ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─   作:てんたくろー

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爆弾発言だよー!?

 エウリデ初代国王、スタトシン・ペナルティ・エウリデ──と、名乗り歴史に名を刻んだ古代文明人カネツグ・トキハ。

 明らかになんらかの目的意識をもって、エウリデ王家に神という名の化物の製造法を継承してきたその男の人間性とかについては、資料室に保管されていた資料からは読み取れなかったとレイアは言う。

 

「トキハが何を思って1000年前、エウリデを形成するに至ったのかは分かりません。本来の名を捨てスタトシン・ペナルティ・エウリデを名乗ったのかも。単なる支配欲なのか、あるいは別の思惑があったのか」

「カネツグ・トキハの名は古代文明世界でもそれなりに有名だったわ。件の研究所の所員ということで、神を生み出したスタッフの一員として語られていたわね。まさかあの男が、私達よりずっと早くに蘇ってエウリデを建国していたなんて」

 

 古代文明にあってもそれなりに有名だったんだね、スタトシン初代国王は。

 まあ結果的に世界を一度、滅ぼした連中の一員なんだからそりゃ知られててもおかしくはないか。

 

 そんな有名人が、何万年もの時を超えた先の土地で国を起こすなんて、エウリデ王家の悪辣さを除けばまるでおとぎ話だよー。

 世界を滅ぼした化物のコピーを生み出そうとしていた国家なんて、控えめに言っても迷惑極まりないから、どうあれ作り話にあっても悪役以外の役割はないんだろうけどねー。

 

「さっき戦った神モドキも大本は、スタトシンの遺した技術を再現したものなんだろうね。だから素材とか諸々足りず、1000年もの時間がかかった。まさしく王家の悲願ってわけ」

「そこまでして作り上げたカミサマってのがものの見事に瞬殺されたんだ。ラストシーンの狼狽えも分かるってもんだなァ。哀れなもんだが胸がすくぜ」

「あの化物を使って世界を征服して、億年国家樹立とかなんとかわけ分かんないこと言ってたからねー。しょーもない野望が早々に頓挫してくれて、世界的には良かったーってなもんだねー」

 

 リューゼリアが鼻で笑い、エウリデ1000年の末路を揶揄する。憐れむにはあまりにも邪悪な野望だったと思うけど、まあさすがに少しくらいは同情するかも。

 たぶんだけどずいぶん永いこと、神の模造に夢を見ていたみたいだしねー。どことなく狂信の入ったラストシーンの姿を見るに、王家の悲願だなんて嘯くレイアの物言いも、強ち間違いじゃなさそうな気はするよ。

 

 と、ここでしばらくの間、沈黙が挟まる。これで一通り説明を受けた形になるのかな?

 いろいろと判明したけど、やっぱり一番の驚きは今いる僕らの土地が実は古代文明人による人工物だってことと、大迷宮の正体が彼らの作った塔だってことかな。

 オカルト雑誌のデタラメを余裕でぶち抜いてきたよー。これには僕もレオンくんもビックリだねー。

 

「────さて。エウリデと古代文明の関係性、そして神……今まで説明してきたことを踏まえて、私達がこの国に戻ってきたのには理由があります」

 

 少しばかり休憩めいた一時を挟み、レイアは改めて居住まいを正して僕らに向き合った。

 まだ話があるのかな? って一瞬思ったけど、よくよく考えたら結局、レイア達が何しにこの国に戻ってきたのとかがまだ分かってないんだよね。

 

 わざわざ説明だけしに来てくれたとも考えにくいし、何かしらメインの目的があるのは明白だ。

 つまりは過去の話ではなくこれからの話だ。耳を傾ける中、レイアはそして、衝撃的なことを言うのだった。

 

「資料室を研究した結果、3年前に大迷宮深層調査戦隊が攻略できないままに解散の憂き目を見た地点、地下88階層にある開かずの扉を開く方法を突き止めました」

「!!」

「そしてそこを越えればついに、地下世界……本来、人類が生息していた土地。かつて古代文明が栄えていた、本当の意味での世界に到達できるはずです。私達はそれを、見に来ました」

 

 大迷宮地下88階。まさしくかつての僕ら調査戦隊が到達した最高深部であり、そしてまったく何をしても開かない扉を前にそれ以上の攻略ができていなかった地点でもある。

 その扉を開くための調査をしよう、とした段階で調査戦隊は解散してしまったんだけど……まさか遠く離れた海の向こうに解決策があったなんて!

 

「あの扉を、開くっていうの……?」

「うん、そうだよソウくん。そしてそのためにはね、君の力も必要なんだ」

「……え?」

 

 にっこり笑ってレイアが告げた。僕の力が、扉を開くのに必要? なんで?

 言うのも悔しいけれど3年前、僕の杭打ちくんでもってしてもあの扉はぶち抜けなかった。何か得体のしれないエネルギーに阻まれて、物理的の傷一つだってつけられなかったんだ。

 そんな僕が今さら、なんの力を?

 

「あの扉を開くために必要なのは、古代文明人による承認を4人分。そしてこの場にいる古代文明人も、4人。レリエさん、ヤミくん、ヒカリちゃん──そして、ソウくん」

「…………!?」

 

 歌うように名前を並べる、今ここにいる古代文明人3人、に並んで僕!?

 みんなの視線が僕に集まる。どういうこと? みたいな顔してるけどこっちのセリフだよそれはー!

 

 古代文明人ってここにいる3人と、あとマーテルさんじゃないの? あと強いて言えば1000年前のカネツグ・トキハとか!

 唖然としつつ混乱する僕に、そしてレイアは告げるのだ──僕さえ知らない僕の秘密。僕の正体を。

 

「ソウマ・グンダリ。あなたもはるか彼方、遠い昔からやって来た古代文明人なんだよ」

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