「まじか、勝ちやがった」
「あの輝夜に?」
「すごいわ、レイ!」
ライラとリューは驚いた様子で、アリーゼは俺に称賛の声を浴びせる。
「........」
「ん?レイ?大丈夫?」
あ、あ、あ、
「あっぶねぇぇぇなぁぁあ!?」
「「「「!?」」」」
「輝夜お前、俺を殺す気か!?」
俺は胸の内を全て吐き出すように叫び声を上げた。
「え、も、申し訳ありません」
「そんなんで済まされるかぁ!俺が防げなかったら木刀とは言え、俺の首ぶっ飛んでたわ!」
「防げているのだからいいではありませんか。それにこちらにも立場というものが...」
「開き直ってんじゃねぇよ!お前のプライドより俺の命の方が大事なんだよ!...もういいや、立てるか?」
「……ありがとうございます」
今も尻餅ついている輝夜に俺は立てるよう手を貸した。
自然な流れで女子の手に触れられた...もう全部許しちゃう!
「おいレイ!最後のあれはなんだよ!」
「説明を求めます!」
「あ?あぁ、あれはだなぁ」
ライラたちから質問されて説明しようと輝夜と一緒に歩き出す。
「(...最後、気のせいか?レイの額に一瞬
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適当に誤魔化しといたけど大丈夫かねぇ。アストレア様には昨日のうちに説明しといたから、あの
そんなことを考えながら自分のベッドで寝転んでいるとドアをノックする音が聞こえた。
「レイ、いますか?」
「輝夜か。待ってな今開けるから」
俺は立ってドアを開けた。
「あの約束の件で話が……その前に。まずはその見窄らしい格好をやめていただけますか?」
「あ、すまん熱くて」
パンツ一丁でいたの忘れてたわすまんすまん。
にしても見窄らしい言い過ぎじゃない?結構筋肉あると思うんだけどなぁ…
輝夜の言葉に肩を落としつつ俺は干してある服を着て、俺から顔をそらしている輝夜にもういいぞ、と声をかける。
「ここには
「ごめんごめん。それでなんの用だっけ?あっデートか!いつにする!?」
「え、ええ。一週間後でいいでしょうか?」
「了解、じゃあ俺今日はもう寝るわ。久しぶりに激しく動いて疲れた」
「そうですか、では私もそろそろお暇させていただきます……最後に一つ」
「ん?どしたぁ?」
「貴方は一体何者なのですか?」
細められていた瞼が開かれ、纏う着物と同じ濃赤の瞳が真っ直ぐこちらを見据えている。
「…俺は女の子好きな、ただの冒険者だよ」
「……まぁいいです。お休みなさい」
「あぁ、お休み」
輝夜が出ていくのを見送った後、俺は後ろにあるベッドに寝転がる。
「……『あれ』を使っちまうとは俺はまだ弱いな。これじゃあ英雄には程遠い...」
そうして俺は目蓋を閉じ、意識を失った。
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「────なぁレイよ。私は弱い」
「そんなの周知の事実だろ。今さらどうした」
「完全に肯定されるのはそれはそれで悲しい!…私は『船』を用意しただけに過ぎない。弱者である私では、これから
「...」
「だから、彼らとの航海は君に任せたいんだ。頼めるだろうか?」
かつての親友はいつも浮かべる笑顔とは別種の、少し寂しげな笑みを浮かべてそう言った。
それが、あいつの最後の望みだった……だから────
「...あぁ、わかった。俺がお前の
俺が絶対、何が何でも叶えてやる。
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────懐かしい夢見ちまったなぁ……
なぁアルゴノゥト、俺はお前に近づけてるか?お前のように他人を幸せにできてるか?
いや無理だよな。俺は偽物だ。どれだけ似せようとも
だが英雄の船に乗るにはどうしても『強さ』が必要なんだ。単純な腕っぷしの話じゃなく、お前ような特別なのは強さが……
「…眠気が覚めちまった」
側のカーテンを開けるとまだにが昇りきっていないのか、若干暗い空が広がっていた。
「ダンジョン行くかぁ」
装備を整え、みんなが起きないようにホームから出た俺はダンジョンに向かった。
今日はどこまで降りようかね。輝夜とのデート用に金貯めとかないといけないし、中層ぐらいまで降りてみるか。
「お?なんか犬がいる」
犬型のくろい毛皮のモンスターがこちらに口を向けて何かを放とうとしている。それを察知して素早くモンスターの懐に潜り込み首を切断すると、モンスターは灰となった。
「そういうのは撃つ前に倒すに限る」
そのまま犬型のモンスター、ヘルハウンドやオークなどを倒しながら進んでいくと、白く大きな壁に囲まれた広い場所に出た。
なんじゃここ?ただ広いだけか?と思っていると、壁に徐々にヒビが入っていき、中から茶色い巨人が出てきた。
「なんだこいつ…デカいな。他のやつとは明らかに体つきが違いすぎない?」
そいつは俺に気づくと、けたたましい咆哮を上げ、こっちに向かって拳を突き出してきている、ってちょいちょいちょい!
「っぶね!」
俺は右に大きく跳躍することで回避する。さっきまで自分が立っていた場所を見ると巨人の拳が激突して地面がひび割れていた。
あんなん喰らったら骨数本いっちまうわ!
俺は巨人に捉えられないようにルーム内を縦横無尽に駆け回る。
「やっぱり図体がデカい代わりに俊敏さは無いみたいだなぁ!」
俺は巨人の後ろを取ると足元に素早く入り込み足を刀で切りつける。
「こいつ硬った!」
だが腱の部分を切ったからか巨人がバランスを崩す。すると巨人が俺の方に向かって体重に任せて拳を放ってくる。
「ならお前のその体、利用させてもらうぞ!」
それを躱し、拳の勢いと体重を利用してのカウンター。そのまま巨人の肩から腕を切断する。
「グワァァアァァア!」
片腕ともに巨人の体は地に落ち、地響きを起こす。
「危ねぇ危ねぇ、さて次で終わらせるか」
倒れた状態で顔だけ起こして
「今さらそんな攻撃当たんねぇよ」
俺は迫ってくる咆哮に対してすばやく回避を繰り返し巨人に接近し、巨人の上に跳躍する。
「これでトドメだ」
俺が巨人の胸に刃を突き立てると巨人はうめき声と共に灰となり大きな魔石を落とした。
「ふう、ようやく終わったぜ。しかしデッケぇ魔石だなぁ。これ売れば金は十分だろ」
輝夜にデートでうまいもの食べさせてやると意気込んで、俺はルームから出て出口に歩き始めた。
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「あの人、一人でゴライアス倒したよリヴェリア、すごいね」
「あぁ。(先程の身のこなし、あれほどの動きができる実力者ならそれなりに顔が知れているはずだ。彼は一体?)」