戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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焼結しないシンフォギア その1

『甦れ、オートスコアラー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某所にて………

 

「チェック完了だ。全て問題無い」

 

「そうか………」

 

コンパネの様な機械に付いているベン所長の言葉に、キャロルが目の前に並んでいる4つのコードが繋がったベッドの様な台を見下ろす。

 

その上には、綺麗な状態のレイア、ファラ、ガリィ、ミカが目を閉じた状態で横たわっている。

 

「………待たせたな、お前達」

 

「キャロルちゃん………」

 

目が潤むキャロルの肩に、劾が手を置く。

 

「では、スイッチを入れるぞ」

 

そこでベン所長がコンパネを操作した。

 

すると、オートスコアラー達が寝ている台に繋がっているコードにエネルギーが流れ、台が光を放ち始める。

 

やがて、オートスコアラーの目が、ゆっくりと開かれた。

 

「アレェ? 何処だ此処?」

 

「私達は………」

 

「あのクソ神官ポーに利用されて………」

 

「派手の再び死んだ筈?………」

 

目覚めたミカ・ファラ・ガリィ・レイアが起き上がりながらそう声を挙げる。

 

「お前達………」

 

「「「「! マスターッ!!」」」」

 

とそこで、キャロルに声を掛けられ、その存在に気付くと、すぐさま台から降り、キャロルの前に跪く。

 

「マスター………申し訳ありません」

 

「神官ポーに利用されたとは言え、マスターに対し、あの様な事を………」

 

「私達は従者失格です………」

 

「ゴメンだぞ………」

 

落ち込んでいる様子でキャロルに次々と謝罪するオートスコアラー達。

 

「…………」

 

キャロルはそんなオートスコアラー達を暫し見下ろしていたかと思うと………

 

やがて両腕を広げて、全員を一斉に抱き締めた。

 

「「「「!?」」」」

 

「もう良い………もう良いんだ………」

 

驚くオートスコアラー達の耳に、キャロルの慈愛の籠った声が響く。

 

「「「「マスター………」」」」

 

オートスコアラー達は唯々キャロルに抱き締められ続けた………

 

「「…………」」

 

そんなキャロルとオートスコアラー達を、劾とベン所長は無言で見守っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、再会と復活を堪能したオートスコアラー達は、キャロルから現在の自身の状況と立場を説明される。

 

「………と言うワケで、計画は失敗。俺はS.O.N.G.に投降した。今は贖罪の意味も込めて技術部で働いている」

 

「そうですか………」

 

「………すまない。お前達を犠牲にする様な手段を執っておきながら、俺は………」

 

「ハイ、ストーップ!」

 

謝罪の言葉を口にしようとしたキャロルの唇を、ガリィが指を当てて塞ぐ。

 

むぐっ!………ガリィ?」

 

「駄目ですよ~、謝るだなんてぇ。そんなのマスターがする事じゃないでしょう」

 

「だが、俺は………」

 

「マスターはマスターらしく、偉そうに踏ん反り返って、アタシ達に命令してれば良いんですよぉ」

 

ふざけた口調ではあるが、裏の無い正直な気持ちを告げるガリィ。

 

「その通りです、マスター。謝罪など派手に不要」

 

「レイア………」

 

「私達はマスターの忠実なる僕………」

 

「マスターが何をしろって言っても必ず聞く事が仕事だゾ!」

 

「ファラ………ミカ………!」

 

変わらぬ忠義を見せるオートスコアラー達に、キャロルは思わず涙ぐむが、すぐに袖口で拭う。

 

「………これからもお前達の働きに期待しているぞ」

 

「「「「イエス、マスターッ!」」」」

 

やがて嘗ての様な雰囲気でそう言うと、オートスコアラー達が畏まる。

 

と、そこで………

 

オートスコアラー達は劾の方に向き直った。

 

「陸街 劾………」

 

「貴方には大変お世話になりました」

 

「敵でありながら、マスターの事を命懸けで助けてくれた事………派手に感謝の念に堪えん」

 

「ありがとうだゾ!」

 

「皆さんが復活出来て、僕も嬉しいです」

 

オートスコアラー達からの感謝を受けながら、朗らかに笑う劾。

 

「全く、相変わらずなんだから………まあ、だからマスターも好きになったのかもねえ」

 

「なっ!? オイ、ガリィ! 何を言っているっ!!」 

 

そこでそう呟いたガリィに、キャロルが顔を赤くしながら反応する。

 

「あ~ら、マスター。お忘れですかぁ?」

 

「私達オートスコアラーの人格は、マスターの精神構造の一部をベースにデザインされています」

 

「あ、そうだったんですか?」

 

初耳な劾が軽く驚きを示す。

 

「つまり、マスターが陸街 劾に好意を抱いていた事は派手にお見通しだったワケです」

 

「マスター、劾の事大好き!」

 

「!~~~~っ!!」

 

更に顔を赤くして、小刻みに震え出すキャロルだが、否定する事は出来ず、只々拳を震わせる。

 

「………となると、今後は『旦那様』とお呼びした方が宜しいですかねぇ」

 

とそこで、ガリィが意地の悪い笑みを浮かべながら、劾を見てそう言う。

 

「!? なっ!?」

 

「確かに………」

 

「それは派手に良い案だな」

 

「劾はマスターの旦那様だゾ!」

 

キャロルが狼狽して居ると、ファラ、レイア、ミカも次々に同意する。

 

「オ、オイ、劾! 何とか言ったら如何だ!?」

 

自身は言いたくても何も言えない為、一縷の望みを掛けて劾に振るキャロルだったが………

 

「僕は全然構いませんよ」

 

残念! 劾は天然だった!!

 

「! ウガアアアアアアッ!!」

 

「ハハハハ、キャロルちゃん。そんなに燥ぐくらい、ガリィさん達が帰って来たのが嬉しいんですね?」

 

恥ずかしさと照れと様々な感情から、劾へと掴み掛かるキャロルだったが、劾からは勘違いされたまま、例によって怪力で抑え込まれる。

 

「マスターがあんな楽しそうに………」

 

「流石だな、陸街 劾………」

 

「やはりあのお方こそ、マスターの伴侶に相応しいわ」

 

「マスターと旦那様! 仲良しっ!!」

 

そしてそんな2人の様子を見て、嬉しそうな様子を見せるオートスコアラー達。

 

「それにしても………」

 

「この身体………何か違和感が有りますね?」

 

「何かしっくりこないって言うか………」

 

「何か動く度にキュイキュイ音がしてるゾ」

 

とそこで、オートスコアラー達は自身の身体に若干の戸惑いを見せる。

 

「それはそうだろう。今の君達の身体は嘗ての錬金術による自動人形では無く、科学技術によるロボット………アンドロイドなのだからな」

 

そこで、ベン所長がそう口を挟んで来た。

 

「アンドロイド?………」

 

「貴方は確か、S.O.N.G.技術部の………」

 

「何でまたそんな事を?」

 

「? さっぱり分からないゾ」

 

それを聞いたオートスコアラー達が其々に疑問や声を挙げる。

 

「キャロルちゃんの為ですよ」

 

それに答えたのは劾だった。

 

「? マスターの?」

 

「益々分からないゾ?」

 

「うむ………順を追って説明しよう。キャロルくん、『例のプラン』を早速試したいのだが、構わないかね?」

 

「! あ、ああ………分かった」

 

ベン所長にそう言われたキャロルが、漸く落ち着くを取り戻し、劾から離れる。

 

「あ~ら、もう少し見ていたかったのに~」

 

「…………」

 

「アハハ! 冗談ですよ、マスター」

 

ガリィが揶揄って来るが、一睨みして黙らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後………

 

キャロルとオートスコアラー達は、広い空間の部屋へと移動。

 

劾とベン所長は、隣の部屋で大きなガラス窓越しにその姿を見守っている。

 

「では、始めてくれ」

 

「行くぞ、お前達」

 

「「「「イエス、マスター!」」」」

 

ベン所長が合図を送ると、キャロルの号令に、オートスコアラー達が了解の返事を返す。

 

そこでキャロルが左手を横へ伸ばして魔法陣を展開させると、竪琴状態のダウルダブラを出現させる。

 

弦を弾いて音色を響かせると、ファウストローブとなったダウルダブラを身に纏う。

 

するとその瞬間………

 

「「「「!!」」」」

 

オートスコアラー達が其々のパーソナルカラーと同色のクリスタルへ姿を変えると、ダウルダブラの帽子の飾り部分として合体した!

 

「成功だ」

 

「おおっ!」

 

ベン所長が冷静に言う横で、感激の声を漏らす劾。

 

『アハハハハハハッ! 思ってたより面白いじゃないですかぁ!』

 

『まさか私達がマスターのファウストローブと一体化するだなんて………』

 

『コレで共に派手に戦える』

 

『マスターと一緒! ミカ嬉しいゾ!』

 

其々のクリスタルがピカピカと点滅する度にガリィ、ファラ、レイラ、ミカの声が響く。

 

「オイ、一斉に喋るな! 喧しくて敵わん!」

 

その状況にキャロルが五月蠅そうに言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法少女事変・フーマ戦乱の後………

 

銀河連邦警察預かりの身となり、S.O.N.G.の技術部に配属となったキャロル。

 

しかし、彼女自身は更に前線での任務も希望。

 

自分の罪は技術部で働くだけでは償えないと。

 

この提案については暫し議論されたが、最終的に本人の意思を尊重し、承認される事となる。

 

そこで問題となったのが、彼女が使う錬金術の仕様だった。

 

錬金術を使用するには、術者の『想い出』や『生命力』を消費する。

 

キャロル本人は構わないと思っているが、当然自身の命や掛け替えの無い物を削って戦う方を容認出来るワケが無い。

 

如何したものかとS.O.N.G.の面々が頭を悩ませていたところに解決策を出したは、やはりベン所長だった。

 

その方法とは………

 

オートスコアラー達を科学技術を用いたロボットとして復活させ、その彼女達を動力とする事で錬金術発動の代価エネルギーとするものである。

 

その際には、参照にされたのが、警視庁のあるデータと………

 

嘗て『国際科学特捜隊』に所属し、『犯罪組織クライム』と戦ったサイボーグの特殊部隊………

 

2代目スーパー戦隊『ジャッカー電撃隊』である。

 

ボディを完全なロボットへと換装した事で、現在彼女達は………

 

レイアが磁力。

 

ファラが重力。

 

ガリィが電気。

 

そしてミカが原子力を動力としている。

 

その彼女達がエネルギー源として、現在のキャロルのファウストローブは起動しているのだ。

 

尚、その超動力を内蔵する為のバランス調整により、今のオートスコアラー達は戦闘能力をオミットされている。

 

投降し、銀河連邦警察預かりの身とは言え、強大な戦闘能力を持つ部下達が健在と言うのは諸外国に対して不審を与え兼ねないと言う理由もあっての事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「如何やら上手く行った様ですね」

 

とそこで、そう言う台詞と共に、ベン所長と劾が居る観測室の方に1人の人物が入室して来た。

 

いや、人物では無く………()()()()だった。

 

「! 『K管理官』!」

 

「ハイ、お陰様で………本部長が此方の施設をお貸しして下さったお陰です」

 

『マザー』には私を含め、警視庁が開発したロボット達のデータが蓄積されていますからね。参考になったのなら幸いです」

 

劾とベン所長に、ロボット………

 

嘗て犯罪をビジネスとして様々な犯罪ロボットを開発して利益を得ていたシンジケート『バドー』を相手に戦った警視庁のロボット刑事………『K』はそう返す。

 

彼はバドーとの戦いが終わった後も、刑事として職務を続けていた。

 

そんな彼のデータを元に、後に警視庁は『特警ウインスペクター』『ウォルター』『バイクル』………

 

『特急指令ソルブレイン』『ソルドーザー』と言ったサポードドロイドを開発。

 

元は警視庁が開発した『MX-A1』であった『ジャンパーソン』にも、Kの技術が幾らか使用されている。

 

更に『機動刑事ジバン』『仮面ライダーG3』並びに『G3-X』などにも、Kから得られた技術が使われている。

 

そして現在Kは、これまでも実績を買われ、再編成されたウインスペクター、ソルブレイン、エクシードラフトの管理官となっている。

 

このロボットとなったオートスコアラー達の建造を行い、キャロルの改良ファウストローブの実験を行っている場所は彼のエネルギー補給や整備を行っている巨大要塞『マザー』の内部なのだ。

 

『マスターと一緒! マスターと一緒!』

 

『ちょっと! 五月蠅いわよ、ミカちゃん!』

 

『お前の方が派手に五月蠅いぞ、ガリィ』

 

『どっちもどっちですわねぇ』

 

「ええい! だから一斉に喋るなと言っているっ!!」

 

「「「…………」」」

 

相変わらずオートスコアラー達と漫才の様な遣り取りをしているキャロルに、劾達は微笑ましそうな視線を向けるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デンライナーへの訪問者』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時の砂漠を走行するデンライナーの車内………

 

「待てこのハナタレ小僧!」

 

「アハハハ! モモタロスがまた怒った~!」

 

「先輩、子供相手に大人げないでしょ」

 

「ZZZZZzzzzzzーーーーーーー………」

 

相も変わらず騒がしい様子を見せているタローズ。

 

「皆さん、今日も元気ですね~」

 

ナオミはそんなタローズに様子を見て笑って居る。

 

とそこで………

 

乗降口が有るエリアへ続く扉の先から物音がした。

 

「あれ?」

 

「あん? 何だ?」

 

「「?」」

 

「ZZZZZzzzzzzーーーーーーー………」

 

それの反応するナオミとモモタロス・ウラタロス・リュウタロスと、やはり眠り続けているキンタロス。

 

「皆! 大変よっ!! ちょっと来て!!」

 

と、その扉が開いたかと思うと、1人の少女………『コハナ』が姿を見せる。

 

「如何したんだよ、ハナクソ女」

 

「何々?」

 

「ホラ、キンちゃん」

 

「ん? 何や?」

 

それに導かれる様に、タローズは乗降口のエリアへと移動する。

 

するとそこには………

 

床に叩く付けられたかの様にうつ伏せに倒れている女性の姿が在った!

 

「ああん? 誰だコイツ?」

 

モモタロスが倒れている女性を見て首を傾げる。

 

「アハハハ! お姉さん、如何したの?」

 

リュウタロスは口では心配の言葉を言いながらも、子供の様に何処かから取り出した棒で、倒れている女性をツンツンと突っついている。

 

「ちょっと、リュウタ。レディにそんな事しちゃ駄目だよ。大丈夫ですか、お嬢さん?」

 

釣り師らしく、早速粉を掛けに掛かるウラタロス。

 

「せやけど、妙な姿の姉ちゃんやなぁ」

 

一方キンタロスは、女性が異様に白い髪と肌をしているのを見て訝しむ。

 

「………い………」

 

とそこで、女性が何かを口走り始める。

 

「「「「「?………」」」」」

 

何かとタローズとコハナが注目していると………

 

「遺憾で………ある………」

 

女性はそう呟いて気を失ったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

焼結しないシンフォギア、2本立てでお送りさせて頂きました。

先ずはタイトル通り、オートスコアラー達の復活。
こちらはガッツリとした後日談ですね。
単に復活させたのではなく、ちゃんと理由も付けました。
キャロルが今後も前線に出る上で錬金術の仕様がネックになると思い、如何したものかと考えたところ、XV編で復活した時、オートスコアラー達が額部分のクリスタルの中に映るって演出が有ったのを思い出し、実際にオートスコアラー達と合体して、それでエネルギーを得て戦うってのは如何だと思いつきまして。

そして、オートスコアラー達が丁度4人だったので、初期のジャッカー電撃隊と数が合っていたので、そこも混ぜてみました。
因みに、本編で言及はしてませんが、もう1つ裏モチーフが在って、ズバリ電王のクライマックスフォームです。
最後の漫才みたいな遣り取りが正にそれですね。

そして、オートスコアラー達をアンドロイドとして復活させるという事で、ロボット刑事と絡めました。
Kの技術が、後々の警視庁関係のヒーローの礎になったって繋がりにして、そこでオートスコアラー達の復活を成した感じです。
オートスコアラー達の戦闘能力をオミットしたのは、作中で書いた通り、諸外国への配慮と、コレ以上戦闘出来るキャラを増やすと扱い切れなくなると言うメタ的な事情もありまして………
ご了承ください。

もう1本はデンライナーへの訪問者。
何と、消されたと思われた彼女が!?
ネタバレですが、彼女は今イマジンと同じ状態となっており………
やがてモモタロスと同じ運命を辿る事になります。
お楽しみに。

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