ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─   作:てんたくろー

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遅れました!
すみません


僕ってば結構すごいよー

 僕の生い立ちについては話をしたし、次に話すのはいよいよ教授との関係だ。

 ここを語る上で、僕の生い立ちについては知っておいてもらう必要があるからねー。何しろ僕が杭打ちくんを扱うようになったのは、冒険者になる前からの話が絡んでるからだね。

 

「で、話を孤児院時代に戻すんだけどー……迷宮に潜っていた僕を、たまたま教授が見つけて。興味本位でレイアに教えたんだよー。それが調査戦隊との初顔合わせだったねー」

「メルルーク教授がソウマ殿の、第一発見者ってことでござるか」

「そうそう。それでいろいろあって調査戦隊に入ることになったんだけどー、彼女ってば僕が使ってる杭に興味を示してさ」

 

 昔を思い返しながらも話していく。

 やー懐かしいよー、迷宮でモンスターを狩ってたらいきなり教授とその取り巻きがやってきたんだ。

 

 当時モグリだった僕だから慌てて隠れたけど、さすがにバレちゃって次の日にはレイアが満面の笑みを浮かべて仁王立ちして迷宮の出入り口前、待ち構えていたのが今でも記憶に残ってるよー。

 そこから話し合い、戦い、勝ったり負けたりを経て大迷宮深層調査戦隊への入団となったわけだけど……教授がそこから、やたら僕に絡むようになったんだ。

 

 曰く"君の武器……武器? いや廃材はもっと兵器として美しさと実用性、ロマンを追求する余地がある。可能性の塊と言ってもいい。どうだね私に任せてくれないか? "なんて言ってきてさ。

 僕が答える前に暴走して先走って、あっという間に杭打ちくん2号を造ってくれたんだ。

 

「あ、アグレッシブ……返事も聞かずに造っちゃったのね、その人」

「元から兵器開発に興味津々な人だったしねー。特に何かにつけてロマンを求める人だから、廃材の杭なんてものを使って戦ってた僕は初見から気に入ってたみたい。僕も、より使いやすい強い武器がタダでもらえるんなら願ったり叶ったりだったわけでー」

「造りたい教授と、使いたいソウマくんと。需要と供給が噛み合ったわけね……」

「そしてその関係は今でも続いてるから、僕に関するデマの虚実がどうであれお互いの利害関係は継続されるわけだねー」

 

 杭打機を武器として携行、使用するなんてとびきりの馬鹿は僕くらいなものだ。そう言って教授は僕を、自分のロマンを詰め込んだ武器を使いこなしてくれる逸材として見込んできた。

 そして僕は僕で、ピーキーな性能の武器じゃないといまいちしっくりこないからってんで教授を見込んだ。つまりはお互いがお互いを利用し合う形で、一種のビジネス関係を構築したわけだねー。

 

 そしてそれは、今でも続いている関係なのだ。

 定期メンテナンスに使用感の報告から新機能の実装、そして──計画途中の新兵器、杭打ちくん4号(仮)。

 僕と教授とのある意味、悪巧みめいたオモシロ珍兵器開発の旅はまだまだ途中なわけだね。

 

「だから正直、リンダ先輩が言ってたみたいにモニカ教授が直接言った線は薄いと思うんだ。やっばり兄のガルシアさんかなーって」

「要はロマン友達なわけでござるか。そりゃーデマを撒く意味がないでござるねー」

「調査戦隊の中でも特に仲が良かったりしたの? 話を聞いてると、レジェンダリーセブンの面々より親しい感じがするけれど」

「そだねー。そもそも僕の戦闘力とかにも最初から目をつけてたみたいだしー」

 

 仲の良さを問われたけれど、ぶっちゃけ調査戦隊の中でもかなり仲良しさんだったことをレリエさんに打ち明ける。

 もっとも、研究対象としての興味のほうが強かったとは思うんだけどね、向こうは。

 

 調査戦隊内においては主に兵装開発と戦術考案、及び諸々の研究を請け負っていた教授は、だからこそ喜び勇んで僕の杭打機を造ってくれた。

 実験体って言ったらアレなんだけど、わけ分かんない杭打機なんてものを使う僕は格好の研究対象だったんだねー。僕自身、後に迷宮攻略法として扱われる技法を3つほど体得していたからそもそも戦隊内でも優遇気味だったって事情もあるけどね。

 

 そこまで話すとサクラさんが、唖然とした様子で僕を見た。シアンさんも顔色を変えて凝視してくる。

 何かなー?

 

「ちょ、ちょい待ちでござる……ソウマ殿、もしかして貴殿が由来の迷宮攻略法があったりするのでござるか? つまりはその、いくつかの迷宮攻略法のオリジナルが、貴殿であると?」

「あ、うん。身体強化と再生能力、あと環境適応については僕がレイア達に教えたよー。物心ついた頃にはもう身につけてたし、うまく言葉にして伝えるの大変だったよー」

 

 特に隠す話でもなし、話す。

 いや実は迷宮攻略法のうち3つは、元々僕が持ってた技術をレジェンダリーセブンはじめ、調査戦隊メンバーに教えたことで伝播してたりするんだよー。今じゃ世界中の冒険者達が身につけたい最高峰技術の一つって扱いなんだから、なんか照れちゃうよねー。

 

 筋力を強化する身体強化に、ある程度の怪我ならすぐに自己再生できる再生能力。そしてあらゆる環境の変化に身体を馴染ませる環境適応。

 この3つを僕が教えたことで、今の迷宮攻略法が成立してたりするわけだねー。

 

「地下20階台は身体強化、30階台は環境適応。そして僕が元々いたっぽい40階台は再生能力がないと突破できない階層だったからねー。僕もうろついてるうちに自然と身に着けたわけで、言語化ってところはできてなかったんだよね、当初は」

「なんと、まあ……」

「元から迷宮攻略法に詳しいだろう人とは認識していたけれど……まさかオリジナルの使い手だなんて。タイトルホルダーなことと言い、つくづく常識外れね、ソウマくん」

「そ、そうですか? えへ、えへへ?」

 

 ドン引きされてる気がするけれど、ここは素直に褒められてるんだってことにしようと思うよー。えへへー。




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