戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達 作:宇宙刑事ブルーノア
政府お抱えの病院・個室型のICU………
「…………」
ミイラの様に全身包帯巻きにされ、酸素供給機と輸血、そして点滴を受けているサンジェルマンが寝ているベッドの周りで、医師と数人の看護師で、医療機器と睨めっこをしながら、サンジェルマンに治療を施している。
「先生………」
「駄目か………」
だが、サンジェルマンの命の灯は徐々にだが確実に弱くなって行く………
流石に医師と看護師達の表情にも諦めの色が浮かび始めていた。
と、その時………
突然、ICUへの出入り口の扉が開かれ、何人かの人影がICU内へと入って来る。
「!?」
「誰ですか!? 此処の患者さんは面会謝絶ですよ!!」
医師が驚き、看護師の1人が面会謝絶にも関わらず入って来た者達を追い出そうとする。
「失礼。この場は任せて貰えるかな?」
しかし、その看護師の剣幕を意にも介せず、侵入して来た者達の先頭に居た人物………
喫茶どんぶらのマスターの方の五色田 介人がそう言う。
「…………」
「「「「…………」」」」
その後ろにはタロウが堂々と立っており、その背に隠れる様に弓美達が様子を窺っている。
「はあ? 何を言って………」
「!? 貴方は!? 『トゥルーヒーロー』!?」
何を馬鹿な事を言おうとした看護師を遮る様に、医師が驚きの声を挙げる。
「わ、分かりました! 貴方ほどの方がそう仰られるのであれば………さあ、皆。ココは彼等に任せよう」
「えっ!? ちょっと、先生っ!?」
戸惑う看護師達を半ば強引に押しながら、医師はICUから退室して行った。
「………マスターってホントに何者?」
「フッ………俺はヒーローとして生まれ、ヒーローとして戦い、ヒーローであり続ける者」
唖然とする一同の中で、弓美が辛うじてそう尋ねると、介人は不敵に笑ってそう返す。
「はあ………」
「そんな事より………急いで始めよう。このままでは彼女が危ない」
要領を得ない様子の弓美を無視する様に、介人はサンジェルマンを見ながら言う。
その姿は、何時の間にか手術着姿となっていた。
「君にも協力して貰うよ、桃井 タロウ。是非とも君の力が必要だからね」
「分かった」
((((大丈夫かな(だべか)?………))))
介人がタロウにそう言う中、弓美達は不安な表情を浮かべる。
と、そこで………
『45バーン!』
「チェンジ全開………」
介人は手回し式のハンドルが着いた大型ガン………『ギアトリンガー』を取り出し、『ゼンカイザーギア』をセットすると、ハンドルを回したとにそう呟き発砲。
『バンバン! バンバン! ババン! ババン! ババン! ババン! ババババーン! ゼーンカイザー!』
独特な音声と共に、撃ち出されたギア型のエネルギーが介人に被さると………
その姿をモノクロ調の戦士………『ゼンカイザーブラック』へと変えた!!
何故か手術着は着たままである………
「!? ええっ!?」
「マスターッ!?」
「「!?」」
「「「「ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」
その光景に、弓美達は揃って仰天の声を挙げたのだった………
◇
一方、その頃………
パヴァリア光明結社が現れた市街地では………
「うああああっ!?」
「助けてくれーっ!!」
「キャーッ!!」
必死に逃げ惑う人々を嘲笑うかの様に、下半身が戦車型となっている怪重機………
量産型怪重機『キラータンク』が、その下半身の戦車部分で、ビルや建物を薙ぎ倒し、或いは踏み潰しながら進撃している。
!#$%&@*+?¥
更に、その後方に控える様に、上半身がドーム型の巨大砲台が備え付けられた要塞となっている巨獣………『フォードン』が、その主砲で砲爆撃を行っている。
「良いぞ、フォードン! 全てを破壊しろ! この場所に巨獣帝国の首都を築くのだっ!!」
離れた高層ビルの上でその様子を眺めていたマッドギャランが、意気揚々とそう言い放つ。
と、そのマッドギャラン目掛けて、エネルギービームと巨大な玉が飛来する。
「うん?………」
しかし、マッドギャランはエネルギービームを左手を振って掃うと、続いて来た玉は剣で弾き返す。
「アダムウウウウウゥゥゥゥゥゥッ!!」
「サンジェルマンの仇なワケダッ!!」
そこで、マッドギャランが居るビルの屋上に、怒りと憎悪を漲らせた表情でファウストローブを纏ったカリオストロとプレラーティが着地して来た。
「何だ? 今度は貴様等が復讐に来たのか? やれやれ………呆れたものだ」
「! 貴様あああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」
「死ねええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!」
マッドギャランの小馬鹿にする様な態度に、カリオストロとプレラーティは更に怒りを滾らせて飛び掛かって行った!
!#$%&@*+?¥
その間にも、フォードンとキラータンク軍団に拠る街への蹂躙は続く………
と、そこで!!
建物を薙ぎ倒しながら進軍するキラータンク軍団の前に、ダイオレンが地響きを立てながら降り立った!!
「ダイオレンビームッ!!」
ダイレオンビームを薙ぎ払う様に放ち、キラータンク軍団の一団を吹き飛ばす。
それにより、キラータンク軍団の進軍が停止する。
「ドルファイヤーッ!!」
「プラズマカノンッ!!」
「バビロスファイヤーッ!!」
そこで、続けて現れた電子星獣ドル・バトルバースフォーメーションのグランドバース・バトルフォーメーションのバビロスから火炎とビーム砲、熱線が放たれ、更にキラータンク軍団が爆散する。
その光景を見たキラータンク軍団の一部が後退を始める。
すると、1台のキラータンクの足元の地面を突き破る様にして、2本の腕が生え、キラータンクの戦車部分を掴んで捕まえる!
ウオオオオオオォォォォォォォッ!!
次の瞬間には咆哮と共にワンセブンが地面の中から現れながら、キラータンクを持ち上げる!
ウオオオオオオォォォォォォォッ!!
再度咆哮を挙げたかと思うと、持ち上げていたキラータンクを投げ飛ばすワンセブン。
投げ飛ばされたキラータンクは、別のキラータンクにぶつかり、更にそのまま数台を巻き込んだかと思うと爆散した!!
!#$%&@*+?¥
その光景を見ていたフォードンが、ダイレオンとワンセブンに向かって砲撃を行い、空中の電子星獣ドル・バトルバースフォーメーションのグランドバース・バトルフォーメーションのバビロスには両足からミサイルを放った!
「フッ!!」
ウオオオオオオォォォォォォォッ!!
ダイレオンは大跳躍で砲撃を躱し、ワンセブンも間一髪で後退が間に合う。
「スクリューアタックッ!!」
そしてミサイルの方は、電子星獣ドルのスクリューアタックで弾き飛ばされる。
しかし、その一瞬の隙を衝いて、キラータンク軍団が再進撃を開始する。
「クソッ! 行かせるかっ!!」
「コレ以上は進ませませんっ!!」
シャリバンとシャイダーがそう言いながら、グランドバスターとバビロスレーザーを放ち、キラータンク軍団の一団を撃破する。
しかし、破壊されたキラータンクの残骸を踏み越えながら、キラータンク軍団は進軍を続ける。
「クッ! キリが無いっ!!」
「物量作戦と言うのは単純だがやられると対処が難しいものだ………」
キラータン軍団の数の暴力に、シャイダーとシャリバンが愚痴る様に言う。
「響ちゃんや未来ちゃん達も頑張ってくれている! 今は兎に角数を減らすしかないっ! ドルレーザーッ!!」
ギャバンが自らを鼓舞する様にそう言い、ドルレーザーでまたキラータンク軍団の一団を薙ぎ払うのだった。
一方、地上の方でも………
「大丈夫ですか!? しっかりして下さい!!」
「あ、ありがとうございます………」
未来が逃げ遅れた女性市民を支えながら、安全圏まで避難させようとする。
だがそこで、運悪く1台のキラータンクに見つかってしまう。
「!!」
「ヒッ!?」
女性市民が短い悲鳴を挙げると、キラータンクはカメラアイを不気味に発光させながら、右手のガトリングアームを向け、発砲して来た。
「! 危ないっ!!」
未来は咄嗟に、袖の帯を地面に突き刺したかと思うと、まるでちゃぶ台返しの様に地面を持ち上げた!!
飛んで来た弾丸は、盛り上げられた地面に当たって防がれる。
キラータンクは盾にしている地面ごと吹き飛ばそうと、ガトリングの連射速度を上げる。
………が!!
「ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」
翼が気合の叫びと共に剣を振るい、青い軌跡を描きながら、キラータンクの右腕を斬り落とす。
キラータンクが動揺した様な様子を見せながらも、左のアンカーアームで翼を叩き落さんと旋回しようとしたが………
「ウオオオオオオォォォォォォォッ!!」
そこで今度は、響が雄叫びと共にキラータンクの左の履帯を殴り付けた!
「喰らえぇっ!!」
履帯が千切れ飛び、移動不能となるキラータンクに、奏がフォニックゲインを込めた槍を渾身の力で投擲。
キラータンクの腹部に命中した槍は、貫通は出来なかったが、命中部分に装甲を爆ぜさせ、内部機器を露出させた!
「ちょっせいっ!!」
その穴目掛けて、クリスが小型ミサイルと大型ミサイルを次々に撃ち込む!!
キラータンクは内部から膨れ上がる様に変形し、そのまま大爆発した!!
だが、奥の方から新たなキラータンクが進軍して来る。
「クソッ! キリがねえっ!!」
「オマケにまだ市民の避難が完全じゃないから、防戦に回るしかない………」
その光景に、クリスと奏が愚痴る様に漏らす。
フォードンとキラータンク軍団は突然街中へと現れた為、市民の避難が完了しておらず、多くに人々が戦場内に取り残されていた。
その為、マシンを掛ける宇宙刑事達とワンセブンが攻勢に回り、小回りの利く装者達は逃げ遅れた市民の救助活動を優先する防戦に回っていた。
だが、キラータンク軍団の規模は想像以上であり、破壊活動の影響も有って避難は遅々として進んでいなかった………
「弱音を吐くな! 防人として、無辜の人々は何としても守らねばならん!!」
「轟兄達が頑張ってくれてるから、私達も頑張らないとっ!!」
そんな2人を鼓舞する様に、翼と響が叫ぶ。
「誰かー! 逃げ遅れた人は居ますかーっ!!」
とそこへ、避難の助力に来ていた自衛隊員が現れる。
「この人をお願いします!」
「分かりました!! 後はお任せ下さいっ!!」
未来が救助していた女性を任せると、自衛隊員は共に避難する。
『誰か!! ちょっとコッチを手伝って!! 3体纏めて来られて苦戦してるのっ!!』
通信回線にマリアからの救援要請が響く。
「! すぐに行くぞっ!!」
「ハイッ!!」
すぐに響達は、マリアの救援へと向かうのだった。
◇
再び、政府お抱えの病院・サンジェルマンの個室型ICU………
「よし、治療はコレでOKだ」
そう言ってマスクと手袋外すゼンカイザーブラック。
「「「「…………」」」」
その様子を見守っていた弓美達は何とも言えない表情をしている。
何しろ、ゼンカイザーブラックが治療の為に使ったのは、まるでゲーミングPCの様にカラフルに発光するメスと鉗子だったからだ。
しかし、ゼンカイザーブラックの独特な迫力に気圧され、何も言えなかったのだ………
「最後の仕上げだ………タロウくん」
「漸く出番か。待ちくたびれたぞ」
只1人、仏頂面で腕組みをして見守っていたタロウが、腕組みを解きながらそう言う。
そして、ガン型のアイテム………『ドンブラスター』を取り出すと、『アバタロウギア』をセットする。
「えっ!?」
「まさか!? タロウさもっ!?」
「アバターチェンジッ!!」
弓美と小里が驚きの声を挙げるのも構わず、タロウはそう言いながらアバタロウギア型ダイヤル「スクラッチギア」を回転させ、引き金を引く。
『いよぉー! どん! どん! どん! どんぶらこー! アバタロウ! ドンブラコ! ドンブラコ! ドンブラコ! ドンブラコ! ドンモモタロウ よっ! 日本一!』
ドンブラスターからこれまた独特な音声が響く中、タロウの姿がドンモモタロウへと変わった!
「ワーッハーッハッハッハッ!!」
「! ドンモモタロウッ!!」
「タロウさんが、ドンモモタロウだったのですね………」
何時もの様に高笑いを挙げるドンモモタロウを見ながら、創世と詩織がそう呟く。
「よし………」
とそこで、ゼンカイザーブラックがギアトリンガーを構えたかと思うと、ドンモモタロウの身体からオーラの様な物が立ち上り、それがギアトリンガーに吸収されて行く。
「…………」
ゼンカイザーブラックは、寝ているサンジェルマンの口を開けると、そこに漏斗を半ば無理やり突っ込む。
「んが!?………」
「ちょっ!? 何してるのっ!?」
漏斗を口に突っ込まれたサンジェルマンが僅かに呻き声を漏らし、弓美がまた仰天するが………
「…………」
ゼンカイザーブラックは気にせずにギアトリンガーの銃口を漏斗の上に置いたかと思うと、手回し式のハンドルを回す。
すると、ギアトリンガーの銃口から、透き通った綺麗な赤い液体が出始め、サンジェルマンの口に刺されている漏斗の中へ注ぎ込まれる。
「ううううううぅぅぅぅぅぅぅ………」
「…………」
漏斗で無理矢理液体を飲まされ、意識不明のサンジェルマンが悶えるが、ゼンカイザーブラックは構わずにドンドン赤い液体を注ぎ込んで行く。
「「「「…………」」」」
弓美達は口を開けて唖然となるしかない………
そのまま数分間………
サンジェルマンは謎の赤い液体を注がれ続けた………
「………コレで良し」
漸くギアトリンガーから出ていた赤い液体が止まると、ゼンカイザーブラックはサンジェルマンの口から漏斗を抜く。
一瞬の間の後………
「………!!」
サンジェルマンはカッと目を見開き、その瞳を赤く輝かせ、重傷など最初からなかったかの様にガバリと起き上がったのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
巨獣フォードンと怪重機キラータンクで街を蹂躙するマッドギャラン。
そんなマッドギャランに、復讐鬼と化したカリオストロとプレラーティが挑むが………
一方、そんなシリアスも何のその(爆)………
サンジェルマンを助ける為に現れたのはどんぶらのマスター!?
そしてその方法とは………
何と『タロウ汁』をキメさせる事だった!!
次回を読む際には心して下さい………
先に謝っておきます、ごめんなさい………
さようなら………シリアスなサンジェルマン。
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。