戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第39話『始まりはいつも突然』

某・市街地にて………

 

「うう………」

 

「未来! しっかりしてっ!!」

 

「大丈夫か?」

 

疲労の色を見せている未来に、響とギャバンが心配そうに声を掛ける。

 

「う、うん、何とか………」

 

そこで未来は、2人に肩を貸してもらっていた状態から自力で立つが………

 

「オノレェ………不敬であるぞ」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

とそこで、恨みの籠った声が聞こえて来て、一同が身構えていると………

 

砕け散っていたシェム・ハの砂が一ヶ所に集まり始め、やがて上半身と下半身が逆転した砂時計を思わせる姿のシェム・ハが再生した。

 

「!!」

 

「未来、下がってっ!!」

 

未来がビクリと身体を震わせると、響がそんな彼女を庇う様にする。

 

「………カストディアン、いやアヌンナキの改造執刀医、シェム・ハか?」

 

同じ様にしていたギャバンがシェム・ハにそう問い質す。

 

「如何にも………我こそが人が仰ぎ見るこの星の神が、我と覚えよ」

 

ギャバンの問いに、シェム・ハは尊大そうに笑いながらそう言い放つ。

 

「だが、フィーネの話によれば………」

 

「確か、南極に封印された筈じゃ………」

 

翼と奏が、以前にフィーネから聞かされた話を思い出しながらそう言う。

 

「!………」

 

と、その話をした途端に、シェム・ハの顔が怒りと屈辱に顔を激しく歪ませる。

 

「? 如何した?」

 

「ええいっ! そんな事は如何でも良いっ!! 貴様っ!!」

 

再度のギャバンの問い掛けを無視し、シェム・ハはビシッと未来の事を指差す。

 

「わ、私っ!?」

 

「貴様こそは我が依り代………光栄に思うが良い。神の器となれるのだからな」

 

戸惑う未来に、シェム・ハは何処までも自分本位にそう言い放つ。

 

「依り代だとっ!?」

 

「まさか………小日向 未来の身体を乗っ取る積りなの!?」

 

シェム・ハの言葉に、クリスとマリアが驚きの声を挙げる。

 

「さあ! その身を我に捧げよっ!!」

 

その次の瞬間に、シェム・ハが未来目掛けて突進する!

 

「!!」

 

「未来っ!!」

 

未来が恐怖から固まってしまい、咄嗟に響がその前に立ち、両腕を広げる様に構えて庇い立つ!!

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

他の奏者達と宇宙刑事達もすぐさま動いたが………

 

「チュウッ!!」

 

「ブッ!?」

 

その前に動いたギャバンが、突進して来たシェム・ハにサッカーキックを食らわせると、シェム・ハの身体は呆気無く砂となって砕け散った。

 

「は?」

 

「「「「「「「「「「えっ?………」」」」」」」」」」

 

余りの呆気無さに、ギャバンと装者達も唖然となる。

 

「オノレェッ!!」

 

しかし、すぐさま砕け散った砂が集まり、シェム・ハの姿に戻る。

 

「貴様! 神であるこの我を足蹴にするとは………」

 

「チュウッ!!」

 

シェム・ハの言葉が終わるのを待たず、ギャバンが殴り付けると、またシェム・ハの身体が砂となって砕け散る。

 

「貴様ぁっ!! 我の言葉を遮るとは………」

 

「…………」

 

再び砕け散った砂が集まってシェム・ハに戻るが、ギャバンが無言でまた殴り付け、粉々にする。

 

「貴様………」

 

「…………」

 

再生したシェム・ハをまた無言で殴るギャバン。

 

「ブッ!!………」

 

再び砕け散った砂が集まってシェム・ハに戻る。

 

「き………ブッ!」

 

「…………」

 

「ちょっ………ブッ!」

 

「…………」

 

「待………」

 

そのままシェム・ハが元に戻る度に無言で殴り付けて粉々にするのを繰り返すギャバン。

 

段々と扱いも雑になって行く………

 

「オ、オノレェッ!! 我は人が仰ぎ見るこの星の神………」

 

と、何度目とも知れぬ再生を果たしたシェム・ハがそう言いかけた瞬間………

 

()()()の様な音が聞こえて来たかと思うと、その身体が崩れながら引き寄せられて行く。

 

「!? ヌアアアアアアッ!? な、何ィッ!?」

 

崩れて行く身体でシェム・ハが振り返ると、そこには………

 

「…………」

 

何処からか持って来た掃除機を構えているシャリバンの姿が在った。

 

そのまま砂のシェム・ハの身体をドンドン吸い込んで行くシャリバン。

 

「や、止めろおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ! 我をゴミ扱いするかあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」

 

その言葉を最後に、シェム・ハは完全に掃除機の中へと吸い込まれてしまった。

 

「………()()、如何する?」

 

「「「「「「「「…………」」」」」」」」

 

吸い込んだ掃除機を手に持ちながら、シャリバンが問い掛けるが、誰も微妙な顔をして答えない………

 

「燃えるゴミは月・水・金デース」

 

「切ちゃん、それは………」

 

堂々と神をゴミとして捨てようと言う切歌に、調がツッコミを入れる。

 

 

 

 

 

と、その時………

 

 

 

 

 

辺りにミュージックホーンの様な音が鳴り響いたかと………

 

空中に出現した穴から、行く手にデンレールを生成しながらデンライナーが現れた。

 

「! デンライナー! モモタロス達か!!」

 

ギャバンが声を挙げると、デンライナーは装者達と宇宙刑事達の前に降りて来て停車する。

 

「どうも~! S.O.N.G.の皆さ~ん! 初めまして~!」

 

車両側面のドアが開くと、客室乗務員のナオミが陽気そうに姿を見せた。

 

「えっと、確か………ナオミさんでしたっけ?」

 

面識の在るシャイダーが思い出しながらそう言う。

 

「は~い! 覚えていてくれて嬉しいです~! 実は皆さんを招待したいってオーナーが言っていまして~。なので、どうぞ~。あ、シェム・ハさんも御一緒にお願いしま~す」

 

「オーナー? あの男がか?」

 

ナオミの言葉に、同じく面識の在るキャロルが思い出しながらそう言う。

 

「しかし、シェム・ハも一緒と言うのは一体?」

 

「此奴の事、知ってるのか?」

 

シェム・ハの事を知っている様子に、翼と奏が若干困惑する。

 

「考えていても仕方ない。兎も角、招待に預かろうじゃないか」

 

そこで、これ以上考えていても仕方ないとギャバンが言い、一同はデンライナーのオーナーからの招待を受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デンライナー・食堂車内………

 

「ど~も~、S.O.N.G.と宇宙刑事の皆さん~。私がデンライナーのオーナーです~」

 

「ど、どうも………」

 

「は、初めまして………」

 

一同を出迎えたオーナーの独特な迫力に、響と未来が若干気後れする。

 

「オーナーさん、早速だが………」

 

轟が話を進めようとしたところ………

 

「! おわっ!?」

 

雷が持って来ていた、シェム・ハを吸い込んだ掃除機が弾け飛び、中から光の玉が飛び出した!

 

その光の玉が、実態を持ったシェム・ハへと変わる。

 

「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」

 

「無礼であるぞ………我こそが人が仰ぎ見るこの星の………」

 

身構える一同に向かって、シェム・ハはまた尊大な態度を執ろうとしたが………

 

「コラァッ! 新入りぃっ!!」

 

「ブッ!?」

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

その直後にモモタロスに頭を引っ叩かれ、空気が破壊される。

 

「き、貴様! 何をするっ!! 神であるこの我に………」

 

「ウルセェッ!! 何が神だっ!! 勝手に居なくなりやがってよおっ!!」

 

抗議の声を挙げて来たシェム・ハに、コブラツイストを決めるモモタロス。

 

「ノオオオオォォォォォーーーーーーッ!?」

 

「ちょっとちょっと先輩。仮にも女性相手にソレは無いでしょう。大体、勝手に出て行く事に先輩が何か言える立場んまワケ?」

 

とそこで、フェミニストなウラタロスが、助けに入ろうとする。

 

「そりゃテメェだってそうだろうがよぉっ!!」

 

それに対し、モモタロスが意にも介せずにそう言い返したかと思うと………

 

「ええいっ! 離せぇっ!!」

 

シェム・ハは力任せの強引に、コブラツイストを掛けて来ていたモモタロスを引き剝がし、突き飛ばした!

 

「おうわっ!?」

 

「うわっ!?」

 

「! わあっ!?」

 

止めに来ていたウラタロスを巻き込み、更に座席に着いてお絵描きをしていたリュウタロスにも激突するモモタロス。

 

それにより、リュウタロスが画用紙にクレヨンで書いていた絵が失敗してしまう。

 

「あーっ! もうちょっとで描き終わったのにーっ!! お前ーっ!!」

 

「!? おうわっ!?」

 

それに怒ったリュウタロスは、モモタロスの角を掴んだかと思うと、シェム・ハに向かって投げ付けた!!

 

「!? のうわっ!?」

 

投げ飛ばされたモモタロスに激突され、そのまま縺れ合う様に床に倒れるシェム・ハ。

 

「ZZZZZZZzzzzzzzzz………」

 

するとその際の振動で、別の席に座って寝ていたキンタロスが倒れ、そのまま縺れ合って床の上に倒れていたモモタロスとシェム・ハを下敷きにする。

 

「グヘッ!?」

 

「ゴハッ!?」

 

「ZZZZZZZzzzzzzzzz………」

 

重量級のキンタロスに潰され、カエルが潰れた様な声を挙げるモモタロスとシェム・ハだったが、当のキンタロスは未だに寝息を立てたままだった。

 

「オイ、クマッ!! 何寝てんだっ!! とっとと起きやがれっ!!」

 

「ふ、不敬であるぞ………神であるこの我を下に敷くなど………」

 

「ZZZZZZZzzzzzzzzz………」

 

怒鳴るモモタロスと、何とかどかそうとするシェム・ハだが、キンタロスは目覚める様子は無く、更に重過ぎて退かす事も出来ない。

 

「アハハハハハハッ! モモタロスもペッチャンコだ!!」

 

「ちょっと待っててね、シェム・ハさん。今貴方だけ助けるから」

 

「笑ってるんじゃねえ、ハナタレ小僧! カメェッ!! 俺も助けやがれっ!!」

 

それを見て笑うリュウタロスと、シェム・ハだけを助けようとするウラタロスに同時にツッコミを入れるモモタロス。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

一瞬にして混沌と化した車内の様子に、流石の装者達と宇宙刑事達も如何して良いか分からず、只茫然と立ち尽くすしかなかった。

 

と、そこで………

 

「アンタ達、いい加減にしなさいっ!!」

 

突如現れたコハナが、タローズ全員とシェム・ハの鳩尾に、目にも止まらぬ速さで拳を叩き込んで行った!

 

「グエッ!?」

 

「ガハッ!?」

 

「んおっ!?」

 

「イタッ!?」

 

「ゴバッ!?」

 

アレだけ騒がしかったデンライナー内が一瞬で静まり返る。

 

「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」

 

その光景に色々な意味で唖然となる装者達と宇宙刑事達。

 

「き、貴様っ! 我は………」

 

と、逸早く立ち直ったシェム・ハが、コハナへと噛み付こうとしたが………

 

「………何?」

 

「………いえ、何でも無いです」

 

コハナが一睨みすると、借りてきた猫の様に大人しくなり、一瞬遅れて立ち直り、席に着いて居たタローズに倣って席に着いた。

 

(この子が強いのか………アイツ等が弱いのか………)

 

その光景を見ていた轟が、内心でそうツッコミを入れる。

 

「では~、落ち着いたところでお話を始めましょうか~」

 

「普通に話し始めるですね………」

 

「この光景は此処では日常的な事ってワケか………」

 

そこでオーナーが話を切り出し始め、未来と雷が呆れた声を漏らす。

 

「お話と言うのは他でもありません~………そちらに居られる、シェム・ハさんについてになります~」

 

それをスルーしたのか、聞こえていなかったのか、オーナーは飽く迄マイペースに話………

 

シェム・ハの事について、話し始めるのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

イマジン化したシェム・ハ。
もう完全にギャグキャラです。
タローズも加わってますますカオス。
詳しい事情は次回にて………

今回短くて申し訳ありません。
ここのところ深刻なスランプで全く筆が進まなくて………
もう終盤に差し掛かってるってのに、ホントすみません。

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