戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
都内某所・拘りの豆腐屋………
「ウエエエエエエエエエエエエンッ!!」
「ハ、ハイッ! 豆乳お待ちっ!!」
「ありがとうございます!」
「ホラ、ケイミーッ!!」
ケイミーが泣き叫び続ける中、豆腐屋の店主から寸胴鍋いっぱいに入れられた豆乳を雷が受け取り、マリアがケイミーのおしゃぶりを外す。
「!………」
おしゃぶりを外されたケイミーは泣き止むと、即座に雷から寸胴鍋を引っ手繰る様に奪い、中の豆乳をゴクゴクと呑んで行く。
「ハアア~~………やっと泣き止んだわ」
「店長さん、ありがとうございます。耳は平気ですか?」
「だ、大丈夫です~………」
疲労困憊の様子を見せるマリアと、豆腐屋の店主を気遣う雷。
「………うん?」
とそこで、何か違和感を感じたマリアがケイミーに視線を向けると………
「キャッ! キャッ!」
店の天井近くまで巨大化しているケイミーの姿が目に入った。
「??………」
思わず錯覚かと思い、目を擦るマリア。
すると、そのマリアの手からおしゃぶりが引っ手繰られた。
「あ!………」
「ケヒヒッ!」
そこでマリアがケイミーを再度見やると、そこには見慣れた大きさのケイミーの姿が在った。
「………疲れてるのかしら、私?」
日々の激務やターザンからのストレスに加え、慣れない子守りなどをしていた所為で疲労による幻覚を見たのかと思い込むマリア。
「キャッ! キャッ!」
そこで、ケイミーが突然駆け出し、豆腐屋から出て行ってしまう!
「!? あっ!? ケイミーッ!! 待ちなさいっ!!」
「あっ! お客さん、お金お金っ!!」
慌てて追おうとしたところ、豆腐屋の店主がまだ代金を貰っていないと引き留める。
「えっ!? あっ!? えっと、お幾らで………」
財布を取り出そうとするマリアだが、その間にもケイミーはドンドン離れて行ってしまう。
「あっ!? ちょっ!?………」
「マリア! 俺が払っておくから、ケイミーを!!」
マリアが焦ると、雷が代わりに払って置くのでケイミーを追えと言って来る。
「! ゴメン、雷! お願いっ!! ケイミー! 待ちなさいっ!!」
支払いを雷に任せ、マリアはケイミーを追って走るのだった………
◇
ノーチラスのドックのある自衛隊基地………
緊急でドック入りしたノーチラスが、多数のS.O.N.G.と自衛隊の整備員達により修理を受けている。
ケイミーが齎した被害が想定以上に大きく、修理には丸1日掛かるとされた。
少しでも修理スピードを上げる為に、轟や響達も資材運びや差し入れ作り等の手伝いを買って出ている。
そんな中で活躍を見せているのが、オートスコアラー達だ。
戦闘能力はオミットされた彼女達だが、キャロルのサポートを始めとした日常での様々な面で活躍出来る様にと、キャロルとベン所長の共同で様々なオプションパーツを開発。
それ等がノーチラスの修理作業に大きく貢献していた。
「マリアさん、大丈夫かな~?」
「雷さんも一緒だし、心配無いと思うよ」
共に資材の乗ったカートを押していた響と未来が、ケイミーを連れて豆腐屋に行ったマリアと雷の事を気に掛ける。
「マリアの奴も苦労するなぁ。只でさえ、ターザンの事で手を焼いてるってのに………」
「今頃ケイミーに振り回されてるんじゃ………」
「想像出来るデース」
整備員達に差し入れを配っていた奏・調・切歌もそんな事を呟くのだった………
◇
そのマリアはと言うと………
「ケイミーッ!! 何処へ行ったのぉっ!?」
1人で勝手に行ってしまったケイミーを探し、街中を右往左往していた。
「キャッ! キャッ! マーマーッ!」
「!?」
と、高架の下を通り掛かった所で、上から声が降って来て見上げると、手摺りから身を乗り出しているケイミーの姿を発見する。
「! 危ないっ! それ以上は駄目よ、ケイミーッ!!」
今にも落下しそうなケイミーの姿を見て悲鳴の様な声を挙げるマリア。
「キャッ! キャッ!」
しかし、その次の瞬間!!
ケイミーは手摺りを乗り越える様に滑り落ちた!!
「! 危ないっ!!」
Seilien coffin airget-lamh tron
咄嗟にマリアは跳び上がりながら聖詠を唱え、シンフォギア身に纏うと空中でケイミーをキャッチ!
そのまま高架の上の道へと戻ろうとしたが………
「!? ブッ!?」
焦っていた為か、足を手摺りに引っ掛けてしまい、顔面から道路の上に着地してしまう。
「キャッ! キャッ!」
一方、ケイミーはマリアが守ったの無事だったが、状況が分かっていない様で、マリアが悶えている隙にまた離れて行ってしまう。
「~~~~~~ッ!!」
真っ赤になった顔面を押さえながら、シンフォギア解除するマリア。
「ウワアーッ!?」
「!?」
そこで悲鳴が聞こえて来て、何事かと見やると………
「ワアアッ!」
「キャッ! キャッ!」
「な、何だ、コイツは!?………!? うわっ!?」
ペンキ塗りをしていた作業員達から刷毛を奪い、作業員達に顔にペンキを塗りたくっているケイミーの姿が在った。
「! ケイミーッ! 駄目よ! 止めなさいっ!!」
慌ててケイミーにしがみ付いて止めようとするマリアだったが………
「キャウウウッ!!」
ケイミーはそんなマリアの頬にもペンキの付いた刷毛を押し詰める。
「!!………」
そこでマリアの動きが止まったかと思うと、プルプルと身体を震わせ始め………
「ケイミーッ!! いい加減にしなさいっ!!」
大声でケイミーを怒鳴りつけた!!
「!?」
その声に驚いたのか、ケイミーは動きを止めたが………
「キャウウ!」
すぐにマリアの顔にペンキを塗りたくった。
「…………」
ペンキを塗られた憮然とした表情で、マリアはケイミーを睨み付ける。
「マリア! ケイミーは………うわぁ」
と、漸く駆け付けた雷が、顔にペンキを塗りたくられているマリアの姿を見て、思わずそんな声を漏らしたのだった………
それから、ペンキを洗い流し、作業員達に謝罪したマリアと雷は、ケイミーを連れて公園に来ていた。
「キャッ! キャッ!」
「綺麗だな、お花」
花壇の前に座り込んで、咲き誇る花々を見ながら手を叩いているケイミーを見ている雷がそう言う。
「ハア~~~………」
一方マリアは、疲れ果てた様子でベンチに座り込んで重い溜息を吐いていた。
「オギャアッ! オギャアッ!」
「ハイハイ、オムツねえ。ちょっと待っててね~」
とそこで、その隣のベンチに赤ん坊を抱えていた母親が座り、泣いている赤ん坊のオムツを替えに掛かる。
「…………」
その様子に思わず視線を向けるマリア。
「ゴメンね~、気持ち悪かったねえ………! わっ!?」
と、オムツを外した途端に、母親はおしっこを引っ掛けられる。
「! あっ!?」
「やったなぁ~、コイツ~。もう~、元気良いんだから~」
思わず声を挙げるマリアだが、母親は嫌な素振り1つ見せず、オムツの交換を続ける。
「………大変ですよね、お互い。私も赤ちゃんに振り回されっ放しで………」
気付けば、マリアは母親に愚痴る様に話し掛けていた。
「赤ちゃんって、泣いて暴れて我儘で………まるで怪獣」
「ホントですよね~」
ケイミーに視線を向けながらそう同意するマリア。
「でも、
「えっ?………」
しかし、母親からの思わぬ返しに僅かに呆気を取られる。
「お子さん、お幾つですか?」
「えっ!? えっと………多分、まだ、生まれたてで………」
「多分?」
「あ、いや、何て言うか………」
母親からの問い掛けにマリアが答えに窮していると………
「キャウウウッ!」
「!? キャアッ!?」
「あ、コラッ! ケイミーッ!!」
何時の間にか近づいて来ていたケイミーに頭に齧られ、雷が慌てて引き剥がそうとする。
「!? ヒイッ!?」
そのケイミーの姿を見た母親は驚いて、オムツを替え終えた赤ん坊を抱き上げると、逃げる様に去って行ったのだった。
その後、ケイミーを引き剥がしたマリアは、ケイミーと隣り合ってベンチに座り、雷はその2人を見守る様に立って居る。
「赤ちゃんの仕事………か」
先程母親から言われた事を思い出しながらそう呟き、横に居るケイミーを見やるマリア。
「キャウッ! キャウッ!」
「まあ、そう言われれば………」
と、マリアがそう呟いた瞬間………
突然ケイミーがマリアに凭れ掛って来た!
「えっ!? ちょっ!? 何っ!?」
「ZZZZZZzzzzzzz………」
マリアが驚きの声を挙げる中、何時も間にか寝息を立て始めていたケイミーは、そのままマリアを下敷きにする様に眠り込んでしまう。
「お、重い………」
「大丈夫か、マリア。今退かすからな」
雷がケイミーをマリアの上から退かそうとするが………
「ZZZZZZzzzzzzz………ママ~………」
「………待って、雷」
「マリア?」
他ならぬマリアが止めて来る。
「ZZZZZZzzzzzzz………」
「………寝顔は可愛いんだから」
そう言って顔を綻ばせるマリア。
「考えてみれば………知らない星に独りぼっちなんて、不安よね」
寝ているケイミーの頭を起こさない様に優しく撫でる。
「父親や母親にまた会えるかも分からないのだし………」
「………ママ~………」
「私が守ってあげなきゃ」
マリアは慈愛宿った目でそう決意する。
その顔は正に
「マリア………」
そんなマリアの顔を見て、雷も笑みを浮かべる。
「姉さ~ん!」
「「マリア~ッ!!」」
とそこで、セレナ・切歌・調を筆頭に装者と宇宙刑事達がやって来る。
「! シ~ッ」
「静かにしてくれ、今眠ったところなんだ」
その一同にケイミーを起こさない様にと注意するマリアと雷。
「「! むぐっ!」」
「ゴメンなさい………」
「「「「「…………」」」」」
切歌と調が慌てて口を紡ぎ、セレナが小声になると、他の一同も黙り込む。
「もう大丈夫だ」
「ケイミーちゃんのお世話はココまでですよ」
「えっ?」
轟と劾からそう告げられ、マリアが驚くを示す。
「ケイミーは宇宙警察の本部で預かって貰える事になったそうです」
「大変だっただろう」
「お疲れさんだな」
「コレで一安心だな」
未来・翼・奏・クリスから次々にそう言われる。
「………嫌よ」
「「「「「………えっ?」」」」」
しかし、マリアから思わぬ返事が返って来て、一同が戸惑っていると………
「この子は私が育てるわ!」
「「「「「…………」」」」」
マリアの言葉に一同は一瞬顔を見合わせた後………
「「「「「!? ええええぇぇぇぇぇ!?」」」」」
揃って驚きの声を挙げる。
「! アウッ!?」
「! シーッ! シーッ!」
「「「「「「!!」」」」」」
それでケイミーが起きそうになってしまい、雷が慌てて静かにと促すと、一同は口を手で塞ぐ。
「だって………やっと可愛くなって来たんだから」
再度ケイミーに慈愛の籠った視線を向けるマリア。
「「マリア………」」
「姉さん………」
「完全に母親の顔になってるな………」
「この短時間に一体何が?………」
切歌・調・セレナが唖然となり、轟と響がマリアの変化に驚く。
「でもオッパイ出ないだろ?」
「オメェはまたそう言う事を………」
そこでターザンのデリカシーの無い言葉にクリスがツッコミを入れた瞬間………
突然一同の周りで火花を伴った爆発が上がった!!
「!? アウッ!!」
「ケイミーッ!!」
すぐさまマリアが、目を覚ましたケイミーを背に庇う様にする。
「漸く見つけたぞ………」
次の瞬間にはザンパのそう言う台詞と共に、悪の四天王が姿を現す。
「! 四天王っ!!」
「宇宙刑事に装者共! その赤ん坊を此方に渡せぇっ!!」
響が声を挙げると、イッキが威嚇の様に三叉槍を振りながらそう言い放つ。
「! 何だとっ!?」
「この子を如何する積りですっ!?」
四天王の狙いがケイミーである事に翼が驚きの声を挙げ、劾が何故ケイミーを狙うのかと問い質す。
「オカーナ星の赤ん坊の泣き声は下手な爆弾よりも破壊力が有る」
「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
プリマの言葉に、装者達はケイミーが泣いた際にノーチラスが受けた被害の事を思い起こす。
「甚振り苛め抜いて大泣きさせれば町の1つや2つは軽く壊滅させられるというワケだ」
「下衆が!!………」
平然と赤ん坊を甚振ると言い放つギョールに、轟が怒りを露わにする。
「邪魔立てするならば容赦はせんっ!!」
「「「「「ギーッ!!」」」」」
「「「「「コワッコワッ!!」」」」」
「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」
そこで、ザンパがクラッシャー・ファイトロー・ミラクラーの戦闘員部隊を出現させる。
Balwisyall nescell gungnir tron
Rei shen shou jing rei zizzl
Imyuteus amenohabakiri tron
Croitzal ronzell gungnir zizzl
Killter Ichaival tron
Seilien coffin airget-lamh tron×2
Zeios igalima raizen tron
Various shul shagana tron
「蒸着!!」
「赤射!!」
「焼結!!」
「フッ!!」
装者達が聖詠を唱えてシンフォギアを纏い、宇宙刑事達とターザンもコンバットスーツとメタルテックスーツを装着する。
「宇宙刑事! ギャバンッ!!」
「宇宙刑事! シャリバンッ!!」
「宇宙刑事! シャイダーッ!!」
ギャバン・シャリバン・シャイダーが高らかに名乗りを挙げる。
宇宙刑事ギャバンが、コンバットスーツを蒸着するタイムは、僅か0.05秒に過ぎない!
では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!
「蒸着っ!!」
轟がそう叫び、蒸着ポーズを取ると、それは直ちに地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元高速機ドルギランへと伝わる。
『了解! コンバットスーツ、電送シマス!』
そして、ドルギランより粒子状に分解されたコンバットスーツが轟へと電送される!
その粒子状となったコンバットスーツが、轟の体に吹き付けられる様にスーツを構成していき、蒸着は完了する。
もう1度言おう!
この一連の動作………僅か0.05秒!!
宇宙刑事シャリバンは、僅か1ミリ秒で赤射蒸着を完了する。
では、赤射プロセスをもう1度見てみよう!
「赤射っ!!」
雷がそう叫び、赤射ポーズを取ると、それは直ちに地球の衛星軌道上で待機している超次元戦闘母艦グランドバースへと伝わる。
すると、灼熱の太陽エネルギーが、グランドバースの増幅システムにスパークする!
増幅された太陽エネルギーは、赤いソーラーメタルに転換され、シャリバンに赤射蒸着されるのだ!
もう1度言おう!
この一連の動作………僅か1ミリ秒!!
宇宙刑事シャイダーは、僅か1ミリ秒で焼結を完了する。
では、その原理を説明しよう。
「焼結っ!!」
劾の焼結コールが送られると、すぐにそれは地球衛星軌道上の亜空間内にいる超次元戦闘母艦バビロスにキャッチされる。
そして、バビロス号からプラズマ・ブルーエネルギーが、劾に向かって照射される。
宇宙刑事シャイダーは、バビロス号から放たれるプラズマ・ブルーエネルギーを浴びて、僅か1ミリ秒で焼結を完了するのだ。
もう1度言おう!
この一連の動作………僅か1ミリ秒!!
「行けぇっ!!」
「「「「「ギーッ!!」」」」」
「「「「「コワッコワッ!!」」」」」
「「「「「シュワシュワッ!!」」」」」
ザンパの掛け声と共に、戦闘員部隊が一斉に襲い掛かって来る。
「チュウッ!!」
「ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」
「トオォッ!!」
「イガリマーッ!!」
ギャバン達も掛け声と共に激突する!
「フッ! ハアアッ!!」
「キャウッ! キャウッ!」
右手に逆手に構えた小太刀で、近寄って来る戦闘員達を次々に斬り捨てているマリアと、赤ん坊故に状況が分かっておらず、無邪気にはしゃいでいるケイミー。
「マリアッ! ケイミーを連れて逃げろっ!!」
クライムバスターで戦闘員達を薙ぎ払う様に撃ち抜きながら、シャリバンがそう叫ぶ。
「分かったわ! さ、ケイミーッ!」
「キャウッ!!」
すぐさまマリアは、ケイミーの手を引いてその場を離れようとする。
「そうはさせんっ!!」
だがそこで、ギョールが横笛を構えて吹き始め、逃げ去ろうとしていたマリアとケイミーの頭上から金粉を降らせる。
「!? ぐうっ!?」
「アーウーッ!?」
その金粉を浴びたマリアとケイミーは動きを止めてしまう。
「貰ったっ!!」
そこでギョールは、横笛に付いていた刃を吹き矢として飛ばす!
「! 危ないっ!!」
「キャウウウッ!!」
しかし、間一髪の所でマリアがケイミーを押し倒す。
吹き矢はケイミーのおしゃぶりを霞め、何処かへ弾き飛ばす。
「チイッ! 生意気なっ!!」
「赤ん坊に対して何の躊躇も攻撃するなんて………外道が過ぎるぞ、貴様等っ!!」
HORIZON†CANNON
舌打ちするギョールの姿を見て、マリアは思わず怒りを爆発させ、左腕アーマーに小太刀を収納して砲台へと変形させると、極太ビームを放つ!
「「「「ハアッ!!」」」」
しかし、四天王は揃って跳躍して回避すると、着地を決める。
「その程度の攻撃………!?」
「「「!?」」」
と、マリアに対してギョールが何かを言いかけたところで突然黙り込み、他の四天王も驚きを露わにする。
「? 何っ?」
「マ、マリアッ!!」
「姉さんっ!!」
「後ろっ! 後ろデースッ!!」
その様子にマリアが首を傾げた瞬間、今度は調・セレナ・切歌が慌てた様子で呼び掛けて来る。
「後ろ?………」
如何言う事かと尋ねようとしたマリアに影が掛かる。
「?………」
そこで振り返ったマリアが見たのは………
「キャウウウッ! キャウウウッ!」
ドンドン巨大化して行くケイミーの姿だった!!
「!? なあああああっ!?」
その光景に、流石のマリアも思わず絶叫してしまうのだった。
◇
丁度、その頃………
ドック入りしているノーチラスの発令所にて………
「何だとっ!? ケイミーに巨大化の可能性だとっ!?」
「元々オカーナ星人は巨大な種族で、周りの星に合わる為に、何らかの装置を使って身体を縮小させているらしい」
弦十郎の驚愕の声の、ベン所長が銀河連邦警察から送られて来た資料を見ながらそう返す。
「もし、巨大化したら、如何なるんですか?」
「計算に寄れば………
エルフナインが恐る恐るに尋ねると、コンパネを操作しながらそう返すベン所長。
「50メートルッ!?」
「巨獣並みじゃないですかっ!?」
了子と朔也が驚きの声を挙げた瞬間、発令所内に警報が鳴り響いた。
「! 如何したっ!?」
「都内に巨大な生命反応を感知っ!! モニターに出しますっ!!」
弦十郎の声に、あおいがそう返しながら、都内の様子をメインモニターに映し出す。
『キャウッ! キャウッ!』
そこにはビルよりも巨大なサイズとなったケイミーの姿が映し出された!!
「「「「「!?」」」」」
「如何やら手遅れだった様だな………」
驚愕して言葉を失う弦十郎達とは対照的に、淡々とそう呟くベン所長だった。
◇
再び、ケイミーが巨大化した現場では………
「キャウウウッ! キャウウウッ!」
「「「「「ギーッ!?」」」」」
「「「「「コワッコワッ!?」」」」」
「「「「「シュワシュワッ!?」」」」」
ハイハイしているケイミーから戦闘員達が必死に逃げ回っている。
「? キャウッ?」
とそこで、ケイミーの興味が路肩に停めてあった車に移る。
「キャウウウッ!」
車をヒョイと持ち上げるケイミー。
今のケイミーにとっては、完全にミニカーサイズである。
「キャウッ! キャウッ!」
そのまま車を口に入れて齧り始めるケイミー。
「ちょっ! ケイミーッ! 止めなさいっ!!」
「そんな物、齧っちゃ駄目だっ!!」
「キャウウウッ!!」
マリアとシャリバンが慌てて呼び掛けるが、ケイミーは止まらない。
「まさか本来はココまでの大きさとは………」
「驚いたわ………」
そんな巨大化したケイミーを見上げながら、イッキとプリマが呟く。
「だが、逆に好都合だ」
「アレだけの大きさならば、泣き声の威力も相当増している筈………」
そこで、ザンパとギョールが邪悪な笑みを浮かべてそう言い合う。
「このまま作戦決行だ!!」
そして、ザンパがそう言う台詞と共に腕を振ったかと思うと………
ケイミーの傍の地面が爆ぜた!!
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」
何だと装者達と宇宙刑事達が注目すると………
爆ぜた地面から海洋生物を思わせる外見をした巨大ロボットが複数出現する。
「!? アレは!?………」
「『怪重機』だと!?」
シャイダーとギャバンが、そのロボット………嘗て死の商人、エージェント・アブレラがアリエナイザー達に売り捌いていた『怪重機』・『デビルキャプチャー』を見て驚愕する。
「怪重機軍団! その赤ん坊を痛めつけろっ!!」
再度ザンパの号令が掛かり、戦闘員達が操縦しているデビルキャプチャー軍団がケイミーへ殺到する。
「キャウッ! キャウッ!」
当のケイミーは相変わらず状況が分かっておらず、無邪気にはしゃいでいる。
「! いけない! ケイミーがっ!!」
「ターザンくんっ!!」
「任せろっ! ダイレオンッ!!」
未来がケイミーが泣き出す光景を想像して悲鳴の様な声を挙げると、セレナが呼び掛け、ジャスピオンがダイレオンを呼ぶ!
「戦闘巨人! ダイレオンッ!!」
飛び乗ったジャスピオンの掛け声で変形を始めるダイレオン。
船体後部が伸び、90度回転すると後部側が折り畳まれて踵となり、両足を形成。
水平飛行状態から垂直になったかと思うと、船首部が上下に割れる様に開いて180度折れ曲がると、頭部が出現すると同時に胸部と背部が完成。
目に光が灯ると、両拳が出現しつつ、両腕が伸び、完全な人型形態………
『戦闘巨人ダイレオン』となる!
デビルキャプチャー軍団の前に立ちはだかり、拳を構えるダイレオン。
とそこで、飛行ワンセブンも飛来!
地面に着陸すると戦闘ワンセブンへと変形する!
「ワンセブンッ!」
「ケイミーを守ってっ!」
ウオオオオオオォォォォォォォッ!!
切歌と調の声に応える様に咆哮を挙げるワンセブン。
そのままダイレオンと共にデビルキャプチャー軍団との戦闘に入る。
しかし、ダイレオンとワンセブンだけでは、やはり多数のデビルキャプチャー軍団には多勢に無勢。
更にケイミーを守りながらというハンデも有り、苦戦を強いられる。
「駄目だ! このままでは押し切られる!!」
「如何すんだよっ!?」
流石にあの巨大戦に参加する事は出来ず、翼とクリスが苦い顔となる。
『聞こえるか、諸君!』
「! 所長さんかっ!?」
とそこで、ベン所長から通信が入り、奏が声を挙げる。
『状況は把握している。元々巨大であったケイミーを小さく保っていた
「アイテム?………」
「!? ひょっとして!?」
ベン所長の言葉に、シャリバンが頭を捻ると、マリアが心当たりを思い付く。
あの時、ギョールによって弾かれてしまった『おしゃぶり』だ。
「皆! おしゃぶりよ! おしゃぶりを探してっ!! きっとアレがケイミーを小さくしていたアイテムだわ!!」
「! そうかっ!!」
「すぐに探すんだっ!!」
マリアがそう呼び掛けると、響が拳を垂直に掌に打ち付け、翼の号令でおしゃぶりを探し出す。
「アーウーッ?」
そこで、マリアの姿に気付いたケイミーが、その後を追おうとする。
と、そこで足を滑られ、地響きを立てて転倒した!
「「「「「「「「「「!? アッ!?」」」」」」」」」」
装者達と宇宙刑事達が『ヤバイッ!』と言う様子を見せた瞬間………
「ウ………ウ………ウエエエエエエエエエエエエンッ!!」
忽ちケイミーは大号泣!!
縮小されていた時とは比べ物にならない大音量と衝撃波が辺りに撒き散らされる!!
ビルや家の壁は罅割れ、窓ガラスは次々に破裂して行く!!
「!? おわあっ!?」
ウオオオオオオォォォォォォォッ!?
ダイレオンとワンセブンも倒れ、デビルキャプチャー軍団は耐えられなかったのか、次々に爆散して行く。
「「「「「ウワアアアアアアッ!?」」」」」
翼・奏・クリス・切歌・調が衝撃波に成す術無く吹き飛ばされる!
「轟兄ーっ!!」
「轟お兄ちゃーんっ!!」
「離すなよー2人供っ!!」
ギャバンが片腕で街灯を掴み、もう片方の手で飛ばされそうになっている響と未来を必死に掴んでいる。
「ヌオオオオオオッ!?」
「そ、想像以上の威力だ!!」
「コ、コレは堪らん!!」
「ひ、退けーっ!!」
四天王達も耐えられなくなり、目的は達成されたと撤退する。
「こ、このままでは、町は壊滅です!」
「如何すれば良いんだっ!?」
セレナと共に地面に伏せて耐えて居るシャリバンがそう声を挙げる。
「ケ、ケイミー………」
そんな中、発生している衝撃波の中を必死に匍匐前進しながらケイミーの元へと向かおうとしているマリア。
と、その時………
「ヒエエエエッ! 何じゃこりゃあああっ!?」
和菓子職人と思わしく格好のお爺さんが、衝撃波で転がされながら現れる。
「昨今の流れに乗って、配達サービスを始めた途端にこんな目に遭うとはーっ!!………! うおっ!?」
そのまま転がって行くかに思われたが、何とか木の幹にしがみ付く事に成功するお爺さん………『芋長の主人』
「!? ああっ!? 『芋羊羹』が!?」
しかし、持っていた袋から、中に入っていた物………『芋羊羹』が1つ、零れ堕ちる。
「!? むぐっ!?」
その芋羊羹が自身の口へと飛来し、思わず飲み込んでしまうマリア。
「!?!?」
すると、マリアの顔に赤い光のオーバーレイが掛かり、口から白い煙を噴き出し始める。
そして次の瞬間!!
マリアの身体が巨大化した!!
「「マリアーッ!?」」
「姉さんっ!?」
「マリアがデッカくなったぁーっ!?」
「な、何コレーッ!?」
切歌・調・セレナ・ジャスピオンが驚愕の声を挙げ、他ならぬマリア自身も仰天する。
「ウエエエエエエエエエエエエンッ!!」
「! ケイミーッ!!」
しかし、ケイミーの泣き声を聞くと、自身の驚きなど後回しに、ケイミーの元へと向かう。
「くっ! うっ!………ッ!!」
泣き声の大音量と衝撃波に苦しみながらも、マリアはケイミーを抱き締めた。
「ウエエエエエエエエエエエエンッ!!」
「大丈夫………泣かないの、ケイミー。貴方は強い子でしょ?」
泣きじゃくるケイミーを抱き締めながら頭を優しく撫で、そう囁くマリア。
「………ヒック………ヒック………ママ………」
「ケイミー………」
すると、ケイミーの泣き声が止まり、マリアはケイミーと見つめ合う。
りんごは浮かんだ
お空に………
りんごは落っこちた
地べたに………
星が生まれて
歌が生まれて
ルルアメルは笑った
常しえと
星がキスして歌が眠って
かえるとこは
どこでしょう…?
そのままマリアは、『Apple』を唄い始める。
まるで子守歌の様に………
「………ZZZZZzzzzzz」
やがてケイミーは、マリアに凭れ掛る様にして寝息を立て始めた。
「………おやすみ、ケイミー」
寝息を立てるケイミーを慈愛の籠った笑みで見つめるマリア。
「流石だな、マリア………」
「母は強し、だな………」
「やれやれだぜ………」
そのマリアとケイミーの姿を見上げながら、翼・奏・クリスがそう言い合う。
と、その直後………
「マリアさーん! 有りましたよー、おしゃぶり!」
シャイダーが何時の間にか見つけていたおしゃぶりを手に姿を見せた。
如何やら、あの泣き声と衝撃波の中で必死に探してくれていた様だ。
「シャイダーッ!」
「行きますっ!!」
マリアが声を挙げると、シャイダーはケイミーの口に向かっておしゃぶりを投擲。
おしゃぶりがケイミーの口に収まると、忽ちケイミーの身体が縮小して行く。
更にタイミングが良い事に、マリアの方も芋羊羹の効果が切れたのか、縮んで行く。
「! キャアッ!?」
元の大きさに戻ると、そのまま縮小したケイミーに押し倒される形となるマリア。
「………ZZZZZzzzzzz」
しかし、ケイミーは相変わらず気持ち良さそうに寝息を立て続けている。
「………やっぱり寝顔は可愛いわね」
そんなケイミーを起こさない様に優しく撫でながら、マリアは微笑むのだった。
「「マリアッ!!」」
「姉さんっ!」
「大丈夫か、マリア!」
とそこへ、切歌・調・セレナ・シャリバンを筆頭に、装者達と宇宙刑事達がやって来る。
「しーっ」
それに対し、マリアは静かにと言うジェスチャーを送る。
「「「「!!」」」」
そこで慌てて口を紡ぐ切歌達。
「………ZZZZZzzzzzz」
ケイミーは安らかに寝息を立て続けている。
「可愛いね………」
「うん………」
「…………」
そんなケイミーの姿を見ながらそう呟き合っている響と未来の横を擦り抜け、ギャバンがマリアの傍に立つ。
「マリア………」
「? ギャバン?」
「ケイミーの両親が見つかった。もうすぐ引き取りに来るそうだ」
「! えっ!?」
ギャバンからの思わぬ言葉に驚くマリア。
「事件性が有る為に、
「「「「「「「「…………」」」」」」」
言い辛そうに告げるギャバンの様子に、一同の視線がマリアに集まる。
「………そう」
「ZZZZZzzzzzz………」
マリアは眠るケイミーに寂しそうな表情を向ける。
「………良かったわね、ケイミー。お父さんとお母さんに会えるわ」
しかしすぐに笑顔となって、眠ったままのケイミーにそう言うと、その身体を優しく抱き締めた。
「「マリア………」」
「姉さん………」
「…………」
そんなマリアの姿を見て、何とも言えなくなる切歌・調・セレナ・シャリバンだった………
それから間も無く………
ギャバンが言った通り、ケイミーの両親の乗った宇宙船が到着。
ケイミーの両親はマリア達に深く感謝しながら、母なる星へと帰って行った………
「…………」
空の彼方へと消えて行くケイミーと両親が乗った宇宙船を見送るマリア。
その目尻から、一筋の涙が流れる………
「マリア………」
とそこで、雷がマリアの肩に手を置きながら隣に並び立つ。
「雷………」
「宇宙が平和になったら、今度はコッチからケイミーに会いに行こうじゃないか」
「ええ、そうね………そ、それでね///」
そこで、マリアは顔を赤く染め、モジモジとし出す。
「うん?………」
「そ、その時には、その………わ、
「!………ああ、そうだな」
マリアのやや大胆な台詞に、雷は一瞬驚きながらも、やがてまだ宇宙船が去った飛行機雲が残っている空を見上げる。
「///………」
赤くなったままのマリアが、そんな雷の手に自分の手を絡めると、雷もそれを握り返して恋人繋ぎとなる。
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
そんなマリアと雷の姿を、他の装者達と宇宙刑事達はやや離れた場所で優しく見守っていたのだった………
これからも頼むぞ、シンフォギア装者!
戦え! 我等の宇宙刑事達!!
つづく
新話、投稿させて頂きました。
ケイミーの振り回されるマリア。
しかし、接している内に段々と母性が目覚め、可愛く思えてしまう。
ママリアの異名の発揮です。
しかしそこへ、四天王達が強襲。
ケイミーをテロ行為に利用しようとします。
そうはさせないと戦う宇宙刑事達と装者達ですが………
その中で、トラブルからケイミーが巨大化!
アブレラの遺産である怪重機軍団をダイレオンとワンセブンが食い止めますが、転んだケイミーが泣き出してしまい、大惨事に………
だが、そこで何と!
東映特撮で最も謎のアイテム………『芋長の芋羊羹』を食べてしまったマリアが何と巨大化!!
戸惑いながらも、ケイミーを落ち着かせ、思い出の歌『Apple』を子守歌代わりにして、ケイミーを落ち着かせる事に成功したのでした。
そして、ケイミーは無事、本当の両親に連れられて母なる星へ帰る事が出来たのでした。
次回はサンジェルマンが再び登場。
意外なキャラ達と絡み、いよいよ彼女の身に何が有ったのかが判明します。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。