戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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AXZ編 俺が正義だ
第1話『S.O.N.G.南米へ』


魔法少女事変・フーマ戦乱から約1ヶ月程の時が過ぎた………

 

遂に嘗て宇宙全体の平和を脅かした3大宇宙犯罪組織が再び倒れた。

 

しかし、宇宙刑事達も装者達も、全てが終わったとは思っていなかった。

 

マクー・マドー・フーマがいきなり復活するワケが無い。

 

奴等を復活させた()()()が居る筈だ。

 

だが、その黒幕は未だに影すら見えない………

 

更に強大な敵の存在を感じつつも、宇宙刑事達と装者達はS.O.N.G.としての任務を継続していた。

 

そんなとある朝………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドルギラン内………

 

「………ん? 朝か………うん?

 

備え付けのベッドで目覚めた轟が、身体に重み身を感じて視線を向けると………

 

「スピー………スピー………」

 

自身の身体の上に乗っかり、気持ち良さそうに寝息を立てているパジャマ姿の響が目に入る。

 

「やれやれ、()()()………オイ、響ちゃん、起きろ。朝だぞ」

 

「う~ん………まだ食べられるよぉ………」

 

慣れた様子で轟が起こしに掛かると、響からそんな寝言が漏れる。

 

「ホラ、起きた起きた」

 

そこで轟は自身の身ごと響を無理矢理起き上がらせる。

 

「むにゃ………あ~、おはよう、轟兄~」

 

そこで漸く響は寝ぼけながらも目を覚まし、まだ半開きの目を擦る。

 

「おはよう。また夜中にトイレに起きた後、寝ぼけて俺のベッドに潜り込んで来たな」

 

「えへへ、ゴメンね~」

 

「やれやれ………」

 

あんまり反省していない様子の謝罪を返す響に、轟は呆れた様子で頭を掻く。

 

「轟お兄ちゃん~、響~、起きたの?」

 

とそこで、パジャマの上にエプロンを纏った未来が姿を見せる。

 

「おう、未来ちゃん、おはよう」

 

「おはよう~、未来~」

 

「おはよう、2人供。朝御飯出来てるから、早く顔洗って来て」

 

「! 御飯っ!!」

 

朝御飯と言う単語を聞いた響が即座に轟とベッドの上から跳び下り、洗面所へと向かった。

 

「相変わらず御飯への反応は良いんだぁ、響ちゃんは………」

 

それにまた呆れながらも、自身もベッドから降り、響に続いて洗面所に向かおうとする轟。

 

と、未来の横を通り過ぎようとしたところ、袖を掴まれる。

 

「?………」

 

「ねえ、轟お兄ちゃん………今度は私が潜り込んでも良いかな?///

 

轟が視線を向けると、未来が赤くなった顔を背けながらモジモジとした様子でそう呟く。

 

「………やれやれ」

 

………」

 

三度呆れながらも、轟が拒否はしなかった事で、未来は嬉しそうに轟の腕に抱き着くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫しして………

 

「「「いただきま~す!」」」

 

洗顔等を済ませた3人はテーブルに付き、未来が用意した朝食を食べ始める。

 

「う~ん、相変わらず未来の御飯は美味しいなぁ~」

 

「全くだ」

 

「ハイハイ、お代わりも有るから、沢山食べてね」

 

舌鼓を打つ響と轟に、未来が笑いながらそう返す。

 

男1人と女2人と言う点はあるが、宛ら同棲の恋人同士か新婚の様な雰囲気であった。

 

と、そんな空気の中、ドルギランの通信機が鳴った。

 

「おっと!………ハイ、轟です。ああ、弦さんか」

 

轟がサウンドオンリーで受信すると、通信の相手先は弦十郎だった。

 

「本部に集合? 『例の組織』について………了解、すぐに行く」

 

そう会話を交わして通信を切ると、響と未来の方へと向き直る轟。

 

「非常招集だ。すぐに本部へ向かうぞ」

 

「! 了解っ! ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」

 

轟からの言葉を聞いた響が、凄い勢いで朝食を掻き込み始める。

 

「後で食べるって選択肢は無いんだね………」

 

そんな響の様子を見て、未来が苦笑いしながらそう呟くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S.O.N.G.本部の潜水艦・発令所………

 

「遅くなりました!」

 

「ワリィ、弦さん。遅れちまって」

 

「すみません」

 

「揃ったな」

 

謝罪と共に到着した響・轟・未来を、弦十郎がそう出迎える。

 

彼の言葉通り、既に発令所にはまだ世界ツアー中の翼・奏・マリア・雷・慎次を除いて面々である、クリス・切歌・調・セレナ・劾・キャロルが既に集合していた。

 

(………また3人一緒デース)

 

(きっとドルギランで寝泊まりしてたんだね………)

 

(フフフ、本当に仲が宜しいんですね)

 

と、3人揃ってやって来た轟・響・未来の姿を見て、切歌・調・セレナが小声でそう言い合う。

 

「…………」

 

一方で、クリスは死んだ魚の様な目をしている。

 

告白を済ませて以来、イチャつきが目立つ様になった轟・響・未来。

 

元々幼馴染と言う距離が近い関係だったと言う事もあり、3人とも『これぐらい普通だ』と思っている節が有り、ツッコミ担当のクリスが度々指摘していたのだが………

 

前述の通り、本人達が分かっていない事もあって余り改善が見られず………

 

今では散々砂糖を吐かされる思いをしたせいか、すっかりツッコミを放棄してしまっており、只々死んだ魚の様な目を向けるばかりとなっていた。

 

「話を始めるぞ」

 

と、弦十郎がそう切り出すと、メインモニターに世界ツアー中の翼・奏・マリア・雷・慎次の面々の姿が映し出された。

 

「! 先輩!」

 

「姉さん!」

 

『例の組織に付いて、何か分かったのですか?』

 

『確か名前は………』

 

クリスとセレナが反応すると、翼とマリアがそう言う。

 

『パヴァリア光明結社』………俺がフーマと組む前まで、チフォージュ・シャトーの建造を支援して貰っていた組織だ」

 

「キャロルちゃん………」

 

マリアに代わる様にそう言うキャロルに、劾が視線を向ける。

 

『如何にも悪の秘密結社って感じの名前だな』

 

「裏歴史に暗躍し、一部に今の欧州を暗黒大陸と言わしめる要因とも囁かれています」

 

奏の言葉に、オペレーター席に居たエルフナインがそう呟く。

 

『その謎の組織が、此処へ来て活動を活発化………紛争、薬物や武器の密売、資金や聖遺物の強奪………既に歴史上のどんなテロ組織にも勝る途轍もない被害を出しています』

 

『それも、フーマが壊滅した直後からな………』

 

慎次と雷が険しい表情で言い放つ。

 

コレまで名前こそ裏世界では浸透していたものの、その正体は謎に包まれていたパヴァリア光明結社だったが………

 

如何言うワケか、フーマが壊滅した直後から表立っての活動を開始。

 

既に各国で途方も無い被害を出している。

 

「そして悪い知らせだ………」

 

「南米の『ある国』で軍事クーデターが起こりました」

 

弦十郎が沈痛な面持ちとなると、朔也がサブモニターに『ある国』の映像を映し出す。

 

「! バルベルデかよ!?」

 

その映像を見たクリスがいの1番に反応する。

 

 

 

 

 

『バルベルデ共和国』………

 

南米の小国であり、嘗ては軍事政権による独裁が敷かれていた。

 

しかし、マドー大災害にて政権は致命的なダメージを受け、無政府状態となる。

 

その後、銀河連邦への仮加入で力を取り戻した国連が介入・支援した事で、民衆による暫定政権が誕生。

 

民主化への道を順調に歩んでいたのだが………

 

此処へ来て、マドー大災害で死亡したと思われていた独裁政権の『大統領』が突如現れ、暫定現政権にクーデターを起こす。

 

更に、周辺諸国までも進軍し、大きな被害を齎す。

 

周辺諸国に被害が及んでいた事も有り、国連は直ちに再編された国連軍を派遣し、クーデター軍の鎮圧を試みた。

 

バルベルデ軍は元々小国であり、モラルや練度も低いフィクションに登場しそうな『幼稚な悪い軍隊』であり、生き残りが居たとしても大した戦力ではない………

 

ましてや周辺諸国全てに喧嘩を売り、無駄に戦線を広げている為、再編直後の国連軍と言えど、すぐにでも鎮圧出来る………

 

国連上層部はそう認識していたが………

 

 

 

 

 

「出動から僅か数時間後………国連軍は壊滅した

 

『『『「「「「「「!!」」」」」」』』』

 

弦十郎からの報告に、言葉を失う装者達。

 

「その理由は………()()です」

 

とそこで、朔也がそう言う台詞と共に、サブモニターにある映像を映し出す。

 

「!? コレはっ!?」

 

その映像を見た轟が驚愕の声を挙げる。

 

「国連軍の唯一の生存者が持ち帰った戦闘記録用に取られていた映像です」

 

「馬鹿な! 『ダブルモンスター』に『クラッシャー』だと!?」

 

あおいの言葉に、轟は信じられない様子で、サブモニターに映し出されている、国連軍の兵士を惨殺している『ダブルモンスター』『クラッシャー』の姿を見やる。

 

「それだけじゃないわ………」

 

了子がそう言うと、映像が切り替わる。

 

『! 『魔怪獣』に『ファイトロー』!!』

 

「『不思議獣』に『ミラクラー』までも!?」

 

今度は雷と劾が、映し出された『魔怪獣』『ファイトロー』『不思議獣』『ミラクラー』の姿を見て驚愕する。

 

更に映像は切り替わり、国連空軍の航空機を次々に撃ち落としている『マクー戦闘円盤』『マドー戦闘機』『マドー戦闘母艦』『フーマ戦闘機』『フーマ戦闘母艦』が映し出される。

 

そして、アルカ・ノイズ達の姿も………

 

「アルカ・ノイズまで………」

 

「…………」

 

響が呟くと、キャロルの顔が険しくなる。

 

「如何言うワケだが分からないが、パヴァリア光明結社にはマクー・マドー・フーマの残党が集まっているらしい………更にはこんな物まで映っていた」

 

そこで今度は、ベン所長が映像を切り替えたかと思うと………

 

グオオオオオオオォォォォォォォォッ!!

 

咆哮を挙げながら国連軍の戦車や戦闘車両部隊を次々に踏み潰して行く巨大な生物の姿が映し出された!

 

『『『「「「「「!!」」」」」』』』

 

「かかかかか、怪獣デース!」

 

その映像に装者達が再度驚愕し、切歌がそう声を挙げる。

 

「コレは………『巨獣』か?」

 

『巨獣』?」

 

聞き慣れぬ単語を発した轟に視線を向ける未来。

 

「銀河中に生息している巨大宇宙生物だ」

 

『特にこの地球は、人類が誕生する以前は巨獣が支配する巨獣の星だったらしい』

 

轟がそう説明していると、雷が補足して来る。

 

『地球が巨獣の星だっただと?』

 

「ええ、銀河警察の資料記録が正しいなら、恐竜も巨獣の一種だったとか」

 

『マジかよ………』

 

驚愕する翼に、今度は劾が補足し、壮大な話に奏が付いて行けなくなりそうになる。

 

「それから、最後に………」

 

そこで朔也の操作でまたサブモニターの映像が切り替わり………

 

コレまでのと比べてかなり不鮮明な映像の中で、『黒い巨人』の様な物が動いているのが映し出される。

 

「コレは?………」

 

「記録映像の最後の方に撮られていたものです」

 

「この映像の直前にカメラが損傷したらしく、大分不鮮明になっています」

 

「今技術部で解析を行ってるわ。結果は暫く待って頂戴」

 

響が声を挙げると、朔也・あおい・了子から次々に声が挙がる。

 

「兎も角、相手が宇宙犯罪組織の残党を取り込んでいるとなれば、我々が動くしかあるまい。翼達とは現地で合流し、作戦行動に移ってもらう。忙しくなるぞ!」

 

既に国連からは銀河連邦警察に通報が行き、出動命令が下っている。

 

S.O.N.G.はバルベルデ共和国への介入作戦を開始する事となった。

 

「! クリス! クリスのお父さんとお母さんって、今確か南米の方に居るって!」

 

『『『「「「「!?」」」」』』』

 

とそこで、思い出したかの様に未来が声を挙げ、響達の視線がクリスに集まる。

 

「…………」

 

だが、当のクリスは腕組みをして目を閉じ、平然とした様子で居る。

 

「クリスちゃん………」

 

「………余計な心配は要らねえよ。パパとママには伯父さんが付いてる。私情を任務より優先する気はねえ」

 

心配そうに声を掛けて来た響に、クリスはぶっきら棒にそう返す。

 

『『『「「「「「………」」」」」』』』

 

それを聞いた装者達が一瞬沈黙したが………

 

「オイ、クリスくん………俺達を見縊らないで貰おうか!」

 

他ならぬ弦十郎が、少し怒った様子でクリスにそう言って来た。

 

「な、何だよ、オッサン!?………」

 

その気迫に少しビビリながらも言い返すクリスだったが………

 

「任務より私情を優先積りは無いだと?………ふざけるな! 君の御両親を助けるのも立派な任務の内だ!!」

 

「!?」

 

弦十郎が更にそう言って来た、クリスは驚きを露わにする。

 

「そうだよ、クリスちゃん!」

 

『可愛い後輩の両親の危機………見過ごすワケが無かろう』

 

『任務は果たす、後輩の両親は助ける………「両方」やらなくっちゃあならないってのが「装者」の辛いところだな』

 

『けど、既に覚悟は出来ているわ!』

 

「先輩の為ならエンヤカコーラデス!」

 

「えんやこらだよ、切ちゃん」

 

「仲間に遠慮なんてしないで下さい」

 

「行こう、クリス!」

 

響・翼・奏・マリア・切歌・調・セレナ・未来も次々にそう言葉を続けた。

 

「お前等………ホント、馬鹿ばっかだなっ!!」

 

呆れた様にそう言い放つクリスだったが………

 

その顔には明るい笑みが浮かんでいた。

 

「良し! それじゃあ、行くとするか! そのバルベルデ共和国とやらになっ!!

 

そして轟がそう音頭を取り………

 

S.O.N.G.は南米に在る『バルベルデ共和国』へと向かうのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのバルベルデ共和国のとある場所にて………

 

「アダム様。S.O.N.G.が動いた様です」

 

「そうかい………予定通りだね」

 

眼前に片膝を着いて畏まっているバルベルデ元大統領を見下ろしながらそう言うアダム。

 

「如何なさいますか?」

 

「勿論、存分に歓迎して挙げたまえ。方法は任せるよ………『ヒムリー』

 

「ハッ! 承知いたしました」

 

と、そこでバルベルデ元大統領が立ち上がったかと思うと、その姿が怪しげな光に包まれ………

 

毒蜘蛛を思わせる兜を被った鎧の男………

 

フーマの幹部・ヘスラー指揮官の実弟である『ヒムリー』の姿となった。

 

(フン、良い気になるな、アダム………何れ俺はお前よりも出世し、暗黒銀河女王様の片腕となってみせる!)

 

内心で野心を燃やしながら、アダムに背を向け、その場から去って行くヒムリー。

 

「フフフフ………来るなら来ると良い、S.O.N.G.のシンフォギア………そして宇宙刑事」

 

そこでアダムが帽子を脱いだかと思うと、その目が黄色く光り、忽ちマッドギャランの姿へ変わる。

 

「今度こそ我が野望………全銀河を巨獣帝国とする夢が実現するのだ! フハハハハハハハッ!!」

 

マッドギャランはそう言い放ち、高らかに笑い声を挙げる。

 

グオオオオオオオォォォォォォォォッ!!

 

キシャオオオオオォォォォォォォォッ!!

 

キエエエエエイッ!!

 

クオクオクオクオクオォッ!!

 

途端に巨大な複数の咆哮が響き渡って来たのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

遂に第4部、AXZ編スタートです。
いきなり轟達のイチャイチャぶりから始まりましたが(笑)、内容はシリアス。
クリスにとっても因縁深い国、『バルベルデ共和国』でクーデターが勃発。
如何やらその影に『パヴァリア光明結社』が絡んでいる様子………
しかも、そのパヴァリア光明結社は、宇宙犯罪組織の残党を取り込んでいる。
オマケに、巨獣を使役。
早くも不穏な空気が漂う中、クリスの良心を助ける為も含めて、S.O.N.G.はバルベルデ共和国に向かいます。

一方、そのバルベルデ共和国では………
マッドギャランがS.O.N.G.を待ち受ける………
例の2代目の登場はまだちょっと先になります。
楽しみに待っていて下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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