原神世界に転生したから推しと仲良くなりたい……あれ?なんかいろいろ違くない? 作:妄想アイス
なんなんだろうね、こんなに時間掛けるなんてこの先やっていけるのか。
まあうちに旦那いないしな、仕方ないよな。
「「………………」」
「……395……396……397……」
現在の状況――――大量の汗を流しながら延々と家の庭で素振りをする俺を妹二人がじっと見つめてきます。
どうしてこうなった……?
――――――――――――――――――――
父さんと母さんの夫婦喧嘩から早半月。
喧嘩の理由もたいしたことではなかったらしく、現在の仲はすこぶる良好のようだ。
よかったよかった。
……じゃねーんだよ!
なんで俺が一日に何百回も素振りしなきゃならないことになってんの!?
あとなんでそれを隣でジンとバーバラに見られなきゃなんねーんだよ!!?
いや理由はわかってるよ!?
この前、『Edelweiss』を広場で歌ったあと、まだ喧嘩してるんだろうなー帰りたくないなーって思ってなかなか家に足が向かなかったんだよ。
そのせいでようやく帰る決意が固まって帰路についた頃には空はすっかり暗くなっちまってた。
でも、たぶんそのときまっすぐ帰ることができてればまだこんなに重い罰は下されなかったと思う。
問題はそのあと……。
日はすっかりと降りてしまって帰り道がほとんど見えなかった俺は……………端的に言って迷子になってしまった。
…………………………。
待って待って言い訳させて。
モンドってさゲームだと一周するのに五分もかからないくらいだったけどさ、ここ現実。
端から端まで直線距離で大人の足で歩くにしても、むっちゃ時間かかるの。
ゲームとの面積差はどこから来たって話だけどマジなんだよ!
大通りとか大まかな位置は同じなんだが、まだまだ細かい道とかは覚えられてないんす!
いちおう都市国家のようなものとはいえ国なんだぞ、モンドは!?
子供が遠出したら普通に迷子になるくらいには広いわ!!
……そして迷子になった結果、俺がいつになっても帰ってこないせいで心配がピークに達した両親が近所中に声をかけたことで大捜索が始まった……らしい。
らしいというのは発見された時の俺は意識がなく、目覚めたのも自室のベッドだったからだ。
加えて驚愕の事実として、大捜索が始まってから俺が見つかったのは丸一日もあとだったというのだ。
……正直な感想を言ってもいいか?
な・に・が・あ・っ・た?
なぜか行方不明になった罰として一日素振り500回を命じられて一か月たった今日も元気に続けております。
しかも一昨日素振りの前にランニングをすることも追加されました、キツイ。
ふざけんなし、俺何もわからないまま罰受けてんだけど…。
いやつかホントに何があった?
あれですか?
かの戦闘狂のように深淵とやらにでも行ったんですか?
まあ戦闘の痕跡はなかったっぽいので多分違うが……。
……でもなんか……意識が曖昧な時に何かを……
「500。お兄ちゃんおわったよ、はいお水とタオル」
「ん、サンキュ、ジン」
「にぃに~」
「お、バーバラは兄ちゃんを褒めてくれんのか。うれしいなぁ~」
素振りを続けながらそう己の身に起こったことについて考えていると、ついつい回数を数えることを忘れていたが、代わりにジンが数えていてくれたようで、終わった瞬間水とタオルを渡してくれた。
バーバラはよたよたと歩きながら俺のほうに駆け寄り、俺の頭を撫でようと手を伸ばそうとしてくる。
天使か、二人とも?
あ、バーバラが俺のことを『にぃに』と呼んでるのはジンがそう呼べと教えたかららしい、ナイスだジン。
「おやベリアル、ここにいたんですね」
「父さん?どしたの?」
そのままバーバラを抱き上げて愛でていると、父さんがやってきた。
どうやら俺を探していたようだ。
「君に女の子のお客さんが来てますよ」
「女の子?俺に?」
「えぇ、二人ほど」
「……誰?」
「ふふふっ、行ってみればわかります」
いや教えてよ、まあいいけどさ。
あ、ジンとバーバラどうしよ。
バーバラは離してくれないし、ジンは『私も行く!』オーラがすごいんだが。
「父さん、ジンとバーバラ連れてっていいかな?」
「もちろんいいと思いますよ」
「んじゃほいジン、手。バーバラはそのまましっかりつかまってろよ~?」
「あい」
「うん、けどその前に……」
ん?
「タオルで拭きはしたけど汗だくだったんだから水浴びた方がいいと思う」
「あ……」
確かに……。
――――――――――――――――――――
「うわ~、結構時間かかった。急いでいかないと」
今俺は焦りながらタオルで髪の水分を拭き取っている。
いや~、あのあとなかなかバーバラが離れてくれなくてシャワーを浴びるまでにかなり時間を食ってしまった。
バーバラって頑固なんだな、覚えておかないと。
「やー!」ってごねる姿は可愛かったからいいんだけどね。
それにしても僕に女の子のお客さんなんてな、誰だ?
仲のいい奴らならいるけど、その中に女の子なんてリサしかいねーんだが?
訪ねてきたのが二人の時点でリサは違うし……わからん。
まあ、行ってみりゃわかるか。
って待たせてるんだった、早く行かないと!
「お待たせしましたー!」
「遅かったわね、ベリアル。この娘たち随分待ちくたびれてたわよ」
「そ、そんなことないよフレデリカ叔母様。いきなり押しかけてきたのこっちなんだし」
応接室に着くとお客さんの対応をしていた母さんに『遅い』と軽く叱責された。
それは仕方ないからとして……母さんの反対側のソファに座るこの二人がお客さんか。
一人は深紅の髪をポニーテールに結んだ女の子と、紺色の癖っ毛を肩辺りまで伸ばした女の子だった。
紅髪の娘は濃い紫色の可愛らしく動きやすそうなワンピース、紺髪の娘は白いシャツに黒のスカートをはいている。
片っぽは寝てて細かいところはよく分からんけど……。
少なくとも紅髪の娘がむっちゃ可愛いことは分かる。
背格好的にどっちも10歳前後、ジンと同じかちょっと上くらいかな?
て、あれ?
母さんとは知り合いなのか?
ずいぶん親しそうだ。
「え、えっと。
俺が不思議に思っていると、紅髪の娘は母さんから俺の方へ向き直ると、嬉しそうにはにかみながら彼女は『久しぶり』と、俺に向けて言った。
…………え、いや、誰?
俺、こんな可愛い『女の子』に会ってたっけ?
「あ、あの。どうしたの、ベリアル?」
「え、えぇ~、いやその、こんなこと言うのはちょっと失礼かもしれないんだけどさ」
「え?う、うん」
『女の子』は俺の返事がないのを疑問に思ったらしく、心配そうな声をかけてくるが返事に困った俺は……、
「君はいったいどちら様でしょうか??」
「へっ?」
「は?」
(あ、やべ)
馬鹿正直に『誰か分からない』ことを伝えてしまった。
それを聞いて『女の子』が呆気にとられたと同時になんか母さんのほうからドスの利いた声がした。
ていうか彼女と母さんの反応からしてガチで知人っぽいな。
(えぇ……?いったいどこで会った?)
「ベリアル?今この娘になんて言ったのかもう一度私に聴かせてもらえるかしら?」
「ひぇっ……」
なんてのんきに考えてたらいつの間にか接近されていた
端的に言ってすっごく怖い。
ここまで怒った母さんを視るのはこの前父さんと喧嘩したとき以来……そんなに時間経ってないな。
「ベリアル~?現実逃避なんかしてないでさっさと答えなさいな」
だから怖いって!
ていうか答えがほしいのはこっちのほうだってんだよ!
ああもうっ!
「いや、だって母さん!今まで俺こんな可愛い女の子と会った覚えないんですけど!?」
「ふぇっ!?」
「……ん?」
あ、『女の子』の顔がボンっと音を立てて煙が噴き出しそうなほど一瞬で真っ赤になった。
あと母さん、なんで『耳おかしくなったか??』みたいな顔になってんの?
俺はただ事実を言っただけだぞ!?
ふわふわしていてつい撫でたくなりそうな深紅の髪。
ストロベリーキャンディのようでフルフルと揺れ輝く神と同じ色の眼。
肌の大部分を覆い隠しているドレスは、ところどころにあしらわれたフリルが大人が着るという認識だった色の濃紫を見事に子供としての可愛さに変換させている。
そしてそのすべての要素が複雑にマッチし、彼女の可愛さが一弾と引き立てられている!
確認のために?俺はもう一度『女の子』に向き直り、じっと見つめる……。(失礼じゃね?by作者)
その行為に彼女のただでさえ赤い顔はさらに紅潮していく。
そしてその顔を見てやはり俺は追い打ちのように口に出してしまう。
「うんやっぱり可愛い」
「ふひゃあっ!!?」
「ベリアルとりあえず黙りなさい」
「あ、はい」
俺の『可愛い』連呼により限界を超えてしまったのか『女の子』は眼をぐるぐるさせ始めた。
確かにこれはいかん、このままじゃ話が進まないので母さんの命令に従って黙ることにしよう。
にしても、子供にこんなに可愛いと思うなんて、薄々思ってたけど少し精神が退行してる気がするな。
まあ、大部分は『ほほえましい』とかに似た感情なんだろうが……。
――――――――――――――――――――
「え~、こほん。もう、大丈夫かな?」
「う、うん」
だいたい10分後、俺はようやく落ち着いた彼女と机を挟んで向かい合って座っていた。
彼女は最初の嬉しそうな表情とは真逆のオドオドした様子で不安そうだ。
ど、どう対応したらいいんだろうか?
どっちにしても覚えてない俺のほうが悪いんだし素直に謝るしかないよな。
許してもらえるかどうかは別として。
「あ、あの、ベリアル。本当に、覚えてないの?」
「……あぁ、ごめん」
「そ、そう……」
……さすがに『ズーン』って効果音が聞こえてきそうなほど落ち込まれると申し訳なくて仕方ないんだが……。
それにしてもこの娘どこで会ったんだろうか?
さっきから記憶を漁ってるけど、やっぱりこの『女の子』の記憶は出てこない。
紅髪、紅髪……。
そもそも俺に彼女のような紅髪の友達なんて一人しか……ん?
……………………………………。
俺は紅髪の娘の隣で呑気に夢の世界を旅してる娘を見た。
彼女の髪の色は紺色。
『原神』というゲームで紅と紺のセットの二人といえば……。
待て。
待て待て待て待て。
今ありえない予想が頭に浮かんだんだが?
え、そんなことある?
いやでも、そうじゃないと説明つかないっていうか、そうだったら全てがすっきりするというか。
「た、楽しみにしてたのに……。魔神についても色々調べてきたのに……忘れられてるなんて……。って、ん?」
「いやいやいや、まさかそんなはず……」
「あれ?大丈夫?なんか僕よりダメージ受けてない?」
俺に忘れられていたことにショックを受けていたらしい彼女は、信じられない仮説にいきなり頭を抱え始めた俺の尋常じゃない様子を見て、ちょっと心配になったようだ。
いやでも今はそんなことより!
「なあ!」
「うぇっ!?」
「名前……君の名前は何だ!?」
「な、名前?あ、そうか。たしかにもう一度名乗れば早かったか」
よかった。
ここで「思い出すまで教えないよ!」なんて言われたらどうしようかとおもった。
「じゃあもう一度言うから今度は忘れないようにしてよ!」
「ああ」
「
それを聞いた俺はついまなじりを抑えて椅子に座り込む。
そりゃ分からんわ、俺てっきりゲームの通り男だと思ってたんだし。
固定観念ってすげぇわ。
でも……まあ、とりあえず叫んでいいか?
「ディルック、お前、女だったの!!?」
「君、僕のこと男だと思ってたのか!!?」
お読みくださりありがとうございます、妄想アイスです。
今回はエウルア回のその後と、旦那と騎兵隊長が女の子であることをベリアル君が知った回でした。
すいません今回がガイアになる予定でしたが、思ったよりベリアルと旦那の乳繰り合いが長くなり次回に持ち越すことにしました。
あといつの間にかリサお姉さまと仲良くなってましたね、作者もびっくりですwww。
それとディルックちゃんの恰好のレビューについてはスルーしてください。
作者も途中から何書いてんのかわからなくなりました、ムズイ。
あと旦那が旦那じゃなくなったら何て呼べばいいんだ?