ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─   作:てんたくろー

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充電完了!だよー

 仲間たちに慰められつつしばらく機器にエネルギーをチャージし続けていると、窓からの眺めを見飽きたのか冒険者達がすごすごと戻ってきた。

 好奇心や探究心がすごい分、目移りするのも早いからねー。言っちゃうと熱しやすく冷めやすい質が多いんだよ、冒険者ってー。

 

 だから今回も、粗方眺め回して見てるだけなのに飽きたとかでひとまず戻ってきたのかなー? って思っていたんだけどちょっと様子がおかしい。

 なんていうか肩透かし? 拍子抜け? みたいな、残念さが漂う雰囲気だ。え、ちょっやめてよー、僕まだ好奇心ウズウズしっぱなしなんだけどー。

 

「……どしたのー?」

「うん……いや、まあ見てきたほうが早いかも」

「我々はしばらく塔内を探索するが、お前も充電? とやらが終われば仲間達と見てくると良い。きっと、それで概ね分かるさ」

「……?」

 

 レオンくんやベルアニーさんが難しい顔をして、僕に軽く教えてくれた。嬉しさや達成感、期待感もあるもののちょっと落胆とか安堵とかが混じった、びみょ~な顔だ。

 そんなになっちゃう? そんなふうになるような風景なんだ、地下世界って。

 

 うー、気になるよー。

 落胆しそうなのはガッカリだけど、それはそれとしてこの目で直接たしかめたいよー。

 

 逸る心を抑えてひたすら時を待つ。

 機器の画面に表示されている、チャージ状況? らしい数字は結構溜まってきているっぽい。

 そろそろいいかなー? まだかなー? なんてソワソワしつつもレリエさんに僕は尋ねた。

 

「そろそろ離してもいいかなー?」

「ん……そうね、大丈夫。バッテリーに破損がなければいけるはず」

「やったっ! えーい!!」

 

 少し考えてから、ついにOKを出してくれたよー!

 すぐさま機器から手を離す、外の光景が気になるとか以前にずーっと触り続けてるのはしんどかったよー!

 

 かれこれ一時間近くは触れ続けて、別に何かした感じでもないし力を抜かれたような感覚もないんだけどとにかくエネルギーをチャージしたのはたしからしい。

 さっきは手を離した途端にパツーンと灯が消えたけど、今回はまるで問題なく明かりがつきっぱなしだよー。

 

「…………灯りは消えない。なら大丈夫ね。電源がグリーンになったあたり、たぶんもう100年くらいは充電しなくて良いはずよ、ここ」

「そんなにー!?」

「普通はここまで短時間でこうはならないはずなんだけど……?」

 

 一時間だけのチャージで100年!? なんかよく知らないけどすっごい燃費だよー!?

 あまりにもあんまりな高速ぶりにレリエさんも奇妙そうな顔をして首を傾げてるよー。怪しげに僕を見るけどやめてよー、僕何もしてないよー!

 

 なんだか悪いことをした気になっちゃってあわあわする僕。レリエさんも慌ててごめんなさいってしてくれるけど、うー。自分でも自分が怪しくなってくるー。

 そこをまあまあ、と言ってモニカ教授が割って入ってきた。にこやかに、朗らかに笑って僕を見て言ってくる。

 

「ホント、何者なんだろうねソウマくん。こんな見るからに巨大な塔を動かすだけの電力をたった一人、ものの一時間程度で賄うなんて。いや、人間なことに疑いはないけど……」

「けど?」

「……件の"軍荼利・葬魔計画"がどこを終着としたか、鍵はそこにある気がする。なんていうかね、ただ神を滅ぼしたかったってだけじゃない気がするんだよ、私には」

 

 これまた意味深なことをー……僕を使った神殺し計画に、さらに奥深い目的があったとでも言うのかな。

 だとしたらその目的に、僕が関わってたのはたぶん間違いないよねー。いくらなんでも僕がこんな、古代文明のエネルギーを賄えちゃうなんてどう考えてもおかしいしー。

 

 そもそも、なんで赤ちゃんをわざわざ使う必要があったのかな。別に今見えてる塔内の機器みたいなの使ってさ、人間挟まずにやり遂げたりできなかったのかなー?

 僕から取り出せる謎エネルギーについてとか、計画の真の目的? だとか。そのへんについてもレイアはいろいろ知ってるんだろうか。

 もうここまで来たんだしそろそろ教えてほしいよねー。

 

「とにかくソウマ殿の手も空いたでござる。遅ればせながら拙者らも見に行くでござるよー」

「おお、そうだね、そちらがまずは先だ。いやはやついに分かるのか、古代文明の全貌が……!」

「みんなが言葉を濁していたものは、一体……?」

 

 と、サクラさんが僕らに呼びかけてモニカ教授、シアンさんが続いて呼応する。ついに辿り着ける光景への期待に、みんなさっきの冒険者よろしく興奮を隠しきれない様子だよー。

 僕とレリエさんも彼女らに続いて窓へと向かう。

 さあさ、それじゃあ拝見させてもらうよ、古代文明の世界ってやつをー!

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