ジェターク寮との決闘が決まった事を授業を終えて寮に戻ってきたコウタロウとフレットに告げるとフレットは顔を青くする。
「今朝は平穏な学生生活を謳歌するって言ったのに……どうして」
「まぁ成り行きだ」
「決まった事は仕方がないけどさ。このルールじゃどう考えても不利だぞ」
「現状でこちらのパイロットは3人ですからね。ルーカス様」
今回の決闘では最大10機までのMSが使える。
当然、向こうは最大数である10機で来るだろう。
「てか、俺のデミトレーナーだってまだ直ってないぞ。直すよりも新しく買った方が良いレベルだ」
昨日の決闘でコウタロウのデミトレーナーは大破し残っているのは胴体のみで修理するくらいなら新しい機体を買った方が安くなるが、今の地球寮に旧式のデミトレーナーですら買えるのは動くか分からないジャンク品でまともな状態の機体を買う余裕はない。
「それなら問題はないよ。昨日の内に新しいデミトレーナーを手配しておいた。それも最新式の奴だ」
コウタロウが戦力として使えると判断した時点でルーカスはコウタロウ用の機体として最新式のデミトレーナーを購入していた。
「明日の定期便で搬入される予定だから決闘までにコウタロウ用にカスタムして慣熟させれば間に合うだろう。セシルの方はどうだ?」
「3日もあれば調整は万全にすることは可能です」
「任せる。向こうは恐らく新型のデルスターを使ってくるだろうからしっかりな」
「3日後というのはそういう事ですか。明日の定期便でジュターク社から10機ほどMSの搬入があるという情報があります。それが決闘に使う機体と言う訳ですね」
ジェターク寮が決闘を3日後にしたのは学園には明日定期便が来て物資の搬入作業がおこなれれる予定がある。
その中にジュターク社から学園にMSを納入する予定がある。
「つかさ、ルーカスはMSでの戦闘経験とかはあるのか?」
コウタロウはふと思った事を口に出す。
話の流れからルーカスも決闘に出るつもりなのだろうが、パイロット科とは言え操縦経験があるのかコウタロウは知らない。
「私がいてルーカス様に戦闘をさせる訳がないでしょう」
「シュミレーターでならあるけどな。セシル相手に5割は勝てる」
「正確には4割ですけど」
セシルはルーカスに護衛である以上はルーカスにMSで戦わせる訳にはいかないのは当然のことだ。
事前に脅威を排除するか、しきれない場合でも自身が戦いルーカスを守ってきた。
念の為とルーカスもMSの操縦は出来るがシュミレーターでの経験はあるが、実戦の経験はなく精々安全を確保した場所で実機を動かす程度だ。
「……つまりは素人って事かよ」
「だーかーらシュミレーションならセシルに勝ったこともあるって言ってるだろ。普段通りの戦いが出来れば俺に負ける道理はない」
「いやいや、訓練と実戦は違うんだよ」
決闘は命のやり取りはないとは言え、特有の空気から訓練でできていたことが出来なくなることが多い。
通常は場数を踏むことで実力を最大に発揮できるようにするが、ルーカスにとっては訓練で出来る事をそのまま決闘でも出せるつもりでいる。
「後は7人で何とかするしかないね」
「MSの方はルーカスが何とかして揃えるとしてもパイロットの数はなぁ」
「僕らも最低限の操縦は出来るけど戦力としては……他の寮に協力を要請しても力を貸してくれるかどうか……」
現在の地球寮でのパイロットはルーカスを含めても3人。
フレットや他の生徒たちもMSの操縦自体は出来るが武闘派揃いにジェターク寮を相手に戦いにはならない事は分かり切っている。
ルールでは参加するパイロットの所属寮に制限はないため、他の寮に協力してもらう事も出来るが、地球寮の為に力を貸してくれるかどうかは微妙なところだ。
「何ってんだよ。足手まといはいらないだろ。俺たち3人で十分だ」
しかし、ルーカスは10人そろえるつもりはなくこのまま3人でやるつもりでいる。
コウタロウはお前が一番足手まといだといいたいが堪える。
「頭数はどうでもいいんだよ。それよりもコウタロウ達はテミトレーナーが届き次第すぐにカスタムできるように機材の準備だけはやっておけよ」
コウタロウのデミトレーナーは明日到着する。
そこからコウタロウ用にカスタムして、コウタロウが扱えるようになるまで2日しかない。
戦力の事を考える以前にコウタロウ自身も機体が間に合うかは分からない。
「だからお前らもちんたら出来ないからな」
ルーカスは機材の点検や大破したデミトレーナーから使えそうな部品を探していた他の地球寮の生徒にそういう。
デミトレーナーのカスタムはコウタロウやフレットだけでは不可能で、そこは大破したデミトレーナーの整備とカスタムを行っていたメカニック科の生徒の力も必要となってくる。
だが、ルーカスに命令されたことでメカニック科の生徒たちの中で3人ほどが手を止める。
「あ? 俺らのMS破壊しておいて何言ってんだよ」
「俺たちは認めないからな」
3人の内ノッポとアフロの生徒が文句を言い巨漢の生徒が黙って頷く。
アフロの生徒は作業中でスパナを持っていたため、セシルがルーカスを庇うように前に出る。
「ロン、バズ、ゴンタ。やめないか」
場合によってはセシルが武力制圧を考えているとフレットが間に入り止める。
ノッポがロン、アフロがバズ、巨漢がゴンタと言うらしいかルーカスにとっては個人の名前は今はどうでもいい。
「フレット先輩。いくら決闘でコウを任したからって俺らはこんなスペーシアン野郎なんて認めませんよ」
「それに先輩だった後1年で無事に卒業だってのに他の寮を敵に回すなんてことやってさ」
ゴンタは無言で頷く。
バズ達がルーカスを敵視するのは単にルーカスがスペーシアンである事だけではなく、編入から2日間で他の寮と揉めるようなことをするからでもある。
アーシアンであるため差別を受ける地球寮だが、授業は実習自体は完全に平等とはまではいかなくても十分なレベルを受ける事が出来る。
このまま無事に卒業出来れば十分なスキルとアスティカシアを卒業したという肩書が手に入る。
それがあれば例えアーシアンだとしてもそこそこの仕事はあるため、アーシアンとしては間違いなく勝ち組になれる。
そのために地球寮は理不尽に差別されようとも揉め事を起こすことなく耐えてきた。
3人をはじめとした地球寮の生徒たちは寮長のフレットを慕っているが故にこれまで耐えてきた努力を無駄にしかねないルーカスを許せないのだ。
「お前らの主張はどうでもいいが、俺を受け入れられないっていうのであればそれも仕方がない。人間誰しも気に入らない相手はいるもんだ」
ルーカスに堂々と認めないという3人に何らかの処分もあり得たが、とりあえずはルーカスが自分を受け入れないという事で機嫌を損ねた訳ではないようでフレットも安堵する。
「でもそんな奴らはこの学園には必要ないからすぐに荷物をまとめて学園から消えてくれ」
だが、ルーカスは機嫌は損ねてはいなかったが、3人を容赦なく切り捨てに来た。
「別にお前らがいなくても代わりはいくらでもいる。この寮を選んだのもたまたまだしな」
ルーカスにとってこの寮に意味があるわけではない。
使える側だと判断したコウタロウやフレットですらも必要なくなれば迷いもなく切り捨てて代わりを用意することの出来る人材で、唯一替えの利かないのはセシルくらいだ。
「けど、俺も鬼じゃない。お前らが俺の事をどう思おうと俺は知った事じゃないが、どの道、この学園を卒業したところでアーシアンには地べたを這いずり回ってそこそこの生活で満足しながらも良い暮らしをしているスペーシアンを見上げて羨む人生を送るだけだろ? なら俺についてこい。俺ならそんな糞見たいな人生をぶっ壊してやれる」
ルーカスはそう言って手を差し出す。
3人はルーカスに圧倒され、差し出された手を取るかどうかを決めかねて互いに視線をかわす。
「すぐに結論を出せとは言わない。だけど、ジュターク寮との決闘には力を貸してくれ」
今後はルーカスは頭を下げる。
3人は総帥の息子に頭を下げられて動揺する。
「……わかった。認める訳じゃないけどコウにいい加減なMSに乗せる訳にもいかないからな」
「まぁでかい顔してる御三家に勝てれば気分も良いかも知れないしな」
2人の意見に賛成するかのようにゴンタも頷く。
ルーカスは頭を上げて3人は作業に戻っていく。
「ルーカス。お前って無茶苦茶な奴だと思っていたけど案外良い奴なんだな!」
一連のやり取りを見ていたコウタロウがルーカスと肩を組んで褒める。
(疲れた……たく面倒な事させてあれで使えなかったら退学じゃ済まさないからな)
ルーカスは内心で愚痴る。
今の言葉は嘘ではないが、地球寮の生徒を従わせるための行動に過ぎない。
進行を深めるのは面倒で時間もかかるため、最短でいう事を聞かせる手段として退学をチラつかせた。
総帥の息子と言う立場であれば決闘をすることなくアーシアンである自分たちを学園から退学させることが出来ると思わせた。
3人ともルーカスを嫌ってはいるが、自分たちの将来を犠牲にしてまでどうにかしようとまでは思ってはいない。
退学をチラつかせて揺らいだルーカスへの憤りを今度は自分についてくることのメリットを提示することで相殺し、最後に握手や頭を下げてお願いすることで自分たちがルーカスに必要とされて手を貸して欲しいとお願いされているのだと思わせる事で気に入らないが仕方がないから協力するという方向に思考を持っていかせた。
「俺らは寮に帰る。行くぞセシル」
ルーカスはセシルを連れて自身が使っている理事長室へと帰っていく。
「ああ、それとセシル。一つ調べて欲しい事がある。あのフランとかいうゴリラ女とジュターク社の関係だ」
「関係と言いますと?」
「あの性格的にヴィムのおっさんの言いなりになるってのも考え難いいんだよな」
「つまりは何かあると?」
フランはアスティカシアの生徒であると同時にジェターク社の試作MSのテストパイロットとして籍を置いている。
だが、ルーカスが接したフランの性格的にいくら雇い主とは言えここまでのやり方を大人しく従うようには思えなかった。
それでも従うのは何かあるのではないかと考えてセシルに調べるように頼んだ。
セシルにはグループ外にも伝手があるのかこの手の情報収集においてはグループの情報網では引っかからないような情報を見つけて来る事が出来る。
「了解しました」
「頼む。俺は今日は部屋に引きこもるから」
ルーカスは理事長室にある自室として使っている寝室に向かう。
「あの様子なら今日のところは大人しくしているわね。後はルブリスの調整に定期報告のついでに情報収集を頼んで……後、洗濯に明日の食事の用意と3時間くらいは寝れるわね」
セシルは今日の内にやる事をまとめて仕事に取り掛かる。
決闘が決まった翌日、学園に定期便が入港し物資が下ろされる。
その中にはルーカスは手配し、今日の定期便にねじ込んで持ってこさせた最新式のデミトレーナーが地球寮の格納庫に搬入された。
「良いよな。新しいMSって」
コウタロウは格納庫のハンガーに置かれたデミトレーナーを見上げる。
以前に使っていたデミトレーナーは皆で作り上げて思い入れがあるが、自分の新しいMSそれも最新式ともなればパイロットとしてはテンションが上がる。
「ルーカス。ありがとうな」
「礼は良いよ。その代わりそれに見合った結果は出してもらうからな」
ルーカスがこの機体を手配したのは以前の機体をセシルが大破させたお詫びと言う訳ではない。
パイロットであるコウタロウが実力を発揮させるためでしかない。
この機体でルーカスの望む結果が出せないのであれば迷わず取り上げるつもりでいる。
「すげぇ! 流石新型だぞ!」
「オプションも一通り揃ってるな。いくらするんだろな」
テンションが上がっていたのはパイロットのコウタロウだけではなく、メカニックのバズ達も同様のようだ。
今までは型落ちに旧式しか弄れなかったが、最新式のデミトレーナーを時間に限りがあるとは言え、金銭的な制約もなく弄れるからだ。
「さてと、搬入も終わったし俺は約束があるから、行くわ」
「約束?」
「そっデートのな」
デミトレーナーの搬入が終わり、後はメカニックとコウタロウが決闘までに機体をカスタムするだけだ。
後の事は任せてルーカスは昨日シズカとあったベンチへと向かう。
「よう。また会ったな」
ベンチには昨日と同様にシズカが一人本を読んでいた。
声をかけると露骨に顔をしかめるがルーカスは気にした様子もなく隣に座る。
「あの後何だけどさ。いきなりレイニーにあったよ」
「……なんで普通に話している訳?」
ルーカスは当たり前のようにシズカに話題を振るがシズカは迷惑そうに返す。
「良いじゃん折角また会ったんだしさ」
「はぁ……」
シズカも何を言っても無駄だと悟り、ルーカスの気が済むまで付き合う事にして本を閉じる。
「聞いたけどジェターク寮と決闘することになったのよね」
「耳が早いな。レイニーにでも聞いたのか?」
「そんなところね。それにしても編入早々決闘をしたと思えばまた決闘?」
「今回のは喧嘩を売られただけだ」
編入早々の決闘も前例はないが、編入2か目にして連続で決闘することも前代未聞の事だ。
「なんでか知らないけどさ、あのおっさん親父だけじゃなくて俺まで毛嫌いしてんだよな」
「何か失礼な事でもしたんじゃないの?」
「そんなことはないと思うんだけどな」
ルーカスは少し考えるが自分がヴィムにここまで嫌われている理由はデリングの義理の息子である以外には思いつかない。
実際のところ初めてグループ内のパーディで会った時にヴィムがデリング失脚の足掛かりとして養子となったルーカスを懐柔しようと可能な限り下手に出たが、ルーカスはヴィムに対して興味がなくジェターク社のCEOであることに気づかないどころかよく知らないおっさんに話しかけられたと適当にあしらっていた。
それがプライドが傷つけられて父親同様に目の敵にされているが、当のルーカスはそれが初対面だったことすら覚えてはいない。
「そんなことより最大10機でやるのよね。地球寮にそこまでのMSを用意できるとは思えないけど何機集まっているの?」
「3機だよ。俺とセシルと地球寮の奴の3人で戦うつもり」
「正気なの? 向こうのフランさんは実力で言えば学園のトップ3よ」
現在の学園内で最強なのはホルダーであるエマだが、それに続きペイル寮寮長のレイニーとジェターク寮寮長のフランがいる。
「正気だって。適当に集めた連中じゃ連携もまともに取れないから戦力としては数がいても宛てには出来ないし、最悪向こうに買収されてる可能性だってある」
ルーカスが3機で挑むのは何の考えもない訳ではなかった。
数を揃えても短時間でジュターク寮のパイロットと対等に戦えるだけの連携が取れる訳がない。
下手をすれば互いに足を引っ張りあってしまう危険性もある。
もう一つの理由として助っ人がジュターク寮に買収されている可能性だ。
この学園では決闘や授業での実習で他の生徒に対する工作活動が黙認されている。
事前に工作を突き止めて学園に報告すれば相手に何らかの罰則を与える事が出来るが、気づくことなく何らかの妨害を受けた場合は気づかない方が悪いと学園側は妨害されたことを考慮してはくれない。
今回の決闘で他の寮が地球寮を助けるメリットは少なく、それでも力を貸してくれるという生徒は単純に善意の協力者であれば良いが、ジェターク寮によって送り込まれてきたスパイである可能性は否定できない。
意図的に足を引っ張るだけではなく、決闘開始早々に敵に寝返りでもされたら3体17で戦わなければいけなくなる。
そうなるくらいなら始めから3機で戦えば味方が寝返るという事はなくなる。
「意外ね。頭の中が空っぽだと思っていたけど以外と考えているのね」
「まぁな」
「なら、私が手を貸しても良いけど? 他にも何人かに声をかければ頭数は揃うと思うわよ。ペイル寮なら地球寮を裏切る理由もないし、ジュターク寮に勝つ理由もあるわ」
ペイル寮であればライバル企業であるジェターク社傘下のジュターク寮に買収される危険性は少なく、勝てばペイル寮のMSがジェターク寮のMSよりも優れているとアピールも出来る。
「意外と優しいんだな。俺の事を心配してくれるんだ」
「勘違いしないでよね。私はただ貴方に振り回される地球寮が可哀そうなだけよ」
シズカは心外そうにそういう。
別にルーカスを心配した訳ではなくペイル寮にとっても利益のある話で巻き込まれた地球寮の生徒に同情しただけだが、ルーカスは自分を心配したと解釈しているようだ。
「まぁでも大丈夫だよ。俺は負けない」
「勝算はあるの?」
「強いて言えば俺が一番ガンダムを上手く扱える。だから俺は負けない」
何の根拠にもなっていないが、ここまで堂々と宣言されると不思議とそう信じたく思えて来る。
「それとさ貴方とか他人行儀な呼び方は止めろよな。ルカで良いよ。家族と親しい女友達はそういうからさ。男にそう呼ばれると虫唾が走るけどな」
「……親しい? 友達? ごめんなさい。私たち昨日あったばかりで友達になった覚えはないのだけれども」
「いやいやこれだけお互いの事を話したんだからさ。もう友達で良くない? 今なら俺の友達第一号の栄誉も上げるからさ」
「一号って友達が少なそうだとは思っていたけど……」
これまでのやり取りで友達が多いタイプには見えなかったが、まさか今まで友達がいなかったのは驚きだが、総帥の息子と言う立場上取り巻きはいても友達はいなかったのだろう。
「なぁ良いだろ? 友達になろうぜ」
「……はぁ仕方がないわね」
流石に哀れに思えて来てシズカは友達になる事を了承する。
「決まりだな。連絡先も交換しようぜ」
「そうね。私の方から連絡することはまずないと思うけど」
ルーカスとシズカは互いの連絡先を交換する。
「そんじゃ俺も決闘の準備とかあるからこれで帰る」
「まぁ頑張って。流石に友達になってすぐに学園からいなくなると寝覚めが悪いわ。私の寝覚めの為にも勝てよね」
「分かってる。負ける気はないさ」
連絡先を交換して満足したルーカスは寮へと帰っていき、シズカも再び本を開く。
そして、決闘当日。
決闘までの間にジェターク寮からの妨害工作もなく当日を迎えた。
「コイツが俺たちでカスタムしたデミトーレナーカスタム、通称デミカスだ」
「これはずいぶんと欲張りましたね」
「良いじゃんか」
ルーカスもセシルも地球寮でカスタムしたデミトレーナーは今日までどうなったか見ていない。
最新式のデミトレーナーをベースにバックパックや高出力の大型の物に換装し大型ビームライフルとビームガトリングガンの砲身を流用したビームキャノンとビームガトリングガンが装備されている。
手持ちの武器はビームガンと中型シールドでシールドの裏にはコンバットナイフが付けられている。
腰に2本のビームサーベルと膝の装甲にはそれぞれ本来は工作用のサーキュラーソーとハンマードリルが取り付けられている。
肩の装甲やリアアーマーにスラスターが増設され脚部には靴のように大型のウィルダッシュ機構であるダッシュブーツがおり付けられており機動力を強化している。
ルーカスはカスタム用に買ったパーツをほとんど使ってカスタムされている。
「けど使いこなせるの? コレ」
「何とかな」
メカニックたちもコウタロウも徹夜でカスタムした事もあって操縦性は悪く、コウタロウも何とか扱える程度には乗れるが完全に使いこなせている訳ではない。
「それよりルーカスもセシルさんと同じルブリスなのか?」
格納庫にはコウタロウのデミカスの他に2機のルブリスも持って来てある。
地球寮の格納庫には誰もいない時は出入口にロックがかけられ監視カメラも設置されているが、メカニック科の生徒ならその気になればいくらでも痕跡を残さずに侵入することが出来る。
誰かに細工をされないようにルーカスは自分とセシルの機体は普段はフロントの港にあるMS用の格納庫の一画を使っている。
そこに最新のセキュリティで侵入者を防ぎ入るにはルーカスの許可が必要でセシルや教師ですらも勝手に入る事は出来ず機体に細工をさせないようにしている。
「俺のはバージョン2だけどな」
ルーカスのルブリスV2は10年前に小型輸送艇の中にパーツの状態であった2号機を組み立て改良した機体だ。
見た目自体は当時のルブリスから大きく変化していないが、あらゆる状況でルブリスのみで戦えるように全身にハードポイントが増設されて相手や状況に合わせ装備を変える汎用性とアンチドート領域下での戦力低下を最低限に抑える為にガンビットを装備させず機体とパイロットのリンクがない状態でも十分な性能を発揮できるように基本性能を強化している。
今回は近接戦闘用のパッケージを装備させている。
両腕にビームサーベルを内蔵したガントレット状のシールドと両肩にも小型シールドが追加され、サイドアーマーに大型スラスター、バックパック中央に大型のバスターソードが付けられリアアーマーには実体剣が取り付けられたガンブレイドが2つ収納されている。
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「ルーカス様。指示されていた物です」
セシルは頼まれてた情報が表示された端末をルーカスに渡す。
「成程ね。そういう訳か?」
「この情報はどうします?」
「決闘に持ち込むようなものでもないからな。使うならそのあとだ」
セシルが集めてきた情報を見てそうルーカスは判断する。
その情報自体は決闘には有効に使える類ではないが、そのあとでなら使い道はある。
「悪だくみでもしてんのか?」
「まぁな。それよりも決闘だ。決闘に負けたら悪だくみも何もないしな」
この情報をどう使うにもまずは目の前の決闘に勝利しなければならない。
最終調整を終えて3人は決闘の場へ向かうのだった。