ブルーアーカイブ 実績「楽園を信じる者」及び「闇の中で照らされて」取得RTA闇堕ちチャート   作:狐玄

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体操服ユウカの復刻をする前にゴズを何回も復刻するな委員会のものです。
時間がアホみたいに溶けた。
絶対に許さん(二回目)



「初陣」

 

 先生たちがキヴォトス郊外にあるシャーレへと続く公道に着いたとき、そこは正しく戦場であった。

 至る所で銃撃が飛び交い、喧噪がBGMのように奏でられていた。

 本来はヘリで向かう予定だったのだが……撃ち落されでもしたら先生の命が危ない。よって、近場まで車両で来ていた。ここからは不良たちを適宜対処しながらシャーレに徒歩で向かうことになっている。

 リンは後から別動隊を編成してから向かうとのことだったので、ここに居るのは先生と――移動中に自己紹介を済ませた四人の生徒のみであった。

 

「な、なに、これ!?なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!?」

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻す為には、あの部室の奪還が必要ですから……」

「それは聞いたけど……!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……!」

 

 先生と最初に挨拶を交わした、ミレニアムサイレンススクールの生徒会――セミナーに所属する早瀬ユウカ。

 そしてそのユウカを宥めるゲヘナ学園の風紀委員、火宮チナツ。

 憤慨するのもむべなるかな、と先生は思う。なにせ彼女たちは状況説明を求めてきたのに、こうして戦場に訪れないといけないのだ。彼女たちには予想だにしていないことだろう。

 

「ごめんねユウカ」

「あ、いえ、先生に言っているわけでは……!と、ともかく!先生は私たちの傍を離れないでくださいね!」

「そうですね。先生を守る事が最優先、あの建物の奪還はその次です」

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスの外から来た方、私たちとは違い弾丸一発でも命の危険に晒される可能性があります。注意しましょう」

 

 先生からしてみれば、こちらの都合で生徒に無理を強いているといってもいい現状だ。

 だが、彼女たちはそれでも協力してくれる。そんな義理は無いというのに。これほど嬉しいことがあるだろうか。いや、ない。

 ユウカの発言に反応したのは、トリニティ総合学園の正義実現委員会の羽川ハスミ。

 先生は自己紹介された内容を反芻してしっかりと記憶していく。その繋がりが、先生の何よりの武器になると予感して。

 そして、最後の一人である、トリニティ総合学園の自警団に所属している守月スズミの方へ顔を向けようとしたら――

 

「――先生!こちらへ!」

 

 物陰に居たスズミが、ちょうど先生を呼んでいた。

 

「どうかした、スズミ?」

「……あちらを」

 

 何事かとその場に居た全員がそちらに向ければ、向こう側から走って来る不良たちの姿があった。もう間もなく、接敵するであろうことが分かる。

 

「戦闘開始……ってところね。先生、先生は戦場に出ないでください!私たちが戦ってる間は、この安全な場所に居てくださいね!」

 

 現在位置は、スズミが居た物陰だ。ここならば、彼女たちが突破されなければ危険に晒されることはないだろう。だからといって、何もしないという選択肢は持ち合わせていなかった。

 

「私が指揮する、任せて」

「え、ええっ!戦術指揮をされるんですか?まあ……先生ですし、当然……なのかしら?」

「――了解しました。これより先生の指揮に従います」

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、とも言いますし。よろしくお願いしますね」

「行きましょう、先生」

 

 ――まだ、会って数刻もしていない大人。そんな人物に指揮を任せてくれる生徒たちが、その信じる心が、何よりも心地良い。

 

「ああ、行こう」

 

 先生の戦い(奇跡)が今、始まる。

 

 

 ◆

 

 

「もうシャーレの部室は目の前よ!」

 

 数度、戦いを経たあと。戦いやすいように指揮を執る先生に感嘆の声を漏らしていた生徒たちも落ち着き、もうすぐシャーレに着こうかという時に、先生の端末が音を鳴らした。

 今、この端末と通信できる相手は一人のみ――

 

『先生、今この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました』

「リンちゃん」

『その呼び方はお控えくださいと……』

 

 そう、先生をこの場に送ったリン以外にはいない。名を呼んでみれば、微妙な顔で返された。

 ――なんでだろう……?可愛くていいと思うのだが。

 先生は大真面目にそう思っていた。

 

「それより、この騒動の原因は誰?」

 

 そんな珍妙なやり取りを尻目に、ユウカはリンに問い質す。先程言いかけた続きを促すように。

 

『――ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です』

「災厄の狐ですか……」

「似たような前科が幾つもある危険な人物ですね、気を付けましょう」

 

 ハスミ、スズミが補足したその生徒は大層驚異的な生徒なのだろう。

 明らかに、名前を聞いたあとの顔付きが緊張に包まれている。

 しかし情報はそれだけでは無かったようで、リンは眉間に皺を寄せながら重々しく口を開く。

 

『それともう一人――指名手配中の生徒、モナがワカモと共に居るとの情報も入ってきています』

「――モナさんですって!?」

 

 その名を聞いたチナツは、大きく目を見開いた。聞けば、元はチナツの学園に所属していた心優しい先輩だったが、ある時を境に学校にも行かず犯罪を繰り返しているのだとか。

 さらに、単純な戦闘能力はキヴォトス内でも指折りの実力者で有名だったらしい。

 

「彼女はこれまで単独の犯行が主だったはず……どのような目的があるのでしょうか」

「その二人が手を組んでるって……この戦力で勝てるのかしら?」

 

 ハスミやユウカも不安そうに呟く。確かにそう思うのも無理はない。

 彼女たち四人の中で戦闘に優れていると言えるのはハスミくらい――しかし、そのハスミに関してもこの四人の中でなら……といったものだ。

 キヴォトス全土で見ても優秀なのは間違いないが、今回の相手はそれよりさらに上を行く生徒だ。そして有象無象とはいえ数もあちらが勝っている以上、厳しい戦いになるのは必至だろう。

 

「――大丈夫。私に任せて」

 

 それでも、先生は恐れない。生徒の先に生きる者として、生徒を教え導く存在として。

 

「……先生」

「――はい!」

「何か考えがあるのでしょう。心強いです」

 

 と、そこでリンから声が掛かる。彼女の背後では連邦生徒会所属の生徒たちの声が飛び交い、指示を出した直後なのだろうと伺える。

 

『先生。至急、部隊と共に向かっていますがもうしばらく時間がかかりそうです。一旦引いていただいて、共同でシャーレを奪還した方が良いかもしれません』

「――いや、そんな時間はなさそうだよ」

 

 視線を向ければ、こちらへ向かってくる多数の不良生徒。退避しながら彼女たちを相手取る余裕はこちらにはない。撤退戦というのは、ともすると前に進むより難しいのだ。

 同じ組織内ならいざ知らず、今の四人は別組織――共闘すら初めてだろう。たとえ先生のアシストがあったとしても、無事に引けるかどうかは分からない。

 

「前方に敵影!」

「攻撃が来ます……!気を付けて!」

 

 言うや否や、彼女たちは統率もなく銃口を煌かせる。

 乱雑にばら撒かれた銃弾はほとんどがあらぬ方向へ飛んでいくが、万が一先生に当たればそれだけで致命傷になり得る。

 警戒しておいて損はない。先生は銃が撃たれるより前に物陰に隠れていた。無事にやり過ごしたあと、端末のカメラ機能を駆使して戦況を確認し四人へ声を掛ける。

 

「戦闘開始だ!」

 

 

 

 

「あら……随分とまぁ……」

「強いねぇ、あの四人」

 

 先生が指揮を執っている四人と戦っている不良生徒たちの後方、少し離れたところ。

 そこにあった車両の天井に立つワカモと、その隣で片膝を立てて腰掛けているモナは戦闘の様子を観察していた。

 不良たちを蹴散らしながら近付いてくる見慣れぬ人物を中心とした集団がいるとの報告を受けたので、確認のためにこうして残っていたのだ。

 

「とてもじゃないけど、寄せ集めの烏合の衆には見えないね」

「ええ、とても優れた指揮官が居るご様子で」

 

 恐らくその指揮官が件の見慣れぬ人物だろう、と付け足してワカモは腕を組む。モナはそんなワカモを放置して戦場へと視線を戻す。

 的確に注意を引き、完璧なタイミングで物陰に隠れるミレニアムの少女。

 その行動で出来た隙を埋めるかのようにカバーするトリニティの少女。

 ここからでは見えない位置から放たれているであろう狙撃。

 そしていつの間にかミレニアムの少女の治療や補給を済ませるゲヘナの生徒――チナツ。

 

「……」

 

 懐かしさを感じる顔を見て、モナは思わず押し黙る。ゲマトリアに下ったあの日から、それまでの知り合いと会ったことは今まで無かった。しかしこうなっては会うことは免れないだろう。

 

 ――何を言われるだろうか。罵倒?疑問?……心配?

 

 ぐるぐると意味のない思考の渦に陥るモナ。断ち切ったはずなのに。もう、傍に居ない方が良いと思ったはずなのに。心のどこかで許しを願う自分が居る。

 もし、仮に、たとえば……そんな仮定が浮かんでは消え、浮かんでは消える。そんな自分に言い知れぬ怒りを感じて、それでもどうにもすることはできなくて。

 たらり、と脂汗がモナの頬を濡らす。

 

「……っ!」

 

 思考の渦に陥っていたモナを現実へ引き戻したのは、一発の銃弾だった。恐らくは狙撃銃の弾――ということは、前に居た不良たちは全員やられているか捕まったのだろう。

 その銃弾を認識したモナは立てていた膝を伸ばして飛び上がりその場を離れた。次の瞬間、モナの座っていた車両は大きな音を立てて燃え上がった。

 着地したモナが辺りを見回せば、少し離れたところにワカモが立っているのが見えた。そして、前方にはこちらを狙っていたトリニティ……正義実現委員会のものであろう制服を身に着けた生徒と、先程の三人が向かってきているのが分かった。

 

「騒動の主要人物を発見!狙撃は失敗しました!」

「ふふ、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと」

「モナさん!どうして……どうしてですか!?あなたが居なくなってから、委員長は――!」

「どうして、どうしてかぁ……こうすることしかできなかったから、かな」

「それは、どういう……?」

 

 疑問を途中で遮って、要領を得ない回答をするモナを問い詰めようとするチナツだったが、近くに居たスズミにそれは止められてしまった。何故と見つめるチナツに対して、スズミは真面目な表情で告げた。

 

「チナツさん……戦闘が始まります。下がってください」

「っ……!」

 

 無論、チナツとて馬鹿ではない。このままでは前衛の生徒に迷惑だし、ここは一旦下がるのが定石だ。だが、感情とはそう易々と割り切れるものではない。

 チナツは悔しそうにモナの方を見たあと、後方へ走り去った。スズミはそれを確認し、モナに話しかける。

 

「……撃たないんですね」

「……」

 

 モナは何も言わなかった。ただ、ばつが悪そうに視線を逸らすのみであった。

 スズミはそんなモナの様子を見て目を細める。

 少々張り詰めた空気が流れ始めた二人を気にも止めず、ワカモは楽しそうに告げる。

 

「さぁ、始めましょう?」

 

 モナの愛銃が、火を噴いた。

 





・先生
 たとえどれだけの指揮能力があろうと、たとえどれだけ高性能のサポート(アロナ)が居ようとも。人は一人では何もできないのだ。何も成し得ないのだ。それ故、人は他人と繋がる。繋がって、繋がり合って。人との間で大きなことを成し遂げる。

 ――それが、人間というものなのだ。

 ちなみにユウカに謝るところで「ごめんね太腿」と言いかけたらしい。

・リンちゃん
 リンちゃん

・ふともも
 ユウカ

・ハスミ
 モナをアンブッシュしてボコそうとした生徒。でかい。
 チナツとの会話を見る限りゲヘナ=即コロではないらしい。モナは今の所……んにゃぴ……。

・チナツ
 モナの情報に一番動揺した生徒。でかい。
 尊敬している先輩の哀しそうな顔が忘れられない。

・スズミ
 閃光弾を好む女。意外とふとい。
 モナとの会話で何やら思う所がある様子。

・モナ
 @精神が不安定

・ワカモ
 一番楽しそう。安定してる。
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