戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第10話『知られた秘密 未来の心』

移送作戦が中止され、破壊されたデュランダルは再び二課の深部に安置される事になった。

 

壊れてしまったとは言え、元完全聖遺物。

 

まさか燃えないゴミに出すワケにも行かない。

 

その間に、広木防衛大臣の葬儀が済み、そして親米派の副大臣が新防衛大臣に就任。

 

その新防衛大臣の意向で、二課本部の強化が行われた。

 

そんな中………

 

 

 

 

 

早朝………

 

某所に在る不気味な洋館………

 

「まさか! デュランダルが破壊されるとは!!」

 

鎧の少女………クリスに拷問染みた事をしていた金髪の女性が、取り乱した様子を見せている。

 

因みに、今回は全裸では無く、ちゃんと黒い服を着ている。

 

「漸く………漸く悲願が達成出来ると思ったのに!!」

 

八つ当たりの様に椅子を蹴飛ばす金髪の女性。

 

(心が乱れているな………『フィーネ』)

 

「!? 誰だっ!?」

 

すると突然、男性の声が聞こえて来て、女性………『フィーネ』は辺りを見回す。

 

しかし、そこには自分以外の姿は見当たらない………

 

「? 気のせいか?………」

 

『気のせいではないぞ』

 

「!?」

 

再び聞こえた男性の声にフィーネは驚愕する!

 

何故ならその男性の声は………

 

自(・)分(・)の(・)口(・)か(・)ら(・)出(・)て(・)来(・)た(・)か(・)ら(・)だ(・)!

 

「な、何だコレは!?」

 

『フィーネ………先史文明の巫女の亡霊………己の遺伝子に細工を施し、子孫達がアウフヴァッヘン波形に触れる事で代々のフィーネの記憶を引き継いだ人格が現れる………数千年もご苦労な事だ』

 

狼狽するフィーネに、男性の声は彼女の正体をペラペラと語る。

 

『貴様の計画は我等にとっても使えるものだったからな。泳がせておいてやったが、如何やらココまでの様だな。後は我々が引き継いでやろう』

 

「何っ!?………!? グアアアアアァァァァァァーーーーーーッ!?」

 

男性の声がそう言った瞬間、フィーネの意識が塗り潰されて行く様な感覚が走り、絶叫する。

 

「ば、馬鹿なっ!? 私の意識が………消されて行く!?」

 

『フアハハハハハハッ! 先史文明の巫女と言えど、ワシの前では小娘も同然よ! 貴様の中から見ているのも存外面白かったぞ!』

 

「お、お前は!? お前は一体何者だぁっ!?………」

 

その言葉を最後に、フィーネの意識は完全に塗り潰され、目を紫色に発光させながら、男性の声で話し始めた。

 

「我は『ドン・ホラー』………マクーの首領よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度その頃………

 

洋館の傍に在った湖に掛けられた桟橋の上では………

 

「…………」

 

クリスが、右手にソロモンの杖を携えて佇んでいた。

 

(完全聖遺物の起動には相応のフォニックスゲインが必要だとフィーネは言っていた………アタシがソロモンの杖に半年も掛かった事を、アイツはアッと言う間に成し遂げた。それだけでなく、その力をぶっ放しやがった)

 

考えているのは、デュランダルを起動させた響の事………

 

(そしてあのギャバンとか言う奴………アタシの事を気迫だけで圧倒しただけでなく、完全聖遺物の力を跳ね返して見せた………)

 

そしてギャバンの事だった。

 

「クッ! 化け物め………」

 

彼女から見て圧倒的とも言える力を持つ響とギャバンにそう悪態を吐く。

 

「あの融合症状例の方は、このアタシに身柄の確保なんてさせるくらい、フィーネはアイツにご執心と言うワケかよ………」

 

そこで彼女の脳裏をある記憶が過る………

 

嘗て内戦国へ両親と共に行った時の記憶が………

 

「………そしてまた………アタシは独りぼっちになるワケだ………」

 

そう呟いた時、ある人物の姿が脳裏を過る………

 

「小父さん………!」

 

とそこで、気配を感じて振り返ると、佇んでいるフィーネの姿が在った。

 

「分かっている。自分に課せられた事くらいは………こんな物に頼らなくても、アンタの言う事くらい、やってやらぁっ!! あのマクーって奴等も手を出させるな!!」

 

するとクリスは、フィーネに向かってソロモンの杖を投げ渡した。

 

「アイツよりも、アタシの方が優秀だって事、見せてやる! アタシ以外に力を持つ奴は、全部この手でブチのめしてくれる! そいつが、アタシの目的だからな!」

 

「フッ………」

 

クリスの言葉を聞いて笑うフィーネ。

 

クリスは気付かなかったが、それは嘲笑の笑みだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立花輪業の裏手の空き地………

 

「如何した、響ちゃん?」

 

「えっ?」

 

早朝の特訓の最中に、不意に藤兵衛にそう言われ、響は首を傾げる。

 

「何処か心ここに有らずの様に見えるが?」

 

「あう………」

 

そう指摘され、響は萎縮する。

 

「その………ちょっと前に、凄い力を使う機会があって、それを躊躇わずに人に振るってしまったんです」

 

暴走するデュランダルのエネルギーに飲まれ、感情のままにそれを使おうとした事をぼかしながら伝える響。

 

(あの時、ギャバンさんが居なかったら、私はあの子を………)

 

「幸い、その人は無事だったんですけど………私がいつまでも弱かったから、そんな事になったんだと思って………」

 

「…………」

 

響の話を聞いて、藤兵衛はパイプを吹かす。

 

「それで私は、ゴールで終わっちゃ駄目だ。もっと遠くを目指さないと、と思って………」

 

「………昔、ある男達が居た」

 

「えっ?」

 

突然語り始めた藤兵衛に、響は戸惑う。

 

「その男達は全員がある特殊な事情を背負っていて………日々悪との戦いに身を投じていた」

 

「…………」

 

だが、真剣な表情で語る藤兵衛を見て、黙って聞き入る。

 

「厳しい戦いの中、時に傷付き倒れる事もあった。だが、アイツ等は何度でも立ち上がった。それが自分達にしか出来ない事だと分かっていたからだ」

 

「自分達にしか、出来ない事………」

 

「俺はそんな連中の力になってやった。それと同時に、アイツ等の帰って来る場所でもありたかった」

 

「帰って来る場所………」

 

そこで響の脳裏に未来の顔が過る。

 

「響ちゃん。向上心は良いが、帰るべき場所で待ってくれてる人の事を忘れてはいかんぞ。アイツ等だって、帰る場所が在ったからこそ戦えたんだ」

 

「………うん。ありがとう、伯父さん」

 

響は藤兵衛に向かって屈託無い笑顔を返す。

 

その後、登校時間となり、響は学校へと登校したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後………

 

二課本部に顔を出そうとしていた響に、慎次から連絡が入った。

 

「ハイ………ハイ………えっ!? 私が、ですか!?」

 

階段を下りていた響が軽く驚きの声を挙げる。

 

それは、入院している翼と奏の見舞いに行って欲しいと言う依頼だった。

 

『ちょっと手が離せないんですよ。すみませんが、お願い出来ますか?』

 

現在慎次は、ネフシュタンの鎧とそれを纏っていた少女の捜索、そしてマクーの調査に掛かり切りとなっていた。

 

『こんな事を頼めるの、響さんしか居なくて』

 

「はあ………ハイ! 分かりました!………ッ! ああ、それじゃあ、失礼します! はーい」

 

了承の返事を返していたところ、気配を感じて振り返ると、上段の方に立つ未来の姿が目に入り、慌てて通信機を切った。

 

「アレー、未来。如何したの?」

 

「うん。今日これから買い物に行くんだけど、響も行かない?」

 

「あ………」

 

「その後で、ふらわーに寄ってね………」

 

「ゴメン………たった今、用事が入っちゃって………」

 

「!………そっか」

 

断られた一瞬、未来は悲しそうな表情をしたが、すぐに取り繕った。

 

「折角未来が誘ってくれたのに………私呪われてるかも」

 

「ううん、分かった。じゃあ、また今度………」

 

「…………」

 

「気にしないで。私も、図書室で借りたい本が有るから、今日はそっちにする」

 

「ゴメンね」

 

最後に、未来に向かって手を合わせ、本当に申し訳無さそうにすると、その場を後にする響。

 

「…………」

 

そして未来も、踵を返してその場から離れて行った………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二課お抱えの病院………

 

「スーーーー………ハアアアア」

 

見舞いの花束を手にした響が、翼の病室の前で深く深呼吸する。

 

「失礼します~」

 

扉のロックを解除し、病室内に入る響。

 

「翼さ………!?」

 

と、病室内を目にした響が、思わず鞄を落とす。

 

「ま、まさか、マクーが………そんな!?」

 

「おっ! 響じゃないか」

 

「何をしているの?」

 

戦慄していた響に、リハビリをしていた奏と、それに付き添っていた翼が声を掛けた。

 

「! 奏さん! 翼さん! 大丈夫なんですか!? 本当に無事なんですか!?」

 

「ハア? 如何したんだ?」

 

「入院患者に無事を聞くって、如何言う事?」

 

慌てて問い質して来た響に、奏と翼は首を傾げる。

 

「だって………コレは!!」

 

そう言って響は、翼の病室内を指差す。

 

「あ!………」

 

「あ~、そう言う事か………」

 

途端に翼は気まずそうに赤面し、奏は納得が行った表情となる。

 

翼の病室内はゴミが一面に散乱し、服が下着もほったらかしとなっていた。

 

まるで泥棒に入られた後の様である。

 

「私、翼さんや奏さんがマクーに誘拐されちゃったんじゃないかと思って!………アレ?」

 

「響。翼はなぁ………『片(・)付(・)け(・)ら(・)れ(・)な(・)い(・)女(・)』なんだよ」

 

と、翼の様子がおかしい事に響が気付くと、奏がそう言う。

 

「…………」

 

翼は只々赤面して俯くばかりであった。

 

「あ~、そうですか………」

 

安心した様な呆れた様な複雑な気分となった響は、掛ける言葉が見つからずにそう呟くのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、響が部屋の片づけを始め、何とか落ち着いて話せる状況にまで持って行った。

 

当初は奏も手伝おうとしたが、怪我人にそんな事はさせられないと断った。

 

散らかした当人である翼に至っては論外である。

 

「でも意外でした。翼さんって、何でも完璧に熟すイメージがありましたから」

 

「フッ………真実は逆ね。私は戦う事しか知らないのよ」

 

「いや、カッコ良く言ってる積りかも知れないけど、それ単なるダメ人間だからな」

 

「グハッ!………」

 

奏からの容赦無いツッコミに、翼は吐血したかの様なイメージを見せる。

 

「ア、アハハ………」

 

そんな2人の様子に苦笑いを零すしかない響。

 

「全く、何時も片付けをしてやってるあたしや緒川さんの苦労を知って貰いたいね」

 

「ええっ!? 緒川さんにもやってもらってるんですか!? 男の人ですよ!?」

 

「グウッ! だ、だって………自分でやると余計に散らかしてしまうから………」

 

意外な所で見えた翼の人間臭さに、病室内には和やかな空気が漂い始める。

 

「そう言えば響。報告書は見させてもらってるよ」

 

「! そ、そう! 私達が抜けた穴を、貴方が良く埋めてくれてるみたいね!」

 

とそこで、奏が響にそう話を振ったのにこれ幸いと翼もそちらに話を持って行く。

 

「い、いえ、そんな事ありません! 何時も二課の皆やギャバンさんに助けられっぱなしです!」

 

「そんな事ないわ。貴方は良くやってくれてるわ」

 

柔和な笑みを浮かべて響にそう言う翼。

 

「あ………」

 

「フフ………」

 

初めてそんな翼の表情を見て、響は嬉しそうな様子を見せ、奏も満足そうに笑う。

 

「………でも、だからこそ聞かせて欲しいの………貴方の戦う理由を」

 

「えっ?………」

 

「ノイズやマクーとの戦いは遊びではない。それは、今日まで死線を超えて来た貴方なら分かる筈」

 

「………上手く言えませんけど、やっぱりギャバンさんのお陰だと思います」

 

「その点はあたしも同じだな」

 

ジャンパーソンの事を思いながら口を挟む奏。

 

「………でももっと言えば、切っ掛けは轟兄が居たからだと思います」

 

「? 轟兄?」

 

「それって、前に言ってた『よろしく勇気』の奴かい?」

 

「ハイ! 私と未来の幼馴染で、強くて優しい………私にとってはお兄ちゃんみたいな人なんです!」

 

響は喜々として、轟との出会いや幼少期の思い出話をし始める。

 

 

 

 

 

「………それで何時の間にか、私も轟兄みたいに、誰かの為になりたいって思う様になって。それで人助けが趣味になったと言いますか」

 

「へえ~、成程ね~」

 

「貴方らしいポジティブな理由ね」

 

轟のエピソードを知った奏と翼は感心した様に呟く。

 

「だけど………その思いは前向きな自殺衝動とも取れるわ」

 

「!? 自殺衝動!?」

 

翼からの思わぬ言葉に、響は驚く。

 

「………場所を移すか」

 

とそこで、この場で話すには相応しくないと思ったのか、奏が場所の移動を提案するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院の屋上………

 

3人は青空の下で話の続きを始める。

 

先程の話の続きを、先日のデュランダルの一件も交えて話し合う響。

 

「私がアームドギアを使えていれば、あんな事にはならなかったんでしょうか………」

 

「力の使い方を知るという事は、即ち戦士になると言う事」

 

そんな響に向かってそう言う翼。

 

「戦士………」

 

「それだけ、人としての生き方から遠ざかる事なのよ………貴方に、その覚悟は有るのかしら?」

 

響の目をジッと見据え、翼はそう問う。

 

「………守りたいモノが有るんです。それは何でも無い只の日常………そんな日常を大切にしたいと、強く思っているんです」

 

「…………」

 

その言葉に、奏が目を閉じて笑みを浮かべ、無言で頷く。

 

「だけど………思うばっかりで、空回りして………」

 

「戦いの中、貴方が思っている事は?」

 

「ノイズやマクーに襲われている人が居るなら、1秒でも早く救い出したいです! 最速で! 最短で! 真っ直ぐに! 一直線に駆け付けたい! そして………」

 

そこで響の脳裏に、鎧の少女………クリスの事が過る。

 

「もしも相手がノイズやマクーじゃなく、誰かなら………如何しても戦わなくちゃいけないのかと言う胸の疑問を、私の想いを届けたいと思います! それが私の………『よろしく勇気』です!」

 

「今貴方の胸に有るモノを、出来るだけ強く、ハッキリと思い描きなさい」

 

「それがお前の戦う力………立(・)花(・)響(・)の(・)ア(・)ー(・)ム(・)ド(・)ギ(・)ア(・)になる筈だぜ」

 

響の言葉に、翼と奏はそうアドバイスを送る。

 

「…………」

 

2人のアドバイスを受けて、拳を強く握る響。

 

ふと、その脳裏に………

 

ギャバンの姿が浮かぶのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

お好み焼き屋『ふらわー』にて………

 

「いらっしゃい!」

 

「こんにちは」

 

図書館でも用事を済ませた未来は、下校途中にふらわーへと立ち寄った。

 

「おや? いつも人の3倍は食べるあの子は一緒じゃないの?」

 

度々未来達と共にふらわーを利用しており、その食べっぷりですっかり顔を覚えられていた響が一緒で無い事を不思議がるふわらー店主のおばちゃん。

 

「今日は、私1人です………」

 

「………そうかい」

 

未来の雰囲気から何かあったと察するおばちゃんだが、深くは聞かなかった。

 

そして未来がカウンター席に着くと、早速特性お好み焼きを焼き始める。

 

「じゃあ、今日はおばちゃんがあの子の分まで食べるとしようかねえ」

 

「食べなくて良いから焼いて下さい」

 

「アラ、アハハハハハハ」

 

割と容赦無い未来のツッコミに苦笑いしながらも、おばちゃんはお好み焼きを焼き上げて行く。

 

「お腹空いてるんです………今日はおばちゃんのお好み焼きを食べたくて、朝から何も食べてないから………」

 

何処か力無くそう言う未来。

 

元気が無いのは空腹なだけでなく、やはり響の事であろう………

 

「………お腹空いたまま考え込むとね、嫌な答えばかり浮かんでくるものだよ」

 

そんな未来に向かって、アドバイスする様にそう言うおばちゃん。

 

(そうかも知れない………何も分からないまま、私が勝手に思い込んでるだけだもの………ちゃんと話せば、きっと………)

 

響の事が如何しても気になる未来。

 

ふとそこで、轟の事が頭を過る。

 

(轟お兄ちゃん………そう言えば、昔は私と響が気まずくなると、いつも轟お兄ちゃんが間に入って取り成してくれたっけ………駄目だなぁ、私………轟お兄ちゃんに頼りっ放しだったせいで………)

 

「ありがとう、おばちゃん」

 

懐かしい思いを感じながらも、おばちゃんにお礼を言う未来。

 

「何かあったら、また何時でも、おばちゃんの所においで」

 

「ハイ」

 

とそこで………

 

「こんにずは」

 

お馴染みとなった津軽訛りと共に、小里が入店して来た。

 

「おや、いらっしゃい」

 

「あ、小里」

 

「ああ、どうも未来さん。おばぢゃん、特性お好み焼ぎ1づね」

 

「あいよ」

 

未来の姿を認めると、隣の席に着きながらおばちゃんに注文する小里。

 

「ねえねえねえ、未来さん。コレ、見だんだが?」

 

そして鞄から新聞を取り出したかと思うと、その1面の記事を未来に見せる。

 

「薬品工場で爆発事故? 広木防衛大臣暗殺犯と同一犯によるテロか?」

 

その1面に記事の題目を読み上げる未来。

 

「んだ。こりゃきっど宇宙人サ仕業サ違いねし」

 

「宇宙人………」

 

ちょっと前ならば否定したかもしれない事だが、実際に宇宙人らしき存在に出くわし、命さえも狙われた今の未来は否定出来ない。

 

「広木防衛大臣ば暗殺したのもきっど宇宙人だし。奴等きっど地球侵略ば企んでらんだ」

 

「おやおや、怖いねえ。宇宙人が地球侵略だなんて………」

 

とそこで、話を聞いていたおばちゃんが、焼き上がったお好み焼きを未来に出しながら、そう口を挟む。

 

「大丈てで。きっど宇宙刑事ギャバンが何とがしてぐれらし」

 

「宇宙刑事ギャバン………」

 

ギャバンの名を聞いた未来は、あの時の事を思い出す。

 

「実は気サなて調べてみたきや、あの大山 小次郎氏の記事の中サ何度も宇宙刑事ギャバンの名前が出てたんだし」

 

「! そうなの?」

 

「んだ。それによるど、大山氏がルポライターどすて活躍すてあった頃、マクーって連中相手さ地球守ってあったらすいのよ。大山氏も何度も会った事有るって記事さ書いであったわ」

 

「そうなんだ………(そんな昔から居る人なんだ………じゃあ、如何して私はあの人の事を知っている気がしたんだろ?)」

 

ギャバンの事を知っている様な気がした未来は、小里の言葉に困惑する。

 

「宅配便です。判子かサインを」

 

とそこで、ふらわーに宅配便が届き、配達員が判子かサインを求める。

 

「あら、何時もありがとね」

 

「気にするな。俺が運ぶのは荷物だけじゃない。幸福を運ぶ」

 

おばちゃんがお礼を言うと、『シロクマ宅配便』の配達員はそんな言葉を返す。

 

「「…………」」

 

変わった事を言うなと、思わず未来と小里の視線が配達員に向く。

 

「!」

 

途端に、その視線に気付いた様に、配達員も未来と小里を見た。

 

「わっ!?」

 

「あ、ご、ごめんなさい………」

 

驚く小里と思わず謝る未来だったが………

 

「今俺を見たな?」

 

「「へっ?」」

 

「これでお前達とも縁ができた!!」

 

「「ええっ!?」」

 

かなり強引な縁を結ばれた未来と小里は、只管に困惑するのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、病院の方では………

 

「う~~~ん………そう言われても、アームドギアの扱いなんて、すぐには考え付きませんよ」

 

翼と奏から言われた事を必死に考えていた響だったが、やはり何も思いつかない。

 

元より彼女は考えるよりも感覚で掴む派でもある。

 

「ねえ、知ってます!? お腹空いたまま考えても、碌な考えが出せないって事!」

 

「何よ、ソレ?」

 

「まあ、分からなくはないな」

 

響の言葉に困惑する翼と、一理有ると言う奏。

 

「前に、私言われたんです。お好み焼き屋のおばちゃんに。名言ですよ!」

 

「ああ、そう………」

 

「ハハハ、そうかもな」

 

「そうだ! 翼さん! 奏さん! 私、ふらわーのお好み焼きをお持ち帰りして来ます! お腹いっぱいになれば、ギアの使い方も閃くと思いますし、御2人も気に入ってくれると思います!」

 

とそこで、響はふらわーのお好み焼きを買いに行くべく、屋上を後にした。

 

「えっ! ちょっ………待ちなさい! 立花!」

 

「あたしの分は大盛で頼むよー!」

 

困惑する翼に対し、奏は響の背に向かってそんな事を言った。

 

「………フフ、ホント………一直線な子ね」

 

「それがアイツの良い所だ」

 

響が去った後、翼と奏は顔を見合わせて笑い合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、事態は急転する………

 

リィデアン地下・特異災害二課本部の指令室にて………

 

「ネフシュタンの鎧を纏った少女が、此方に接近して来ます!」

 

本部のレーダーが、接近して来るクリスを捉えていた。

 

「周辺地区に避難警報を発令! そして、響くんへ連絡だ!」

 

弦十郎がすぐさま指示を飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「! アレは!?」

 

そして轟も、空を飛ぶクリスの姿を目撃。

 

すぐさま彼女の向かう先に車を走らせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハイ、分かりました! すぐに向かいます!」

 

二課から連絡を受けた響は、クリスの移動経路の途中に有る公園へと到着し、彼女の元へ急ごうとする。

 

「あ! 響ーっ!!」

 

しかし、何の運命の悪戯か………

 

ふらわー帰りの未来が、そこを通り掛かっており、駆け付けた響と出くわす。

 

尚、小里は例の妖怪縁結びにうっかりUFO撮影を手伝ってほしいと言ってしまい、連れて行かれた………

 

「!? 未来!?」

 

未来に出くわした事に驚く響。

 

「!?」

 

「お前はーっ!!」

 

そして運悪く、そのタイミングでクリスと会敵!

 

ネフシュタンの鎧の鞭が振られる!

 

「来ちゃ駄目だ!」

 

近寄って来ていた未来にそう呼び掛けたが時既に遅く………

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

地面を抉った鞭の衝撃波が、未来を吹き飛ばした!!

 

「!!」

 

「しまった! アイツの他にも居たのか!?」

 

響が目を見開き、クリスも第三者を巻き込んでしまった事を驚く。

 

「う、うう………!?」

 

倒れていた未来が身を起こそうとしていたところに、同じく衝撃波で吹き飛ばされた車が上から振って来る。

 

「!!」

 

恐怖で顔が引き攣る未来。

 

 

 

 

 

………その時

 

 

 

 

 

Balwisyall nescell gungnir tron

 

 

 

 

 

響が聖詠を唱え、シンフォギアを身に纏うと、未来に降り注ごうとしていた車を電光ライダーキックで弾き飛ばした!!

 

響はそのまま未来の目の前に降り立つ。

 

「………響?」

 

目の前で変身し、超人的な力を見せた響に、未来の顔が驚愕に染まる。

 

「………ゴメン」

 

そんな未来に、響は辛そうな顔をしながら、それだけしか言えなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

遂に明らかになった櫻井了子に宿るもう1つの存在………
それこそマクーの首領ドン・ホラーでした。
実は櫻井了子ではなく、フィーネを乗っ取っており、つまり………
『櫻井了子の意識を乗っ取ったフィーネの意識を、更にドン・ホラーが乗っ取っていた』と言うかなり複雑な状況だったワケです。
そして遂にフィーネを消して本格的な活動を始めたドン・ホラー。
果たしてフィーネは本当に消されてしまったのでしょうか?

そして中盤の山場。
未来が響の秘密を知る場面となりました。
これで拗れてしまう2人ですが、そこでこの作品の主人公である轟が如何動くか?

ちょろっと出て来た妖怪縁結びは小ネタみたいなものですが、実はAXZ編にて出番が?………
まだ構想段階なので確定ではありませんが、楽しみにしていて下さい。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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