問題は次の日、爺さんの弟子との集合場所、モンドの西にある大きな風車に行ったら、そこにはなんと俺の大好きだったキャラ、『エウルア』がいたってわけだ。そういえば確かエウルアはアンバーの爺さんの弟子だったような……?
でも、何となくは察したよ。エウルアはローレンス家の出身でモンド中に嫌われてるから、爺さんとしては年が近い友達を作ってほしかったのかもしれない。
俺、男なんだけどな……。まあ、恋とかしたことな……やめよ、虚しくなってきた。
前世のころは他人と関わりたくないタイプの人間だったから気にしなかったがんだけどな。
つーか、気まずい。俺にどうしろと……?
小さいころから関わってるリサや、もともとゲームじゃ男だったディルックやガイアとは違って、エウルアは初対面だし、そもそも他人にそう簡単に心を開いたりはしないだろう。
なにより、ここまで無言が続くと、メンタルが死ぬ……。
ほんとどうすりゃいいんだ……!?
――――――――――――――――――――
【エウルア視点】
(……憂鬱ね)
『怪しさ満点の不審者』。
それがエウルアがベリアルに抱いた第一印象だった。
なぜそう思ったかといえば、原因はベリアルのエウルアに会えたことによる喜びからの挙動不審な態度にもあったのだが……一番の原因はエウルアが人間不信に陥っていたためだろう。
エウルアはあの歌声を聴いた夕方を機にローレンス家の屋敷を出た。
つまらないローレンス家での日常よりも、歌声の主を見つけにモンドの街に飛び出した方がよっぽど魅力的に思えたからだ。
しかし、その時の彼女は歌に夢中だったことで忘れていた。
モンドの住人は、ローレンス家の人間をあまり受け入れたがらないことを。
「ねえ……」
「はい!?」
「……なによ、その反応……。そんなに私が怖いのかしら?それならお爺さんからの頼みなんて聞かずに、さっさと帰ればいいじゃない。ただし、この恨みはきちんと覚えておくから」
エウルアは、家を出てからずっと、一人でモンドの住人からのはっきりとした拒絶と嫌悪を浴びていた。
家にいたころから分かりきっていたことではあったし、多少の覚悟はしていたが、現実は彼女の想像を遥かに超えていた。
そんな状況が続くと、当然彼女自身のモンドの人々への接し方も変わってくる。
彼女は他者に危害を加えようとは思っていない、
しかし、自分から親しくしようと歩み寄ることもなく、自身が攻撃されればそれ相応の対応をするだけだ。
そして今回も、ベリアルの態度を拒絶と受け取ったエウルアは、ベリアルに対して脅しともいえる対応を取った。
だが、しかし………今回の相手は、創作物というくくりではあったが、エウルアのことが大好きなだけの男だった。
「…………ふはっ。あははっ」
「……今度はいきなり笑うなんて、気持ち悪いわね」
「くっくくくっ、いやすまん。その言い回しが面白過ぎてな。おかげで緊張も解けたし。ありがとう」
「……意味が分からないわ。貴方、私が恐くないの?私は……」
「ローレンスだろ?知ってる」
「……なら、なおさら何のつもり?私は罪人なのよ」
疑心暗鬼……。
千年前の祖先の所業が酷すぎたのかもしれないが、ローレンス家にうんざりしていたエウルアが、外に飛び出してもなお心休まるような状況ではなかったというのは、面倒くさい話だ。
「……何となく経緯は察せるからとやかくはいわないが……君がローレンス家だろうとどうでもいいね。アイツらと君は違うだろ?」
「……そんなことないわ。私はローレンス家ということには変わりないから」
「そりゃそうだ。血筋は変えられない。でもやつらに反発したから君はここにいるんじゃないか?今はそれでいいだろ」
エウルアはそれを聞いて、呆れるような、意味が分からないような、そんな複雑そうな表情をするも、ベリアルの言を受け入れた。
考えるのを諦めたと言ってもいい。
「……変人なのね」
「……ノーコメントだ。それより買い物行こうぜ。爺さんは多分俺に君と仲良くしてほしいってのが本命だったのかもしれないけど、頼み事があるのは事実だし」
「それもそうね。はいこれリスト」
そう言うとエウルアは自分の服のポケットから小さな紙を取り出し、ベリアルに渡す。
内容は、雑貨やら食品やら店の名前やら。
今回のお使いですることがずらりと箇条書きで記されていた。
「お、サンキュ~。って結構あるな。もっと少ないと思ってた」
「文句なら師匠に言ってちょうだい。それと……武器はある?」
「ん?あぁ、まぁたいしたものでもないし持ってきてはいるけど……ん?……待ておい。リストの最後……」
「『清泉町周辺で宝盗団の排除』と『風立ちの地で増殖したスライムの殲滅』。師匠から依頼ということになっているわ。その上の分の買い物は門で預けてくれればいいそうよ」
「あんのジジイ。やるなら実戦でってか……俺の扱いひでぇ」
「信頼されてると思えばいいじゃない。私もいるのだし」
「あぁ、そうか……よく考えたら俺一人でできる内容じゃないな。よし、背中は任せた!」
「……こういう場合、『任されたわ』って言うべき?」
一度疑いを消せば、二人は気が合わないわけでは無いようで、スムーズに事は進む。
ベリアルも普段の調子を取り戻し始め、二人はリストを埋めに一つ目の店に向かうのだった。
「あ、自己紹介してねぇ!俺ベリアル!よろしく、ローレンスの」
「次そう呼ぶ時は覚悟しておくことね。……エウルア・ローレンスよ。エウルアと呼んで」
「了解、エウルア嬢」
「………」
「……よろしく、エウルア」
「えぇ、よろしくね。ベリアルさん」
「……そっちは『さん』つけるのかよ?」
「貴方の方が何歳も年上でしょう?それくらいの礼儀を忘れるような無礼者ではないつもりよ」
「あ~、まぁしょうがないか」
正直なところ、エウルアは内心まだベリアルのことを警戒していた。
いくら師からの紹介で、なおかつ自信を拒絶しないとは言っても、まだ出会って一時間も経っていない相手をそう簡単に信用しきるほど、簡単な性格はしていない。
だが、ベリアルの言葉を聞いて、拒絶をするような面もまた無いと、エウルアはそう思ったのだった。
――――――――――――――――――――
数時間後―――。
「アレかな?」
「そうだと思う。でもこんなことってあるのね」
今俺たち二人は、風立ちの地の西付近にいる。
目の前には、宝盗団と風・氷・水スライムの群れ。
見たところ二つの集団は戦っているようだ。
「運がいいと言って良いのか?両方同時に見つかったし」
「運、は良い方じゃないかしら。悪ければ日を跨いでたと思うわ」
「……帰ったら爺さんに文句言ってやる」
「同意するのは癪だけど、同感ね。師匠にはきちんと復讐しないと」
現在、俺たちは遠くから宝盗団とスライムの戦いを眺めている状態。
ここに来る前に、諸々の買い物を済ませ、初めは清泉町に向かった。
狩人たちに宝盗団の拠点の居場所を聞こうと思ったからだ。
しかし、その情報の通りの場所に着いてみれば、あるのはもう引き払われたと思しき拠点の残骸だけ。
つまり俺たちの到着は一歩遅く、宝盗団たちはとっくに移動していた。
拠点の残骸からそう判断し、ひとまずその場を後にした俺たちは、もう一つのお使いであった『スライムの討伐』のために風立ちの地に来てみれば、宝盗団とスライムの群れの争っている状況を発見した、というわけだ、
「ま、あれが清泉町周辺に拠点張ってた連中と同じとは限らないけど」
「そうだとしても、もう夕方も近いし、奴らを倒したら帰って報告することになるでしょうね」
「ういうい。……油断はしないようにな。俺もだけど」
「問題ないわ、甘く見ないで」
エウルアに戦闘経験があるのかは知らないが、騎士団のベテランに直接手ほどきを受けている。
そこらの宝盗団なんて相手にならないだろう。
(問題は俺なんだよなぁ……)
そう、ベリアルはこれまで訓練は積んできたが、実際に敵と相対したことはない。
せいぜい裏門の近くに沸いたスライムの駆除を傍から見ていて、少し手伝ったことが程度だ。
ベリアルにとってはこれが初めての実戦だった。
(ははっ、手が震えるな……やっぱりこういう恐怖心は、普段何気なく感じるような怖さとは全く違うな……)
思わず俺は、懐の神の目を、握りしめた。
緑色に輝く草元素の神の目。
なぜ俺みたいな考えなしが智慧の草元素を授かったかは分からんが、まぁ知らんところで俺に合ってたんだろうが……。
可能性があるとしたら、俺の持つテイワットの歴史への強い探求心か、それとも……前世から、異世界の知識を持っているせいか……。
考えても仕方ない。神の目を得る条件は判明していないんだから。
……あの日、突然バッグに入っていたこの神の目。
元素の働きというものは実に面白い。反応を見ているだけで一日を終えたこともある。
そのあとぶっ倒れたが……。
神の目を扱う練習はしてきたが、誰かに教わるようなものでもない。
とりあえず短時間でもアルハイゼンのような元素付与ができてるだけでも御の字御の字。
「付与が長く持たないのは要練習だけどな、っと。エウルア」
「準備はいいわ。それはそうと、ちゃんとエスコートしてくれるわよね?」
「……さあて、な。いちおう作戦は考えたけど」
「ふぅん、内容は?」
「俺囮、君伏兵。以上」
「……」
……シンプルに作戦を伝えたら、エウルアのジト目というご褒美を受けた。
美人は何しても絵になるよなぁ。
本気で呆れられてるんだろうけどな!
あ、別に俺はМってわけでもないぞ。女性のジト目が大好きなだけだ!
「貴方、作戦って知ってる?」
「逆に聞くけど、俺がまともな作戦を考えられるようなインテリに見えんの?」
「……」
「そのジト目やめろ。お、スライムが倒され始めたな。じゃ、流石に行くぞ。出てくるタイミングは任せる」
「あ、ちょっと……はぁ、本当に……。この恨み、いつか必ず返してやるんだから」
作戦を伝えて無事呆れられた俺は、スライムに勝利を収めようとしている宝盗団のもとへと向かい始める。
エウルアのおかげで少しは緊張や恐怖も和らいだし、腹を決めて突っ走ることにする。
エウルアの諦めたような声音がすごく耳に残っている。
(ははっ、なんだか良い気分だ。ま、これでも結構ガチ恋勢なところは自覚してたし、カッコ悪いところは見せられるわけないよな)
さてさて、前世を通してすら初めての戦闘。(親父に反撃して即鎮圧されたことはあるがそれはノーカンとして)
せいぜい気張るか。エウルアの前だしな!!
そうして、草元素を手繰りながら、俺は宝盗団に突撃するのだった。
はい!どうもありがとうございました!第九話!エウルア回でした!!
最初に未来の話を入れました。
ちなみにエレッキオルは、無相の風にホントに少し近づいただけです。なんか知らんけど吹っ飛ばされた模様です。運が悪いですね!!
それはそうと、今後どうなるんでしょうね!作者もまだ分かりません!
はっきりしてるのはまだ次もエウルア回です!旦那たち出てくるかもしれません!
楽しみにしておいてください!
できればクリスマスまでに超速で書いて出したいけど……厳しいなぁ……(2023/12/19時点)
作中も冬なので、クリスマス感出してみたい……。もしくは新年!
できるだけ死ぬ気で頑張ります!
では、今回もありがとうございました!