ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─   作:てんたくろー

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迷宮内での人探しだよー

 ミシェルさんの実力でギリギリ行けそうな階層までのショートカットを探す道中。あちこち穴はあるけどどれも20階台とかばかりでこの辺、浅層行きのが多いみたいだ。

 ちょっと河岸を変えようとしばらく歩く。その間、サクラさんとは他愛もない世間話に興じるよー。

 

「ちなみにサクラさん、迷宮はどこまで潜ってるの?」

「この地を訪れたのがつい一ヶ月前とかでござるからなあ。まだ50階そこそこでござる。再生能力をやっとこさ体得したところでござるねー」

「あっ、そうなんだ? おめでとうございますー」

 

 地下50階台からは迷宮内の環境が極めて悪辣になってきて、ふとした拍子に大ダメージを負う機会がそれなりに多くなってくる。たとえば毒煙が立ち込めてたり、劇薬の雨が降ってたりね。

 それまでの階層で獲得するだろう迷宮攻略法の一つ、環境適応だけでは凌げないほどのダメージを継続して受けることになってしまうんだ。素人が踏み込むと3秒で骨も残らないような場所だからねー。

 

 そういうのをクリアするために必要なのが迷宮攻略法・再生能力なわけなんだけど……サクラさんはまだ体得してなかったみたいだ。

 身体強化でゴリ押しできないこともない階層ではあるんだけど、理想を言えばやっぱり再生能力がほしいところだし、それを考えると順当に体得したなーって感じだよー。

 

 そんな話をしつつも適当にほっつき歩くこと10分ちょっと、ようやっといい感じのショートカットを発見した。町の南西側にまで回り込んだあたりにある穴で看板には42階行きと書いてあるねー。 

 

「地下42階行きショートカットルート……この辺からかな」

「純然たる冒険ではないものの、ソウマ殿と迷宮に潜るのは初めてでござるなあ。楽しませてもらうでござるよ」

「こちらこそ。ヒノモトのSランク冒険者の腕前、拝見させてもらいまーす」

 

 軽く言い合って早速入る。何しろすでにレオンくん達は地下1階から侵入しているだろうし、いつまでもモタモタしている場合じゃないんだよ。

 僕、サクラさんの順に穴に入ってそのまま滑り落ちる。さすがにお互い慣れたもんで、両足でしっかりバランスを取っていついかなる時でも問題なく回避、ないし反撃に移れるような体勢だ。

 

 とはいえ穴の先にモンスターの気配はない。そのまま数分滑って行って、やがて出口に辿り着いて僕らは飛んだ。大きく弧を描くように宙を舞い、問題なく着地成功。

 大迷宮は地下42階。Bランク冒険者だとギリギリのラインかな? って感じの難易度の階層に、今辿り着いたわけだよー。

 

「ふむ……ま、特に違和感のない感じの迷宮内部でござるな?」

「冒険者の気配はいくつかあるね。この辺だとBランクならギリギリ、行けなくもないからね」

「じゃあ一人ずつあたってみるでござるか。ザンバーなんて珍しいもん持ってるでござるし、判別が付きやすいのは助かるでござるな」

「だねー」

 

 このくらいの階層なら多少は人の気配もするねー。何しろ冒険者の大半はBランクまでだし、ある意味この辺までが迷宮攻略のメインストリームみたいなところあるからね。

 ここから先、それこそサクラさんが攻略中の50階層台になると途端に人も減ってきたりするから、僕としてもこのあたりは結構ホッとできる、庭先みたいな感覚の階層だ。

 

 実際に気配を追っていくとほら、さっそく冒険者パーティーと遭遇する。

 それなりにベテランって風情のする、使い込まれた装備が渋くてカッコいいいぶし銀な男女混成パーティーだねー。

 

 視認するなり向こうも僕らを見、すぐに誰か判別をつけたみたいだ。目を丸くして、驚きの声を上げている。

 

「んっ……!? 杭打ちに、サクラ・ジンダイ!?」

「新世界旅団か。よう、お前らも冒険で?」

「いや、ちょっと人探しー」

 

 こちらは彼らのことをあまり存じ上げてないんだけれど、向こうはこちらのことをそれなりに知ってくれてるみたいだよー。

 ま、最近のあれやこれやで嫌でも目立ってるしね。それにそれぞれ元調査戦隊メンバーにSランク冒険者だ、何がなくっても目立たないわけもないんだし。

 

 お互いどちら様? ってならないのはありがたい。僕はさっさと用件を告げて、彼らに助力を乞うことにした。

 サクラさんが続けて、探し求めているミシェルさんについて尋ねる。

 

「身の丈より大きなザンバーを担いでる女冒険者を探してるでござるよ。そなたら見かけなんだでござる?」

「ザンバーとはまた、珍しいもん使ってんだな。俺ら35階からここまで降りてきたけど見かけなかったぜ」

「まあ、各階層を隈なく探したってわけでもないから、もしかしたらすれ違ったのに気づかなかっただけかもだがよ」

 

 彼らはミシェルさんを直接見たことはないみたいで、ザンバーという武器種の珍しさに面食らいつつも答えてくれた。

 35階層からこっちにかけては望み薄、かあ。

 たまたま鉢合わせなかっただけの可能性もあるけど、こちらのパーティーのみなさんも冒険している以上はそれなりにしっかり探索しているだろうし、ねー。

 

 これである程度さらなる絞り込みができた。

 ミシェルさん、あるいは30階層より上の階にいるかもしれないんだ。

 これ、もしかしたらレオンくん達のが早く接触できちゃうかもねー。




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