機動戦士ガンダム 祝福されし子と7人の魔女   作:ケンヤ

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8話

 「よう。バッツ」

 「姉御! なんでここに?」

 

 ジェターク寮の格納庫で決闘の準備をしていたジェターク寮の現寮長であるバッツの元にフランがやってくる。

 すでにジェターク寮の寮生ではないフランが来たことに驚くが、それ以上に現在のジェターク寮の状況に不甲斐なさを感じてバッツは視線を逸らす。

 

「すんません。姉御に寮の事を任されたってのに……」

「アタシが言える義理はねぇからそいつに関しては何もいわねぇよ。でだ、先にアタシを殴っとけ」

「は?」

 

  バッツはフランが何を言っているかすぐに理解は出来なかったが、理解するよりも早く視界が真っ暗になって意識が飛ぶ。

 

「返事くらい待ったらどうなんだ?」

「いや、ついな」

 

 ルーカスは伸びているバッツを見て呆れながらそういう。

 フランはバッツが言葉の意味を理解するよりも早くバッツの顔面を殴りつけて意識を飛ばした。

 

「まぁこれでバッツの奴は決闘には出れねぇよな」

「まぁな」

 

 伸びたバッツを見てフランはにやりとする。

 フランに殴られて意識を失っているバッツは決闘の時間までに起きるかどうかは分からない。

 

「ルカ、始めっぞ」

 

 ルーカスとフランは持ち込んできたコンテナを準備していたコンテナと入れ替える。

 その後、フランもパイロットスーツに着替えるとMSに乗り込みルーカスが端末を操作する。

 

「これで準備は良し。行ける」

 

 ルーカスは準備を終えるとコンテナは決闘が行われる戦術試験区域へと移動を始める。

 戦術試験区域に2機のコンテナが移送される。

 コンテナが開閉すると片方はライフルとシールドを装備したデミトレーナーが出て来る。

 もう片方にはデスルターが入っていた。

 

「どういう事なの? 申請されていたMSとは違うわ」

 

 今回の決闘を仕切っているエマは事前に申請されていたジェターク寮側のMSと実際にコンテナに入っていたMSが違う事に気が付く。

 

「悪いな。エマ、バッツの奴はバナナの皮に足を滑らせて気を失ってな。その時にアイツのMSもぶつかって稼働不能になっちまってな。アタシが代理だ」

「フランなの? どういう事なの?」

「そういう事だよ。良いよな」

 

 モニターにコックピットのフランが映される。

 別のモニターにはルーカスが映され、またルーカスが何かをしでかすのだとエマは頭を抱えたくなる。

 何故、フランとルーカスがこの決闘に介入してくるのかは分からないが、そもそも決闘するはずだったバッツがバナナの皮で足を滑らせたなど交代の理由にしては適当過ぎる。

 その上でMSが稼働出来ない状態になるのであればぶつかったバッツは気絶では済まない。

 

「こっちは問題ないですよ。誰が相手だろうと勝つのはこちらなのだから」

 

 決闘相手の方がしびれを切らせて交代を承認する。

 向こうは相手がフランであろうともガンダムに乗っていなければ勝てる気でいるのだろう。

 

「向こうも良いって言ってんだ。始めっぞ」

「……はぁ。分かったわ。では両者口上を」

「勝敗はMSの性能のみで決まらず」

「操縦者の技のみで決まらず」

 「「ただ結果のみが真実」」

「フィックス・リリース」

 

 決闘開始の合図で決闘が始まる。

 

「行くぜ!」

 

 フランは勢いよく飛び出す。

 決闘相手のデミトレーナーはビームライフルを撃つ。

 ビームはデルスターを掠め、接近したデスルターは持っていたヒートハルバードを振るう。

 一撃目をデミトレーナーは飛び退いて回避し、すぐにヒートハルバートを突き出すが、デミトレーナーはそれもかわす。

 

「ちっ! パワーが足りねぇ。それに反応もおせぇ! GUNDフォーマットがないとこんなかよ!」

 

 デミトレーナーのビームを回避しながらフランは愚痴る。

 今回の決闘で持って来たヒートハルバートはガンダムバルディッシュ用の物を持ち出した。

 使い慣れた武器をと持ち込んだが、このヒートハルバートはガンダムバルディッシュが使う事を前提に開発した専用の物でガンダムバルディッシュが使う事で最大限の性能を発揮する。

 デスルターではヒートハルバートを使うにはパワーが足りずに一撃目の攻撃もフランが想定以上に遅かった、

 そして、デスルターにはGUNDフォーマットが使われていない。

 フランも実習でGUNDフォーマットが搭載されていないデミトレーナーを扱った事があるが、決闘で使った事はない。

 新型とは言えGUNDフォーマットが搭載されていないデルスターではガンダムバルディッシュよりも反応速度は劣る。

 

「はっ! ガンダムがなければ魔女も形無しだな!」

 

 デミトレーナーはビームを連射する。

 

「ちっ!」

 

 デスルターは辛うじて直撃だけは避けているが攻め手に欠けている。

 

「どうするフラン。こっちで援護しようか?」

「いらねぇよ!」

 

 ルーカスならこの状況を打開するための手を用意していのかも知れない。

 決闘では公には決闘者以外の介入は認めされてはいないが、第三者が片方に有利な状況を作り出すことを黙認されており、それを含めて本人の実力とされている。

 

「くっそ……コイツが重いんだよ」

 

 装備しているヒートハルバートの重量がデルスターの足枷となっている。

 

「なら! コイツもいらねぇな!」

 

 デスルターはヒートハルバートをデミトレーナーの方に放り投げた。

 デスルターのパワーでデミトレーナーまで届かせることもなくヒートハルバートは落ちてしまう。

 

「はっ! そんな攻撃等!」

 

 デミトレーナーは距離を取りながらビームを撃つ。

 

「これで軽くなった!」

 

 デスルターはビームを回避しながら接近すると殴り掛かる。

 デミトレーナーはシールドで身を守るが弾き飛ばされる。

 

「くっ! 何だ急に動きが!」

「何だよ。やるじゃん新型だけあって」

 

 デスルターは甲のヒートダガーを展開して構える。

 デミトレーナーはビームライフルを構えて撃つが、デスルターは回避しながら接近する。

 

「だいたいコイツの動かし方が分かってきた。それさえ掴めればよ!」

 

 多少の被弾は致命傷になる事はなく、GUNDフォーマット無しの戦い方をフランは感覚として理解して掴んでいた。

 

「ガンダムのない魔女風情が!」

「うるせぇよ!」

 

 デスルターはヒートダガーでビームライフルを破壊する。

 すぐにデミトレーナーはビームサーベルを抜いてヒートダガーを受け止めた。

 

「コイツの性能を引き出せさえすれば性能でごり押しできんだよ!」

 

 デスルターはパワーでデミトレーナーを弾き飛ばした。

 すぐさま接近するとヒートダガーで連続攻撃を繰り出す。

 何とかビームサーベルで防いでいたが、防ぎきれずにビームサーベルは叩き落される。

 

「どうしたよ! ガンダムのない魔女がどうだって? オラァ!」

 

 デスルターは左腕で殴り掛かりデミトレーナーのシールドを弾き落す。

 

「ふざけるな!」

 

 苦し紛れにデミトレーナーは殴り掛かるが、デスルターはヒートダガーを突き出し、デミトレーナーの拳を潰すが同時にヒートダガーも砕けてしまった。

 

「アイツらが普段の実力を出せればこんな醜態をさらすことも無かったんだよ。ジェターク寮を舐めんな!」

 

 デスルターは弾き飛ばしたデミトレーナーのシールドを持つとそのままデミトレーナーに向けて振り落とした。

 シールドはデミトレーナーの頭部をブレードアンテナごと叩き潰した。

 

「勝者、ジェターク寮」

 

 この決闘においてジェターク寮は多寮連合への服従をブリオン寮はこれまでのジェターク寮との決闘結果の無効をかけている。

 代理のフランが勝利した事でジェターク寮はここ数日の間での決闘の結果が無効となった。

 

「ふぅ……ガンダムなしでも結構やれるもんだな。それとお前!」

「はっはい!」

 

 決闘に負けた相手は決闘前の自信の欠片もなくフランにびくついている。

 

「今日からジェターク寮はアタシ等地球寮の傘下に入る事になったからやるならアタシ等が相手になるから上にそう伝えとけ! 分かったな!」

「わ……分かりました! 必ず伝えます!」

 

 フランはそう宣言する。

 こうしてジェターク寮は地球寮の傘下に入る事となった。

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