ニューワールド・ブリゲイド─学生冒険者・杭打ちの青春─   作:てんたくろー/天鐸龍

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輝ける青春の日々へ!だよー

 そんなこんなで辿り着いたよ大迷宮地下86階層。あいも変わらず赤茶けた地面やら壁やら床やらが広大な空間だよー。

 モンスターの気配は多少するけどまだまだ近くにはいない。しばらくしたらやってくるだろうから、その前にサクッと戦闘準備だよー。

 

「また、こんなふうにレイアやカインさんと肩を並べて戦える日が来るなんてねー」

「もう、ソウくんってば何度目?」

「ま、言いたいことは分かるよ我が友。3年前のあの終わり方から、まさか3年後の今のこの形に収まるとはな」

 

 何度も、何度も繰り返すように今あるこの光景の奇跡に感嘆の息を漏らす。カインさんの言う通りでまさか、って感じだよー。

 レイアと和解して、調査戦隊の中でも特に親しかった人達の何人かと今、こうして冒険に臨んでいる。もう二度とないと思っていたことだし、なんなら僕は一生一人で、罪悪感と失意の中で生きて死ぬとさえ思っていたからね。

 

 それもこれもすべて、新世界旅団に入団してから起きたことだ。

 特に関係があるかどうかってところだけれど、僕自身は運命的なものを感じている。だから入団のきっかけをくれたシアンさんやサクラさんには感謝だよー。

 

「数日前にはワカバとガルドサキスくんもこちらに来るって手紙を送ってきたし……たぶんもうミストルティンも動き出してるだろうね。そうなるといよいよ調査戦隊中枢が一堂に会するわけだねー」

「! あの3人も、こっちに?」

「ワカバ姫!? あの方がこっち来るのでござるか、いやまあ来るでござろうけども」

 

 さらに加えてのすごいニュースだ! 残るレジェンダリーセブンの面々も、昨今の古代文明発見や僕vsレイアの報せを受けてこちらにやってくるみたい。

 全員集合!? 興奮に胸が沸き立つような僕。サクラさんも、旧知らしいワカバ姉との再会の予感に顔を青ざめさせてるよー。

 ……なんで?

 

「いやあ、姫は尊敬すべき方ではござるが、反面性格的にはあまり、拙者と合うような合わないような……みたいなーって感じでござれば」

「あー……サクラさん的にはワカバの持って回った言い回しとか苦手そうだもんね。遠回しな皮肉とか嫌味が基底にある感じ」

「苦手ってほどではないでござるが……ねえ」

 

 なるほど、ワカバ姉ってたしかになんかこう、迂遠な皮肉屋って感じの美女だったもんねー。

 昔はそれが原因でリューゼがキレたり、ミストルティンがキレたり、終いにはウェルドナーさんがキレたりしたんだよー。大体キレさせてるねあの人、怖いよー。

 苦笑いしつつもレイアが、はふうと吐息を漏らしつつ呻く。

 

「ミストルティンも……たぶんまだ全然バチボコ怒ってるだろうし。場合によっては私とサシで決闘しろ! なんて言い出すかも。ああ、疲れるなあ……」

「あいつだけは、グンダリとの和解がどうとか関係なしに怒り狂ってるだろうからなあ」

「ソウマくんがどうの以前に、一人でも彼を助けない選択を選んだ者がいた、というところがアウトだったわけですからね」

「100人いればそりゃ何人かくらいは反対の人もいるのに……あの頑固さは味方にすれば頼りになったけど、敵に回るとただただ厄介なんだよねー!」

 

 おそらく襲来してくるだろう、レジェンダリーセブンの中でも一番頑固で絆を信じるミストルティン。彼女の怒りはもはや僕がどうのこうのでなくて、調査戦隊というものそのもの、あるいは人間そのものに向いていてもおかしくはない。

 そうなると大変なのはやっぱりレイアだ。彼女も強いからねー、宥めるのも一苦労だと思うよ。

 頑張ってー。生温かく見守ってるとその視線を察知して、振り向いたレイアが力なく笑った。

 

「ううっ、ソウくんが微妙に無関心さを出してる! ねえ手伝ってよ、調査戦隊でしょー!?」

「元ね、元。今は新世界旅団の団員ですからー」

「そうですね。ソウマくんはもう"私達の"ソウマくんです」

「むう……!」

 

 僕のそばに来て頭を撫でてくれるシアンさん。最近本当にこんなふうにスキンシップが多くて、僕としては嬉しすぎて毎日が天国だよー!

 レイアはふくれっ面だけど、すぐにそれも収まる。モンスターの気配がいよいよ近づいてきたんだ、雑談はここまでだねー。

 

「さて、そろそろやろっか! 今日の目的は例の玄室だよね?」

「うん。まだ古代文明人が何人か眠ってるかもだし、一応調べ直そうかなって! あ、あとさっき受けた依頼でゴールドドラゴンの奥歯もいくつか」

「そっちは毎度のことだねー」

 

 言いながら構える。見えてきたモンスター、さっそくゴールドドラゴンだ。

 黄金がそこかしこに見える地肌を持つ巨竜は僕にとっては倒し慣れた敵だよ、相手するにはもってこいだねー!

 

 レイア達も構え、非戦闘員は後ろに下がる。フォローはバッチリ、ウェルドナーさんやカインさんがしてくれる。

 新しい人生を歩み直す僕の、これがはじめの第一歩。みんなと一緒に生きていく、最初の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 昔からの知り合いも、最近知り合った人も。そしてこれから先、出会うかもしれない人達さえも。

 みんな、みーんな今度こそ僕は裏切らずに生きていきたい。どうなるかまるで分からない人生だけど、それでもこれからはみんなで話して、みんなで悩んで、みんなで決めてみんなで進んでいきたいよ。

 

 きっとそれだけで良かったんだ。

 3年前、僕が本当にしなくちゃいけなかったことを……これからはずっと、胸に刻んで生きていこう。

 一つ、大きく息を吸って、吐く。落ち着いた、静かな心でただ、叫ぶ。

 

 

「────よし、行こう!! ぶち抜くよ、杭打ちくん!!」

 

 

 目の前の敵だけじゃない、どんな壁も、未来も、行く末も。

 今度こそ幸せ目指して、力一杯生きていこう!

 それが僕、ソウマ・グンダリ────学生冒険者"杭打ち"の青春だよー!!




これにて本作は完結です。ご愛読いただきありがとうございました!
いろいろ段取りを間違えたよーな、迷走していたよーな、開き直っていろいろ試したいことをためしていたよーな、それでも最低限風呂敷は畳もうかと四苦八苦していたよーな……
いろいろありましたが良い感じにまとめられた気がしているので良かったです。
本当にありがとうございました!

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