ブルーアーカイブ 実績「楽園を信じる者」及び「闇の中で照らされて」取得RTA闇堕ちチャート   作:狐玄

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私、復活したキキ!
こっちは復活早々3周年情報で精神の危機!

あとがきは見なくていいです




「心の底で叫ぶ(こえ)

 

 

「ちくしょー!」

「覚えてやがれ!」

「退却ー!退却ー!」

「敵、後退していきます!しかし――後方に増援が」

 

 不良たちの攻撃は大したことのないものだ。司令塔がいる練度の高い生徒たちと、司令塔がいない有象無象では月と鼈だ。たとえ数に差があろうとも、その差は簡単には埋められない。

 さもありなん、とモナは頷く。

 

「増援?いくらでも相手してあげる」

「待ってください!それ以上戦っちゃダメです!」

「ん?どうして?」

 

 シロコは自信に満ちた表情で銃を構える。先生と共に居れば、この程度では負けないという自信だろうか。しかし、それを遮るように、ヒフミは声を上げた。

 

「だ、だって……ブラックマーケットで騒ぎを起こしたら、ここを管理している治安機関に見付かってしまうかもしれません!」

 

 その顔には、焦燥が見て取れた。よほどその組織が恐ろしいのだろう。

 

「あうう……そうなったら本当に大ごとです……まずはこの場から離れて……」

「ふむ……分かった。ここのことはヒフミちゃんの方が詳しいだろうから、従おう」

「ちぇっ、運のいいやつらめ!」

 

 みんなもいいよね?と先生が見回すも、否定する声は上がらない。唯一セリカは不良たちに悪態を吐いていたが、撤退を否定しない辺り彼女も分かっているのだろう。

 なにせブラックマーケットの治安組織だ。まともに話を聞いてくれるかすら怪しい。というか聞かない。モナにとっては隣人に近い存在なので、あの組織は出会ったら面倒事しかないのを知っている。そんな組織にわざわざ会う必要はない。

 

「こっちです!」

 

 ヒフミの先導によって駆け出していく先生たち。モナは幾重にも分岐している裏道を進み、時には建物の窓から窓へ飛び移りながら追跡していく。

 しばらく走った後、先生たちは売店が立ち並ぶ通り……歓楽街というよりは、屋台通りと言った方が合っているであろう道の端で立ち止まった。モナもそれに合わせ、見つからない場所で身を潜める。

 

「……ここまで来れば大丈夫でしょう」

 

 そう言って息を整えるヒフミに対し、シロコは意味ありげに問いかける。

 

「ふむ……ここをかなり危険な場所だって認識してるんだね」

「えっ?と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから……ブラックマーケットだけでも学園数個分の規模に匹敵しますし、決して無視はできないかと……」

 

 そう答えるヒフミの表情は真剣で、どれほどの危険地帯なのか伝わってくるほどだ。実際、ヒフミの懸念は正解だ。ここで警戒を怠れば、渦巻く悪意に足を取られ破滅の末路を辿るだろう。モナがこの地を根城にした当初、何度そんな悪意に巻き込まれかけたことか。思わず苦い顔になってしまう。

 

「それに様々な『企業』が、この場所で違法な事柄を巡って利権争いをしていると聞きました。それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関がある程ですから……」

「銀行や警察があるってこと……!?そ、それって勿論、認可されていない違法な団体だよね!?」

「はい……そうです」

「スケールが桁違いですね……」

「中でも特に治安機関は、とにかく避けるのが一番です……!騒ぎを起こしたら、まずは身を潜めるべきです……」

 

 セリカもノノミも、ヒフミの言葉に驚愕を隠しきれないようだ。それもそうだろう。普通に生きてきて、そんなことを想像できるはずも無い。

 特にここ最近は連邦生徒会長がいなくなり、ブラックマーケットが活気付いている影響で金融機関や治安機関の発展も著しい。治安機関は特に成長した組織で、今では他の学園の治安組織に迫るくらいの人数になっているはずだとモナは記憶している。

 

「ふ~ん、ヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねー」

「えっ?そうですか?危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか……」

「よし、決めた―」

「……?」

 

 そんな話を聞いていたホシノは一つ問いかけた後、納得したように笑顔を見せ、何が何だかわからない顔をしているヒフミに対して言葉を紡いだ。

 

「助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうねー♪」

「え?ええっ?」

 

 その内容は、なんとも断りにくい同行要求だった。というか、決定事項と言わんばかりの言い方だ。アビドスの面々は何も思わないのか、みな一様に頷いていた。

 

「わあ☆いいアイデアですね!」

「なるほど、誘拐だね」

「はいっ!?」

「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?勿論、ヒフミさんが良ければ、だけど」

 

 いや、実際誘拐と言ってもいいんじゃないだろうか?モナはちょっと合っているかどうか心配になった。このような場面になると多数派が正しいのでは?となってしまうので。セリカが居なければ流されていたかもしれない。

 

「あ、あうう……私なんかでお役に立てるかわかりませんが……アビドスのみなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」

「よーし。それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むねー」

「それじゃあ行こう」

 

 押し切られる形で同行することになったヒフミ。その流れでそのまま捜索に乗り出そうとしたシロコを先生が止める。

 

「ちょっとまって、シロコ」

「ん、どうしたの?先生」

「もう一つ、聞きたいことがあってね」

「聞きたいこと……?」

 

 その言葉に疑問符を浮かべるシロコたち。先生は手に持っていたシッテムの箱を起動すると、その端末の画面をヒフミに見せながら問いかけた。

 

「ヒフミはモナ……って言う生徒は知ってる?」

「え、この人って指名手配されてる……も、もちろん知ってますよ!あの連邦生徒会に襲撃を仕掛けるほど凶悪な犯罪者と言われている人ですよね……」

 

その画面はモナからはハッキリと見えないが、恐らく指名手配書を映したものだろうと予想はつく。というか、今朝会った時に待っていると言ったばかりなのに探しに来ているのだろうか。生徒に対して全力過ぎるのではないだろうか。だからこそ先生なのかもしれないが。

 

「凶悪……か。私はそうは思えなくてね」

 

 先生はそう言って目を伏せる。

 

「そ、そうなんですか……?」

「うん。少し話しただけど、彼女がそんなことをするようには見えないんだ」

「話したことあるんですか!?」

「どういうこと?一目見てそんなことが分かるの?」

 

 驚くヒフミを他所に、セリカが横合いから覗き込み聞いて来る。確かに話したのは少しだけだ。そこから分かる情報などたかが知れているだろう。

 

「泣きそうな顔をしていたんだ」

 

「私に会っただけで、辛そうにしていたんだ」

 

「それはどこか無理をしているようで……苦しそうだった」

 

「そんな顔をする彼女が、どうして指名手配されるまでになったのかを……私は聞きたい」

 

 そして力になりたいんだ、と言って先生は目に強い意志を秘め、握り拳を握った。

 モナは、全身が固まったかのような感覚に陥っていた。――泣きそうな顔をしていた?自分が?――苦しそうだった?自分でこの道を選んだというのに?もう、定めたのだ。己の生き方は。

 だと言うのに……

 

「……また会ったね、先生」

 

 どうして、体は勝手に先生のもとへと向かってしまうのだろうか。

 

 

 

 

「――今思えば、ここが始まりだったのだろうね。……いや、もしかしたら、もっとずっと前からかもしれない」

 

 

 声が響く。煌めく星空を天蓋として、彼女は佇む。トリニティ総合学園に存在する特別な場所。ティーパーティーが集まるテラスに酷似したその場所で、少女は誰も居ない空間に向かって語りだす。

 まるで、誰かがそこで聞いているのが分かっているかのように。

 

 

「それでも、ここが大きな分岐点なのは変わらない」

 

 

 そう言って、彼女は視線を落とす。目の前に置かれたティーカップの水面は、静かに凪いでいた。

 

 

「本業モナ」

 

「君を取り巻く愛憎と策謀の渦が大きく廻り始めたのは、この時からだ」

 

「それまでは小さな火種だったものが、これから次々と重なり大きな炎となっていくのだろう」

 

「阿慈谷ヒフミ……彼女と出会ったことで、結末(偽りの楽園)への道は開かれる」

 

 

 つ……と少女は目の前にあるソーサーの端をなぞる。途中で指を止め、今度はソーサーに指を添え、回転させるように力を入れカップの水面を揺らした。それはまるで、道が変わったことを示しているかのように、その変化が世界(水面)を大きく揺らすと言っているかのように。

 

 

「だがそれは、君を新たなる苦しみへと導くことだとも言える」

 

「ある出来事が、特定の人物にとっては成功と見えるが、他の人物にとっては失敗と見えるように」

 

「君にとっては、この選択は茨の道へと続く岐路なのだろう」

 

 

 ソーサーを触っていた手を放し、カップを持ち上げ口に付ける。

 風が吹き、髪が揺れる。金に近い色が靡き星々と調和する。まるで絵画のような美しさすら見せるその姿は、とても少女のそれには見えなかった。

 

 

「これから始まるのは、苦しんで、足掻いて。それでもと進み、一縷の希望に縋り付く……」

 

「君にとって酷く辛い選択を強いられ続ける、苦難の物語」

 

 

 そう言った彼女は、持っていたカップをソーサーに戻し、立ち上がった。

 

 

「それでも、君は歩むのをやめないのだろうか」

 

「何が君をそこまで突き動かすのだろうか」

 

 

 テラスの端まで歩き、手すりに手を掛ける。夜空を見上げ、瞬く星がその顔を照らす。その瞳に映る光景に、星粒ほどの薄明が映りこむ。

 ……ゆっくりと、夜空の動きが速くなる。それはまるでビデオを早送りで再生しているかのように。

 

 

「何にせよ、既に道は定まった」

 

「無意識であろうとも、君は選択した」

 

「これからは、過去の選択……その清算が始まる時間だ」

 

 

 徐々に光は辺りを包み込む。遠くの星空(そら)が、手すりが、カップの水面が。照らされた光が反射し、星空とは違う煌めきが彼女を際立たせる。

 

 

「たとえどれだけ逃げようとも、最後には向き合わなくてはならない」

 

「受け入れるのか、叛逆するのか。それは私には分からない」

 

「けれど、逃れられない。それが、運命……未来というものだ」

 

「……そうだろう?」

 

 

 そう言って、彼女は振り返る。背後から差し込む光は、彼女の眼の前にある暗闇を照らす。

 誰も居なかったはずのその場所には、ゲヘナ学園のものであろう服装の少女が立っていた。首の辺りから上は光が当たらず、暗闇のままだった。

 誰ともわからぬ少女はその問いに反応を示すことも無く、足を反対方向――出口の方向へと向けて歩き出した。

 

 

「君はそれでも進むことを選ぶ……いや、進むことしか選べないのか」

 

 

 その呟きは、光と共に塗りつぶされた。

 

 

 




急啓

 凛とした冷たい空気に、風花が美しく輝くこの頃、ブルーアーカイブ様にはご清祥のことと存じます。

 この度ブルーアーカイブは3周年を迎え、ますますの盛況となることでしょう。今回私が一筆したためたのは今月末にドレス姿の空崎ヒナ様が実装されると伺ったためでございます。未だ興奮冷めやらぬ中でありますので、多々至らぬ点がございますがお許し願う次第でございます。
 あなた様は存じ上げぬかもしれませんが、私はこれまで空崎ヒナ様のことをお慕い申し上げてきております。もうすぐ通常の空崎ヒナ様との絆も50を超えようかという頃、突然齎された供給に私は心を乱されに乱されきり、まともな言語機能を一時的に喪失してしまいました。更にはその美しすぎるお姿を拝見させていただいた折、私の心の中は愛に満たされていました。本日が休日でなかったら、このような新鮮な体験は出来なかったでしょう。ブルーアーカイブ様には感謝してもしきれません。

 普段と違い、髪を一纏めにしている空崎ヒナ様も大変良いものでございますね。普段は見えないうなじを目に焼き付けることができ、大変興奮してしまいます。ぜひともうなじ付近の空気を嚥下したいところではありますが、首筋を賞翫することも諦め難く決めかねています。
 イブニングドレスも大変美しく、空崎ヒナ様の純白の髪や鮮やかな紫色の瞳とも大変マッチしており感謝の念が絶えません。肘上までのイブニンググローブもまた彼女の腕の細さを際立たせていますね。彼女のか細い腕はシルクのように美しく、繊細でございます。ですが、その腕の力は我々よりも強く、ギャップを生み出すのに一役買っていることでしょう。彼女の魅力がより強調されている仕事に感心しきる限りであります。
 そしてその腕から続くさらけ出された肩は華奢で、その肩に普段どれだけの重圧がのしかかっているのかを考えると、私は胸が張り裂けそうになる思いで一杯であります。こんな小さな肩でいつもあれだけのものを背負っているのは正に褒め称えなければならないことであり、抱きしめてあげたい衝動に駆られることは間違いないでしょう。早く彼女をお迎えする日が来ることを一日千秋の思いで焦がれている次第でございます。
 また、その胸に映る三日月で繋がりを見せているのも大変趣があってよいものでございます。彼女の腹心は三日月に連想されるものであり、ドレス姿になる過程でも彼女との繋がりは薄まるどころかより親密になったと言える情景を想起させる作りとなっているのではないでしょうか。
 それにしても、彼女が付けている宝石はどのような種類なのかとんと検討がつかないことを悔しく思います。色合い的にはサファイアではありますが、確信の持てる情報を見つけられずにいます。ただ、青い宝石は「知的」「冷静」などの石言葉が多いため彼女に合っている石と言えるでしょう。
 打って変わって彼女のどこか不安げな表情は冷静とは遠いように思えますが、これは信頼できる相手だからこそ見せる「弱さ」ではないのでしょうか?彼女は自己評価が低い傾向にあり、それはメインストーリーの随所で確認することが出来ます。手をもう片方の手に軽く被せているのも不安を隠す際に見せる仕草なのではないかと邪推してしまいますね。どちらにせよ非常に「良い」ものであるのは確かでございます。
 メモリアルロビーで見せる表情は不安げながらも頬を染め、こちらに似合っているか問いかけているシーンにも見えます。そうでなくともこういった表情を見せてくれるということ自体が既に感涙ものの信頼であり好意でありましょう。彼女がこのようなことを聞く際は「先生……これ、似合ってる?」という王道系でも良いのですが、私としましては「私には似合ってないと思うんだけど……」という否定形の問いかけをするのではないかとの説が有力です。彼女の低い自己評価傾向により似合ってないと思いながらも、それでも先生に聞いてしまう彼女の心の内に思いを馳せるとそれだけでとても愛らしい気持ちが胸に溢れます。ですが、彼女の心が成長したならば王道系になることも難しくはないでしょう。微妙な変化ではありますが、そんな成長を遂げたのであればきっとそうなるのでしょう。私の語彙ではおそらくお伝えしきれませんが、ブルーアーカイブ様であれば表現しきってくれるはずです。

 イベントpvの「たくさん練習したから 大丈夫」という何とも愛おしい台詞。おそらくは先生にも練習を付き合ってもらったのではないでしょうか。イベントが待ち遠しくてたまりません。最後のイラストもイブキやイロハが祝福し、マコトも満更でもなさそうな表情ですね。彼女の頑張りが認められたような気持ちで非常に嬉しくなります。やさしいせかい。

 最後になりますが、このような周年という一大イベントに空崎ヒナ様を
お選びいただいたこと、誠に感謝いたします。
 末筆ながらますますのご活躍をお祈り申し上げます。
草々


追記:実装の際、固有3にすることを固く誓い申し上げます。よろしくお願いいたします。
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