これからこんな感じになってしまうかもしれませんが、待っていただけると嬉しいです。
「よっこいしょっと」
輝夜とライラは巡回を続けるらしく、アリーゼと俺は気絶しているリューをホームのソファに置いて、そこら辺にあった毛布を肩までかけたら、俺はまた巡回に戻ろうとする。
「あ、ちょっと待って。貴方もここに居てちょうだい。リオンが起きた時に、側に居ないといろいろと面倒だしね」
「あー、それもそうか」
俺は近くの一人用のソファの横に刀を立て掛けて、自分はそこに腰掛けるとふぅ、と息を吐く。
「じゃあ、私は巡回に戻るけど、くれぐれも誰もいないからって、リオンに悪戯しちゃ駄目よ?」
「女の子の寝込みを襲うなんていう最低な事するわけないだろぉ?」
「確かに、こんな美少女達とひとつ屋根の下で過ごしてるのにレイは全く手を出さないチキn、紳士だものね!」
「おい、お前今なんつった?」
「あら、何も言ってないわ。それじゃあ行ってくるわね!」
アリーゼはそう言うと足早にリビングを出ていった。
「あ、おい!...ったく」
あの野郎馬鹿にしやがって......俺はチキンじゃないからな?別にあいつらに手を出したら、袋叩きにされそうで怖いとか、少しも思っちゃいないからな?本当だぞ?
「さて、こいつが起きるまでのんびり待つとしますか」
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「(こ、ここは...?)」
私が目を開けた先に広がっていたのは何処までも続く広い草原、黄昏時の陽の光を浴びてその草木は黄金色に輝いていた。そして、草原の奥でこちらを向いて一人佇んでいる。
「(貴方が何故生きて...いや、この光景、そうか、夢ですか)」
その見覚えのある『彼』に私は手を伸ばし、声をかけようとするが、その時、自分の体の指一本動かせず声も出すことが出来ないことに気づき、少し驚く。そんな私に『彼』は唇を動かし、なにか口にしようとする。
「(あなたは、私に何と言うのでしょう.....貴方のことを見殺しにしてしまった私に対する恨み辛みでもおっしゃられるのですか...?)」
『リュー......はよ、起きろ!』
「え」
そんな予想外な言葉とともに黄昏の世界は終わりを告げた。
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目を覚ますとそこには見覚えのある天井が見えた。
「ここは...私達のホームですか」
私は周りを見回し、状況を確認すると、自分が気絶して倒れたことを思い出した。
「誰が私を運んで──」
「──あ、リュー起きてんじゃん」
私がアリーゼに問いかけようとすると、後ろから聞き覚えのある声がして、思わず座ったまま振り返った。そこには先程夢の中に現れた青年──―レイが立っていた。
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「え、な、ぜ...あなたが...?私はまだ夢を見て...?」
「いや、現実だぞ?」
「で、では、貴方はあの爆発から生き残ったのですか...?」
「おう、そういうことよ」
「そう、だったんですか...」
俺がそう言うとリューは顔を伏せ、黙り込む。アリーゼ達とは違ってどこか悲しげな様子のリューを見て、少し疑問に思う。
「なんだ、自分で言うのもなんだが、帰ってきたのにあんまり嬉しそうじゃないな」
「!!そんなことはありません...!貴方が生きていてくれたのは喜ばしいことです。ですが、出来れば、今の私の姿は貴方には見せたくなかった...」
「?」
そう言うとリューは自嘲するような様子を見せて、再び顔を伏せる。そこから少し間を空けてからリューはこちらに問いかける。
「私は皆より弱いんだと、思い知らされました」
「...というと?」
「貴方を失ったあの日、私は炎に沈み行くオラリオを目の前にしても、足が竦み何も出来なかった。
だがアリーゼ達は違った。皆貴方を失ったショックが残っているだろうに…その惨状を見て、すぐに救助のために行動を始めた。悲壮感を感じさせる表情ながらもその動きに迷いはなかった。」
「...」
「それに、街の巡回をしていれば今まで守ってきた民からは『何のためにお前達がいるのか』『どうして守ってくれなかったのか』と非難され、役立たずだと罵られる、にもかかわらずアリーゼ達は平然と巡回を続けていました」
そう語るリューの表情には悲壮感、理不尽への嘆きが滲み出ている。
「最初は、そんなアリーゼ達を見て、多くを失い、民にも見放され、何故そんなに平然としていられるのか、まさか最初から犠牲が出ることを承知でいたのか、それが本当に『正義』と言えるのかと、憤りを覚えました。ですがその時、貴方が嘗て18階層で私に言われたことを思い出したのです」
リューのその言葉で俺は18階層の水晶の森から帰る時の会話を思い出した。
「『仲間の遺志を継ぐ』、今のアリーゼ達の姿はまさにそれでした。多くの人の死を乗り越え、その思いを継ぎ進む…それこそ貴方の言っていた『覚悟』。その大切さが理解できた...
できたからこそ、彼女達と違い、迷って、悩んで進めないでいる自身の『弱さ』を痛感しました」
「リュー...」
「私は貴方に縋っていたんです。私達の誰よりも強い貴方がいれば大丈夫だと高を括り、今の生活がずっと続くものだと信じきっていた、その結果がこれです。本当に、笑えてしまいますよね...
だから……教えてくれませんか...?本当の『正義』とは、一体なんなのですか?」
「強い貴方なら答えられるでしょう」とリューは言うと俺の目を真っ直ぐ見つめてくる。その姿には、以前の容赦せずに『悪』を討ち滅ぼさんとする『冒険者』の面影はなく、か弱い少女にように感じられた。
俺はそのリューから目線を外して、暫く上を見上げ考えた後、再度リューに向き合う。
「まず、な....」
リューは自身の問いかけに答えようとする俺に身構える。俺はそんなリューに対して、
「フンッ!!」
渾身の頭突きをお見舞いした。
「~~ッ!!?!??!?」
突然の不意打ちにリューは回避も防御もする間もなく俺の頭突きを食らって、痛そうにしている、なんなら少し涙目になっている。当然だ。俺が放った渾身の頭突きだ、痛くないわけがない!
「~~~ッ、あ、貴方いきなり何を...!」
「いやなんか、相変わらず頭固いなぁ思ったから、俺の石頭とどっちが硬いか勝負しようと」
「なっ!?わ、私は真面目な話を────」
「お前は何にも迷いも悩みもしないことが『強さ』だとでも、思ってんのか?」
「!!」
「もしそうなら、ただ前に進むことしか脳にない猪突猛進馬鹿とか決まった行動しかしない人形みたいなやつが、一番強いってことになるぞ」
「わ、私はそんなことを言っては...!」
「お前は何か誤解してるっぽいけど、俺だってよく迷ったり、悩んだりしてるぜ?」
「え...」
俺の言葉に信じられないといった顔でリューはこちらを見てくる。
「未だにあの時のあの選択が正しかったのか、もっとやりようがあったんじゃないかとかって悩んだり迷ったりはするさ。アリーゼ達だって多分そうだ」
なんなら最近までは、アルを真似ていただけで、自分の思う『理想』なんて捨て置いてた俺と比べたら『正義』について必死に頭を悩ませてるお前の方がよっぽど『強い』とすら思うしな。
ただ…
「お前は悩んだ末に自分で答えを出すのを諦めて、他者に答えを求めた。それは間違ってる」
「!!」
「『正義』とかそういう曖昧な物に関して、自分が納得できる答えなんてものは何時だって自分の中にしか存在しない」
もし俺がお前に、自分の力のままに目の前のものを壊すのが『正義』なんだ!とか滅茶苦茶なこと言ったとして、それをお前は鵜呑みにするのか?」
「そ、それは......しま、せん」
「だろ?そういうもんなんだよ。人にはそれぞれ違う価値観とか考え方ってものがある。その違った感性を持つ他人から与えられる『正義』に意味なんてありはしねぇんだ」
「......」
「だから、今からでもいい。思う存分『迷え』」
「!!」
リューはその一言に顔を上げ、目を見開いて驚く。
「迷って、思い悩んで、必死に足掻いて、存分に苦しめ。そうやって考え抜いた先にはお前だけの『
「.........こんな私に『正義』が見つけられるのでしょうか」
「むしろお前だからこそだろ」
「私だから.....?」
リューはアストレアファミリアの誰よりも未熟だし、堅物で純粋で、そして『正義』に誠実だ。
その未熟さ故に今の彼女の考えた『正義』は脆く、現に『悪』によっていとも容易く崩れ去る。
だが、ここで『悪』を乗り越えることが出来れば、いつかは納得のいく『
だから…
「どれだけ時間がかかってもいいから、自分が納得できるような『答え』を探し求めろ。そうして得られたお前の『正義』は今度こそ、揺らがない」
「.......」
俺の言葉を聴いたリューは顔を伏せ、考え込む。
まぁ、そうすぐに切り替えろって言われても無理だよなぁ。早く答えが知りたかったのにいきなり「迷え!」とか言われても。
でも、それしかないんだ。これに限ってはそう簡単に分かるものでもないからな。
「────さて、俺はこれから夜の警備に行くから、お前は休んどけ」
「!、私も行きます──」
「いや、お前さっきまで倒れただろ。無理せずに風呂にでも入って寝ろ」
「......分かりました」
リューは渋々納得した様子で引き下がる。俺はそれを見て、自分の刀を持ってリビングを出て、玄関に向かった。
「あ、最後に」
「?」
「お前、『頼ってばかりだ』とか思ってんだろ?」
「!!」
「安心しろ、お前が元気になったら、ちゃんと色を付けて返して貰うつもりだ。だから…
「──────はい」
そう答えるリューの目は十全とは行かないが、微かに力強くなったように感じた。
「よし。じゃあ、行ってくる」
俺はリューに背を向けて俺は玄関の扉を空けて、外に出る────
「......ありがとうございます」
扉が閉まる寸前、そう聞こえたような気がして、俺は一人ほくそ笑んだ。
「一人でなに笑ってるの、レイ?気持ち悪いわよ」
「まったくだ」
その瞬間をちょうど巡回から戻って来たであろう、アリーゼ達に変な目で見られる。悪かったな気持ち悪くてっ!!