戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第14話『ベイビー・パニック(前編)』

ノーチラス艦内のとある通路にて………

 

「タアアアアァァァァァーーーーーーザンッ!!」

 

「おっとっ!!」

 

振り下ろされたハンマーをジャンプして躱すターザン。

 

「へへへ、そんなの当たるかよっ!!」

 

「甘いっ!!」

 

余裕の笑いを零すターザンだったが、直後にマリアは何処からとも無く取り出した某機動戦士が使っていそうな鎖で繋がれた刺付き巨大鉄球を投げつけた!

 

「ぶべらっ!?」

 

直撃を受けたターザンは、そのまま鉄球ごと壁に減り込んだ!

 

「全く! 貴方と言う男はっ!!」

 

「姉さん、落ち着いてっ!!」

 

ターザンが壁に減り込んだままで説教を始めるマリアを、セレナが落ち着けようとするが………

 

「セレナッ! 貴方も貴方よ!! 貴方が怒らないからターザンが調子に乗るのよ!! 男は狼なのよっ!!」

 

逆に火に油を注ぐ事となり、説教の矛先がセレナへと向く。

 

「た、確かに、初代ジャスピオンさんが『宇宙の狼』って言われていたみたいだけど………」

 

「そう言う意味じゃないのっ!! 大体………」

 

変な勘違いをしたセレナにマリアが説教を続けようとしたところ………

 

艦内に警報が鳴り響いた!!

 

「「!?」」

 

『戦闘要員は発令所に集合せよ! 繰り返す! 戦闘要員は発令所に集合せよ!』

 

マリアとセレナがハッとすると、弦十郎のアナウンスが響き渡る。

 

「行くわよ、セレナッ!」

 

「ハイ! ホラ、ターザンくんっ!!」

 

「ペラペラ~………」

 

マリアが先んじて走り出すと、一反木綿の様になったターザンを壁と鉄球の間から引っ張り出したセレナもそれに続くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫しして………

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

装者達と宇宙刑事達、ターザンは市街地の一角に集合し、空を見上げて居た。

 

『目標は間も無く視認出来る筈です!』

 

「! 見えたぞっ!!」

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

ノーチラスの朔也からそう通信が送られて来たかと思うと轟が空を指差して声を挙げ、一同の視線がその指す先へ集まる。

 

そこには、白い雲を引きながら粗垂直に落下して来ている物体が在った!

 

「予測通りだな」

 

「ターザンさん! お願いしますっ!!」

 

「任せとけって! ダイレオンッ!!」

 

雷と劾がそう言うと、ターザンがメタルテックスーツを纏い、ダイレオンを召喚!

 

「戦闘巨人! ダイレオンッ!!」

 

そしてすぐさま、ダイレオンを超惑星戦闘母艦から戦闘巨人形態へ変形させる。

 

「オリャアッ!!」

 

そのまま落下して来た物体目掛けて跳んだかと思うと、片手で受け止め、着地を決めた。

 

「ナイスキャッチッ!!」

 

「何だコレ?………」

 

轟がサムズアップを送る中、ジャスピオンはダイレオンの右手の中に握れる大きさの()()()()()を見て首を傾げるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同はダイレオンと共に広い空地へと移動すると、箱状の物体を空き地の中心へと降ろした。

 

念の為にジャスピオンをダイレオンで待機させたまま、箱状の物体に近づく宇宙刑事達と装者達。

 

「一体何なんだ、コリャ?」

 

箱状の物体を見ながらそう呟く奏。

 

「結構カラフルで可愛いデザインですけど………」

 

セレナは、その箱状の物体が白を下地に様々な色の紋様が描かれているのを見てそう評する。

 

「ひょっとしてプレゼントデスか!?」

 

「切ちゃん………」

 

切歌が目を輝かせながら言うとのを聞いて、調が若干呆れた様子を見せる。

 

「馬鹿、んな都合の良い事があるか」

 

「気を付けろ………ひょっとすると爆発物の類かも知れん」

 

警戒心を露わにそう言い合うクリスと翼。

 

「! ええっ!?」

 

「爆弾っ!?」

 

と、響と未来が驚きの声を挙げた瞬間………

 

箱状の物体が突如発光する!

 

「! 退避しろっ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

轟の声で、一同は一斉に箱状の物体に背を向けて駆け出す!

 

「翼が変な事を言うから!」

 

「なっ!? 私の所為かっ!?」

 

マリアの言い掛かりに翼が憤慨した様子を見せた瞬間………

 

箱状の物体から発せられていた光が突然消えた!

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

驚いて一同が足を止めると、箱状の物体の蓋の様な物が独りでに外れる。

 

「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

一同は一瞬顔を見合わせると、恐る恐ると言った様子で再度箱状の物体に近づく。

 

そして、箱状の物体の中を改めると………

 

「ZZZZZZzzzzzz………」

 

スヤスヤと気持ち良さそうに寝息を立てている、おしゃぶりを加えた異形の姿が在った。

 

「!? 宇宙人っ!?」

 

「コレは………『オカーナ星人』じゃないか」

 

未来が驚きの声を挙げると、轟がそう言う。

 

『オカーナ星人』?」

 

「ああ、しかもまだ()()()だ」

 

「!? 赤ん坊っ!?」

 

「ええっ!? こんなに大きいのに赤ちゃんなんデスか!?」

 

セレナの問いに雷が答えると、今度は調と切歌が驚きの声を挙げる。

 

「うう~~~………」

 

とそこで、当のオカーナ星人の赤ん坊が目を覚ます。

 

「あ、起きたみたいです」

 

「大きいけど可愛いかも………いないばぁ~」

 

劾が気付くと、響があやし出す。

 

「何処から来たんだ?」

 

「名前は?」

 

「オイ、翼、クリス。相手は赤ちゃんなんだぞ」

 

クソ真面目に尋問しようとした翼とクリスに、奏がツッコミを入れる。

 

「…………」

 

そして油断無く警戒した様子でオカーナ星人の赤ん坊を見やるマリア。

 

「………あう~………キャッキャッ」

 

と、そのマリアと目が合ったオカーナ星人の赤ん坊が起き上がったかと思うと………

 

「『ママ』~~ッ!!」

 

「!? キャアッ!?」

 

そう言ってマリアに抱き着いた!!

 

「「「「「「「「!? 『ママ』ッ!?」」」」」」」」

 

オカーナ星人の赤ん坊がマリアの事を『ママ』と呼んだ事に仰天する装者達。

 

「ちょっ!? 苦しいっ!!」

 

「ママ~~ッ!!」

 

「え、えっと………コレって、()()()()()()()()ですよね?」

 

「「「「「「「!………」」」」」」」

 

マリアが苦しがっている中、調が何処かそうあって欲しいと言う期待を込めた質問を轟達にし、他の装者達も一斉に視線を向ける。

 

「「「………『ママ』『ママ』だ(です)」」」

 

しかし、轟・雷・劾からが冷静にそう返される。

 

「ママ~~ッ!!」

 

「!? うわっ!?」

 

とそこで、とうとうオカーナ星人の赤ん坊を支え切れなくなったマリアが、赤ん坊ごとバタリと倒れるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、暫し………

 

ノーチラス・発令所にて………

 

「調査の結果、この物体は宇宙空間の移動にも耐えられる揺り籠である事が分かった」

 

「揺り籠………」

 

「宇宙も移動可能って、トンでもねえな」

 

ベン所長がオカーナ星人の赤ん坊が入れられていた箱状の物体についての分析結果を報告し、翼とクリスがそう漏らす。

 

「キャッキャッ!」

 

「…………」

 

一方マリアは、相変わらずオカーナ星人の赤ん坊に纏わり付かれ、何とも言えない表情をしていた。

 

「認識票が確認されたが、それによると赤ん坊の名前は『ケイミー』

 

「この子、ケイミーって言うんだ………」

 

「あ~う~」

 

響が視線を向けると、他の一同の視線もオカーナ星人の赤ん坊………『ケイミー』に集まる。

 

「如何して地球に?」

 

「それについては、今轟がコム長官経由で、オカーナ星の所轄宇宙警察に問い合わせてる」

 

セレナの問いに雷がそう返した瞬間、その轟が発令所に戻って来た。

 

「轟お兄ちゃん、如何だった?」

 

「それが………」

 

未来が問い質すと、口籠った様子を見せる轟。

 

「? 如何したの、轟兄?」

 

「………そのケイミーの()()()()()()()()()()()()そうなんだ」

 

「! えっ!?」

 

伝え辛そうにそう言う轟に、響は驚きの声を挙げる。

 

「まさか………」

 

()()()デスか!?」

 

「!!………」

 

調と切歌がそう言ったのを聞いて、マリアの表情も変わる。

 

「まだそうだと決まったワケじゃありません」

 

「今は所轄の宇宙警察からの返事を待つしかないないな」

 

フォローする様にそう言う劾と雷。

 

「うむ、そう言う事ならば、それまでの間はコチラで保護しよう。皆で協力して面倒を見てやれ」

 

「「「「「「「「ハイッ!」」」」」」」」

 

弦十郎の言葉に、宇宙刑事達と装者達は威勢良く返事をする。

 

と、その時………

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

マリアの悲鳴が聞こえて来て、何事かと思うと………

 

「むう! むむむむむーーーっ!!」

 

ケイミーの頭を丸呑みにされてしゃぶられているマリアの姿が在った!

 

「!? 姉さんっ!!」

 

「マリアが食べられてるデースッ!?」

 

「ちょっ! 駄目っ!!」

 

「コラッ! ペーしなさい、ペーっ!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

セレナ・切歌・調・雷が慌てて駆け寄ると、他の面子も慌てて駆け寄り、ケイミーをマリアから引き離す。

 

プハッ!! あ~、ビックリした………」

 

「赤ちゃんって何でも口に入れてしまいますからね」

 

漸く解放されたマリアが漏らすと、劾がそう言う。

 

「マ~マ~!」

 

相変わらずマリアを見ながらそう言うケイミー。

 

「マリアの事を母ちゃんなんて呼ぶとは、相当懐いてるみてぇだな」

 

「まあ、確かにマリアは時折母親の様に思える様な時が有るからな………」

 

「ちょっ! 止めてよ! 幾ら何でも赤ん坊の世話なんてした事ないわ! 勘弁して!!………う、涎が………」

 

奏と翼の台詞を聞いてマリアが抗議の声を挙げながら、ケイミーの涎塗れの頭を触る。

 

「大丈夫か、マリア」

 

そこで雷が自分のハンカチを取り出し、マリアの頭を拭いてやる。

 

「ああ、ありがとう、雷………」

 

と、マリアがそう返した瞬間………

 

「ママ~~~ッ!」

 

ケイミーが突撃して来て、またもマリアにしがみ付く!

 

「!? キャアッ!?」

 

「マ~マ~!」

 

驚くマリアの胸元に顔を近づけようとするケイミー。

 

「ちょっ!? 今度は一体何っ!?」

 

慌てて両手でケイミーを押し止めようとするマリアだが、赤ん坊と言えど2メートル近く有るケイミーに完全にパワー負けしている。

 

「ひょっとして………お腹が空いてるんじゃ?」

 

「って事は、つまり………」

 

「おっぱいだっ!!」

 

そこで、劾と轟が有る可能性を思い至り、ターザンが遠慮無しにそう言い放つ。

 

「「「「「「「「おっぱいっ!?」」」」」」」」

 

それを聞いた装者達の視線が、一斉にマリアの胸に注がれる。

 

そのバストは豊満であった。

 

「くうっ!………」

 

「…………」

 

(私だって子供が出来れば………子供………轟お兄ちゃんとの子供………ウヘヘヘヘ)

 

「み、未来?………」

 

そして翼が敗北感から視線を反らし、調は自らの胸に手を当てて露骨に落ち込み、未来は妄想が進んでトリップしただらしない笑みを浮かべて、響がそんな親友の様子に困惑する。

 

「ちょっ! 冗談じゃないわよ!! 出るワケないでしょうっ!! 無理よっ!!」

 

と、当のマリアがケイミーに向かってそう言い放つ。

 

「………ママママ?」

 

するとケイミーの動きが止まる。

 

「そんな顔したって、出ないモノは出ないの」

 

若干辟易している様子を見せながら、マリアはケイミーに更にそう言い放つ。

 

「…………」

 

「「「「「「「「「「………ん?」」」」」」」」」」

 

装者達と宇宙刑事達が何か様子がおかしい事に気付くと、ケイミーの目が潤み始め………

 

「ウエエエエエエエエエエエエンッ!!」

 

凄まじい大音量と衝撃波を発しながらが泣き出した!

 

「!? グアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」

 

「な、何この声ぇっ!?」

 

「み、耳がぁっ!?」

 

「鼓膜が破れるーっ!?」

 

「頭が割れそうデースッ!?」

 

「うおおっ!? こりゃ堪らんっ!!」

 

「た、助けてくれーっ!!」

 

余りの泣き声と衝撃波にあの弦十郎が悲鳴を挙げ、響・未来・クリス・切歌・轟・ターザンも耳を押さえてのた打ち回る。

 

「ウエエエエエエエエエエエエンッ!!」

 

だが、ケイミーの泣き声は留まるところを知らない!

 

発令所の壁が罅割れ、モニターが破裂し、コンパネが次々と火を噴く!

 

「右舷大破っ!!」

 

「Bブロックに浸水っ! 排水ポンプ、作動しませんっ!!」

 

「第2補助エンジン爆発! 消火装置故障っ!!」

 

「マズイぞっ! このままではノーチラスが轟沈するっ!!」

 

朔也・あおい・エルフナイン・キャロルが大音量の泣き声と衝撃波に耐えながら、ノーチラスの状態を報告する。

 

「マリア! 早く何とかしろっ!!」

 

「何とかって、何で私なのよっ!?」

 

「姉さん! このままではノーチラスが沈んでしまいます!!」

 

翼に声に攻撃するマリアだが、セレナもドンドン酷くなって行くノーチラスの状態を指しながらそう言う。

 

「オカーナ星のミルクは、地球の豆乳に似ている! すぐに豆腐屋に連れて行くんだっ!!」

 

「ああ、もう!! 分かりましたっ!!」

 

「急速浮上っ!! 急げっ!!」

 

ベン所長の声にマリアが不承不承に返事をすると、弦十郎が耳を塞いだまま号令を発し、ノーチラスは緊急浮上するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

パヴァリア光明結社のアジトにて………

 

「申し訳ございません、マッドギャラン様………」

 

玉座の様な椅子に座っているマッドギャランの前に跪き、頭を下げている悪の四天王の中でプリマがそう謝罪する。

 

「オカーナ星人の赤ん坊を確保したまでは順調だったのですが………」

 

「途中で目を覚まされて泣かれ、輸送船が大破するとは………」

 

「その際にカプセルは宇宙へと投げ出され、そのまま地球の大気圏へと突入してしまいました」

 

続いて、ギョール・イッキ・ザンパがそう告げる。

 

如何やら、あのオカーナ星人の赤ん坊・ケイミーは、コイツ等によって誘拐された様だ。

 

「チッ! よりによって忌々しいS.O.N.G.と宇宙刑事共に拾われるとはな………」

 

露骨に舌打ちながら、マッドギャランは忌々し気に呟く。

 

「だが、このままにしておくワケには行かん! ()()()()の為にはあの赤ん坊が如何して必要だ! 何としても取り返して来いっ!!」

 

「ハッ! 承知致しましたっ!!」

 

『エージェント・アブレラ』の遺産も存分に活用致します。必ずや、あの赤ん坊を………」

 

玉座から立ち上がってそう言い放つマッドギャランに、悪の四天王は畏まった様子を見せるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

今回の話は、特捜戦隊デカレンジャー第12話『ベビーシッター・シンドローム』が元ネタとなります。
ターザンの事でストレスが溜まってるマリアですが、何と突然来訪して来たオカーナ星人の赤ん坊『ケイミー』に懐かれてしまい、世話をする事に………

だが、そのケイミーを連れて来たのはパヴァリア光明結社だった。
果たして、今度は一体何を企んでいるのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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