新魔術開発したら魔術学院を追放されたったwwww 作:雫お嬢様
皆様、本当にありがとう存じます!
「さあ、此処が僕達の実家の玄関でち。歓迎するでちよ」
「どう見てもただの涸れ井戸なんですがそれは……」
うん。言いたいことは分かるでち。『コレの何処が家なのか』。僕も同じ立場ならそう言うと思う。でも本当のことなんでちよね~~~これが。
「僕とペンドラは生まれてすぐにこの井戸に棄てられたんでち。この聖都……というよりサルマ聖国は戒律がクッソ厳しい上に独特の価値観を持つでちからね。僕達のような双子は不吉の象徴に見られるんでち」
「えっ……!?」
「……成程ね~。だからオームだけ【偽りの鏡】で顔を変えてたんだ~」
絶句するシルミ。サンもいつものジト目を見開いて驚いているようでち。
術者の姿を一時的に変化させる魔術【偽りの鏡】は、一般の使用を禁止されている上に反対術式があるから普通はすぐにバレてしまうでち。
でも僕は天才だから(自画自賛)大国の首都に配置されてる門番程度では見破れない精度の術を行使できるでち。その代わり、一つの姿にしかなれないでちが。これはもう別の魔術なのでは? 僕は訝しんだ。後で検証するでち。
「言っておくけど、同情は必要ないわよ。ワタシもオームも、生まれや環境に左右されずにこうして頂点に立ったのだから」
「僕達のために思い詰める必要は無いでち。友達の家に遊びに来た感じで、気楽に行くでちよー」
「……うん。了解~」
「……分かりました」
分かってくれたようで何よりでち。僕はシリアスな空気が苦手でちから、こういうのはパパッと済ませておくに限るでちね。
そんなこんなで、聖都の路地裏にひっそりと佇む涸れ井戸に入り、梯子を降りて地下の下水道に降り立ったのでちた。
そのまま複雑に入り組んだ地下道を進みながらお客様であるサンとシルミにこの場所について説明していく。
「ここ、下水道ですよね……?」
「何だか臭くて嫌だね~」
「申し訳ないけど、少しだけ我慢して欲しいでち」
「奥にあるワタシ達の住処なら空気も水も浄化されてるから、ソコまでの辛抱よ」
石造りの冷たい印象とは裏腹に、下水道は暖かいし食べ物も豊富でちから、慣れたら結構住みやすいんでちけどね……やっぱり一般人にはキツいものがあるでちか。
そうして歩くこと五分。突如、周囲からかさかさと音が聞こえ、暗闇の中に影が蠢いたでち。
「! 気を付けてくださいッ! 今、何か大きなものが動きました!」
シルミが即座に警告を発する。わざと『気楽に行く』と言って油断を誘ってみたでちが、周囲の警戒を怠っていない。優秀でちね。
「あ、言い忘れていたでちが、井戸に入った時点で悪夢の領域に侵入しているでち。当然魔物も出るでちよ」
「そんな大事なことを言い忘れないでくださいよ!!」
「え~……この光源が少ない場所で戦うのはちょっとヤバくな~い?」
シルミは打てば響くツッコミの持ち主でちね。面白いでち。
そしてサンが懸念している通り、ここは殆どの場所が暗闇でち。この地下道は通常の下水道より広めに作られているでちが、光源となる松明は整備の為に最低限の数が壁に掛けられているのみでち。普通に攻略しようと思うと苦戦は必至でちね。
まあ、何も問題は無いでちが。
「ひいっ!? む、ムカデですぅッ!?」
「あっ……すっごく大きい~♡(意味浅)」
「言ってる場合ですかッ!? くっ……! 【火の……」
「待ちなさい」
「ペンドラ先輩!? 何を……!?」
魔術を撃とうとするシルミを止めるペンドラ。本当は二つ名持ちの凄腕剣士であるペンドラが得物を抜いていない時点で察して欲しかったでちが、まだまだ修行が足りないでちね。
いや、修行というより、サンもシルミも実戦経験が圧倒的に足りないでち。生活環境を整えたら別の国で冒険者をやるのも良いかも知れないでちね。その気になれば空間転移でいつでも拠点に戻れるし。宿屋要らずでち。
「大丈夫でち。言ったでち? 『聖国の首都の内部に自分の悪夢を所有してる』って」
「えっ……ま、まさか、ここが!?」
「そうでち。此処が僕の悪夢。【聖都地下、捨て牢】でち」
はい。此処でエリア名が画面の真ん中にドーン、でち。
以前にちょっとした魔術の事故で
僕はこの悪夢の主なので、通常ではあり得ない『魔物との意思疎通』が可能なのでち。聖都に到着した時に『客を連れて帰る』と知らせておいたから襲われる心配はない、ということでちね。
「ほ、本当に魔物を、悪夢ごと従えているんですね……」
「そうでち。此処に住み着いている魔物は三種類。この【大百足】と、配管に潜む【大蛞蝓】、それと……ああ、丁度来たでちね」
通路の奥からぺたぺたと裸足の音を響かせて歩いてきたのは、この捨て牢唯一の人型の魔物でちた。
太陽光を受けていない故の病的に白い肌、ぼさぼさの白髪、骨と皮だけの痩せ細った、しかし腹だけは奇妙に膨れ上がった小柄な身体。【餓鬼】でち。
彼らは人の言葉こそ話せないでちが、その見た目からは考えられない程高度な知能を持つ魔物なので、此処で兵隊の真似事をさせているでち。勿論食料も休日も沢山取らせているのでちが、本人……本魔物(?)達は遠慮しがちでち。曰く『食べ物を貰えるだけで充分』らしいのでちが……。
そんな餓鬼達を伴って捨て牢の最奥まで辿り着いた僕達。そこには大きな鉄格子があり、その奥には円形の大きな空間が広がっていた。
部屋の中央に大きな穴が空いている。穴の淵が丸く緩やかなカーブを描いていて、水が流れ込みやすく、足を滑らせやすい構造になっているでち。
うん。以前と全く変わってなくて安心したでち。鉄格子の扉の鍵を開けて中に入る。
「良し。じゃあこの穴に飛び込むでち」
「何言ってるんですか貴方????」
シルミが天地がひっくり返る級の馬鹿を見るような目で僕を見てきたでち。全く、失礼な奴でちね。
「此が正規ルートなんでちよ」
「嘘は言ってないわ。安心して。死にはしないから」
「うぇ~~~……でも怖いよ~~?」
「なら手を繋げば大丈夫でち(幼児並みの解決方法)」
そう言って僕がサンの手を、ペンドラがシルミの手を握る。そして振りほどかれる前にすかさず穴に向かってジャンプ!
「さあ、身投げの時間よ!ワタシの美しい飛び込みを目に焼き付けなさい!」
「諦めるでち。I can flyでち」
「何ですかそれええええええええええっ!!!」
「うわあ~~~~~~やられた~~~~~~」
そうして僕達は仲良く集団で身投げをするのでちた。目出度し目出度し。
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「……お帰りなさい。我が、愛しの君」
救国の聖女、シャリテ
LV:10 HP:40000
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「……待っていた。ずっと」
「ほげええええええええええ!!?」
な、何で聖国の最重要人物がこんなところに居るんでちいいいいいいいいい!?!?
【表裏の肉】
神の誘惑、オームが発展、確立させた魔術。
一時的に、自身の肉体を完全に別人へと変化させる。
隠者であることを好んだ誘惑者は、度々別の姿で現れ、人々を導き、また誘惑した。
その姿は、聖者のように可憐で静謐な少女だったという。
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