ブルーアーカイブ 実績「楽園を信じる者」及び「闇の中で照らされて」取得RTA闇堕ちチャート   作:狐玄

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5000字くらいの方が読みやすいのかな~と思ったりしたので今回はそのくらいです



「あの青に咲く」

 

 

 世界は回る。

 例えそれが望む道ではないとしても。

 

 世界は回る。

 どこまでも残酷に、平等に。

 

 しかし、忘れてはならない。

 奇跡を起こす種は、いつだって変わらず傍にあることを。

 

 さあ、始めよう。

 望んだ結末への、青春の物語(ブルーアーカイブ)を――

 

 

 ◆

 

 

『……私のミスでした』

 

 快晴の大空を思わせるような青い髪が、空いた窓から入り込む風で揺れている。

 流れていく雲を思わせる高潔な制服を身に纏っていた彼女は、赤から黒へ移り変わるグラデーションで彩られていた。

 

「私の選択、そしてそれによって招かれた全ての状況」

「結局、この結果に辿り着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて」

 

 表情は、何も見えない。彼女の後ろから射す太陽の光がすべてを包み隠す。それはまるで既にこの世と分かたれているかのように。

 

「……いまさら図々しいですが、お願いします」

 

「先生」

 

 優しく、そして力強い声が耳朶を打つ。

 

「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません」

「何も思い出せなくても、恐らくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……」

「ですから……大事なのは経験ではなく、選択」

「あなたにしか出来ない選択の数々」

 

 他の誰でもない。そう……()()だからこそ掴み取る事ができる選択。それこそがきっと――

 

「……」

「ですから、先生」

「私が信じられる大人である、あなたになら」

「この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……」

「そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです」

 

 語り続ける彼女の目は、床に伏せている中で……どこか遠くを見ているように見えた。

 

「だから先生、どうか……」

 

 ふ、と彼女の顔がこちらを向く。それと同時に、日が途切れた。

 そうして見えた顔に映るのは――後悔か、それとも憐憫か。私の方を向きながら、私ではない誰かを見ていると感じさせるその目は、どこまでも悲しみの色を持ち合わせていた。

 

 

 ◆

 

 

「――い」

「――先生、起きて下さい」

 

 誰かが呼んでいる。

 強さと、優しさを併せ持った――そんな声。

 

「先生!!」

 

 その声に呼応して意識がゆっくりと浮上する。それはまるで機械の電源が入ったかのように。

 先生と呼ばれた人物は一度、二度――瞬きをし……それから辺りを見回し始めた。

 

「……」

 

 そうして分かったことは、ここが高い建物の一室であること。そして、間近にいる黒く美しい髪を持つ女性に呼びかけられていたということだ。

 

「……?」

「少々待っていて下さいと云いましたのに、お疲れだったみたいですね、中々起きない程に熟睡されるとは」

 

 不思議そうに周りを見渡す先生を見て、彼女は何とも言えない顔で呟いた。

 

「夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」

 

 ――夢?夢を……見ていたのだろうか。記憶の中には何もなく、ただ……胸の内を焦がす大人としての責任と義務(決意)のみが渦巻いていた。

 

「では、私についてきてください」

 

 彼女――七神リンと名乗る少女が言うには、彼女も先生がここに来た経緯を知らず、先生にはしなくてはならないことがあるというものだった。

 

「こんな形になってしまい私も遺憾に思います。混乱していると思われますが……今はどうか、お願いします」

 

 先生は頷き、自らの足で歩き出す。どこであろうとも、何があろうとも、先生のやることは変わらない。

 彼女はその様子を見て問題ないと判断したのか、先生を先導するように歩き出す。辿り着いた先にあったのは、待ち構えていたかのようにこの階で止まっていたエレベーターだ。

 ボタンを押し、リンは先に中へ入り先生を誘う。先生の目に飛び込んできたのは、硬質な金属の壁ではなく、ガラスを挟んだ向こう側に見える美しい都市群であった。

 エレベーターの中へ入り、都市を眺める先生に彼女は思い出したかのように告げた。

 

「――キヴォトスへようこそ、先生」

 

 

 ◆

 

 

 レセプションルーム、という部屋がある。訪れた人を歓待する場……つまりは応接室のようなものだ。そういった部屋である以上、先客が居てもおかしくないわけで――

 

「ちょっと待って、代行! 見つけた、待っていたわよ! 連邦生徒会長を呼んで来て!」

「主席行政官、お待ちしておりました」

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、現在の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

 足を踏み入れた途端、四人の女性がこちらに詰め掛けてくる。リンの方に問いかけていると分かっていても、その圧は先生が思わず「おぉ……」と感嘆の声を上げ、足を一歩後ろに下げかけるには十分すぎるほどの力があった。

 

「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね」

「まぁ、あなたたちが訪ねてきた理由はよく分かっています」

「今、学園都市に起きている混乱の責任を問う為……でしょう?」

 

 リンは物怖じすることなく、むしろ面倒くさそうにその問いに答えた。

 

「分かっているなら何とかしなさいよ!数千もの学園自治区が混乱に陥っているのよ!?この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報もありました」

「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も最近急激に高くなり、治安の維持が困難になっています」

「戦車やヘリコプターなど、出所のわからない武器の不法流通も2000%以上増加しています。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

 青い髪をした理知的な少女、穏やかな雰囲気を見せる眼鏡をかけた少女、白髪の真面目そうな少女、大人びた黒髪の少女の順で現状を捲し立てる。

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐに会わせて!」

「連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

「……え!?」

「……!!」

「やはりあの噂は……」

 

 リンは溜息を一つ吐くと、彼女たちと同じように現状を吐露する。それは、この場を容易に凍り付かせた。その空気を気にせず、彼女は淡々と説明を続ける。

 

「結論から言うと、サンクトゥムタワーの最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。」

「認証を迂回出来る方法を探していましたが……先程、解決しました――この先生が、フィクサーとなってくれるはずです」

「この方が?」

「私が?」

 

 唐突に白羽の矢が立った先生は、それに関して何も聞いていない。そのため、こちらに目を向けられても、周りの生徒と同じように頭の中は疑問符で一杯で口を開くことができなかった。

 

「ちょっと待って。そういえばこの先生はいったいどなた? どうしてここにいるの?」

「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね」

「はい、この方はこれからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」

「行方不明になった連邦生徒会長が指名……?ますますこんがらがってきたじゃないの……」

 

 先生はとりあえず、みんなに挨拶することを決めた。サンクトゥムタワーの話は、後で聞けばいい話だ。それよりもまず、生徒たちとの交流をするのが重要だ。

 

「こんにちは。これから、よろしくね」

「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイレンススクールの……」

「いや、今は挨拶じゃなくて!」

「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと……」

「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

 

 その言葉に返事をするのとほぼ変わらないタイミングで、リンが口を開く。まるで、これ以上騒がれたくないかのように。先生は仕方なく、他の生徒との自己紹介は後回しにした。

 

「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問として此方に来る事になりました」

「連邦捜査部、シャーレ」

 

 リンの発言に、眼の色を変える面々。

 

「連邦……」

「捜査部」

「シャーレ……ですか」

「……具体的に何をするのですか?捜査部という名から、それなりに予想は可能ですが」

「シャーレは単なる部活ではありません。一種の超法規的機関であり、連邦組織のためキヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを制限なく加入させることすらも可能です」

「また、各学園の自治区で制約無しに戦闘活動を行うことも可能となっております」

 

 誰かが息を呑む声が聞こえた気がした。

 

「……連邦生徒会長は、何故そんな組織を」

「それは私にも分かりかねます。ですが、今この状況では必要な存在であることは確かです」

「シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。そこの地下に連邦生徒会長の命令で()()()()()を持ち込んでいます」

「そこに、シャーレの先生をお連れしなければなりません」

 

 そういうと、リンは手元の端末を操作する。コール音が鳴ったところを見るに、誰かに連絡を入れたようだ。回線が繋がり、リンの前に投影されたホログラムには菓子を手にあくびをする少女の姿が映っていた

 もはや慣れたことなのか、そのやる気の欠片も見えないような姿にリンは何も言及せず本題を告げる。

 

「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……」

『シャーレの部室?……ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?』

「大騒ぎ?」

『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』

「……うん?」

『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に周りを焼け野原にしているみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れて来たみたいだよ?それで、連邦生徒会所有のシャーレ部室を占拠しようとしているみたいなの。まるでそこに大事なものがあるみたいな動きだけれど?』

「…………」

『まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから別に大した事な……あっ、先輩!お昼ご飯のデリバリーが来たから、また連絡するね!』

 

 何かを言う間も無く切られた通信。何とも居心地の悪い沈黙の中、先生の「深呼吸する?」という穏やかな問いかけが響いた。

 少しばかりリンから距離を取っていた他の少女たちは、勇者を見るように先生の方へ顔を向ける。それはそうだ、誰だって今にも怒り狂いそうに手を震えさせている、不発弾のような状態の彼女に話しかけたいとは思わないだろう。

 

「……だ、大丈夫です。……少々問題が発生しましたが、大したことではありません」

 

 眼鏡を押し上げ、僅かに震えた声で答える。その後、近くに居た四人の少女を見つめるリン。ちょうどいい人たちがいる、とでも言わんばかりの薄笑いであった。

 

「……?」

「な、何?どうして私達を見つめているの?」

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」

 

 訝し気な表情を浮かべるユウカの疑問にまともに答えず、リンは満面の笑みと言える表情で言い放つ。

 

「……えっ?」

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう、ユウカさん、」

「ちょ、ちょっと待って!ど、どこに行くのよ!?」

「それはもちろん――」

 

 始まりの部活、困った時の駆け込み寺、奇跡の在る場所、歩く人たらしの根城、プライベート皆無室、無限ブラック労働拠点、生徒ダイソン。

 のちに様々な呼ばれ方をするその場所は、今はただ一つの呼び名しかなかった。

 

戦場(シャーレ)、です」

 

 

 ◆

 

 

 時は戻りキヴォトス郊外、シャーレに続く大通りから少し外れた路地裏。

 モナはそこで先生を待っていた。ここ数日監視していた連邦生徒会が俄かに活気付いたため、おそらく()()がこの地に訪れたのだろうと予想して。

 仮に会えなくても、また後日待てばいいのだから。

 

「っ!」

 

 既に来ていないか確認のため大通りへ顔を出す。そんなモナの目に映ったのは、暴徒と化した不良たちに囲まれながらこちらへ歩いてくる有名人(七囚人)の中のひとり――狐坂ワカモであった。

 

 ――なぜここに?目的は?……シャーレ以外ないか。そうなると先生と会うのは厳しいか……?

 

 隠れ、思考をする。退避するだけなら今が容易だろう。路地裏に逃げれば見つかる確率は格段に減るし、変装用の私服と仮面も持ってきている。

 わざわざ関与してリスクを増やすのは頂けない。モナは荷物の口を開けながら、退避することを決める。

 それは偶然でもあったし、油断でもあった。仮面を荷物から抜こうとした手は勢い余って仮面を弾き出し、大通りへと転がり落ちてしまった。

 

「しまっ――!」

 

 仮面に予備は用意していないし、あったとしてもこのようなことで破棄するのは躊躇われる。

 それはモナに残った善性の一部であり、欠点でもあった。それはモナを大通りへと突き動かし、ワカモの前へと姿を晒してしまった。

 

「おや?おやおやおや?あなたはもしや……」

 

 仮面越し故に分からぬワカモの表情を不気味に思いながらも、モナは仮面を拾い上げる。こうなった以上、変装は無意味だ。仮面を荷物へ入れ直し、ワカモと正面から相対する。

 

「ふふふ……目的は同じ、と言うわけですか。どうです?争う理由は無いですし、協力いたしません?」

「…………そうだね」

 

 モナの内心は苦渋に満ちていた。争う理由が無いのは同じだが、目的が違うと言ったら敵対しかねないが、協力するのは心情的にも避けたいところだ。

 ややあって仕方なく同意したが、頃合いを見て離脱しようと決める。

 

「では、参りましょう?戦場(シャーレ)へ」

 

 ワカモは仮面を外し、冷たく微笑んだ。この地を戦場に、そして連邦生徒会への妨害を。

 多くの不良に囲まれ、共に歩く二人。片方は優雅に、もう片方は溜息を吐きながら。様々な学園の生徒が入り混じるその集団は――

 

 ――まるで、百鬼夜行を体現するかのように戦場へと歩みを進めていった。

 





・先生
 言わずと知れた生徒絶対救う(ウー)マン。生徒主人公の時点で先生が居るバッドエンドが思いつかないのは大体この人のせい。先生強すぎんか?
 弊キヴォトスの先生は今は真面目だがギャグ寄り比率高め。
 この後ユウカ以外の生徒たちと自己紹介した。

・リン
 先生が初めて会ったキヴォトスの住民であり生徒。
 この後リンちゃん呼びされる。

・ユウカ
 先生の初めて(の自己紹介)を奪った冷酷な算術使い。ふとい。

・モナ
 うっかりミスにより巻き込まれた。
 先生を手助けすることが悪夢の未来を回避するための重要な鍵であると思っている。そのため、不本意な悪行にストレスを感じている。

・ワカモ
 矯正局の中でモナの噂はしっかり聞いていた。でもあんまり気にしていない。
 この後めちゃくちゃ暴れた。

・不良たち
 モナにボコされた不良も中にはいる。その不良たちはなるべくモナの目の付かない方に行っているらしい。



 先生が目の前にいるとどうしても無理矢理感ある死に方しかできないんだよなぁ~~~あっそうだ!死んだ後に見付かればいいな!
 不幸にも黒塗り……違う、これは汚い方。
 不幸にも放浪の途中で力尽きて、倒れてしまうモナ。事前準備が足らなかったのかな?そこに現れる恨みを持った不良たち……!……どう考えても先生が「ちょっと待った!」って現れる未来しか見えないよぉ……!!!
 先生強すぎてシチュはいいのに死なないんだけど。どうしてくれんのこれ?純♡愛が入ってないやん!はーつっかえ、先生いなかったIFにするしかないわ。

 先生が居なかったら放浪途中で生きる理由とはなにか考え始めてそのまま死ぬね。シロコみたいに色彩が接触してくるわけでもなく、ただただ無様に崩れ落ちた姿で。その死に場所、ヒナとデート(意訳)したときの昼寝場所とかだったら美味しいです。
 モナのことが忘れられず思い出の場所を巡るヒナ、そこにはモナらしき人物が倒れているではないか!!!一瞬寝ているだけかとおもって駆け寄ったヒナが見たものは、痩せこけ、眼から光が失われ、何の表情も映していない不気味な顔。
 クッソ無様でございますわね。先生を助けるという目標が無ければモナはひどく脆く、儚いんですの。ヒナという心の支えを、ヒナのために自ら外すモナは、まだ独り立ち出来ているわけではない子供なのです。たとえ先生に似ているところがあったとしても、彼女もまた生徒で、子供で、守るべき対象なのです。
 何もかも、全てが失われたと思い込んでいるモナの姿は、実に滑稽で可愛らしい。あなたはまだ、ヒナに思われているというのに。自分がヒナの中でどれだけ大きな存在なのか自覚してないのか?オラッ自覚を持てっ!!

 そんでもう事切れてるモナを見つけちゃったヒナは自分を責めるんだろうね。「もっと早く見つけてあげられたら」「仕事なんかより、探すことを優先していれば」とかなんとか。これがきっかけで仕事に綻びが出ちゃったらヤバイね☆
 迷いは停滞を生み、停滞は蓄積してやがてその人を圧し潰す。ヒナの仕事量を見るに秒で圧し潰されそう。ゲヘナがただ数だけは居る学園になっちゃう……!

 これだからモナちゃんは。やっぱ先生がいないと駄目だな!助けてやってくれ、先生!!!(丸投げ)
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