機動戦士ガンダム 祝福されし子と7人の魔女   作:ケンヤ

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16話

校外実習の拠点とるフロントに到着後、少しの休憩を挟み実習が開始された。

 ルーカス達のグループの実習内容はフロントの近くのデブリ帯でのデブリの回収だ。

 過去の戦争は地球で行われているが、その名残は宇宙にも残っている。

 地球ほどではないが戦闘で破壊されたMSの残骸が今も宇宙を漂っている。

 それをベネディットグループ傘下のアスティカシア学園の生徒が回収することで単なる生徒の実習だけでなくグループのイメージアップを図る目的もある。

 現在は第一陣が小型の輸送艇で出ている。

 

「ルーカス様。何も見てるんですか?」

 

 フロントの食堂で暇そうに端末を弄っているルーカスの元にセシルがやってくる。

 ルーカスは持っていた端末をセシルに見せる。

 

「レオ・コーポレーションの新型MS強奪?」

 

 ルーカスが見ていたのはニュースサイトでセシルはその見出しを読み上げる。

 

「レオ・コーポレーションと言えばグループ外企業ですが、規模はそれなりのところでしたよね」

「ああ。そこの新型MSが何日か前に奪われたらしい」

 

 MS産業においてはベネディットグループが最大手であるが、グループ傘下の企業以外にもMSを開発、販売している企業は多数存在する。

 レオ・コーポレーションもその中の一つで、規模は御三家ほどではないがそこそこの規模の会社だ。

 そのレオ・コーポレーションで開発した新型MS「レグルス」が移送中に襲撃を受けて強奪されたと記事には書かれている。

 

「このレグルスとかいう新型機はジェターク社の得意とする重装甲高出力のMSと機体特性がかぶっているからな。この事件を聞いてヴィムのおっさんも大喜びだろ」

 

 強奪されたレグルスは新型の動力炉を搭載し高い出力を持っていると言われている。

 ジェターク社としてはレグルスが強奪されたのは願ったりで、メディアも今回の件で得をしたジェターク社が強奪事件に関わっている可能性をジェターク社から名誉棄損で訴えられないギリギリのラインで匂わせている。

 

「ルーカス様はジェターク社が関わっていると?」

「あのおっさんならやりかねないが、今回はシロだな」

「根拠は?」

「あのおっさんなら強奪で済まさず、徹底的にレグルスを叩き潰すだろうからな」

 

 記事ではジェターク社の関与を匂わせているが、ルーカスは信じてはいないようだ。

 仮にジェターク社が関わっているのであればレグルスを強奪するのではなく、完全に破壊すると考えている。

 戦闘で破壊することでレグルスの性能が大したことはないという事をアピールできるからだ。

 記事でもレオ・コーポレーションの移送の警備体制を問題視するようなことは書かれているが、レグルスの性能を貶める事までは書かれてはいない。

 むしろ、強奪した何者かがそこまでして手に入れようとしていると持ち上げてすらいる。

 

「成程。ですが、記事のコメント欄ではジェターク社がかなり叩かれているみたいですね」

「ほんと民衆ってバカだよな。この記事はレオ・コーポレーションの広報辺りが失態を利用してジェターク社に矛先を向けさせてるんだろうよ」

 

 記事のコメント欄にはジェターク社に対する批判コメが多く軽く炎上している。

 

「まぁ俺はコメ欄を見て退屈を凌げるから良いんだけど」

 

 ルーカスがこのニュースサイトを見ていたのは単に暇だったからだ。

 実習はしっかりとスケジュールが組まれているが、ルーカスに対しては仕事が割り振られてはいない。

 元々、参加の予定はなく総帥の息子に指示を出せる度胸のある生徒もいない。

 

「このままではジェターク社の社会的信用も落ちかねませんが、私の方でも手を打っておきましょうか?」

「大丈夫だろ。この程度の事はどうとでも出来るよ。あのおっさんも伊達に御三家の一つを背負ってないからな」

 

 コメ欄は炎上しているが、ルーカスはジェターク社の心配はしていない。

 グループの中でも御三家と呼ばれるだけの実績があるジェターク社もそこまで来るのに様々なライバル社を蹴落としてきた。

 その中でこの手の工作はいくらでもあり、その都度乗り越えてきている。

 この程度の事ならルーカスがセシルを使わずとも自分たちで鎮静化するだろう。

 

「そこまでしてやる義理も無いしな」

 

 ルーカスもそれ以上の興味がなくなったのか、他のニュースを見る。

 

「ルーカス! セシルさんもいたのか。ちょっと来てくれ」

 

 適当にニュースを眺めていると食堂にコウタロウが入ってくる。

 

「今、忙しい」

「何も仕事も無いだろ。それよりも出てたシズカ達が戻ってきたんだけど、珍しいMSの残骸を見つけたからちょっとルーカスに見て欲しいってさ」

「珍しいMSね。まぁ暇つぶしにはなるか」

 

 ルーカスは渋々切り上げるとセシルを連れてコウタロウと共にフロントの格納庫に向かう。

 格納庫ではシズカのガンダムサナトスが回収してきたデブリを格納庫に置いていた。

 今回の実習の大半はモビルクラフトで行われるが、シズカは普通のモビルクラフトは扱えないため、ガンダムサナトスを持って来ている。

 同様にルーカスの護衛の為にセシルのルブリスとモビルクラフトには乗りたくないとルーカスのルブリスV2 もこのフロントに持ち込んでいる。

 

「あれだよ。あのMS。あれってどこのMSかわかるか?」

「へぇ確かに珍しいな。ありゃべギルベウだな。グラスレーの奴。てか、なんで知らないんだよ。10年以上も前の奴だけど教本とかにも乗ってんだろ?」

 

 シズカが回収したMSはべギルベウだった。

 機体自体は10年前のヴァナディース襲撃にも使われており、大量生産はされていないが、何機から実戦に投入されている。

 その内の1機が戦闘で撃墜されたのだろう。

 コックピットは潰されており両腕も失われている。

 コックピットの損傷からパイロットも助かってはいない。

 

「へぇあれが名前は聞いたことはあったけど実物を見るのは初めてだな」

 

 回収されたべギルベウに何人かのメカニック科の生徒が損傷の度合い等を調べている。

 

「アレ直すのか?」

「どうだろ? まぁ回収したデブリは廃棄する前にメカニック科の教材をして使うって聞いてる」

 

 今回の実習では経営戦略科の生徒は実習のスケジュール管理、パイロット科の生徒はデブリの回収作業、メカニック科の生徒は回収したデブリの修理が課題となっている。

 デブリの修理は実際に直せるかは別として、今まで決闘で破壊されたMSの修理しかした事の無いメカニック科の生徒にとっては実戦で破壊されたMSはまたとない教材になるだろう。

 

「ふーん。なら他の残骸に混じってるハイングラから部品を取るように伝えておけば?」

「分かったけどなんで?」

「メカニック科の生徒なら分かってるとは思うけど、べギルベウはグラスレーのMSだから同じグラスレーのMSの部品じゃないとまず使えない事が多いんだよ。現場都合を考えない会社都合って奴でな」

 

 MSを扱う時には常識となっているが、MSの開発メーカーによって部品や装備の流用は他社製のMSにはほとんど出来ない。

 1度買った後にメンテナンス等で部品交換をする際に他社の物を買わさずに自分の会社で買わせるためだ。

 現場からすればせめてグループ内だけでも規格統一して欲しいところだが、販売している会社からすれば自分たちの利益が第一だ。

 

「そういうもんかね。そんじゃ伝えて来る」

 

 コウタロウがルーカスのアドバイスを伝えに行く。

 それと入れ替わりに機体をハンガーに戻したシズカが機体から降りて来る。

 

「大物を見つけてきたな」

「まぁね」

 

 格納庫内は無重力であるため、シズカも車椅子なしでも一人で移動が出来る。

 ルーカスがシズカを受け止める。

 遠目でべギルベウのコックピットを開閉したメカニックが顔を青ざめているのは見える。

 

「あーあ。空けちゃったか」

「あれもいい経験よ。アーシアンはともかくここの生徒は死体慣れしてないもの」

 

 メカニックたちが顔を青ざめているのはべギルベウのパイロットの死体を見てしまったからだ。

 地球寮の生徒たちは地球で暮らしていたことは少なからず死体を目にすることもあったが、スペーシアンの生徒が死体を生で見る事はまずない。

 あったとしても、それは葬式等でのまともな形をしている死体で戦場で無残に殺された死体を見る経験はない。

 

「そろそろ食事の時間でしょ?」

「アイツらしばらく肉食えないな」

 

 ルーカスはシズカの手を引きながら格納庫を出ていく。

 

「まぁ肉なんて出ないんだけどな」

 

 食事の時間となり、ルーカスは支給された食事に対して愚痴る。

 今回の実習では緊急時を除き食料の補給は行われない。

 事前に持ち込んだ食料は保存がきくものばかりだ。

 その上、楽しむことよりも栄養の補給を優先した食事はルーカスにとっては不満しかない。

 今まではセシルが調理した物を食べていたが、セシルが安全確認はしているが、今回ばかりはそうはいかない。

 

「これでも栄養が取れて腹が満たされるだけマシだぞ」

「そうね。味も食べれるだけマシね」

 

 ルーカスの不満を他所にコウタロウとシズカは気にした様子はない。

 地球では毎日の食事もまともに取れない事は珍しくはない。

 最悪、その辺りに生えている草花や昆虫、場合によっては泥水すら啜らなければ生きてはいけない。

 それに比べればこの食事でも文句は出ない。

 

「生憎と俺はセシルの愛情の籠った料理が食べたいの」

「いえ、特に込めた覚えはありませんが」

「まぁ取り合えず変な触感とかないだけマシか」

 

 文句を言いながらも支給された分はしっかりと平らげた。

 その翌日の回収作業にルーカスも急遽参加した。

 

「コウタロウ、コイツはグラスレーのライフルだ」

「了解。こっちに渡してくれ」

 

 フロントでは昨日回収した残骸の修復作業が進められ、同時進行で回収作業も進められている。

 ルーカスは持って来たルブリスV2でデブリの中からべギルベウの修理に使えそうな残骸を選別している。

 ルブリスV2がコウタロウの乗るモビルクラフトの方に破損したビームライフルを軽く流す。

 それをアームで受け止めると回収艇の方に運ぶ。

 

「それより昨日の夜はどこ行ってたんだよ?」

「ここで寝てた」

 

 フロントでの部屋割りはルーカスとコウタロウは他の地球寮の生徒と同室となっている。

 流石にルーカス一人で使う個室はフロント内にはなく、普段行動を共にしている地球寮と同じ部屋を割り当てられたが、昨日の夜はルーカスは部屋にいなかった。

 

「他人と同じ部屋で寝泊まりするくらいならルブリスの中にいる方がマシだ。本当はセシルの部屋に転がり込もうとしたけど、シズカに追い出された」

「そりゃそうだよ」

 

 元々、ルーカスは他人と同じ部屋で寝る事を嫌いせめてセシルの部屋で寝ようとしていたが、セシルと同室だったシズカに追い出された結果、ルブリスV2のコックピットで一晩を明かした。

 

「まったく……薄情な女たちだよ。アイツらは……ん?」

 

 ブツブツと文句を言っていたが、機体のモニターの隅で一瞬だけ何かが光った事をルーカスは見逃さなかった。

 

「ルーカス?」

「何か来る。コウタロウ。お前はすぐにフロントに戻ってセシルを呼んで来い。敵だ」

「は? どういう事だよ! おい! ルーカス!」

 

 コウタロウの呼びかけに答える事も無くルーカスは機体を加速させて光った方に向かう。

 追いかけようにもモビルクラフトではルブリスV2の速度に追いつくことも出来ない。

 

「どうした?」

「いや……それが」

 

 ルブリスV2が急にどこかに向かった事を不審に思った近くの生徒がコウタロウの近くまで来るが、事情を伝える前に通信にノイズが入り繋がらなくなった。

 

「通信障害? やばいな……」

 

モビルクラフトの整備は完璧であるため、機体のトラブルではないとなれば人為的に通信を妨害されている可能性がある。

 事前の予定にそんなことが起こるという事も無く、悪戯や学園側がトラブルに対処するために意図的に起こしたとも考えられない。

 コウタロウは機体のアームで回収艇の方を指すと機体を回収艇の方に向かわせる。

 

「先生! 何かヤバイ! ルーカスがセシルさんを呼んで来いって!」

 

 コウタロウは回収艇に戻るとすぐにブリッジに上がると状況を説明する。

 ブリッジには教師も緊急時に備えて待機はしている。

 回収艇の方でもルブリスV2は持ち場を離れている事は補足していたが、通信障害で事情までは分からない。

 

「アイツはまともに武器を持ってないし、急いでセシルさんに伝えないと危ない!」

 

 ルーカスのルブリスV2は装備は固定装備であるバルカンとビームサーベルしかない。

 そんな状況で戦闘にでもなればまともに戦えない。

 

「分かった。すぐにモビルクラフトに帰還信号を出すんだ。回収次第フロントに戻る」

 

 教師も緊急事態だと判断してブリッジの生徒に指示を出す。

 戦闘になるとすればモビルクラフトは戦闘能力がなくただの的でしかない。

 通信障害で指示が出せないため、回収艇から緊急帰還用の発光弾が射出されてモビルクラフトで出ている生徒たちに帰還の指示を出す。

 

 「アイツらか」

 

 ルブリスV2のモニターに3機のMSが映しだされた。

 

「あれは……ルブリスか量産試作タイプの奴だな。まだ残ってたか」

 

 3機の内、1機は10年前にオックスアース社から販売された量産試作モデルの改修機だ。

 外観からはそこまで大きな改修はされていないが、ビームライフルとシールドが装備され濃い青で塗装されている。

 この10年で販売された機体の大半は回収して廃棄するか撃墜して来たが、残った機体もあったようだ。

 

「それにペルセウスか」

 

 ルブリス改の随伴している2機のMSはエマの実家であるスレイドウェポンズから過去に販売されたペルセウスのようだ。

 青い装甲にモノアイが特徴的だが、2機のペルセウスは片方は装甲はところどころ塗装が剥げており装甲も必要最低限しかない。

 装備もバックパックのビームサーベルとビームマシンガンのみだ。

 もう片方はバックパックにビームキャノンが追加され、ビームライフルとシールドも装備され、装甲もしっかりとしている。

 ボロい方のペルセウスはアーシアン用のペルセウスアーシアンでパーツも粗悪なで安価な物を中心に組み立てられている。

 もう片方のペルセウスはスペーシアンのパイロット用のペルセウスとなっている。

 

「気づかれたか。おい! お前仕掛けて来い」

 

 ペルセウスがペルセウスアーシアンをビームライフルでど突く。

 

「くそ……アイツさえ仕留めれば!」

 

 ペルセウスアーシアンはビームマシンガンを構えるとルブリスV2の方に向かっていく。

 

「単機で? 余程の馬鹿か、エースか……まぁ俺には関係ないけどな」

 

 ルーカスはコンソールと操作してOSの学園規格の制限を解除する。

 学園では決闘用の規格が定められており、ビームや機体の出力が制限され、コックピットや主要機関への攻撃が出来ないようにセッティングされている。

 普通なら簡単に解除することは出来ないようにプロテクトがかけられているが、ルーカスとセシルのルブリスには有事の際に簡単に解除して実戦仕様にすることが出来るようになっている。

 

「実戦は初めてだが、まぁ何とかなるだろ」

 

 ルブリスV2はビームサーベルを抜くと接近するペルセウスアーシアンを迎え撃つ。

 

「くたばりやがれ!」

 

 ペルセウスアーシアンはビームマシンガンを乱射する。

 ルブリスV2はビームをかわしていたが、やがてビームが止まる。

 

「こんな時に!」

 

 ペルセウスアーシアンの装備は質が悪く整備も最低限しかされていないため、時々トラブルが起きて使えなくなることがある。

 今回はタイミングが悪く実戦の中でそれが起きたようだ。

 

「不味いわ!」

 

 ルブリス改に乗るセリカも友軍機の装備がトラブルで使えなくなったと気づき援護に向かおうとするが、ルブリスV2はビームサーベルでペルセウスアーシアンの腕を切り落とすと胴体にビームサーベルを付き刺す。

 

「戦場でマシントラブルを起こすとかウチの生徒でもそんなことはないぞ」

「よくも!」

 

 ルブリス改がビームライフルをルブリスV2に撃ち、ペルセウスが後方からビームキャノンで援護する。

 

「そいつがガンダムならお前もここで落としてやるよ」

 

 ビームを掻い潜りルブリスV2はルブリス改にビームサーベルを振るい、ルブリス改はシールドで受け止めるとビームライフルをリアアーマーに着けるとシールドの裏に装備されているビームサイズの柄を取り出すとそのまま振るう。

 

「おっと」

 

 ルブリスV2は距離を取ってかわすとルブリス改はビームサイズのビーム刃を展開する。

 戦闘が開始されモビルクラフトを回収した回収艇は急いでフロントに戻っていた。

 

「先生! MSが接近! 数は……5機!」

「何! どうなってるんだ」

 

 急いでいるものの回収艇の速度ではMSを振り切る事は出来ない。

 接近しているMSは5機の内、3機はペルセウスアーシアンで残る2機はつい先日レオ・コーポレーションから奪取されたレグルスだった。

 レグルスはレオ・コーポレーション製の重MSだ。

 ジェターク社のMSに引けを取らない装甲とパワーを有しており、接近戦を得意をしている。

 左腕はクローアームとなっており、ビームマシンガンが直接腕に取り付けられている。

 右手には刃がチェーンソーのようになっているチェーンソードを持っている。

 肩や膝等に突起物があり頭部はライン状のセンサーをバイザーで多い全体的に攻撃的なフォルムの機体だ。

 

「どこのMSだ」

 

 5機のMSに追われるが、すでに緊急時であることを知らせる閃光弾でフロントにも緊急時であることを知られて、フロントからも4機のデミトレーナーが出撃していた。

 4機のデミトレーナーは学園のフロント警備から派遣されたMSで全機が実戦仕様だ。

 

「はっ! そんあ学生の玩具なんかでこのレグルスに勝てると思うなよ!」

 

 デミトレーナーが出てきたことを補足した2機のレグルスはデミトレーナーの方に向かっていく。

 レグルスは左腕のビームマシンガンを連射する。

 デミトレーナーは散開すると1機はシールドで身を守りながらビームガンで応戦するが、別方向からのレグルスがチェーンソードでシールドを破壊すると左腕のクローアームをデミトレーナーの胴体に突き刺すと至近距離からビームマシンガンを撃ち込んでデミトレーナーを破壊する。

 

「あの2機を!」

 

 5機の中でレグルス2機が危険だと判断して優先的に狙おうとするが、ペルセウスアーシアンの集中砲火を浴びて2機目のデミトレーナーが落とされた。

 

「くそ! せめて輸送艦だけでも!」

 

 デミトレーナーの1機がビームガンを撃ちながらレグルスに向かうがレグルスはすれ違いざまにチェーンソードでデミトレーナーの胴体を真っ二つに切り裂いて破壊する。

 残る1機は輸送艇の護衛につきビームガンでけん制射撃を入れるも、3機のペルセウスアーシアンの攻撃を捌ききれずに撃墜されてしまい出てきたデミトレーナーは全滅してしまう。

 

「これで全部か。後はあの輸送艇を沈めれば」

 

 レグルスが輸送艇にビームマシンガンを向けると別方向からのビームに邪魔をされる。

 

「ちぃ! まだいたのか」

「デミトレーナーが全滅。あの2機のせいか」

 

 輸送艇からの閃光弾で緊急事態だという事が伝えられた時、セシルのルブリスはタイミングが悪く定期メンテナンスをしていたせいで出撃が遅れていた。

 急いでメンテナンスを切り上げてセシルも実戦仕様で出撃してきた。

 

「ルーカス様が大人しくしている訳もないとなると……」

 

 ルブリスはレシーバーガンを撃ってペルセウスアーシアンの頭部を撃ちぬいた。

 

「見たことの無いMSもいるけどすぐに終わらせる」

 

 ルブリスはレシーバーガンからビームブレイドを展開するとレグルスの方に向かっていく。

 

「そんな装備で!」

 

 ルブリス改のビームサイズをルブリスV2は回避するとビームバルカンを撃つ。

 横からペルセウスがビームキャノンとビームライフルを撃ってくる。

 

「セリカ! 挟み込むぞ!」

「了解」

 

 ルブリスV2とペルセウスはルブリスV2を挟み込むように位置取りするとペルセウスのビームをかわしたルブリスV2にビームサイズで切りかかる。

 それを回避してすぐに距離を詰めるとビームサーベルを振るい、ルブリス改はビームサイズの柄で受け止める。

  

「お前さえいなくなれば! 姉さんだって!」

「ビームサーベルだけでどこまでやれるかと思ったけど結構いけるな」

 

 ルブリスV2はもう一本のビームサーベルを抜くとそのまま振るいルブリス改は身を反らして避けるも、胴体に蹴りを食らう。

 

「くっ! よくも!」

 

 体勢を整えるルブリス改にルブリスV2が追撃しようとするが、ペルセウスのビームの横やりが入る。

 

「コイツ、ただの御曹司だと思っていたが意外にやる」

「こうなればガンビットを使うわ」

「仕方がないか」

 

 ルブリス改はバックパックに収容されているガンビットを展開する。

 元々の量産試作モデルのガンビットは対象に吸着した後に爆発する使い捨てだったが、ルブリス改のガンビットは形こそは元の物と似ているがビーム砲が内臓されて使い捨てではなくなっている。

 

「ガンビットか……向こうも本気って訳だな。ならこっちもちょっとは本気を出してスコアは4辺りで行ってみるか」

 

 ルーカスも向こうが本気になったと考えてパーメットスコアを上げようとする。

 

「セリカ! ポール! 撤退だ」

「レド? 何があった?」

「こっちの損耗がヤバイ。これ以上は抑えきれない」

 

 双方が動こうとした時、輸送艇を襲撃していた部隊の方からセリカたちに通信が入る。

 セシルのルブリスをレグルス2機とペルセウスアーシアン3機では抑えきれなくなっていた。

 幸いにもルブリスに撃墜されたMSはいないが、このままではレグルスも撃墜されかねない。

 

「ちっ、セリカ。ここは退くぞ」

「……了解」

 

 セリカは不満そうだったが、向こうが持たないのであれば退くしかない。

 

 「何だよ。もう逃げるのかよ」

 「ルーカス様。ご無事ですか?」

 「セシルか。ご苦労さん。この通りここからが本番だったんだけどな」

 

 敵が後退した事で通信妨害もなくなってセシルとも通信がつなぐことが出来るようになっていた。

 

 「どこの奴らだったんだろうな。アイツら? セシル分かる?」

 「……いえ」

 「そっか。ああ、アイツらは無事?」

 「回収艇は無事にフロントに戻る事は確認しています」

 「さて、俺らも戻るか」

 

 撤退した敵がすぐに戻ってくることも無さそうなのでルーカスとセシルもフロントまで戻っていく。

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