戦姫絶唱シンフォギア 装者と鋼の勇者達   作:宇宙刑事ブルーノア

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第41話『恐怖のサタンゴースゾーン』

デンライナー・食堂車内………

 

「フンッ!!」

 

シェム・ハの正中線上の急所に次々と拳を叩き込むコハナ。

 

「!?!?」

 

悲鳴を挙げる事すら出来ず、シェム・ハは仰向けに床に倒れたかと思うと、白目を剥いて泡を吹き、ビクンビクンッ!と痙攣する。

 

「アンタって奴はホント、如何しようも無いわね!」

 

そのシェム・ハの姿を見下ろしながら、正に怒り心頭と言った様子でそう言い放つコハナ。

 

「「「…………」」」

 

「ZZZZZZZzzzzzzzzz………」

 

そんなコハナの様子にいつも通り寝ているキンタロスを除いたモモタロス・ウラタロス・リュウタロスの面々は戦々恐々し、椅子の陰に身を隠している。

 

「願いを強引に叶えようとしたイマジンは数多く居ますが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は初めてですね~」

 

相変わらずチャーハンを食べて旗倒しをしているオーナーも、珍しく呆れた様子を見せている。

 

「兎も角、シェム・ハさん。今回の様な行為は立派な規則違反です。もしまた同じ様な事をするのであれば、『乗車拒否』をさせて貰う事になるやも知れませんよ~」

 

そこでオーナーは、懐から赤いライダーチケット………オーナーのみが持つ絶対権限の『乗車拒否チケット』を取り出してそう言う。

 

「! そ、それだけは止めてくれっ!!」

 

顔色が悪いまま身を起こしたシェム・ハが、恥も外聞も無くオーナーに縋る様に言う。

 

乗車拒否チケットとは、その名の通り、デンライナーへの乗車を拒否されるものであり………

 

そうなれば、時の狭間を永遠に彷徨う事となるのだ………

 

流石のシェム・ハも必死に懇願する。

 

とそこで、食堂車の入り口の扉が開かれた………

 

「…………」

 

一同の視線が集まった先には、無言で佇んでいた未来の姿が在った。

 

あの後即、時・分・秒が一致した時間で来たらしく、パジャマ姿のままである。

 

「! 未来ちゃんっ!?」

 

「おおっ! 小娘っ! 我と契約する気になったかっ!?」

 

コハナが驚きの声を挙げると、相変わらず自分に都合良くしか考えないシェム・ハが近寄って行く。

 

「!!」

 

と、そのシェム・ハが目の前に着た瞬間!!

 

未来の強烈なビンタが炸裂!!

 

「ブッ!?」

 

シェム・ハは軽くブッ飛ばされ、食堂車の椅子に凭れ掛かる様に倒れた。

 

「き、貴様!………」

 

「最っ低………」

 

「!!」

 

すぐに未来に怒りを向けるシェム・ハだったが、未来はそんなシェム・ハに冷たい視線を向け、思わず怯む。

 

「…………」

 

それだけ吐き捨てるかの様に言うと、デンライナーから出て行った。

 

「今のアイツ………ハナクソ女並みにおっかなかったぜ」

 

「ああいう娘って、怒らせると1番怖かったりするからね」

 

「怖いよ~」

 

そんな未来の姿に、モモタロス・ウラタロス・リュウタロスも戦々恐々だった。

 

「…………」

 

一方、ビンタをされたシェム・ハは、された頬を抑えて呆然となっていた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃………

 

パヴァリア光明結社のアジトにて………

 

「申し訳ございません、マッドギャラン様。まさかカストディアンが出張ってくるとは想定外でした………」

 

マッドギャランの前に跪き、失敗を詫びているアイガーマン。

 

「気にするな、アイガーマン。貴様の責任では無い………」

 

だが、マッドギャランはアイガーマンに責任は無いと言い切る。

 

「シェム・ハか………まさか生きていたとはなぁ」

 

暗黒銀河女王からシェム・ハについて知らされていたマッドギャランだが、思わぬ形で蘇っていた事には流石に驚きを隠せなかった。

 

「だが、今の奴に神の力は無い。となれば、然程の脅威でもないか………」

 

しかし、すぐにシェム・ハが以前の様な力を持っていない事を察し、脅威ではないと断定する。

 

と、その時………

 

『………マッドギャランよ』

 

「! 父上っ!!」

 

「!!」

 

巨大な玉座に腰掛けていたサタンゴースが声を発し、マッドギャランはアイガーマンと共に畏まる。

 

()()()()()()()()………余はその前祝いとして、憎っくきジャスピオンとその仲間の血が見たい………次の戦いにて、余も力を貸そう』

 

「! 何とっ!? サタンゴース様、自らが!! ありがたき幸せっ!!」

 

自ら力を貸すと言って来たサタンゴースに、アイガーマンは恐縮する。

 

「サタンゴース様!」

 

「恐れながら、我々に提案がございます」

 

とそこで、ギルザとギルマーザが現れ、提案が有ると告げて来た。

 

『申してみよ』

 

「ハッ! 次に戦いに於いて、狙いを装者共に絞るのは如何でございましょう」

 

サタンゴースが許可すると、ギルザがそう申し上げる。

 

「装者共に?」

 

「嘗て、サタンゴース様が例の事態になった際、生贄を捧げようと致しました。残念ながら、初代ジャスピオンに阻まれ、それは叶いませんでしたが………」

 

「その意趣返しとして、装者の女共を生贄とするのです。成功すれば、邪魔な敵を排除出来るだけでなく、ジャスピオンと宇宙刑事達の動揺も誘えます」

 

「ほう、成程………」

 

アイガーマンの声に、ギルマーザとギルマがそう説明すると、マッドギャランが感心した様に声を漏らす。

 

「良かろう………アイガーマン! 次の戦いで貴様は装者共を仕留めろ! ジャスピオンと宇宙刑事達は引き剥がしておいてやる!!」

 

「ハッ! 了解致しました! 既にデータの更新は済んでおります! 次の戦いでは装者共を血祭りに挙げ、その血をサタンゴース様とマッドギャラン様への捧げ物と致して見せます!! アイガーッ!!」

 

マッドギャランの言葉にそう返しながら、アイガーマンが何かを呼ぶ様に叫んだかと思うと………

 

グルオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!

 

身体の半分以上が機械化している巨獣………『アイガー』が咆哮と共に姿を現したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日………

 

ノーチラス艦内・某休憩スペースにて………

 

「………と言う事がありまして」

 

「もう大変だったみたいなんですよ~」

 

未来と響が、昨晩の出来事を愚痴の様に話す。

 

「何と言うか………色々と大変だったな」

 

それを聞いていた奏がそう漏らす。

 

「って言うか、未来………勝負下着なんて用意していたのかよ………」

 

コッソリと勝負下着を用意していた未来に、クリスがそうツッコミを入れる。

 

「だって………轟お兄ちゃんだって、気が変わる可能性はゼロじゃないし………」

 

「ねえ、未来。私にも見繕って貰っても良いかな?」

 

未来が恥ずかしそうに返していると、響が自分にも勝負下着を見繕って欲しいと言って来る。

 

「うん、勿論良いよ。響も備えて置いた方が良いしね」

 

「だよね、やっぱり」

 

「…………」

 

そんな未来と響の遣り取りを聞いて、クリスは死んだ魚の様な目となり、またもブラックコーヒーを只管に流し込み始めた。

 

(暫く切歌と調は別に休憩させた方が良いわね………)

 

そして、切歌と調の情操教育上、暫く別に休憩させるべきだと判断するマリアだった。

 

とそこで、警報が鳴り響いた!!

 

「! またパヴァリアかっ!!」

 

『緊急事態発生っ! パトロール中だったギャバン・シャリバン・シャイダー・ジャスピオンがパヴァリア光明結社と遭遇! 現在交戦中です!!』

 

翼が声を挙げると、朔也のアナウンスが館内に響き渡る。

 

「大変デス!!」

 

「すぐに出撃しようっ!!」

 

別所で休憩していた切歌と調が、そう言いながら響達の居る休憩室に飛び込んで来る。

 

「ちょっと待て!」

 

だがそこで、キャロルが待ったを掛けた。

 

「キャロルさん?」

 

「如何したの?」

 

()()()()()()()? 態々パトロール中だった劾達に仕掛けてくるなど?」

 

セレナとマリアが尋ねると、キャロルがそう違和感を訴える。

 

「! 確かに!」

 

「という事は………」

 

と、響と未来がそう言った瞬間………

 

再びノーチラス号の艦内に、警報が鳴り響いた!!

 

『都内に巨獣が出現しましたっ!!』

 

『十城士くん達は敵に足止めされている! 装者諸君は直ちに向かってくれっ!!』

 

そしてあおいと弦十郎の声がアナウンスとして響き渡る。

 

「やっぱし()()()()()()()()()()!!」

 

「すぐに向かうぞっ!!」

 

クリスと翼がそう言い合い、装者達は都内に出現した巨獣の対処へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

都内・某所………

 

グルオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!

 

咆哮と共に、巨獣アイガーは左腕に装備されたハンマーで、ビルを叩き潰す。

 

更に、右手の丸鋸を高速回転させると、高圧電線塔をまるで紙細工の様に容易く切断する。

 

「そこまでだ、巨獣っ!!」

 

と、その進行方向に在ったビルの屋上に、翼の台詞と共にシンフォギアを纏った装者達が降り立つ。

 

「来たか! シンフォギア装者共っ!!」

 

すると、その装者達に向かって、アイガーからそう声が発せられる。

 

「!? 巨獣が喋ったっ!?」

 

「いえ、違うわ!」

 

「奴の目を見ろっ!!」

 

アイガーが言葉を発したのかと思った響が驚きの声を挙げるが、マリアが否定し、キャロルがアイガーの光る単眼を指差す。

 

良く見ると、その瞳の中は空洞となっており、頭の部分にコードを繋いだアイガーマンが、椅子に腰掛けていた。

 

「アイガーマンッ!!」

 

「ハンッ! 宇宙刑事達と引き剥がしてアタイ達から叩こうってか!? 甘く見られたもんだぜっ!!」

 

響が声を挙げると、クリスがそう言い放つが………

 

「ほざくな! 貴様等はもう終わりだっ!!」

 

「何だとっ!?」

 

アイガーマンの怒鳴り声に、奏が憤りを露にした瞬間………

 

地響きと共に辺りに振動が走り、サタンゴースが姿を現す!!

 

「! サタンゴースッ!!」

 

「アイガーマンに神の力を与える気っ!?」

 

「「「「「「「!!」」」」」」」

 

翼とマリアがそう声を挙げ、装者達は身構えるが………

 

オオオオオオォォォォォォッ!

 

その次の瞬間!!

 

サタンゴースが咆哮を挙げたかと思おうと、その目が怪しく光り、身体から黒いオーラの様な物が放出された!!

 

「!? 何っ!?」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」

 

響が声を挙げ、他の装者達も戸惑う中………

 

オーラは辺りに広がり………

 

まるで新月の夜の様な暗い空間が出来上がった!!

 

「コレって?………」

 

未来が暗くなった市街を見ながら何かを言おうとした瞬間………

 

突然全てのシンフォギアが色を失った!!

 

「!? ぐうっ!?」

 

「ぐあっ!?」

 

「シンフォギアがっ!?」

 

忽ちギアが鉛の様に重くなり、何人かが膝を付く。

 

一体何が起こったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

案の定、コハナにキツイお仕置きを貰ったシェム・ハ。
そして未来からも激しく拒絶されます。
しかし、そんな未来の態度に、シェム・ハは何か思うところがあるのか?………

一方、マッドギャランは狙いを装者に絞り、罠を仕掛けてきました。
突如現れたサタンゴースの発生させた空間で、シンフォギアが機能不全!?
一体何が起こったのか?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
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