ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─   作:てんたくろー

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謎パワーの正体だよー!?

 踏み込みとともに加速! レイアに向かって飛びかかるように高く跳ね、襲いかかる。

 いつもの僕ならこんなことはしない。重力制御が使えるなら空中を自在に動き回って敵を翻弄するやり方もできるけど、今は使えないからね。

 

 そうなるとわざわざ天高く飛んだ敵なんて絶好のカモだよ、姿勢制御も方向転換も落下タイミングさえ調節できないなんて、こんな狙いやすいやつもいないからねー。

 

「バカにしてるの、ソウくん!?」

「まさか!」

 

 怒ったように構え、落下する僕に狙いを定めるレイアだけど当然、何も考えずにこんなことをしたんじゃない。

 僕から迸るなんかよくわかんない謎エネルギー、自分でも不思議なくらい手足同然に自由に使えるソレで、僕は自分の周囲に足場を作る!

 

「な────!?」

「甘いよ、レイア!」

 

 足場を蹴って方向転換、レイアの放つ突きを避けるように向かって右側へ。さらにそこでも足場を作り、さらに蹴る!

 そんなことを繰り返せば、彼女の周りをジグザグに軌道を描く極めて奇妙な動きが完成する。レイアにとっても初めてだろう、こんなふうに物理法則を無視した動きは。

 

 そうして近づく、射程範囲!

 僕は右手でジャブを放った! 手首のスナップを効かせてしなる鞭のようなパンチが、鋭い速さと読みにくい緩やかな弧を描く動きで雨のように彼女を襲う!

 

「ぐ、うううう!?」

「そしてえっ!!」

「なんのっ!!」

 

 ロングソードで対応してくるけど、身体強化された僕のパンチは彼女の刃を通さない。なんでだろう、出力がいつにも増して上がってる……!

 とはいえレイアもさすがの膂力だ、ジャブを片っ端から落としてくる。サクラさんよろしく8割方ダミーの攻撃なのに、もろとも対応してくるのはさすがだよー!

 

 一撃一撃、放っては叩き落され放たれては殴り弾いて。

 時折杭打ちくんによる一撃必殺を狙ってみるものの隙はない。まだもうちょい、機を見る必要があるかもね!

 しばらくの攻防。一合ごとに草原にクレーターができるほどの力と力、圧と圧のぶつかり合いの中、レイアは突然、大きな声で叫んだ。

 

「やっぱりだ……思った通り! ソウくん、君のその力は神の力だよ!」

「!?」

 

 なんか突然、アヤシイことを言い出したよー!?

 割と劣勢だから突拍子もないことを言って驚かしに来た? いや、レイアはそんな腹芸ができる性格じゃないし、僕もそんなのに引っかかるタマじゃない。

 ってことは、これは本当になんらかの発見をしたってこと? この戦いの中で。そしてそれを、今この場にいる全員に向けて発信しているって、こと!?

 

「……神!? って、ええとさっきの、地下の死骸?」

「そう! 君は"軍荼利・葬魔計画"によって数万年、赤子のまま冷凍睡眠させられた! その体に、神の力、無限エネルギーを吸収して今のこの世界、大地に流し込む濾過装置としての機能を付けられて!」

「みたいだね、まるで記憶もなければ実感もないけど! それが!?」

「それだけじゃなかったってこと!」

 

 僕にとってはまったくもって無関係な感じがする話なんだけどー、どうやら僕、数万年も赤ちゃんやってたらしいんだよね。

 "軍荼利・葬魔計画"なんてのの要として、地下世界を滅ぼした神のエネルギーを徐々に吸い取り無力化させる部品の一つとして組み込まれていたらしいんだよ。全然覚えないけど。

 

 で、そんなだから僕ってば単なる汲取桶みたいなもんかと思ってたんだけど……レイアの見解はさらにそこから一歩、踏み込んだところに到達してるみたいだ。

 興奮したように僕を見て、互いに攻撃を仕掛け合いながらも続ける。

 

「意図してか偶然か、そこはわからないけど……数万年も神の力を一身に受け続けたことで、ソウくんは無限エネルギーを我が物として扱う力を身に着けたんだ!」

「えっ……そ、そうなの? もしかしてさっきからなんかぶわぁーってなってるこの蒼いのが、ソレ?」

 

 とんでもない仮説に、思わず一旦引き下がって僕は、自分で出しといてなんだけど出所不明のエネルギーを見た。

 青白い稲妻だか焔だか。見てると落ち着けそうな揺らめき具合なんだけどそれはまったくもって僕の手足同様、僕の意識を受けて自在に操ることができる。

 

 これが、神の力? 古代文明を滅ぼした神から吸い上げてきた、無限エネルギーってやつなの?

 そんな馬鹿な。でも、これまでずーっと古代文明の資料を研究してきたレイアが言うことだしなー……信憑性はありそうなんだよねー。

 

 周囲の目もえっ、マジで? みたいな感じで僕に向いてくる。うう、覚えがないのに過大評価されてる気がするよー?

 微妙な居心地の悪さを味わっていると、さらにレリエさんが僕らに向けて声を上げた。

 

「間違いないわ、ソウマくん!」

「レリエさん?」

「その力は神の、もっと言うならその前身となったモノ達の使っていたものと同じ! 古代文明を豊かにし……そして破滅に導いた力よ!」

「えぇ……?」

「古代文明人からすればそうなんだろうけど、あはは……」

 

 縁起悪いんですけどー……破滅の力とかそういうの止めてよ、物騒だよー。

 古代文明人からの太鼓判。なんだけどどうにも表現がアレ過ぎて僕的にもレイア的にも、苦笑いせざるを得ないよー。

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