ブルーアーカイブ 実績「楽園を信じる者」及び「闇の中で照らされて」取得RTA闇堕ちチャート   作:狐玄

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 モナちゃんのヘイローとか本編に出てこない情報とかエデン条約編のネタ考えるの楽しすぎワロスとか言ってたら遅れててワロス。なにわろてんねん。

 信頼は巡る。いいことですねぇ~~~!!!
 ちなみに今回は9000字弱です。わお。


「陽だまりの抱擁」

 ゲヘナ学園、風紀委員会の本部。

 一般生徒から見れば、好き好んで近寄ろうとする者はいないだろうと言い切れる場所。現在は多くの風紀委員が出払っているのか閑散とした雰囲気を見せるそこに、風紀委員の腕章を付けていない生徒が入っていく。

 まるで自分が所属しているかのように悠々と迷いなく歩くその姿は、彼女がこの地を頻繁に訪れていることを伺わせるものだった。そうして歩を止めることなく辿り着いた先にあったのは、風紀委員のトップ、風紀委員長の執務室であった。他の部屋と変わらないはずの無骨な扉だが、その扉だけは妙な威圧感が感じられる錯覚に陥る生徒が多いという。そんな誰もが躊躇するであろう風紀委員長の執務室へと続く扉を、彼女は勢い良く開け放ち大きな声を上げる。そこには躊躇も遠慮も、果ては緊張すらも存在していなかった。

 

「ヒナちゃん!!デートしよう!!」

「……は?」

 

 いきなりの来客の素っ頓狂な言葉に驚いたのか、部屋の中に居た生徒は間の抜けた声を上げた。目も口も丸く開かれ、吊り上げられた眉はその困惑を如実に表していた。

 サプライズをした甲斐があった。モナは目の前にいるヒナに気付かれぬよう、その歓喜の発露を呑み下す。

 

「えっと……それは、どういうこと?モナ」

「つまり……お出かけしよう!ってこと!」

「ああ、そういう……」

 

 困惑から抜け切れず疑問を浮かべる部屋の主、ヒナに向けてその影――モナは、満面の笑みで言葉を紡ぐ。

 

「たまには、ね?」

「まだ仕事が残っているのだけれど……」

「関係な〜い!!!最近の風紀委員会は仕事が少ないの知ってるんだから!それにヒナちゃんも偶にはしっかり休まなきゃダメ!」

 

 遠慮するようなヒナの物言いに、体の前で腕を交差させバツ印を描くモナ。可愛らしい仕草の陰に隠れて核心を得ただろうその言葉に、思わずヒナは問いかける。

 

「どうしてあなたがそれを知っているのかしら……」

「イオリちゃんがこの前ポロっと零してたよ」

「そう……」

 

 どうやらこの後のイオリの結末が決まってしまったようだ。ちょっと申し訳ないが、今は彼女を連れ出すのが先決だ。モタモタすると他の風紀委員が帰って来て面倒なことになってしまう。

 

「ほら行こ!早く早く!」

「分かった、分かったから。そんなに押さないで、モナ」

「……っと、委員長に……モナさん?」

 

 そういってヒナの背中を押し強制的に執務室から外へ出した直後、曲がり角から一人の生徒が顔を出す。特徴的な大きな鞄に赤いタイツと手袋を付けた彼女――チナツは連れ立って現れたヒナとモナに目を丸くする。

 

「あ、チナツ!ちょっとヒナちゃん借りるね!!明日には返すから!」

「え……?あ、ちょっとモナさん!?」

 

 そう一方的に言い残し、その場を去る。後ろでチナツが何か言っている気がするがモナは気のせいということにした。ここで長々と説明していたら他の風紀委員が続々と帰って来て日が暮れてしまう。だからこれは仕方ないことである。モナは自身にそう言い聞かせ、納得する。

 

 今日も風紀委員の常識人は、苦労している様子であった。

 

 

 ゲヘナ自治区、人がまばらなショッピングモール。

 ヒナを連れたモナは、その中のアウトドアショップに足を運んだ。

 

「ここは……アウトドア用品のお店?何を買うつもりなの?モナ」

「今日はいい天気だから、日向ぼっこしようかと思って!」

 

 キョロキョロと辺りを見回し、当然の疑問をぶつけてくるヒナに言葉を返しながらモナはレジャーシートを物色する。

 

「日向ぼっこ……」

「あれ?知らない?」

「いえ、知ってはいるけれど……する必要、ある?休むだけならカフェにでも入って……」

「必要あるよ!!ほら、買うもの決まったから行くよ、ヒナちゃん」

 

 それはただの小休憩である。キチンと休むために連れ出しているのだ。ただカフェに行くのでは足りないのだ。というかいつもそれくらいしか休憩していないのだろうか……やはり彼女は放っておけない。そんな事を思いながらヒナの手を引っ張っていると、ふと通り道にある小物店の商品が目に付いた。

 

「これは……」

「どうかしたの?モナ……これは、ダンボール箱?」

「これはね、このレバースイッチを入れると中から猫が出てきてレバースイッチを切る玩具だよ」

「……意味あるの?」

「……無いね!でも、意味なんて無くてもいいんだよ?こういうのは」

 

 手にしたのは、からくりボックス。なんの役にも立たないただの玩具だ。だが、それでいいのだ。

 

「そうなの?……よく、分からないな。いらないものをわざわざ買うなんてこと、したことないし」

「……なら、こういうのはどう?」

「モナ……?」

 

 そう言って、モナは会計に向かう。店員に一つ注文をして、会計を済ませる。そうしてヒナの元に帰ってきたモナの手には、鮮やかな紙に包まれた箱があった。それはちょうどからくりボックスが収まるサイズだ。それをヒナに差し出し、モナは笑いながら告げる。

 

「はいこれ、プレゼント!」

「プレゼント……私に?」

「そう。確かにこの玩具は、役に立たないかもしれない。けど……こうして私たちの思い出を入れれば、それはとっても素敵なものになるでしょ?」

「……!」

 

 プレゼントを受け取ったヒナは、その言葉を聞いて目を見開いた。そこに含まれているのは……驚愕、困惑、歓喜?モナには伺い知れないが、悪い感情ではないだろう。

 

「……そう、ありがとう。大切にする」

 

 口を開き、閉じ。どこか嬉しそうに、そしてどこか困った風に眉を下げたヒナは、ややあってそう口にする。

 

「――うんっ!」

「ちょっ……モナ!?何をして……!」

 

 その顔を見て、思わず抱きついてしまう。

 ――ああ、やっぱり。あなたの全てが、私を狂わせる。

 

 

 最初は、物珍しさからだった。

 

 モナよりも小柄な体躯、そこから生えるギャップを感じさせる大きな角と威圧感のある翼。中々見ないその様相に興味があったから、というのも話しかけた理由の一つであった。

 

 初めて会った後、しばらくは彼女のことを目で追っていた。

 彼女は真面目に仕事をしていた。黙々と、黙々と。それがおかしいくらい量が多くても。ずっとずっと、それこそ限界まで働いてそうだったから。

 思わず彼女の手を引っ張って連れ出してしまった。休ませてあげなきゃと思ってしまった。壊れそうで、放っておけなかった。

 

 そうして休ませても、少ししたらまた限界まで働いてて。何度も何度も連れ出すことになった。その度に他人に怒られたり、襲われたりした。けれど、だからといってその行為をやめる気は微塵もなかった。

 何度も連れ出していく内に、様々な彼女の顔を見た。困惑、驚愕、怒り、赤面、困った顔、真面目な顔、申し訳なさそうな顔、悲しそうな顔、そして……笑顔。そのどれもが、不思議とモナの心を色めき立たせる。

 彼女が悲しめば、モナも悲しくなった。彼女が笑えば、モナも笑顔になれた。

 

 いつの間にか、目を離せなくなっていた。

 

 いつの間にか、彼女の全てが愛おしくなっていた。

 

 いつからだろうか、こんなにも特別な感情を持つようになったのは。

 

 それはきっと、最初から。

 

――こんにちは!私、本業モナ!15歳、学生です!

 

 それから今の今までずっと、愛は止まらない。もっと、もっとだと心が叫ぶ。もっとあなたの笑顔を見せて欲しい。この尽きることのない愛は、あなたの為にあるのだから。

 

 だから、だから私は――

 

 

「これからも、素敵な思い出い~っぱい作ろう!たくさん素敵なものを見て、感じて、好きなもの、見つけよう!ヒナちゃん!!」

「――っ!」

 

 抱きついたまま、言葉が溢れ出す。その言葉で、彼女の顔は真っ赤に染まる。ああ、愛おしい。

 恥ずかしかったのか、ヒナはすぐさま身を翻し、モナの抱擁から抜け出す。こちらを凝視するヒナは、百面相のように表情を変えて行き、最終的に彼女の眉尻は下がり、目線は逸れどこか不安げな表情になった。

 

「ねぇ、モナ」

「どうしたの、ヒナちゃん」

「どうして……どうしてそこまで私に良くしてくれるの?こんな、私なんかに」

 

 その言葉を受けて、モナは目を伏せゆっくりと彼女の手を取った。

 

「私は、ヒナちゃんのことが好きだから。あなたがとても素敵な人だって知ってるから」

 

 祈るように、しっかりと握りしめる。暖かさを、感じられるように。

 

「自分以外の為に頑張れるあなたも、それをやり抜く意志を持つあなたも、ちゃんと見てるから」

 

 そうして今度は、包み込むように抱きしめる。優しく、穏やかに。

 

「だから私なんかって、言わないで」

 

 それは、確かな本心(願い)だった。自分の大切な人が、己を卑下するだなんてしてほしくないから。

 

「……!」

「…………ありがとう」

 

 肩に、ヒナの顔が押し付けられる。その日、小さな、とても小さな雨が降った。たった一人にしか気付かれない、愛おしい合唱だった。

 

 

 

「ちょっと、待ってて」

 

 しばらくして、肩から顔を外したヒナは鼻を抑えながら離れていった。

 途端、自分が言ったことが恥ずかしくなってくる。アレではまるで告白みたいではないか。嘘は言っていない、確かに本心だ。だが、それにしたって公共の場で堂々と言うのはどうなんだと常識的な自分が語りかけてくる。顔が茹で上がる気持ちだった。それでも、ヒナは喜んでいたと思うから良しとしようと強引に自分を納得させ、落ち着きを取り戻す。

 

「……お待たせ」

「はい、これ」

「これ……髪ゴム?」

 

 帰ってきたヒナの手に握られていたのは、小さなひまわりが幾つも付いた真っ白な髪ゴムだった。

 

「そう、お返し。あなたも髪がそれなりに長いんだし、良く動き回るから纏めた方が良いと思って」

「それに……こっちの方が、あなたの綺麗なインナーカラーがよく見えるでしょう?」

 

  そう言って、ヒナはしがみつくようにモナの首に手を回し、髪を軽く纏め髪ゴムを括り付けた。その時、間近で見えた柔らかく微笑んだヒナの顔は……モナがこれまで見てきた中で、いっとう輝いて見えた。

 

――本当に、ずるい

 

 簡単に、感情が乱される。幸せな気持ちが、溢れ出してくる。その気持ちの発露が抑えきれずまた、抱きついてしまう。この気持ちを表現する術を、他に知らないから。

 

「……ありがとう!!!ずっと付けるね!大好きだよ、ヒナちゃん!!!」

「またっ……!」

 

 ヒナは頬を染め、嘆息する。その顔は、仕方ないとでも言うように慈愛に満ちていた。

 

 

 ゲヘナ郊外、青い芝生が広がる人通りの少ない場所。

 あの後、どうにか落ち着きを取り戻した二人は注目され始めていることに気付き、そそくさとその場を離れゲヘナ郊外までやって来ていた。

 天気もよく、暖かい日差しが降り注ぐその空間は絶好の日向ぼっこ日和と言えるだろう。そんな中、モナは楽しそうに鼻歌を歌いながらレジャーシートを敷いていた。

 

「ふんふふんふ~ん♪」

「ご機嫌ね……」

 

 腕を組みながらその様子を見ていたヒナは、思わずと言った様子で告げる。

 

「そりゃもちろん!今、私とっても幸せだもの!!!」

 

 それは、言葉通りとても幸せそうな声だった。ヒナと共に居れること。ヒナからプレゼントを貰ったこと。ヒナの笑顔を見れたこと。今日一日だけでこんなにも嬉しい思いができた。これを幸せと言わずになんと言おうか。モナはその眩しさに思わず目を細める。

 

「ところで……本当に手伝わなくていいの?」

「いいのいいの!ほら、出来たよ!」

 

 レジャーシートを敷き終わったモナは、素早くシートに座りヒナに向けて太腿を叩く。

 

「はい、ヒナちゃん!」

「……え?もしかして、そこに寝ろっていうつもり?」

「……ダメ?」

「別に、ダメってわけではないのだけれど……これでも一応、風紀委員長だし。だ、誰かに見られるかもしれないし」

 

 途端、涙目になるモナに狼狽えてしまうヒナ。まさか天下の風紀委員長様がこんなにも簡単に可愛くなるとは誰も思うまい。自分だけが知っているという仄かな優越感がモナの身体を満たしていく。

 

「誰かに見られても、私は気にしないよ?それに、さっきのショッピングモールの時点で手遅れじゃない?」

「そ、それでもこれ以上あなたに迷惑をかける訳には……」

「私は迷惑だなんて思ってないから大丈夫!ほら、早く!」

「ちょっ、引っ張らないで……っ!」

 

 なおも引き下がるヒナの手を引っ張り、モナは強引に自身の膝まで引き寄せる。

 

「ね、気持ちいいでしょ?」

「……そうね」

 

 そうして膝に寝転んだヒナは、どこか諦めたように声を出す。その顔は、モナに対する呆れの色が強く見えた。勿論、それは嫌な感情ではないだろうと、モナはそう簡単に思うくらいにはヒナの事を信頼している。性急過ぎるかもしれないが、モナにとって今一番大事なのはヒナに休んでもらうことだ。ヒナは、簡単に休めはしない。立場が、周りが、それを許してはくれないのだ。だから、私は。私だけは強引にでも休ませてあげなければいけない(安心できる場所で居続けようと思う)のだ。

 

「ん……」

「眠れない?」

「……そうね。なんだか、不思議な気分」

「それじゃあ、眠くなるまで色々お話しようよ!」

「なら――」

 

 

 

 それから、いろんな話をした。

 

 

「あのタヌキたち、本当にめんどくさい」

「あはは……大変だったね、ヒナちゃん」

 

 万魔殿からの嫌がらせに対しての愚痴だったり。

 

「今週、まだ半分も経ってないのにもう30件以上問題が起きてる……はぁ」

「頑張ってるんだね……いつもありがとう、ヒナちゃん」

 

 ゲヘナの日常に対する鬱憤だったり。

 

「風紀委員長だから……一応ね」

「でも、続けられてるの本当にえらいと思うよ」

 

 その小さな肩に乗っている重荷だったりの話を。

 

「――すぅ」

「……ふふ」

 

 そうしてしばらく時間が過ぎた頃、安心しきったかのようにヒナは眠り込んでしまう。そのあどけない寝顔を見て、モナは思わずヒナの頭をさらりと撫でる。撫でつけた手で前髪をどかし、じっくりと顔を見ればうっすらとクマの後が伺える。やはりあまり寝ていないのだろう。その疲労は察して余りある。彼女は責任を全うする人だ。途中で投げ出すことは絶対になく、そしてそれをやり遂げる能力と意志を持っている。()()()()()()()()()。休むことが許されず、その激務に耐えてしまえるから。その苦痛に、文句も言わずに終わらせてしまうから。こんなにも、疲れてしまっている。

 だからこれが、彼女の助けになればいいのだけれども。そんな事を思いながら、モナはヒナの顔に手を添える。目を閉じ、ゆっくりと……ゆっくりと顔を近付け、ヒナの額に口付けを落とす。跡が残らないよう優しく、祝福するかのように。

 

「おやすみなさい、ヒナちゃん」

 

 呼応するように、また脳裏に映像が流れだす。

 

 

 雨が……降っている。

 

『ねぇ……ヒナちゃん、どうしてまだ寝てるの?』

 

 前が、ぼやけて良く見えない。息も、上手くできない。過呼吸気味に荒い息は、驚くぐらいに激しく鼓動する心臓が自分のものだということを、これ以上ないほど証明していた。

 

――……

 

 辛く、苦しい気持ちが溢れ出す。視界のもや――涙だったものが流れ落ち、目の前が見えてくる。その先には……己の手の内で、脇腹の辺りから血を流し倒れ伏すヒナの姿。

 

『なんで、ずっと寝てるのかなぁ……』

 

 脳が一瞬、理解を拒絶する。思わず手に力が入る。その握った手から流れてくる冷たさが、これが嘘ではないと頭を殴りつけてくる。

 

――”……ごめん”

 

 そんな私に話しかけてくる影……いつか見た大人(理想)。悔やむように謝罪してくるこの人に、私は静かに語りかける。

 

『■■、どうしてかな。なんで、こうなっちゃったんだろうね』

 

――”これは、私の責任だ”

 

 私が口にしたはずの名前は、何も分からなかった。でも、それは責めているわけではないということだけは分かった。きっと、この人だけのせいではない。きっと、この人が居なかったら、もっと酷いことになっていただろうと感じたから。だから、この歪んだ終着点に来てしまったのは。捻じれた選択肢を選んでしまったのは。他の誰にでもなく。

 

『私が、私にも……』

 

 思い返す、捻じれた選択肢。その記憶は、穴だらけで不鮮明な酷いものだった。けれど、一つ確かなことが分かった。分岐点の内の一つが、そう遠くない未来に訪れると。

 両手に力が入り、手の内のものを引き寄せる。顔を押し付けて聞こえてきたのは、己一人にしか聞こえない悲しい独唱であった。

 

 

「――っ!」

 

 思わず目の前の彼女に触れ、体温を確認する。確かな温もりを感じ、モナは酷く安心した。現実では無いと分かっていても、それでも不安になるのは仕方ないのではないだろうか。

 

「大丈夫、絶対……守るから」

 

 決意を固め、ヒナの手を握りしめる。ふと、辺りを見回すと既に日が暮れようとしていた。さてどうしたものか……ヒナが目覚める気配はまだない。流石にこのままにしておくわけにはいかないが、起こすというのも忍びないだろう。

 

「よっ……と」

 

 迷いに迷った末、導き出した結論はモナの家に一旦連れて帰るというものだった。少なくとも、ここに居続けるよりは良いだろうと判断し、荷物を片付けヒナを背負う。起こさないように、ゆっくりと。

 それから帰るまでの間、ヒナが起きることは無かった。よほど疲れていたのだろうと判断し、ベッドに寝かせ荷物を整理しようとしたモナは、自身の服の裾が引っ張られている感触に気が付いた。その感触の場所に目を向ければ、ヒナが柔らかい笑顔でしっかりと服の裾を握りしめていた。

 これでは動けない。苦笑しながらも微笑ましい気持ちになったモナは、それもいいかとヒナの隣にゆっくりと倒れこみ、抱きしめた。今日はこのまま眠ってしまおう。細かいことは明日やればいい。今日くらいは、それも許されるだろう。そんなことをうっすらと考えながら、モナの意識も落ちていく。

 

 

「まさか朝まで眠ってしまうなんて……」

「それだけ疲れてたってことだよ、ヒナちゃん」

 

 翌日。目が覚めたヒナは真っ赤に顔を染めた。ちなみに今もなお、モナはヒナに抱きついている。他人の目がないからか、それとも昨日のことに気を取られてハッキリと認識していないのかは分からないが、嫌がられてはいないようだ。モナは、その事実に頬を緩める。何度感じても、この暖かさは簡単にモナの表情を崩してしまう。

 

「それもあるだろうけど……多分、あなたが一緒に居てくれたから。あんなに安心して眠れたんだと思うの」

「そうかな……?それは、嬉しいな!」

「そう、だから……ありがとう、モナ。一緒に居てくれて」

 

 そう告げるヒナの顔には、もう昨日までの疲労は欠片も残っていなかった。その顔は、モナと一緒の時に見せる柔らかい笑顔と、委員長としてのカッコいい笑顔が混ざり合ったような、不思議な笑みだった。

 モナはその笑顔を見て、一瞬固まる。まさかまだ知らない表情が見れるとは。こんなにもストレートに感謝を示されるとは。この望外の幸せが、ずっと続けばいいのにと思ってしまう。

 

「…………えへへ、なんだか今のヒナちゃん、とっても素直だね!」

「……そうね。この部屋が、とても安心できるからかしら」

 

 ヒナは、考え込むように目を伏せ、呟いた。

 

「暖かい陽だまりにいるような、柔らかい日差しに包まれてるみたいな」

「きっと、ここでは風紀委員長でいなくていいから」

「ただの、空崎ヒナとして居ることができるから」

「……」

「ちょっ……モナ?」

 

 言葉が、出なかった。きっと変な顔をしているだろう自覚がある。だから、顔を押し付けて隠す。今なら、トリニティ総合学園にも侵入できそうなくらい体に充足感が満ち足りているのが分かる。流石にエデン条約に与える影響が大きすぎるのでやらないが。

 

「はい……これ!」

 

 代わりにモナは引き出しの中から猫のキーホルダーが付いた鍵を取り出し、ヒナに差し出す。

 

「これって、もしかして……」

「うん!ここの合鍵!いつでも来ていいよ!」

 

 ゲヘナにおいて、合鍵を人に渡すという行為は一般的ではない。なぜなら、一般ゲヘナ生徒にとって合鍵とは、盗みに使うものだからだ。流石にすべての生徒がそうであるわけではないが、ゲヘナではリスクが大きすぎる。それを渡すということは、それだけの絶大な信頼があるということだ。もっとも、この二人がその常識を知っているかは不明だが。

 

「いいの?」

「いいよ!ヒナちゃんなら、大丈夫って信じてるから!」

「あなたっていう人は、本当に……」

 

 困ったように頬を染め、ヒナはその合鍵を優しく握りしめた。

 

 

「ただいま」

「おかえりなさい、委員長」

 

 ゲヘナ風紀委員会、本部。

 久方ぶりのまとまった休日を取ったヒナは、気力が満ちていた。これからは偶にあの子(モナ)の所に行って休んでもいいかもしれないと思うくらいには。さてまずは……と、休んでいた間に溜まったであろう仕事をアコに聞くと、思いもせぬ言葉が返ってきた。

 

「……ほとんど溜まってない?」

「ええ、いつもの連中が起こした事件が数件あるくらいです」

「……あのタヌキたちは?大人しくしているとも思えないのだけれど」

「どうやら遠征に行っていたらしく、昨日は不在だったようです」

 

 昨日、モナに連れ出されたのが朝だった。そこではまだ情報が届いていなかったということだろうか?

 

「そう……書類は?」

「そちらも比較的溜まっていません。というか、聞いていらっしゃらないんですか?」

「……何を?」

「モナさんがこの間、『委員長を休ませたい』って言って手伝ってくださったんですよ。流石に機密の書類もあるので全てではありませんが。後、何やら万魔殿にも接触していたようですが……」

「……そうなんだ」

 

 言われてない。何も言われていないのだ。こんなの、ずるいだろう。なんの考えも無しに動くとは思っていなかったが、ここまでとは誰も思うまい。きっと、万魔殿の遠征もモナの仕業なのだろう。万魔殿に繋がりがあることは知っていたが、他人の為、個人的な理由で利用するとは。

 本当に、彼女はどこまで私のことを照らしてくれるのだろうか。ヒナは窓の傍に近寄り、おそらくモナがいるであろう方向を見る。

 

 窓の外から差し込む日の光は、とても鮮やかにヒナを彩っていた。







 は~途中のヒナちゃんが死んじゃってるシーン、辛すぎて速攻終わらせちゃった。モナちゃんが死ぬのがいいよ、やっぱ。

 ところでこれってGLになるんですの……?私は同性恋愛を書く気一切ないのですけれども。まま、ええか。ダメだったらタグ付ければええねん。私の認識では親愛が上限ぶち壊したらあんな感じになるのかなぁとかなんとか思ってますので。
 それにしてもハグ魔か?ってくらい抱きつきますわねこの子。いいぞもっとやれ。そして居なくなった後に人の温もりが無くなって心が寒いことを自覚させるんだ。

 あ、そうそう。ヒナちゃんがモナちゃんに送ったひまわりの髪ゴム、花の数は7ですってよ。
 ひまわりの花言葉は「私はあなただけを見つめる」「憧れ」「情熱」
 あと薔薇みたいに本数でも変わるんですねぇ。7個は「密かな愛」だそうで。言うほど密かか?
 モナちゃん、二話連続プレゼントを渡していますがモナちゃんはこの二人に対して「形が残るプレゼント」を渡したのはこれが初めてです。それまでは甘味とか食べ物系を渡してました。

 ヒナちゃん、喜ぶ贈り物がからくりボックスとサミュエラのザ・ビヨンド(香水)しかないんですよね。水着バージョンを合わせても浮き輪が増えただけという。その贈り物が好きな理由なんだろうなって考えたら思い付いたのが今回のプレゼントです。つまりそういうことだろ!!!
ビヨンドの方は、モナが抱きついてくるから臭いと思われたくなくて香水とかよく分からないけどとりあえず超人気の香水を付けてるヒナちゃん概念です。ヒナちゃん他の事にお金使って無さそう(偏見)
 私はヒナちゃんの誕生日に前書きでも後書きでも祝いませんでした。
 それはなぜか。たとえ遅れたとしても出来るならば私は、ほんへでモナちゃんに祝って欲しい……!私の分も上乗せしてイチャコラしてほしい……!!そう思ったからなのです。こんなに遅れるとは思ってもみませんでしたが(憤怒)
 まま、この分は後々モナちゃんボコして返してもらうから安心して?これが私の誕生日プレゼントだよ♡


 ところでこの話書いてる途中に闇堕ちした後の行動新しく一個思いついたんですけどさすがにヒナちゃん心壊れちゃうかな……可哀そうだから控えめにしようかな……でも酷いのも書きたいな、ヒナちゃんの心持つかな……ってなってて迷う~~~~!!!心が二つある~~~~!!
 なのでアンケートでも取ろうかと。参考にはしますが最終的には私の気分で決めるのでごめんあそばせ。私は優しいので選択肢を二個ほど増やして計4択です。元々が3番目で新しく思いついたのが4段目です。





 モナちゃんのヘイロー考えてたら思いついたことがあるんですけど。
 ヘイローが壊れていく様を目の前で見て、触れないと分かっているのにヘイローを手で掬おうとするシチュって良いと思いません?
 とりあえずヒナちゃんでこのシチュ考えますか。う~ん、とりあえず風紀委員長ってことで襲撃されてモナちゃんが庇ったシチュでいいか。これは本編でおいおい解説しますがモナちゃんはクッソ防御貧弱ですの。それでヒナちゃんに手傷を負わせるために火力が高い武器が使われてて庇ったモナちゃんは簡単に死ぬんですわね。なんでそんなカス装甲で庇ってしまうん???親友の鏡で人間の屑がよぉ……(愛情表現)
 ガラスのようにひび割れ、崩れていくヘイローを前に、必死で両手で下から掬いあげようとするヒナちゃん。しかし無常にもヘイローはポロポロと手から零れ落ちていき、止まることはない。かわいそうですね。ヒナちゃんは、モナちゃん(ヘイロー)救う(掬う)ことはついぞできなかったのです。眉間に皺を寄せ、眉尻を吊り上げ、大粒の涙を零しながら「まって!まって!!お願い……いかないで!!!」って言うのめっちゃくちゃ笑顔になれるなぁ〜〜〜!!!あったけぇ〜〜〜!!!


 ※以下ヘイローについてのだらだら考察

  ブルアカで生徒から見えるヘイローってどんな感じなんですかね?「ヘイローがある」ことは認識しているらしいですが見え方が分からない。でも多分まともに見えてないんじゃないかなぁと思ったりするんですよね。少なくとも個人の判別は出来ないと思ってて、それが出来てしまうと不可能になってしまうことがある気がするんですよ。原作のカイテンジャーとか覆面水着団とかもそうですけど、特に覆面水着団。シナリオ内でヘイローがモロで見えてるのに中身が誰かバレてないのは「プレイヤー」と「その世界に生きる人たち」でヘイローの見え方が違うとしか思えないんですよね。
 片方をプレイヤーとしたのは、先生が私たちプレイヤーと同じ見え方してるのならそのことに言及していないとおかしいのでは?と思ったからです。先生があのような行為をするとなった時、極力生徒たちに危険が及ばないようちゃんと考えるはずですから。私は先生を信じております故。
 ゲーム内でヘイローの見え方について言及している所ってありましたっけ?少なくともメインストーリーには無いんじゃないと認識しているのですが。ヘイロー自体への言及はいくつかあるのは覚えがあるんですけどねぇ。今のところ分かっているのは「ヘイローを壊すのはめっちゃ大変」くらいでしょうか。
 「他の物質には干渉しない」と「意識がない時(あと死んだ時)は消えている」はいずれも画面の情報から私たちが考察したことですし。こうなると自分で考察するしかありませんね。

 とりあえず思いついたのは、生徒からは「見えてはいるが個人の判別は不可能」で「触れないもの」というものです。見えてないとするならなぜその存在が感知されているのかという話になって来ますし、見えてはいるんでしょう。例えるなら、みんなして社会人のようなスーツを着ているって感じですかね。触れないというのも、好奇心が強い生徒なら触ろうとしていてもおかしくないですし周知されていてもおかしくないでしょう。あとそっちの方が目の前でヘイローが壊れた際の反応が美味しい

 う~ん、でもそうするとエデン条約編の合宿でアズサが夜な夜な抜け出せていたというのが気になるんですよね。こういうことする時は寝てるかどうか軽くでも確認すると思いますし。ソースは過去の私です。意識がない時は消えている、という情報が常識なら間違いなくそこは確認されるでしょう。抜け出せているということは一回全員寝ている?そこから起きて報告に行くの凄すぎませんか。
 「寝たふりならヘイローは見えている」と考えると難しいですが、そこは簡単には判別できないと思われるシーンがありました。救急医学部のセナが部員に「寝たふりかどうかは撃って確かめろ」って言ってたみたいです。となると普段は見えていない?

 グローバル版公式のインタビューで「鏡には映る」と言及されてたみたいですけど私は動画内の言葉わかんないから詳細は不明のまま。でもこれはなかなか重要そうな情報です。「には」としているのを見ると普段は見えていないのでしょうか?鏡には映るということは写真にも写るのでしょうか?う~む、情報が足りませんね。

 聖書繋がりで新約聖書を見ると「鏡のように主の栄光を反映させながら」という一節があるらしく、これを私なりに訳すと「私たちはみな鏡を通して神の意向を見ている」となります。そうすると「プレイヤー」が見えているのも同じ理由なのではないかとの考えが浮かぶんですよね。(特殊なもの)を通せば神の意向(ヘイロー)を見ることができる。ではプレイヤーにとっての鏡とは?それはスマホ等の画面と言えます。こうすれば大体のことは説明できるでしょう。

 纏めると「普段は見えていないが、鏡を通せば見ることができるもの」「先生の見え方は生徒と同じ」「プレイヤーは常に鏡を通して見ている状態」となります。

 あ、ヘイローが意識と連動してるなら興奮とかでもヘイローが視認できるようになるのかな。意識で色や形が変わるのはアロナとプラナだけですけど見えるかどうかは言われてませんしあり得そう。まぁそこら辺はいいか。はい考察おわり!閉廷!解散!

 次回はいよいよ爆破ですね!今からとっても楽しみです!!

モナちゃんが居なくなったゾ♡

  • モナ……どういうこと!?(会う)
  • モナ……会って話を聞かせて!(書置き)
  • モナ……どこに……!?(行方不明)
  • モナが……死んだ……?(死んでない)
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