戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
轟がバード星で『レーザーブレードオリジン』を使い熟す特訓をしていた頃………
地球の装者達も、11人ライダー達から厳しい特訓を受けていた………
立花輪業・裏手の空き地にて………
「「「「「「「「「「ゼエ………ゼエ………」」」」」」」」」」
地面に大の字になって寝転んだり、両手と膝を着いて居たりと、疲労困憊の様子を見せている装者達とキャロル。
「良し!
と、その装者達とキャロルに向かって、1号がそう言い放った。
「! やったデース!!」
その言葉に切歌が寝ころんだまま歓喜の声を挙げる。
「………
しかし、クリスがその言葉に引っ掛かりを覚える。
「うむ、我々が課した特訓は、個々の力を引き上げ為のモノだ」
「ココからは………お前達の連帯を強化する特訓をして貰う」
「!………」
2号とV3がそう言うと、調が一瞬表情を曇らせた。
「連帯を?………」
「そうだ。君達が戦うパヴァリア光明結社は、神の力を得て更に強力となった」
「それに打ち勝つには、個々の力だけでは無く、君達全員が息を合わせた絆の力が必要となる」
マリアが疑問を呈する様に呟くと、ライダーマンとXがそう返す。
「確かにな………」
「個別に力をぶつけるよりも、息を合わせて戦う方が確実です」
「トモダチ、力合わせて戦う」
奏とセレナが言い合っていると、アマゾンがそう口を挟む。
「そう言うワケさ。ココからの特訓は仲間との絆を武器にするのが得意な連中を良く知る奴にして貰うぜ」
「それは?………」
「君達がシンフォギア装者かい?」
翼がストロンガーの言葉について詳しく問い質そうとしたところ、そう言う台詞と共に、真っ赤な強化服らしき衣装に身を包んだ1人の戦士が現れた。
「貴方は?」
「私は『アカレッド』………歴代の『スーパー戦隊』を知る者だ」
未来の問いに、赤い戦士………『アカレッド』は自身の胸に手を当てながら答える。
「アカレッド………」
「アカとレッドって、モロ被りじゃねえか………」
アカレッドの姿を見て響が呟くと、クリスがそうツッコミを入れる。
「君達も幾度か見ている筈だ。仲間達の絆の力で戦う戦士達………スーパー戦隊の姿を」
それが聞こえていなかったのか、無視したのか知らないが、アカレッドは装者達とキャロルにそう言う。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
そう言われて装者達とキャロルは、コレまでに遭遇したスーパー戦隊の戦士達の事を思い出す。
「彼等の戦い方は君達にとって大きな糧になるだろう。私には歴代のスーパー戦隊の全ての知識が有る。それを君達に教えよう」
「………今度はお勉強デスか」
「まあ、あの特訓よりはマシか」
如何やら今度は座学になりそうな雰囲気を感じ取った切歌がウンザリとした様子を見えるが、逆に11人ライダーによる地獄の大特訓に辟易していたのと元々知識欲が強いキャロルは若干機嫌が良くなる。
「………あの、すみません。私、ちょっと外しても良いですか? 後で戻りますので」
とそこで、オズオズと言った様子で手を上げながら、セレナがそんな事を言った。
「セレナ?………」
「如何したの?」
「1人だけズルいデスよー」
マリア・調・切歌が疑問と不満を呈する。
「ゴメンなさい。その………1回、ターザンくんの様子を見に行きたくて」
「!………」
「マリア、顔、顔」
セレナが申し訳無さそうにそう言うと、マリアが露骨に嫌そうな表情を浮かべ、奏がそれにツッコミを入れる。
「そう言えば、色々有って後回しにしちゃってたけど………ターザンくん、ダイレオンに戻ったきりだよね」
「うん、行ってあげて下さい、セレナさん。今のターザンくんを連れ出せるとしたら、きっとセレナさんだけです」
「うむ、そう言う事ならば、君には後程に改めてとしよう」
未来と響がそう言うのを聞いて、アカレッドはセレナに許可を出す。
「すみません、行って来ます」
少々後ろ髪を引かれる思いをしながらも、セレナは特訓場を後にし、ターザンの元へと向かった。
「…………」
「マリア、顔が戻らなくなるぞ」
その間もずっと嫌そうな表情を浮かべていたマリアに、今度は翼がそうツッコミを入れる。
「マリアさん………まだターザンくんの事、気に入らないんですか?」
「気持ちは良く分かりますけど………」
そんなマリアに、響と未来も声を掛ける。
「正直に言わせてもらうとね………けど、ターザンを如何にか出来るとしたらセレナだけと言うのも分かってるわ」
「「マリア………」」
しかし、マリアはそう返し、切歌と調がマリアに視線を向ける。
「本当に………全く苦労ばかり掛けて………何か思い出したら腹が立って来たわ」
「マリア………」
「ステイ、ステイ、ステイ………」
と、そこで表情に怒りの色が浮かび始めたのを見て、クリスが冷や汗を掻き、奏が宥め始める。
「………何やら苦労している様だね」
「見苦しいところを………」
「オイ、とっとと始めるぞ」
そんな空気を感じ取ったアカレッドがそう言うのに、翼が気まずそうに返し、キャロルはさっさと座学へと移る様に促すのだった………
ダイレオン・船内………
「お邪魔しまーす………」
様子を窺い様にダイレオンの船内へと入って来たセレナが、ターザンの姿を探す。
「やっぱり自分の部屋かな?………」
リビングルームには見当たらなかったので、私室に居る可能性が高いと踏み、セレナはターザンの私室へと向かう。
そして程無く、ターザンの私室の前に立った。
「ターザンくん、居るの?」
扉をノックしながら室内へと呼び掛けるセレナ。
しかし、室内からの返事は無い………
「ターザンくん?………! 開いてる」
とそこでセレナは、部屋の扉がロックされておらず、開いている事に気付く。
「………ターザンくん、入るよ」
一瞬躊躇しながらも、扉を開けてターザンの私室内へと入り込む。
室内には照明が消されており、真っ暗であり、扉が開いた事で通路から入って来る灯りだけが唯一の光源となっていた。
「…………」
その僅かな灯りに照らされ、部屋の隅に体育座りで縮こまっているターザンの姿を発見する。
「あ! ターザンくん、居た!」
「…………」
ターザンの姿を見つけたセレナが声を掛けながら傍に近づいたが、ターザンは全く反応せず、体育座りの体勢のまま顔も見せない。
「ターザンくん、大丈夫?」
「………何しに来たんだよ、セレナ」
セレナが再度声を掛けると、ターザンは体勢は変えずにそのままの状態で尋ねて来る。
「勿論、ターザンくんの事が心配だったから来たんだよ」
「心配?………本当は俺の事を笑いに来たんだろ?」
「そんな事………」
「だってそうだろ………俺が調子に乗ってた所為で、マッドギャランに呆気無くやられて、轟まで怪我させたんだぞ」
無いと言おうとしたセレナの言葉を遮る様に、ターザンはそう言い放つ。
そこにあの底に抜けに明るく陽気だった姿は無い………
まるで別人の様だった………
「だからって、ずっと此処に居る積り? 御飯だって食べてないんでしょう? お腹空かない? 私何か作ろうか?」
「もう放っといてくれよっ!!」
尚も気遣って来たセレナに対し、ターザンは立ち上がりながらそう言い放った。
「俺はもう惑星エジンに帰る! 最初から無理だったんだよ! 俺みたいな半端者がマッドギャランやサタンゴースに敵う筈無かった! 俺なんか一生惑星エジンに居れば良かった………」
「馬鹿っ!!」
とそこで、セレナはターザンの頬に平手打ちを喰らわせた!
「ッ!!」
「何でそんな簡単に諦めるの!? まだ何も終わってなんて無いんだよ!!」
「セ、セレナ………」
初めて見るセレナの剣幕に気押しされるターザン。
コレまで数々のセクハラ行為にも決して怒る事の無かったセレナが、初めてターザンに対し怒りを見せた。
それだけ、彼女にとって今のターザンの行為が許せるものでは無かったのだ。
嘗てセレナは、落とす筈だった命をマドーのサイコラーによって拾われ、以来サイコラーの依代として生かされていた………
彼女自身の行為ではないが、自身の身体を利用され、様々な悪事や悪行に手を染めていた事は、彼女の心に大きな影を落としていた………
彼女が今シンフォギア装者として戦っているのには、その贖罪の意味も含まれているのだ………
だからこそ、彼女は何が有っても決して諦めない。
いや、諦めてはならないのだと考えて戦っている。
「響さん達も言ってたけど、轟さんはきっと戻って来る。そして私達はサタンゴースとマッドギャラン………パヴァリア光明結社を打ち倒す! だって、それが使命だから!」
「使命………」
呆然と呟くターザンに背を向けると、セレナは部屋から出て行こうとする。
「セレナ………」
「………信じて待ってるよ、ターザンくん」
退室間際に、ターザンの方を振り返り、微笑んでそう言い残す。
「………俺は………俺は………」
セレナが去り、再び暗闇となった部屋の中で、ターザンはブツブツと呟き続けるのだった………
その後………
皆の元へと戻ったセレナは、改めてアカレッドからスーパー戦隊達の絆の力とチームワークの講義を受け………
シンフォギア装者+キャロルによる、連帯技の訓練が開始された。
事前に受けて講義と、コレまでの戦いの経験、そして11人ライダー達から受けた大特訓が効いたのか、装者達とキャロルの連帯性は目覚ましい速度で成長して行った。
只1人………調を除いて。
彼女は、切歌以外のメンバーや、全員での連帯が上手く出来ずに居た………
「ハア………ハア………」
「調、大丈夫デスか?」
1人息を切らしてへたり込んでいる調を、切歌が気遣う。
「………切ちゃんはやれてるのに………私は………」
「気にすること無いデスよ! 特訓を続けてればきっと………」
「出来ないよ!」
「! 調………」
励まそうとした声を遮る様に、調が声を張り上げ、思わず黙り込む切歌。
「あ………ゴメン、切ちゃん」
しかし、すぐに罪悪感が浮かんで来て萎れた様に謝る調。
「「「「「「…………」」」」」」
「まさかの
そんな調の姿に、他の装者達も掛ける言葉が見つからず、キャロルも愚痴る様に呟いた。
「ふむ………月詠 調くん。
とそこで、アカレッドが調にそう問い掛けた。
「今の私の心?………」
「そうだ………今の君の正直な気持ちを言って欲しい」
戸惑う調に、アカレッドは更にそう促す。
「………合わせたくっても上手く行かない………狭い世界での関係性しか、私には分からない………引け目が築いた心の壁が、大切な人達を遠ざけている………」
「調………」
「…………」
「調ちゃん………」
やがてポツリポツリと語り出した調に、切歌・マリア・セレナが複雑な表情となる。
元レセプターチルドレンで在ったF.I.S.組の中でも、調は出自が謎に包まれているのだ。
日本人である事は確かなのだが、それ以外の事は不明………
実は、その名である『月詠 調』と言うのも、F.I.S.で付けられた名で有り、ひょっとすると本名が有るのかも知れない………
他のレセプターチルドレンと同じく、何かしらの大事故に遭い、両親を失って孤児となった彼女だが、その事故に彼女自身も巻き込まれていた為か、F.I.S.に来る前の記憶が思い出せないのである。
凄惨な事故に遭った所為で、脳が記憶を封印したのだとも言われているが、詳細は一切不明………
そんな事情の所為か、F.I.S.で最初に知り合った切歌とは深く繋がりを持てたが、それ以外の人に関しては、マリアやセレナでさえ、心の何処かで壁を作っているのだ。
「何時かきっと………親友までも………」
「!!」
調の言葉を聞いた切歌が、ショックを受けた様子を見せたが………
「それなら大丈夫だ。問題無い」
黙って調の話を聞いていたアカレッドが、突然そう断言した。
「! 如何してっ!?」
「オイオイ、今の話聞いてたのか?」
「何でそこで大丈夫だ、何だよ!?」
忽ち、調・奏・クリスがアカレッドにツッコミを入れる。
「………もう既に君達は答えを持っている」
「ハアッ!? 益々分かんねえぞっ!?」
「貴様………適当な事を言って煙に巻く積りか?」
抽象的な答えしか返さないアカレッドに、クリスが更にツッコミを入れ、キャロルが苛立ちながら睨み付ける。
「「…………」」
しかし、響と未来だけは何かを感じ取ったかの様な視線をアカレッドに向けている。
と、その時!!
『緊急事態だ!!』
「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
通信回線に弦十郎の声が響き渡り、装者達とキャロルの顔に緊張が走った!
『四天王のザンパとイッキが市街地に出現! 破壊行為を行っています!!』
『両者からコレまでにない凄まじいエネルギーが観測されています! 恐らく、神の力と思われます!!』
そこで、今度は朔也とあおいからの報告が挙げられる。
「! 遂に来たか!!」
「行くんだ、装者の諸君! 人々が君達の助けを求めている!!」
翼が声を挙げると、アカレッドが装者達とキャロルの事を指差しながらそう言い放った。
「行けって言ったって………」
「まだ調が………」
「…………」
調の連帯が不十分である事を懸念したマリアと切歌がそう言うと、調は顔を伏せるが………
「言った筈だ………君達はもう答えを持っている!」
「だから、抽象的過ぎんだって!!」
アカレッドにクリスが更にツッコミを入れるが………
「行きましょう! 皆さんっ!!」
「グズグズして居られません!!」
響と未来が、力強くそう促し、先んじて駆け出した!!
「オ、オイッ!?」
「クリス! 今は現場へ向かうぞっ!!」
「ああ、もうっ!!」
それにより、他の装者達とキャロルも、済し崩し的に駆け出す。
「…………」
アカレッドはその背を無言で見送ってるのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
11人ライダー達からの特訓が終わり、今度は歴代スーパー戦隊を知る者………
『アカレッド』から連帯の授業を受けます。
というワケで、スーパー戦隊シリーズからアカレッドの登場です。
最初は初代のゴレンジャーを出そうかなと思ったのですが、彼等だけでなく歴代のスーパー戦隊を通して、連帯の強さを教えるみたいな感じにしたかったので、それならアカレッドの方が適任かなと考えまして。
その最中で、引き籠っていたターザンを見舞うセレナ。
すっかり気落ちしていたターザンに、セレナの初めての叱咤が見舞われます。
果たして、立ち直れるか?
そして、AXZ編であった調の問題………
この作品では原作とは違い感じで乗り越える事になります。
原作と比べ潜り抜けた戦いのレベルが違うのと、それによって仲間達との関係もちょっと変化しているので。
一体どんな形で、調は心の壁を乗り越えるか、お楽しみに。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。