機動戦士ガンダム 祝福されし子と7人の魔女   作:ケンヤ

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54話

 とある民間企業の保有しているフロントに1隻の戦艦が接近していた。

 その戦艦は光学迷彩で覆われているため、目視することは出来ない。

 フォールクヴァングで改修された強襲戦艦「ガルドロン」だ

 ガルドロンは議会連合の保有している戦艦をベースに独自のカスタムがされている。

 火力の強化として2門の大型レールガン、艦隊下部には大型特装重粒子砲「ヴァルプルギス砲」が取り付けられている。

 また船体を覆う光学迷彩機能と推力の強化、装甲の増設で高い強襲能力を持つ。

 

「で、あそこにいるんだな?」

「情報通りならばね」

 

 セシルの掴んだ情報ではそのフロントは表向きはグループ外の民間企業が保有している事になっているが、実際はペイル社が所有している。

 そこに学園での決闘を終えたエラン・ケレスは移送されているらしい。

 

「時期にこっちも補足されるからすぐにやりなさいよ」

 

 ブリッジの艦長席からエマがそういう。

 ガルドロンはAI制御により少人数でも運用が可能になっている。

 今回は余り時間も無かったため、艦長席にはエマが、操舵や通信等その他もろもろはセリカ、ブリッジにはいないが、艦内にはマキア用のラボルームがあり、そこで火器管制を行えるようになっている。

 

「分かってる」

「もう一つ分かってると思うけど、そのルブリスは最低限は戦闘は出来るけど、性能は20年前の機体をだましだまし改修してるからお察しだからね」

「それも分かってる。俺とコイツで負ける訳がない」

 

 ルーカスは機体のコックピットで自信満々だが、実際のところルブリスは度重なる改修で性能は向上しているが、機体そのもが古すぎて性能が限界まで来ている。

 

「で、フロント内に入ってコイツをどっかに繋げばいいんだな」

「マカサレタ! マカサレタ!」

 

 ルーカスはコックピットシートの後ろに入れていたハロを取り出す。

 

「その子ならフロントのシステムを完全に制圧できる。セシルさんならね」

 

 このハロはマキアの特別制で電子機器に対するハッキング能力を持っている。

 それを使えばフロントを完全に制圧できる。

 

「了解。そんんじゃ行ってくる」

 

 ガルドロンのリニアカタパルトにガンダムルブリスV3がセットされる。

 便宜上バージョン3と言う事になっているが、外装は開発当時の物を再現されていてバックパックにはビットステイヴⅡが装備されている。

 新しく作られたビットステイヴⅡは火器と防御の他に斬撃としての機能を付ける為に縁が刃状になっている。

 両手には使いやすく改良したレシーバーガンが持っている事以外はかつてのガンダムルブリスだ。

 

「ルーカス・レンブラン。ガンダムルブリスV3。出るぞ」

 

 ガルドロンからルブリスV3が射出される。

 出撃し、少しするとフロントの方でも接近する所属不明のモビルスーツの接近を補足し、モビルスーツ隊が迎撃に出てきた。

 

「数は6、機体はハイングラか……ずいぶんと懐かしい機体を使ってんな。まぁ俺も人の事は言えないけどさ」

 

 迎撃に出てきたモビルスーツは全機ハイングラだった。

 流石に表向きはペイル社とは無関係と言う事になっているため、自社のモビルスーツは使えず出どころが分からないように旧式のモビルスーツを使っているのだろう。

 ビームライフルの射程外だがハイングラはビームライフルを撃ってけん制を入れて来る。

 

「警告も無しか。そりゃそうか」

 

 ルブリスV3は背中のビットステイヴⅡをパージする。

 

「何のつもりだ?」

 

 ハイングラのパイロットは向こうの思惑に気づくことも無く、ビットステイヴⅡに囲まれて四方からのビームを浴びる。

 何とかシールドで胴体は守っているが、頭部にビームが直撃し、ルブリスV3に背を向けてしまう。

 そこを逃す訳もなく接近したルブリスV3はレシーバーガンのグリップが45度曲がり先端からビームブレイドを出す。

 新しく改良されたレシーバーガンは近接戦闘時はグリップが真っ直ぐになったブレイドモードと通常時のライフルモードを使い分ける事が出来る。

 

「次だ」

 

 3つのビットステイヴⅡが左手のライフルモードのレシーバーガンと合体することでガンビットライフルとなる。

 ルブリスV3はガンビットライフルを撃ち、一発目でハイングラのシールドを吹き飛ばすと二発目で胴体を撃ちぬいて破壊する。

 

「後ろががら空きだ!」

「知ってるよ」

 

 ルブリスV3の背後に回り込んでいたハイングラがビームサーベルで切りかかるが、2機の間に残っていた3つのビットステイヴⅡが割り込む合体し、刃となってビームサーベルを受け止めた。

 そして、右手のビーム刃の出していないブレイドモードのレシーバーガンを刃に着けたガンビットソードとなる。

 そのままガンビットソードでビームサーベルを受け止めながら、左手のガンビットライフルからビットステイヴⅡが分離し、脇の下ぁら後ろに向けてレシーバーガンを撃つ。

 ビームはハインドラの脇腹を掠めて、距離が出来たところを分離した3つのビットステイヴⅡで切り刻まれる。

 

「くそ! 3機もこうも! コイツ!」

「一人じゃ無理だ。挟み込むぞ!」

 

 2機のハイングラはルブリスV3を左右から挟み込みビームサーベルを振るう。

 それを両手のビームブレイドで受け止めるとハイングラの腕をビットステイヴⅡで撃ちぬく。

 すぐに2つのビームブレイドの柄をドッキングさせ両端からビーム刃が出るツインブレイドモードにする。

 この状態では通常時よりもビーム刃の出力が上がり、シールドごとハイングラの胴体に突き刺さる。

 

「ついでにお前もだ」

 

 ツインブレイドに6基のビットステイヴが集約され一つの大剣、ガンビットバスターソードをなり、一撃でハイングラを粉砕する。

 

「新装備の使い勝手もまずまずってところか」

 

 この戦闘で改良されたレシーバーガンとビットステイヴⅡの使い勝手を見ていたが、思った以上に使いやすく感じた。

 

「てかまだ1機、残ってたか」

「くそ! 何なんだお前!」

 

 残る1機のハイングラはビームライフルを乱射するが、ビットステイヴⅡの防御に阻まれる。

 

「この状況で戦うってのは、こんなところで雇われるしかない素人ってところか。まぁ良い。終わりだ」

 

 ビットステイヴⅡでビームを弾きながらルブリスV3は両手のレシーバーガンを連射して最後の1機のハイングラを撃墜した。

 ハイングラを全機仕留めたルブリスV3はビットステイヴⅡをバックパックに戻すとフロントへと向かう。

 迎撃のモビルスーツを全滅させて、それ以上の迎撃も無く、ルブリスV3はフロントへと到着する。

 そのままゲートの空いている宇宙港へと張り込む。

 そこには今まさに出航しようとしていた輸送艦がいた。

 

「流石に連れて逃げるっても無いよな」

 

 恐らくは状況が悪いと察してフロントから逃げようとしていたのだろう。

 逃げるとなれば廃棄する予定だつたエランを乗せている可能性は低い。

 ルブリスV3は輸送艦にレシーバーガンのビームを撃ちこんで撃沈する。

 そのまま宇宙港にある輸送船のブリッジを破壊していき、宇宙港の奥にあるモビルスーツ用の格納庫にたどり着く。

 

「逃げ出してるってはあんまり余裕はないか」

 

 このフロントには表には出せない情報が多く残されている。

 すでにフロントから逃げ出す連中がいる以上はその手の情報は廃棄されている可能性が高い。

 それ自体はどうでもいいが、最悪の場合ここを襲撃した理由であるエランまで処分されている事も考えられる。

 ルーカスはすぐにハロと持って機体から降りると近くの端末にハロをセットする。

 

「俺だ。ハロをセットしたぞ」

「こっちも……フロントのシステムは掌握したわ……」

 

 ルーカスがヘルメットに内臓されている通信機で自分の状況を伝えるとすでにスタンバイしていたのか即座にセシルがフロントのシステムを掌握したとの知らせが入る。

 

「それでエランの居場所は? 連中逃げ出そうとしてたぞ」

「……見つけた。どうやら逃げ出そうとしていたのは一部で残りは証拠の隠滅作業をしているみたい」

 

 セシルはフロント内の捜索するとまだフロント内には人が残っているようで表に出せない情報を消している最中のようだ。

 

「ターゲットは……見つけた。まだ処分はされてないわ。こっちでシステムは抑えているから処分は止められる」

「分かった。俺は先に口を塞いどく。道案内任せた」

「了解」

 

 ヘルメットのバイザーの情報が表示される。

 ルーカスは銃を手にセシルからの案内に従い先に進む。

 セシルがフロント内のシステムを制圧し、人が少なかったこともあり、ルーカスは敵と遭遇することなくフロントの管制室まで到達した。

 管制室では残った人達がフロントの情報を削除しようとしていたが、システムが掌握されている事もあって上手くはいかずにいるようだ。

 

「動くな」

 

 管制室に突入し、ルーカスは彼らに銃を向ける。

 場慣れしてないのか、彼らは反撃する気力もなく、管制室の隅まで逃げると両手を上げて降伏の意思を出す。

 

「こっちの質問に答えろ。出ないと殺す」

「ひっ! 俺たちは何も知らない! 金で雇われただけなんだ!」

 

 1人が声を荒げるとルーカスはそいつの頭を撃ちぬいて殺す。

 

「余計な事を言うな」

 

 その言葉で全員が一斉に黙って静かになる。

 

「アンタ達の他にフロントに人は?」

「もういない! 上の奴らは俺たちに指示を出して先に!」

 

 ルーカスが沈めた輸送艦に乗っていたのがそうなのだろう。

 

「アンタらの雇い主の事は?」

「本当に知らないんだ! 俺たちが聞かされている事なんてどうせ出鱈目だ」

 

 このフロントもペイル社とは無関係と言う事になっている。

 ここに出入りし彼らを雇い指示を出しているのも表向きはペイル社とは無関係を装っているのだろう。

 彼らも雇い主が本当の事を行っていない事自体は分かっているが、下手に詮索すれば始末されるという事も分かって詮索することも無いため、自分たちの雇い主の本当の素性までは知らない。

 彼らの身元を洗ったところでペイル社との繋がりは何も見つからないだろう。

 彼からすれば何故、ルーカスがここを襲撃しているのかすら検討もつかない。

 となればこれ以上、彼らから情報を得る事は出来ない。

 

「そっか。じゃあ良いや」

 

 すでに用済みだと判断すると、すぐに全員を射殺する。

 

「こっちは終わった。エランの所に案内してくれ」

「分かったわ」

 

 始末を終えたルーカスはすぐにセシルの案内でエランの元へとむかう。

 

「やぁ色男」

 

 フロントの物置で拘束された状態のエランを見つけた。

 金で雇われた連中にとっは始末を指示されていたが、事情までは聞かされていないため、その辺の物置に突っ込んでおいて時間のある時に始末すればいいと思っていたのか、未だに殺されずに生かされていた。

 意識は朦朧としているのか、ルーカスの言葉に反応し、ゆっくりと視線を向ける。

 

「……理、事長? どう……して」

「大人の事情でな。お前を貰いに来た」

 

 意識もはっきりとはしていない事もあって、エランは事態が分かっていないようだ。

 

「セシル。エランは確保した。外の状況は?」

「外部に救援を求めた痕跡はないけど、ゆっくりとはしれられないわ」

 

 連中にとってはここにはいろいろと見られると困るものは多い。

 ちょっとの事では外部には助けを求める事は出来なかったのだろう。

 

「だよな。すぐに戻る」

 

 通信を切るとルーカスはエランを抱きかかえる。

 

「重っ……たく、俺はミオリネよりも重い物を持ちたくはないんだけどな」

 

 エランを抱きかかえたまま来た道を戻り、途中でハロを回収してルブリスV3へと戻る。

 

「さてと……」

 

 エランをシートの後ろに押し込めるとハッチを締めて機体を起動させる。

 

「全部、破壊しとかないとな」

 

 フロントから出るとルブリスV3はバックパックのビットステイヴⅡを射出する。

 両手のライフルモードのレシーバーガンと6基のビットステイヴⅡが合体するとガンビットバスターライフルとなる。

 ルブリスV3の最大火力であるガンビットバスターライフルをフロントに撃ち込む。

 1撃ではフロントを破壊するには至らないが、数発撃ちこむことでフロントの至る所から爆発が起こる。

 

「良し。カテドラルが来る前にさっさと撤退するか」

 

 フロントからの外部に救援の要請はしていないが、フロントが破壊されるようなことがあればカテドラルのパトロール部隊や近くを通りかかった民間船が気づく可能性がある。

 ここでルブリスV3やガルドロンの事を見られる訳にはいかない。

 ルーカスはすぐにガルドロンの帰投すると速やかに現宙域から離脱するのだった。

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