新魔術開発したら魔術学院を追放されたったwwww 作:雫お嬢様
はい。僕は死んだでち。
嘘でち。でも死ぬほど面倒臭い事態になっているのは事実でち。
「……オーム、ペンドラ。会いたかった」
「あー……久しぶり、でちね……」
「何年ぶりかしら? 先回りするなんて。相変わらずヤルじゃない」
「うわぁ~。こんなに動揺してるオームを見たのは初めてだよ~」
「それどころじゃないでしょう!あ、あの御方は……!」
穴を下って辿り着いた悪夢の中の居住区。そこで僕らを待っていたのは、僕とペンドラの幼馴染みにして聖国の最重要人物、聖女シャリテでちた。なんで???
「……オームとペンドラの……気配を感じたから、来た」
「速すぎでちよ!僕達が聖都に到着したのはついさっき……いや、それよりも鉄格子の扉の鍵は!?どうして魔物達は素通りさせたでち!?」
この聖都の中枢である寺院から最も離れたスラムの路地裏に居た僕達の気配を感じるだけでも化け物でちが、まあそれは良いでち(本当は良くない)。
でも、どうして無傷でここまで辿り着けたでち? 魔物達には僕やペンドラが居ない間、この悪夢を守護するように命令しておいた筈……。
すると、シャリテは混乱する僕に見せつけるように、聖衣の胸の部分に空いた穴に手を入れ(何のために存在するでち? 通気?)、その豊満な胸の隙間から鍵を取り出した。クッソ見覚えがあるんでちけど???
「……合鍵、造っておいた。無断で」
「何……でち……?」
「これ、見せたら……魔物達も、私をお客様として……エスコート、してくれた」
「ワタシ達がまだココに居た時に、秘密裏に造ったのね。抜け目ない子。そういうの、好きよ?」
マジでちか……当時は聖都から脱出することに注力していたとはいえ、全然気付かなかったでち。
「とりあえず、リビングに行きましょうか。お互い、積もる話もあるでしょうし?」
「……そうでちね。自己紹介も必要でちから」
■■■
地下の最奥にある居住スペースのリビングにて。テーブルを囲むように配置したふかふかのソファに身を沈めている皆に暖かいチョコレートドリンクを振る舞う。
僕と悪夢は常に繋がっているでち。居住区に造ったクソデカ倉庫と空間を繋げることで、いつでも物資の出し入れが可能。つまり大量に食材や建材を買い込んで保存出来るってことでち。
「凄いね~。下水道の奥にこんな場所を作るなんて~」
「先輩方が仰った通り、空気も水も清浄で……これも悪夢の効果なのでしょうか」
「そうでち。その辺りも結構細かく調整出来るんでち」
今はお互いの自己紹介を済ませて一息入れたところでち。でも、お客様の二人は僕達の話を聞きたそうにうずうずしているみたいでち。
「それで~?双子と聖女様はどういう関係なの~?」
「そ、そうですよ!どうしてこんなところに聖女様がいらっしゃるんですか!?」
「……? さっき言った」
「いや、あれだけの説明じゃ分かんねえでちよ」
シャリテも相変わらず必要以上に喋らない女でちね。喉に負担をかけないように……と見せかけて、ただものぐさな性格ってだけでちねこれは。
「ワタシ達は幼馴染みなの。幼いワタシ達がこの下水道に住んでいた頃、偶然事故で下水に落ちてきたこの娘を拾ったのよ」
「あの時はいつもみたいに子供が捨てられて来たのかと思ったんでちが、どう見ても上流階級のお嬢様でちたから、結構焦ったでち」
「『いつもみたいに』……?」
「あー……そこは聖国の闇というか……」
「ワタシとオーム、そして
「どういうこと~?」
混乱しているサンとシルミに説明する。
長くなるから要約すると……
『聖国は国教が定める戒律により【人間】【聖】【完全】の三つの至上主義思想が浸透している』
『貧富の差が激しい。常に完璧を求められるので、普通に過ごしていても仕事を失い路頭に迷う者も出始める』
『上流階級の聖職者や貴族は自分達の血を尊び、次代に残すために近親相姦も珍しくない』
『近親相姦による遺伝子異常で奇形や障害を持つ子が産まれる→完全ではない人間は我が家の子として相応しくない→下水道に捨てるコンボが成立』
「う、嘘……!?」
「……酷いね~……もしかして、ここの餓鬼達って?」
「鋭いでちね。餓鬼は餓死した子供の死体から産まれる魔物でち」
悪夢の中に居る魔物は大抵の場合、悪夢化する以前にその場に住んでいた生物が魔物化した存在でち。人型の場合は、そこにあった人型生物の遺伝子(髪の毛や爪、肉片等)が変化したものってわけでちね。
「だからこそ、幼いワタシ達は聖国を脱出したのよ。ここは酷い国だから」
「勿論、聖国は良いところも沢山あるでちよ?でも悪いところがぶっちぎりで多過ぎるだけでち」
「……置いて、行かれた」
「そこはマジで悪かったと思ってるでち」
前述の通りシャリテはこの国の最重要人物……教皇と同等の地位に居る女でち。だからどうしても連れて行けなかったんでちよ。
「ああ~。オームが聖女ちゃんに再会したときに凄く動揺してたのって、後ろめたさがあったから~?」
「それもあるでちけど、シャリテは度々ペンドラと組んで馬鹿をやらかすんでち。鬱憤を晴らしてるというか、聖女としての責務で溜まるストレスの解消というか……」
「……むう……酷い。悪いことを言う、オームには、お仕置き……私の子宮の中に閉じ込めて分解、再構築、再誕……」
「お前ひょっとして闇の錬金術師か何かでちか?????」
クッソ怖いこと言うなでち!!ちょっとちびったでち!!
「……あっ、そうだ(唐突)。オーム達に、お願いが、ある……」
「あら、何かしら?」
「……私を、貴方達の旅に、連れて行って」
【聖女の舌】
聖女シャリテの切り取られた舌。まだ暖かい。聖遺物の一つ。
聖属性の攻撃力と防御力を極めて大きく強化する。
歴代最高の聖女であるシャリテは、人を癒す聖歌の歌い手であった。
彼女の歌は、文字通り世界を救える資格と力を持っていたのだ。
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