ブルーアーカイブ 実績「楽園を信じる者」及び「闇の中で照らされて」取得RTA闇堕ちチャート   作:狐玄

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 カルノバグ2章10話までのネタバレがある……かも?
 あと今回も独自設定みたいなのがあります。



「今宵、月に照らされて」

 

 モナが自分の住処を爆破し、暫く経った頃。季節的にはもうそろそろ新年度になろうかといったところだろうか。

 あれから一月ほどは各自治組織からの捜索があり身を潜めなければならず、本業モナだとバレないよう細々とした仕事しか任せられなかった。それだけモナの所在がどちらにとっても重要だったのだろうとわかる。しかし今では表立っての捜索はされていないと黒服から聞いているので、恐らく死亡判定を下されたのではないかとモナは思っている。

 それならばこれからも正体を隠し続ければこれ以上の迷惑は掛からないだろうと思ったが――どうやらベアトリーチェはそれを許さないらしい。

 

「次の仕事は顔も隠さずにやれ、と?」

「そういうことらしいですよ?」

「……正体を隠してた方が好都合だと思うんだけど」

「さて、私が言っているわけではありませんからね」

「まぁいいや。どうせこっちには拒否権なんてないんだし」

 

 黒服はそう告げる。

 最近のブームなのか社長が座るような椅子に腰かけ、手を組みながらデスクに肘を突く黒服。異形の頭をしているからか、存外似合っているのが少し苛立ちを生む。

 

「マダムの言うことは分からずとも良いでしょう。重要なのはこの仕事の内容ですからね。今回は大きい仕事ですから気を引き締めてください」

「大きい仕事、ねぇ……?それで?どこで何をすればいいの?またどっか襲うの?」

「そうですね、今回は連邦生徒会が対象です」

「ふうん、連邦生徒会なんだ……連邦生徒会!?」

 

 思わず机に手を突いて身を乗り出してしまう。

 連邦生徒会といえばこのキヴォトスにおいて絶対的な権力を保持している組織。そしてそれを纏める連邦生徒会長はモナから見ても超人ではないかと思う程だ。彼女と敵対するとなった場合、勝てる見込みが殆どない……それほどまでに彼女は強い。

 モナが警戒しているのは単純な戦闘能力ではない。未来を見通しているかのような対応力。あらゆる学園に渡りを付けられる顔の広さ。そしてそれらを納得させる性格。すべての生徒の完全上位互換かと言えるようなその全てを一人で内包している彼女自身に、だ。それに加えて特殊組織のSRT学園も指揮下に居るのだから堪ったものではない。

 更に様々な学園の所属する連邦生徒会と敵対するのは、実質的にキヴォトス全学園と敵対するのと同じだろうと言って良い。敵対する利益なんて微塵もない……それが、連邦生徒会というものだ。

 

「なんでまたそんなとこ……いや、()()()()()

「ええ、既にあなたの耳にも入っているかと思われますが、連邦生徒会……その長が先日不在になった事を確認しました。普段と違いあちら(連邦生徒会)は慌ただしく動いているのを見るに、誰も、何も話を聞いていないようで。いずれ世間的にも失踪として扱われるでしょう」

「ただ単に伝え忘れたとかは?……彼女、ひょっこり帰ってきそうな雰囲気もありそうだけど」

「彼女も生きている以上伝え忘れの可能性は否定できませんが……期待しない方がいいかと。それにこちらとしても即応されるよりは猶予があるでしょうし、このチャンスを逃すわけにはいきませんからね」

 

 あなたを失うのはまだ損失ですから、と含みのあることを言いながら軽く首を振る黒服。それは言外に利益があればそうなってもいいと言っているようなもので、モナは目を細めて対面している異形を見つめてしまう。しかし、今ここで問い詰めても意味がないことは分かっている。乗り出していた身を元に戻し、モナは懸念点を口にする。

 

「……まあ相手の初動対応に連邦生徒会長が関わってないなら何とかなりそうだけど、予測してSRTを動かしてくるくらいはしてるんじゃないの?あの生徒会長なら」

「偽情報をいくつか流しているので大丈夫かと。今回の襲撃地点は先ほど決まったばかりですし……看破されていても、確たる証拠もなしに何度もSRTを動かすことはできないはずです」

 

 実際、連邦生徒会長の読みは凄まじい。これまで行った細々とした仕事でも、モナは連邦生徒会長によって派遣された人物に幾度も見つかりかけたのだ。ヴァルキューレに任せていればいい程度の悪事にも何度も派遣していることから、それがただの偶然ではないことが分かる。

 しかし、連邦生徒会長の読みがどれだけ鋭くとも、彼女が直接現場に来れるわけではない。派遣された人物の目を掻い潜ることでこれまではなんとかやってきた。

 その状態で大きな事件を引き起こしたら、彼女は瞬く間に完全な包囲網を敷くだろう。各自治体の偵察すら利用して。それもあってモナに大きな仕事は回ってこなかったのだが……彼女が居なくなったとすれば話は別だ。事件に群がる集団を纏める存在が居なくなれば――そこに必ず穴が開く。

 

「……実行は?」

「――今夜、すぐにでもです」

 

 

 夜。

 連邦生徒会が所有するとある建物の近くで一人の生徒が立ち止まる。

 

「……」

 

 淡い光に照らされたその身を包んでいるのはゲヘナ学園の制服であり、顔には如何にも不機嫌だと分かるくらいに表情が歪んでいた。

 その生徒――モナは、溜息を吐くと気持ちを切り替えるかのように頬を二度、三度叩いた。例えベアトリーチェからの指令で顔も……服さえも所属が分かるようにしなければならないと言われたからといって、手を抜けば待っているのはヘイローの破壊だ。かといってこの仕事をこなしたところで待っているのは犯罪者の烙印だ。

 どうしようもない袋小路の未来に辟易としたものを感じながら空き缶を放り投げる。

 

「……ん?今の音はなんだ?」

「どうせ風で転がった空き缶かなんかだろ?」

「まぁ……一応確認してくるか」

「はいはい」

 

 壁の向こう側で唐突に鳴った甲高い音に反応を示した片方の警備員は、確認の為に音の方へ歩いていく。この警備員にとって不幸だったのは、もう片方の警備員が不注意だったことだろう。もうすぐ壁の向こう側が覗けるといったところで、残った警備員はあろうことか欠伸をかまして目を閉じてしまっていたのだ。

 その時、覗こうとした警備員は一瞬のうちに姿を消した。壁の向こう側に潜んでいたモナは、小型の鏡で二人の様子を伺っていた。そして都合よく残った警備員が視線を外したため、こちらに来た警備員の意識を落とし、引き込んだのだ。

 

「……ん?どこまで行ってんだアイツ?」

 

 目を開けた警備員は相方が居なくなったことに首を傾げる。その内戻って来るだろうと視線を外した瞬間、人が倒れたような音が警備員の耳に入ってきた。

 

「お、おい。大丈夫か……っ!?」

 

 刹那、警備員の体が宙に浮く。手を引っ張り、己の腰を使い相手の頭を地面に勢いよく叩き付ける……所謂背負い投げの一種を決めたモナは、警備員の服を探りカードキーを探し当てる。

 

「……意外と笊だね、連邦生徒会」

 

 連邦生徒会に襲撃を仕掛けるなど大それたことをする輩はいないと高を括っていたのだろうか。それとも、連邦生徒会長が居なくなって人手が足りなかったのか……どちらにせよ、モナには関係のない話だ。警備が笊ではなかったとしても、侵入手段など幾らでもある。大した問題になりはしない。

 

「さて、ドアは……あそこかな」

 

 先ほど探し出したカードキーを差し込み、黒服から事前に聞いていたパスワードを入力しドアを開ける。中に入り、大きい音を出さぬように走りだしながら事前情報の確認を行う。

 

「……せやぁっ!」

「お、お前はっ……ぐあっ!!」

 

 渾身の右ストレート(ただの暴力)。ここはしばらく警備の巡回はない故に気絶させて放置しても問題ない。今回の目的は最上階に安置してあるオーパーツ、ヴォルフスエック鋼鉄だ。逃走の時間も考えると、極力無駄な行動はしたくない。

 階段を駆け上がったモナは、上り終わる直前で止まり隠れる。情報通りに来た巡回をやり過ごした後、次の巡回が来る前に走り出す。後はこれを繰り返すだけだ。

 

「これが……」

 

 何事もなく最上階に辿り着き、ケースに包まれたヴォルフスエック鋼鉄を手に取る。持ち運びやすいように袋に包み腰に取り付けた後、帰還しようと振り向いたモナは唐突に足を止める。

 

「警報……もうバレたの?――仕方ない」

 

 けたたましい音と共に鳴り響く警報、そして段々と近づいてくる複数の足音。それは慌てているのか重なり合い、どれだけの大人数がいるのか正確には把握できない程であった。

 正確な情報がない以上、正面突破するにはリスクが残る。モナはそう考え、辺りを見回す。そして、自分が今いる階層より屋上が低い建物が近くにある事を確認し、窓に向かって走り出した。

 

「公安局だ!手を挙げ……なっ!?」

 

 モナが走った勢いのまま銃のストックを窓ガラスに叩き付けると、安全を担保していたその透明な壁は無残にも砕け散った。その勢いは留まることを知らず、むしろ加速するように空中へとその身を放り出す。

 視界の端で公安局の連中が狼狽えているのを見たモナは、彼女たちは追ってこないと見切りをつけ視線を着地する建物の屋上へと向けた。

 

「――っ!」

 

 それに気付けたのは、偶然だろう。向けた視界の端、光るものが見えた。その瞬間、モナは全身が沸騰するような嫌な予感を感じ取った。その感覚に身を任せ、反射的に体が動き出す。

 

 そして、発砲音が夜空に鳴り響いた。

 

 

 目を疑うような光景だった。

 匿名で齎された襲撃の情報。到底誰も信じていなかったが、さしたる任務も無かったため割り振られた退屈になるであろう仕事。しかし、情報通り彼女は現れた。その姿を見た瞬間、同じ部隊の仲間――FOX小隊の面々には緊張が走った。

 本業モナ。この二年の間で急速に頭角を表した存在。その実力は既に有名な実力者たちと遜色ないとされ、最強の生徒談義でも話に上がるとの噂もある。幸い、実力者たちはその誰もが犯罪に走ることなく、むしろ治安を守る立場になることが多かったためSRTが直接相対したことはない。その中でモナはどちらに属することもなく、これまで宙吊りの形だった。

 しかし、ここに現れたということは……そういうことなのだろう。写真でしか顔を見たことは無いが、彼女を見間違えることは無い。なにせ実力者の情報は一通り、須らく頭の中に入っているのだから。

 

「気楽な仕事かと思ったが……過酷な任務になりそうだ」

「にしても、一体どうしたんだろうね彼女。目の下とかスゴイ隈できてるし」

「……どちらにせよ、悪事を働くのであれば制圧するのみだ」

 

 そう、誰が相手だろうとも。

 

『こちらFOX3、目標地点に到達。周囲に異常なし』

「了解した。動きがあるまでは待機、接敵した場合は足止めに専念しろ」

『FOX3、了解』

 

 敵の狙いは最上階にあるヴォルフスエック鋼鉄。今回はわざとそこまで誘い込み、公安局が下への階段を封鎖する。そうすれば、残る逃げ場は周りに存在する建物の屋上しかない。幾つか候補が存在するが……その中でも退路に優れ、逃げる側から見て利点が多い建物の二つに絞り我々FOX小隊が待ち伏せを行う。他の建物には公安局が居るが……そちらに行った場合は捕らえられる可能性は低いだろう。その実力が本物ならば、有象無象では足止めにもなりはしない。

 本音を言えば部隊全員で待ち伏せしたいが……人員が足りないため、部隊を分けざるを得なかった。不安点があるとすればそこくらいだろう。だが、足止めだけなら二人でも可能だ。

 それに、あちらに彼女が行けば狙撃手の射線が通り実質的な3対1に持ち込める。こちらに来たとしても、私が相手をして後ろから狙撃で威圧を掛ければ十分に足止めできるだろう。

 

「――来た。FOX2、FOX3。そっちに行ったよ」

「よし、全員着地の瞬間を狙え。FOX1は合流に向かう」

「FOX4、了解」

『FOX3……了解!』

『FOX2、了解』

 

 相手はキヴォトスでも屈指の実力者と言われている。故にこそ見付からないよう、屋上ではなく建物内で待機していた。こちらの建物の方が階層が多く、狙撃には問題ないが降りるには少々時間がかかるのが難点だろう。だが我々はFOX小隊、それでも数分もかからずあちらに着く。

 しかし降りる直前、一瞥した視界の端を見て……思わず目を疑った。

 

――地面に向かって銃を発砲して、その反動で弾を避けるだなんて

 

 

「うっそでしょ!?」

 

 対物ライフルという反動が大きい武器、そしてその反動を受け止めるだけの力。それがあったからこそできた芸当にクルミは驚きを隠せない。

 

――そんな曲芸、私にはできそうにない。

 

 しかし、予想外の出来事があったとしてもクルミの意識は一瞬で切り替わる。流石はFOX小隊とでもいうべきか、すぐさまモナに向かって肉薄する。モナは確かに近距離でスナイパーライフルをブチかますが、密着するまで近づいてしまえば逆にその銃の威力を担保するために大きくなったサイズが枷となる。それが分かっているのかいないのか、悠長にボルト操作をしているモナに向けて銃を向け発砲する。

 

「ッシ――」

 

 だが、その弾丸はあらぬ方向へ飛んでいった。モナは銃を向けられた瞬間、自身の銃身を使ってクルミの銃を薙ぎ払ったのだ。更にモナは自身から距離を詰め、クルミの盾に腕を押し付け密着した状態にする。

 これにより、後ろのニコからの射線を切られた形になる。膠着状態に近い至近距離になったことで、二人の視線は火花が散るように重なった。オトギによる狙撃が来るまでの時間稼ぎとして、クルミはモナに向かって口を開いた。

 

「アンタはッ……なんでこんなことを!」

「……私は……私だってッ……!」

 

 モナは盾を蹴り付け、反動で跳躍してその場を後にする。直後、移動したニコと照準を合わせたオトギの銃弾がその場に降り注ぐ。

 軽快に回転しながら着地するモナを見ながら、クルミはよろめいた体を立て直しつつも先ほどのモナの感情の発露に困惑を隠せないでいた。それは、SRTが守るべき悪人の被害に嘆く市民と同じで。その時だけは、彼女がちっぽけなか弱い少女に見えた。でも、既にその顔は無く。今の無表情な彼女は――どうしようもなく悪者だった。

 着地したモナは視線を一瞬だけ横に……オトギのいる建物の方向へと向けた。その隙を見逃す人物はここにはおらず、二人は瞬時に銃を向け引き金を絞る。

 それに対しモナはステップを踏み、同時に一回転することで回避する。その回転の流れを利用し、モナは銃口をニコに向けた。

 

「――させないッ!」

 

 クルミはすかさず盾を構えながら射線に割り込み、ニコはそんなクルミの裏に隠れるように移動する。しかしモナはそのまま銃口を動かし続け――二人から見て真横の辺りを向き、片膝を突いた状態で動きを止めた。

 そちらになにがあるかを思い出したニコは、咄嗟に叫び声をあげた。

 

「FOX4!!避けてッ!!!」

 

 轟音が鳴り響いた。大量に纏った神秘は吹きすさび、モナの放った銃撃は、その不安定な体勢で放ったとは思えないほど正確にオトギのいる付近を撃ち抜いた。

 

「――っ!せあっ!」

「FOX4!応答を!」

『あてて……こちらFOX4、戦闘行動に問題なし。でも、今のでスプリンクラーが起動した。移動する』

『FOX1、了解。こちらも50秒後には到着する』

「FOX2、了解」

「FOX3、了解!!」

 

――まさかスプリンクラーは狙って……!?ここまでで約30秒。残り50秒、気を引き締めないと!

 

 濃密な戦闘体験にアドレナリンが放出されるのを感じながら、二度目はないとボルトを操作するモナに接近するクルミ。再び、腕と盾が鍔迫り合うように接触する。オトギの狙撃はないとはいえ、ニコの射線は通っている。それをモナも分かっているのか、一度力を入れ、こちらの押し返すタイミングに合わせて腕を引くことで体勢を崩してきた。即座に対応し反転するクルミだったが、腕を引く時に舞うように旋回していたモナは振り返ったクルミの盾を蹴り、ニコに向かって加速した。

 

「――どうして」

 

 肉薄するモナに対し、ニコはクルミに当たらぬよう移動しながらバラ撒くように銃弾の雨を展開する。それを左右にステップすることで回避するモナ。数発、モナの服を掠めるが、それがどうしたと言わんばかりに躊躇することなく更に近付き至近距離で大口径の銃を解き放つ。

 ニコは咄嗟に転がって回避行動を行う。その時宙を舞った汗の数粒が、強烈な神秘により消し飛んだ。それをスローモーションになった視界の端で見届け、ニコはボルトに手を掛けるモナに向き直る。遠い後方で今の狙撃による建物の倒壊が起こった音が聞こえたが、それを確認する暇はない。すぐさま銃を構え、銃弾を放つ。

 対するモナが行った行動は、単純だった。真っ直ぐ、直線の突貫。ただし、姿勢をギリギリまで地面に近付けて。ニコが放った弾丸は、モナの頭上を素通りするのみ。それを見たニコは、先程の銃撃を封じるため、自らも接近行動を行った。

 今度は腕と腕が交差する。すぐそばにある顔を更に近付け、ニコは心の内を吐露する。

 

「あなたは優しかった。そんな話ばかり聞いていた。そのはずなのに……!どうして!あなたのお友達も、こんなことを望んでいないでしょう!?」

「――っうるさい!あなたに、何が分かる!?」

 

 怒りの感情のまま、モナは片手で銃を半回転させる。ストックをニコの方に、銃口は――いつの間にか直線状になっていた、クルミの方へ。転瞬、引き金を引き絞る。轟音と共に発生した反動で、ストックは強かにニコの腹へ打ち付けられる。同時に、強烈な砲撃は正確にクルミを襲う。

 

――強い!

 

 密着するような状況に『適応』し、即座に行動へ移す度胸。最強談義に名が挙がるのも無理はない。

 最強の一角とも言われるモナの戦闘能力、その根幹を成すのはおそらく『適応力』だ。私たちSRTと同じくその時、その場所の全てに対応し、戦闘する。しかし、SRTとモナで違う部分も当然ある。私たちSRTが全てを利用し、理を持って現実的に対応しているとするならば。

 彼女は全てを利用し、暴力を持って蹂躙する。そこに理論などなく、ただ力を持ってねじ伏せる。狂気の沙汰とも言える博打を躊躇なく成功させる技量と度胸を併せ持つ、怪物の一匹と言えるだろう……そんな戦い方だ。

 

「はあぁぁぁあぁ!!!」

「くぅ――うぁっ!」

 

 モナは銃を再び半回転させ、向きを直す。そして、ボルトを操作し排莢を済ませると同時に銃のない側の足を軸に体を回転させ、ニコの腹を蹴り付ける。

 ニコは腕を間に挟み、防御する。しかし、回転の勢いまでは殺せず二度、三度と床を転がっていった。それを見ているのか見ていないのか。どこまでも無慈悲にモナは銃を構える。しかし、さすがはSRT特殊学園のTOP部隊と言うべきか。転がる途中で床に手を突き出し、即座に宙に浮くことで射線から離脱する。

 全てを回避することはできなかったが、直撃は避けた。

 

「――五発!弾切れ(OUT)!!」

『FOX4、移動完了――了解』

「FOX3、了解!!」

 

 モナの銃は下部に弾倉を取り付けるタイプであり……その中に入る弾の数は5発だ。それを把握していたニコは、出会ってから再装填(リロード)を行っていないことから弾切れだと判断し言葉を飛ばした。それに反応して、クルミはモナに向かって突進し、オトギは狙撃を行う。

 モナは、弾倉をリリースすると同時にステップを踏んだ。宙に浮く弾倉の横に立つと、弾倉に近い方の足を軸に回転――弾倉を、蹴り飛ばした。

 

「なっ……くっ!」

 

 飛んで行った弾倉はクルミの頭部に向かって直進する。クルミは首を捻って避けるが、無理な体勢になったのか走るスピードが落ちてしまう。それによりタイミングがずれたため、モナはクルミに捕まることなく後方へ退避する。オトギの放った銃弾は、屋上の床に新たな傷を刻むだけとなった。

 

『こちらFOX1、あと10秒で着く。逃げられないよう包囲網を敷く』

『FOX4、了解』

「けほっ……FOX2、了解」

「FOX3、了解!!」

 

 再装填を済ませたモナに、クルミは再度突進する。爆発から体勢を立て直したニコも、排莢を済ませたオトギもモナの方を注視する。それを確認したモナはポケットに手を入れ、中から筒状の物体を取り出した。それは大音量と共に閃光を発する非致死性兵器――所謂、閃光手榴弾と呼ばれるものに似ていた。

 それを足元に落とすと、腰に備え付けてあったホルスターから素早くハンドガンを取り出し――鉛玉を撃ち込んだ。

 その場にいたFOX小隊の面々は驚愕を隠せなかった。モナがこれまで使ってきたのは、通常の手榴弾……それも今取り出したものと酷似しているものだ。それゆえに、一瞬自爆かと考えてしまった。その一瞬はこの場において致命的で、決定的な隙となった。

 

 そして、閃光が辺りを包み込んだ。





■神秘について
 キヴォトスの生徒は、神秘を纏った攻撃でのみ傷が付けられる。爆弾、戦車砲、銃弾などに神秘を纏わせて攻撃するのは一般的技能であり、込められた神秘の量によって威力や範囲が変わったりする。なお、範囲が変わるのは爆弾や戦車砲が一般的で、銃弾を範囲攻撃にするのは誰にでも出来る訳ではない。
 ナイフに神秘を纏わせて攻撃するものもいるが、普段と勝手が違うので上手くできる生徒は少ない特殊技能である。
 本編内の神秘を纏った狙撃はアル社長のEXスキルが着弾即爆発するようなイメージ。


 怒涛の公式供給に(嬉しさで)悲鳴あげちゃう。ていうかこれ連邦生徒会ルートだったらプロット破壊されてたんちゃう?知らんけど。
 まぁこっちのルートでも過去何かしらあったっぽいFOX小隊のアレコレで粉砕する可能性ありますけどね!多分SRT閉鎖に伴ってあんな風に荒んじゃったんじゃないかな〜と予想してますが公式によっては絶命します。お慈悲^~!

 次回は更新遅れると思います。あと場合(文字数)によってはRTAパートよりも先に本編入るかもしれません。
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